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日経・秋田浩之:アンドリュー・マーシャルとエドワード・ルトワックの「中国の弱み見つけて墓穴掘り」作戦(風見鶏)2012/11/08 08:17



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老軍略家からの警告(風見鶏)
2012/11/04 日本経済新聞 朝刊

 全世界の米軍をあやつる米国防総省。その巨大組織の中枢には、9月初めに91歳になった伝説の名軍略家がいる。アンドリュー・マーシャル氏。なお現役として、超長期の戦略をになう相対評価(ネットアセスメント)局を率いる。

 公の場には一切、姿を現さないが、1973年以来、彼はずっといまのポストに君臨してきた。余人をもって代えがたい洞察力があるからだ。

 冷戦中にはソ連の弱点をいち早く見抜き、いまは台頭する中国への戦略に知恵を絞る。「90歳を超えても彼の分析力とエネルギーが衰える様子はない」。周辺はこう舌を巻く。

 その彼が目下、鋭い視線を注ぐのが、南シナ海や尖閣諸島をめぐる強硬な中国の行動だ。そこから描こうとしているのは今日や明日の対策ではない。もっと、ずっと先を見通した中国への処方せんだ。

 「将来、さらに強大になったとき、中国の周辺国への態度は変わるかもしれない。尖閣諸島への中国の対応からその手がかりを得ようとしている」。マーシャル氏を知る米政府筋はこう解説する。

 その手がかりとは何か。同氏の有力ブレーンの1人に、著名な米戦略家のエドワード・ルトワック氏(70)がいる。彼の話を聞くと、マーシャル氏の思考の一端が透けてみえる。

 「尖閣での強硬な態度は、中国の拡張路線の表れではない。むしろ国内の不安定さに原因がある。北京では指導部の権力の移行も円滑にいっていない。そうした矛盾から目をそらすため、日本に強硬に出ているのだ」

 つまり、中国は内部がもろくなると、対外的には強硬に傾いていくというわけだ。そんな観察に基づき、ルトワック氏は日本にこう提言する。

 「領土については譲る余地をみせない。同時にこちらからは一切、挑発もしない。日本が中国に対応する際、この2点が肝心だ」

 なぜなら、そうすれば墓穴を掘るのは中国だとみているからだ。

 中国は将来的にアジア諸国を米国から引きはがし、自分が主導できる「中華圏」を再建したがっている。だが、このまま尖閣や南シナ海での強硬ぶりが際立てば、周辺国は中国になびかず、そうした試みは空振りに終わる――。これがルトワック氏の読みだ。

 とはいえ、米中の国力差が縮まっていけば、いやおうなく、アジア諸国は中国の勢力下に組み込まれてしまうかもしれない。

 米ソ冷戦で米国に軍配が上がったのはソ連の経済が疲弊し、最後には国内総生産(GDP)が米国の約25%にしぼんだからだ。だが、中国は米国には欠かせない経済の協力相手であり、GDPでも米国に追いつこうとしている。

 「中国の軍拡に対し、正面から力で対抗するだけでは足りない。中国の弱みを見つけ、そこを突くことで国力増大の勢いを鈍らせる。そんな手立ても考えなければならない」。複数の関係者によると、マーシャル氏は最近、こう感じ始めているという。

 いまでも印象的なのは、2006年春、取材に応じたマーシャル氏が繰り返した警句だ。「まだ、中国について分からないことが多い」。ぼう大な研究を重ねてもなお、結論に飛びつかず、分析を続ける。

 いま、日本に必要なのはこうした姿勢だ。嫌中や反中といった感情に流されず、冷徹に中国の出方を読み解き、対策を打つ。太平洋の向こうにいる91歳の軍略家にそれができるなら、中国のとなりにいる日本人にもできるはずだ。(編集委員 秋田浩之)

コメント

_ 奔放な旅人 ― 2012/11/08 09:53

鋭い!
中国は本気で尖閣盗りに来ていると言う評論家も居ます。
度々中国の監視船を尖閣領域へ領海侵犯させているのは、日本の実行支配が及んでいないと世界へアピールするのが狙いだと言う。
なるほど。

ネットサーフィンしていますと、尖閣諸島を日本、中国、台湾で共同管理しようと署名集めしているバカ者が居ました。
共同管理となると日本の主権を放棄すると言う事と同等である事が解らないみたいですね。
それに、そうなれば「しめた!」と中国が他を排除して実行支配するでしょう。
大陸棚ガス田みたいに。
早く墓穴を掘ってくれないかな。(笑)

_ Y-SONODA ― 2012/11/09 08:42

奔放な旅人さんへ

>早く墓穴を掘ってくれないかな

ルトワック氏は日本にこう提言する。
「領土については譲る余地をみせない。同時にこちらからは一切、挑発もしない。日本が中国に対応する際、この2点が肝心だ」

ここが重要ですね。
尖閣においては日本が挑発しちゃった。これは大失敗だと思います。
何度も繰り返しますが、対中国は放置プレイで当面OKでしょう。

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