Google
WWW を検索 「園田義明めも。」を検索

親米3カ国「JIBs」の憂鬱2013/01/28 07:43

親米3カ国「JIBs」の憂鬱


<関連記事>

親米3カ国、周辺国とあつれき 米覇権揺らぎ秩序失う世界
2013/1/28 0:30
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO51052220X20C13A1FF1000/

 【ダボス(スイス東部)=上杉素直】日本とイスラエル、英国の3カ国を指す「JIBs(ジブス)」が国際社会の懸念材料として意識され始めた。アジア、中東、欧州でそれぞれ地政学リスクにさらされ、周辺国とのあつれきを抱えているからだ。米国の覇権が揺らぐなか、これら親米3カ国が針路を見失い、地域安定の火種となっている姿が浮かび上がる。

 日本、イスラエル、英国を英語の頭文字から「JIBs」と名付けたのは米ユーラシア・グループのイアン・ブレマー氏だ。リーダー不在の「Gゼロ」時代に、それぞれの地域で建設的な役割を果たせない国として取り上げた。

 今月22日、フランスのオランド大統領はドイツに足を運び、メルケル独首相とともに式典に臨んだ。長く敵対関係にあった独仏が和平を誓ったエリゼ条約調印から50年の節目を迎え、独仏首脳は欧州統合やテロ対策での連携を再確認した。そんな空気に水を差したのが英国だ。

 「欧州連合(EU)への幻滅はかつてないほどに強い」。英キャメロン首相は23日の演説で、英国のEU離脱を問うために国民投票を実施すると表明。統合深化をねらう独仏に真っ向から異議を唱えた。しかも当初、キャメロン首相が演説日に選ぼうとしたのがエリゼ条約の記念日の22日。英国の配慮に欠ける行動が独仏など大陸欧州をいら立たせている。

 債務危機の克服に向けて、EU各国が進める財政統合や金融監督の共通化にも反対し、孤立感を深める英国。「強いEUの一員としての強い英国」を評価する――。今月中旬、オバマ米大統領はキャメロン首相に電話を入れ、性急な行動を戒めたとされる。

 そのオバマ大統領が気をもんでいるもう一つの国がイスラエルだ。「米国人の感覚では、本当の意味での中東唯一の盟友国」(英リーズ大学のジョーンズ教授)だが、ネタニヤフ政権は中東和平に関心を示さず、アラブ社会とも対立を続ける。米メディアは、そんなネタニヤフ首相を批判するオバマ大統領の発言を伝える。「イスラエルは何が自分にとって最良なのか分かっていない」

■イラン攻撃示唆

 イスラエルは核開発を続けるイランへの攻撃を再三にわたって示唆。さらに昨年11月にはパレスチナ自治区ガザと戦火を交えるなど、強硬路線をひた走る。国連がパレスチナの扱いを「国家」に格上げすることを決めると、国際社会の批判を無視して東エルサレム入植を進めた。英国際戦略研究所は「仲介役である米国の疲弊と、イスラエルのやる気のなさが中東和平を阻んでいる」と指摘する。

 22日投開票の総選挙では右派の与党統一会派が第1党を維持し、ネタニヤフ首相の続投が有力視される。イランへの武力行使を巡って首相がレッドライン(境界線)と定める2013年春から夏が迫るなか、イスラエルが中東地域の新たな火種となりかねない。

 「最大の難問は、経済危機よりも地政学リスクだ」(アクセンチュアのスペルマン氏)。スイスで27日まで開かれていた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、地域紛争への警戒感が漂った。アルジェリア人質事件、フランスのマリ軍事介入、長引くシリア内戦など、このところ、世界は騒がしい。

■日中の緊迫報道

 そして日本。アジアでは中国の軍事的、経済的な台頭が著しい。欧米からみれば、日本は韓国や中国との関係悪化によって、アジア地域に緊張をもたらす存在とも映る。

 「戦争の足音」。英誌エコノミストは今月、沖縄県・尖閣諸島をめぐる日本と中国の緊迫をこう伝えた。こうした見方は、歴史問題で保守的な姿勢を示す安倍晋三氏が首相に就任したことで広がっている。

 「JIBs」の3カ国について、ユーラシア・グループのブレマー氏は「いずれも米国の同盟国。10年、20年先をにらんだ関係を米国とどう築くかが注目される」と話す。超大国である米国の衰退で秩序を失った世界。親米国への懸念は、そんな時代の副産物といえるだろう。


