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宮城県岩沼市の「鎮守の森の長城」計画--「流木」に続いて「倒木」という名の法令突破口2012/05/11 00:00

宮城県岩沼市の「鎮守の森の長城」計画--「流木」に続いて「倒木」という名の法令突破口


宮脇昭氏
「皆さん素晴らしいと言うだけで、なかなか動いていただけません。現場の市町村や、海岸に土地を持っている林野庁や国交省にしても同じです。その最大の原因は、法令によって震災ガレキは産業廃棄物とされており、木質のものは焼却処分しないといけないと定められているからとのことでした。」


井口経明市長
「木質のがれきの扱いはまだ最終決定していないが、今から準備を進めておいて、決まり次第、事業に着手できるようにしたい」
「がれきは元々、誰かの思い出の品で、何らかの形で引き継ぎたかった。試験的だが第一歩を踏み出せた」


いみじくも井口市長が語っているように今なお決まっていない木質ガレキの扱い。
そのため言葉巧みに繰り出される法令突破口。

「流木」や「倒木」扱いにすることで焼却されずに活かされる木質ガレキ。
「流木」や「倒木」扱いにすることで「鎮守の森の長城」の土台を支える木質ガレキ。

それは単なる災害廃棄物ではなく、生活の一部だったもの。
それはそこに住む人たちの思い出がぎっしりと詰まったもの。

みんなでそれを「流木」や「倒木」と呼べばいいのだ。
もうこうなったら「棒」や「板」でもいいではないか。


<画像引用>

岩沼市:みんなでつくろう!「千年希望の丘」!! 
5月26日(土)に植樹祭を開催
http://www.city.iwanuma.miyagi.jp/documents/ssennennkibou.pdf


<関連記事>

★ [復興掲示板]
2012/05/10 東京読売新聞 朝刊

 ◆後世に残す がれき防潮丘 宮城・岩沼市 試験工事本格化 

 宮城県岩沼市は、土中にがれきを埋めた防潮丘「千年希望の丘」を津波浸水区域に整備する構想をまとめ、現在、試験的に小型の丘造りを進めている。がれき利用による環境影響調査を行うためで、26日に造成を終える予定。丘の上には約6000本の木が植えられる。

 構想は、高さ10~15メートル、直径120メートルほどの人工丘を数十個造り、丘の上に木を植えて防災林として津波の威力を抑えるというもの。がれきを利用することでがれき処理を進め、同時に震災の記憶を後世に語り継ぐメモリアルパークとしての役割を兼ねている。

 工事中の人工丘は、高さ約4メートル、広さ約2000平方メートルのほぼL字形。造成に必要な土4000立方メートルのうち、25%程度をコンクリート片や倒木、津波による堆積土で代替する。

 岩沼市によると、工事は4月下旬に始まり、9日は、細かく砕いたコンクリート片を敷き詰めた土台の上に倒木を敷き詰める作業が行われた。今後、この上に土をかぶせ、さらに倒木を敷き、土をかぶせる作業を繰り返すという。

 工事を視察した岩沼市の井口経明市長は「がれきは元々、誰かの思い出の品で、何らかの形で引き継ぎたかった。試験的だが第一歩を踏み出せた」と話した。


★ 江戸時代の避難用高台「命山」を視察 宮城県岩沼市長が袋井市初訪問
2012年4月24日
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20120424/CK2012042402000165.html

「先人の知恵」再評価

 袋井市が重点支援を続けている東日本大震災の被災地、宮城県岩沼市の井口経明市長が二十三日、袋井を初訪問した。原田英之市長に感謝を伝える一方、市内沿岸部を視察し、両市の地形を「相当似通っている」と指摘した。 (河野貴子)

 岩沼市議会がかつて袋井の視察に訪れたことがある縁で、原田市長は昨年四月に岩沼を訪れ、お見舞いをするとともに被災状況を視察。市をあげての物心両面での支援は今も続き、被災地で不足する技術職員を四月から一人派遣している。