2013年世界のリスク 「JIBs」ご用心
2013/1/8 9:28
http://www.nikkei.com/money/gold/toshimagold.aspx?g=DGXNMSFK0800C_08012013000000

 新年恒例のユーラシア・グループがみる世界のリスク、トップ10が発表された。

(1)新興国

 BRICsと、もはやひとくくりで語ることはできない。ブラジルは先進国並みに近づいている。しかしロシアは政治腐敗、頭脳流出、資本逃避などをコントロールできず、新興国どころか「沈みゆく国」となっている。インドは経済減速に対して政治的対応も、その意思も見えない。

(2)中国の情報社会

 中国の中産階級は家庭でも職場でも情報へのアクセスを求めるが、中国政府は引き続き情報を規制している。その結果、日本との領土問題などでナショナリズムが沸騰しつつある。中国はいずれ世界一の経済大国となるが、それでも国民は貧困で全体主義国家であろう。これは大きなリスクだ。

(3)アラブの「夏」

 中東ではイスラムのスンニ派とシーア派の暴力的対立が激化している。アラブの春以降、経済成長も実現できていない。米国は傍観。そこに他の勢力が入り込む。

(4)米国

 金融危機や政治的要因に誘発されたリセッションを予言しているわけではない。しかし、財政の崖問題に見られるような「瀬戸際政策」は経済成長を阻む。しかし、新興国に比し、リスクは小さい。

(5)JIBs(ジャパン、イスラエル、イギリス)

 この3カ国は親米国であるが、米国にとっての重要性は薄れつつある。にもかかわらず中国、中東、経済危機の欧州の隣に位置する国々で、地政学的リスクにさらされている。しかも、その地政学的問題に対して建設的な役割を果たせず、国内問題により対応できずにいる。日中領土問題に有効な解決策が見いだせない。イスラエルは中東のあらゆる火薬庫に接している。英国は欧州諸国の連帯から取り残されている。

(6)欧州

 金融危機に対し、各国が主権を守るために統合のペースを遅らせている。大きな妥協が必要なのだが、経済減速や政治的なユーロ懐疑論が妨げとなっている。

(7)アジアの地政学的問題

 中国の脅威に対し、米国がアジア地域への戦略を強化する中で、米中関係の緊張が、ゼロサム・ゲームの政治的応酬を生んでいる。

(8)イラン

 イラン、イスラエル、米国を巻き込む「影の戦争」がエスカレートしつつある。原油価格高騰リスクも無視できない。シリア情勢も悪化する中で、打開策が見えず。

(9)インド

 政治問題がインド経済成長のサクセス・ストーリーを阻む。

(10)南ア

 アフリカは今や、経済のダイナミズムと政治の不安定性を特徴とする新興国の代表的存在になりつつある。特に中産階級が向上している。しかし、アフリカにおける最大級の経済発展国である南アとナイジェリアは多くの問題を抱える。

 以上がトップ10であるが、日本としてはJIBsの新語が気になるところ。米国の観点では、中国と対峙する日本と、中東諸国と対峙するイスラエルが、似たようなリスクを抱える国にみえるようだ。そこに、取り残された英国も加わると、なにやら切ない思いである。

 とはいえ、13年は先進国より新興国により大きなリスクあり、とするのは、それだけ世界の新興国依存度が高まっていることの裏返しであろう。

 それにしてもJIBsという新語が定着しないことを望む。


Top Risks of 2013 (画像引用)
http://www.eurasiagroup.net/pages/top-risks-2013
https://s3.amazonaws.com/Top_Risks_2013/Top+Risks+2013.pdf

Risk #5: The JIBs -- Japan, Israel, Britain
Posted By Ian Bremmer
Friday, January 18, 2013 - 10:35 AM
http://eurasia.foreignpolicy.com/posts/2013/01/18/risk_5_the_jibs_japan_israel_britain

The top risks of 2013
Posted By Ian Bremmer
Monday, January 7, 2013 - 2:43 PM
http://eurasia.foreignpolicy.com/posts/2013/01/07/the_top_risks_of_2013

January 11, 2013, 7:32 p.m. ET
Three Troubled Allies, One Superpower
Japan, Israel and Britain are facing big problems of their own just as the U.S. needs their help
By IAN BREMMER
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887323442804578231870322045866.html?mod=googlenews_wsj

Forget the PIIGS and BRICS. It’s time to worry about the JIBS
January 7, 2013, 12:18 PM
http://blogs.marketwatch.com/thetell/2013/01/07/forget-the-piigs-and-brics-its-time-to-worry-about-the-jibs/