 両市長は市役所で再会。井口市長は「被災後の非常に早い段階から支援物資を提供いただき、とてもありがたかった」と感謝した。原田市長は「岩沼の復興プロセスを、防災計画見直しや、避難施設の整備の参考にさせていただければ」と語った。

 このあと両市長は袋井市内沿岸部の大野、中新田に築かれた江戸時代の高台避難施設「命山(いのちやま)」を訪問。井口市長は、命山は「(沿岸部に小高い丘を築く)われわれの千年希望の丘と似ている。あらためて先人の知恵を見つめ直していかなくては」と述べた。

 両市はともになだらかな海岸線で、平たんな土地が続く地形。内陸五、六キロに達した岩沼の津波被害に危機感を持った袋井では、防災対策を講じる上で、岩沼の状況が参考となっている。岩沼の海岸線は九・九キロで、袋井の倍の長さがある。


★ 広葉樹で防潮強化 白砂青松の浜、変ぼうか /宮城県
2012/04/16 朝日新聞 朝刊

 東日本大震災の津波で被災した海岸防災林の再生に、従来のクロマツなどの針葉樹に加えて広葉樹を採り入れる計画が広がりつつある。「白砂青松」と言われた日本の浜辺の姿が、変わるかも知れない。

 ●「マツ単体より強く」 岩沼市が人工丘

 岩沼市では津波で297ヘクタールの海岸防災林が浸水し、クロマツやアカマツといった針葉樹の多くが根ごと抜け出る「根返り」や倒木の被害にあった。倒木が内陸に流れ、住宅などの被害を強めた。

 同市の海岸に近い防災林は国が復旧事業を行うが、それに加えて市は、津波に対する「多重防御策」として、より内陸にがれきを利用した人工的な丘を新たに造ることにしている。市の計画では、2017年度までに高さ15メートルほどの丘を80カ所造り、針葉樹に加え、広葉樹を植える。広葉樹は針葉樹よりも枝数が多く、葉っぱの面積が広いことから、津波そのものや、流失するがれきの威力を弱めるとされる。

 広葉樹を採り入れるのには、生態学者の宮脇昭・横浜国大名誉教授の考えを参考にした。宮脇氏と一緒に「いのちを守る森の防潮堤」推進東北協議会を立ち上げた仙台市の輪王寺住職日置道隆さん(50)は「自然の森のように様々な樹木が混ざって多層構造になることで、マツ単体の林より津波に強い防災林を造ることができる」と期待する。

 岩沼市は5月下旬に試験的に、海岸から約1キロの公園に高さ3~4メートルの丘を造ってヤマザクラなど広葉樹15~16種類を植栽する。井口経明市長は「広葉樹を使った公園は津波対策だけでなく、市民が楽しめる憩いの場になる」と話す。

 ●針葉樹の苗木が不足 県適正樹木調査

 広葉樹が津波に強いかどうかにかかわらず、震災前から、針葉樹の防災林を見直す動きは全国的にあった。針葉樹は塩害には強いが、マツクイムシによって枯れる被害が出ていたからだ。枯れれば、それだけで防災機能が落ちる。

 県内での見直しの動きは津波被害で加速している。

 林野庁の検討会によると、県沿岸の防災林はほぼ全域となる約1750ヘクタールが津波で浸水し、そのうち4割にあたる750ヘクタールで倒木などの被害が出た。県はいち早く防災林を復旧しようと広葉樹の利用も検討することにした。県内で育てている針葉樹の苗木では復旧に必要な本数が足りないためだ。

 そこで県は、どの広葉樹が防災林に適しているかを調査。3月にまとめた報告書では、県内の海岸近くに多く自生するコナラを推奨する。生態系を乱す心配もなく、2~3年で植栽できる高さまで成長するため最適だという。乾燥や塩害にも比較的強いヤマザクラなども適しているとしている。一方で塩害や砂浜の痩せた土地に適しているとして、クロマツやアカマツなどの針葉樹も引き続き利用する。

 県の担当者は「海岸近くではクロマツを活用しつつ、広葉樹をどうするか具体的に検討していきたい」と話す。(古庄暢)

 ■県が判定した「海岸防災林、この木がいい」

 <針葉樹>
 植物名       クロマツ    アカマツ
 根の深さ(樹齢35~55年)
          2~3メートル 3~4メートル
 やせた土地での生育 強い      強い
 塩害への強さ    強い      やや弱い
 乾燥への強さ    強い      強い
 県内の植生状況   多い      多い
 総合判定      最適      最適

 <広葉樹>
 植物名       コナラ   ヤマザクラ   ニセアカシア
 根の深さ(樹齢35~55年)
          3メートル 1~2メートル 1~2メートル
 やせた土地での生育 やや強い  やや弱い    強い
 塩害への強さ    やや弱い  やや強い    やや強い
 乾燥への強さ    強い    やや強い    強い
 県内の植生状況   多い    やや多い    外来種のため生態系を壊す恐れ
 総合判定      最適    適切      不適

 (出典:県森林整備課「海岸防災林に適した植栽樹種に関する調査報告書」などを参照)


★ 12年度予算・岩沼市
2012/04/05 建設通信新聞

《凡例》単位は100万円、(新)は新規事業。

【130%増の323億/集団移転促進に12億円】
 宮城県岩沼市の2012年度予算は、一般会計が前年度比130.5%増の323億9400万円。特別会計は6.8%増の96億5552万円で、総額は82.1%増の420億4952万円となる。普通建設事業費は0.5%増の14億9230万円で、一般会計に占める割合は4.6%。東日本大震災に伴う災害復旧事業費は22億4327万円で、同6.4%となっている。

 災害廃棄物処理費として157億9439万円を計上したほか、玉浦西地区の防災集団移転促進費12億0367万円、同災害公営住宅整備費3億8600万円などを盛り込んでいる。

 主な事業は次のとおり。

 ▽千年希望の丘整備=240▽自然共生・国際医療産業都市推進=218▽駅前市街地整備=452▽災害情報伝達・収集体制整備=18▽地域防災計画修正=11▽道路新設改良等=277▽朝日竹の里線道路改良=340▽浸水対策(吹上、空港南など)=32。


★ 「がれき防潮丘」試作へ 岩沼市 「千年希望の丘」構想=宮城
2012/03/17 東京読売新聞 朝刊

 ◆汚染懸念の一方、首相発言が後押し 

 岩沼市は16日、復興計画に掲げるがれきを再利用して防潮丘を造成する構想実現に向け、5月にも沿岸部の市立公園内にがれきを使った高さ約4メートルの小型の丘を試験的に造成する方針を決めた。

 同市は、津波への備えとして海岸堤防や道路をかさ上げして堤防化するほか、沿岸の津波浸水区域に高さ15メートル、直径120メートルほどの人工の丘を約80個並べ、その上に木を植えて防災林とし、津波の勢いを減衰させる「千年希望の丘」構想を掲げている。

 市の試算では、防潮丘を一つ造成するのに約4万5000立方メートルの土が必要となる。被災地では住宅地などのかさ上げでも土が必要となるため、大量の土の確保が課題となっている。

 市は、防潮丘の造成にがれきを活用することで、必要な土の量を大幅に削減できるだけでなく、大量のがれきを一度に処理することもできる。防潮丘の土台部分にコンクリート片を使い、木質がれきを土に混ぜ込むことで、土だけで造るより3割ほど土の量が少なくてすむという。

 これに対し、国と県は、木材やコンクリート片などが混ざったがれきを埋めることに強い難色を示していた。環境汚染の恐れがあることに加え、木材が土中で腐敗すると、メタンガスが発生したり、丘の強度が弱まったりする懸念があるためだ。

 構想が立ち往生する中、野田首相の発言で事態は動き出した。今月13日のがれき処理についての関係閣僚会議で、野田首相は「がれきを再生利用し、防潮林や避難のための高台を整備したい」と発言。市はこの機をとらえ、5月にも仙台空港南側の市立公園の敷地に高さ約4メートルの小型の丘を試験的に造成し、計画を前に進めることにした。

 井口経明市長は「木質のがれきの扱いはまだ最終決定していないが、今から準備を進めておいて、決まり次第、事業に着手できるようにしたい」と話す。


日経・文化往来:歴史の古い神社ほど東日本大震災の津波被害から免れ、多くが津波浸水の境界に立っていた――。
鎮守の森や屋敷森なども津波の破壊力を減衰させる効果が見られたという。
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/12/16/6246632

イオンさん、「鎮守の森」再生も忘れずに
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/03/09/

「がれきで鎮守の森を作りましょう、地元雇用も作りましょう」
動き始める宮脇昭「森の防波堤」プロジェクト
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/03/30/6394279

「鎮守の森の長城」が日本を救う
--動き始めた「みどりのきずな」再生プロジェクト
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/04/24/6423907

「鎮守の森の長城」を妨げるものたち
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/05/01/6430726

「鎮守の森の長城」で活かされる木質ガレキ、「流木」という名の法令突破口
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/05/03/6432774

NHKニュース「がれき 防災林の土台に活用へ」が示すお粗末な政府の広報活動
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/05/08/6439777

コメント

_ とおりすがりでYAS ― 2012/05/11 09:18

木質ガレキだと産廃扱い、流木だと森再生に使えるってのも不思議ですね。

一方で東工大の久保田名誉教授あたりは、可燃ガレキを燃やして電力を賄う傍らでガレキ処理を考案してますよね。

いうなれば、通常の産廃で処理してメリットのでるグループと、久保田さんの提案にのっかってメリットのでるグループと「鎮守の森」再生にかけるグループなどなどの思惑がからんでるんでしょうかね。

安全な原発は稼動させて、鎮守の森を再生して、日本の気温をさげたいですね。森が増えると、自然災害にも強くなるし、気温も下がりそうだから、省エネにもなりそうですしね。

_ 奔放な旅人 ― 2012/05/11 13:10

ガレキを廃棄物にするも資源にするも扱い次第。
何でお役所はその辺りを理解しないのでしょうね。
利権・既得権が絡むから?
そして、逃げ言葉として「前例が無い」と言うのが時折出ますが、「前例」と言うのなら、その原点つまり始まりがあるはず。
「前例」を言い出すのなら、これを「前例」にすれば良いだけ。
何で単純に考える事をもしないのか理解出来ません。
法律の下にあるのが法令ならば、その法律を作るのが国会の役割。
職務怠慢ですね、国会議員のセンセイ達は。
   利権・既得権 > 被災地の復興
この国の中央も鮮明に中国化、北朝鮮化してきたか!
やはりこの国には『救世主』が必用ですね。

_ Y-SONODA ― 2012/05/12 14:16

★とおりすがりでYASさんへ

>通常の産廃で処理してメリットのでるグループと、久保田さんの提案にのっかってメリットのでるグループと「鎮守の森」再生にかけるグループなどなどの思惑がからんでるんでしょうかね。

確かに利権が複雑に絡んでいるのは事実ではないかと。
それぞれの思惑をうまく利用しようとしているのですが、なかなかこれが難しい。
その間、処理は一向に進まず。
ここぞとばかりに野田さんがリーダーシップを発揮すればいいんですけどね。

★奔放な旅人さんへ

>「前例」を言い出すのなら、これを「前例」にすれば良いだけ。
何で単純に考える事をもしないのか理解出来ません。

お役所にも一応言い分があるんですよね。
木質ガレキを埋めて問題はないのかとか。
腐って陥没でもしたらどうするとか。
その工事費はどこが負担するんだとか。
まぁ大変ですわ。

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