藻の勘違いが日本を救う?――藻類が八百万パワーでセシウム除去、除染新技術実用段階へ ― 2012/04/06 19:36
森が生きてりゃなんとかなるさ。
海が生きてりゃなんとかなるさ。
私はそう信じている。
「自然界にはまだあまりにも謎が多い。そして、生命、生物、生物社会のからくりは、あまりにもうまくできすぎている」
=宮脇昭『鎮守の森』(新潮文庫)P126より
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セシウム9割近く除去も…藻に吸着させる新装置
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20120402-OYT1T01276.htm
理化学研究所(埼玉県和光市)と筑波大、慶大などの研究グループは水中の放射性セシウムを藻に吸着させて取り除く装置を開発した。
9割近くのセシウムを吸収した実験結果も得られており、東京電力福島第一原子力発電所事故で飛散した放射性物質の除染作業への活用が期待される。今月中に福島県内の水田で実証実験を始める。
新たに開発した装置は、藻を短時間で培養させるため、光を1メートル四方で厚さ約4センチの大型レンズで集め、光ファイバーを通じて送る。二酸化炭素も供給できるようにして藻の光合成を促し、セシウムの吸収量を増やす。1リットル当たり300ベクレルの汚染水3リットルを、円筒形の水槽に入れて実験したところ、3日間で9割近い放射性物質を取り除く成果があった。 (2012年4月4日07時50分 読売新聞)
藻類でセシウム除去 筑波大などが海などの除染技術確立へ
2012/03/19 電気新聞
藻類の力で放射性物質を回収――。筑波大学などの研究チームは海水や淡水中に放出された放射性物質を除去するため、太陽光を用いた藻類成長プラントの開発を進めている。カリウムと間違ってセシウムを体内に取り込む植物プランクトンの性質を利用し、ため池や海、湖、水田などの放射性物質を除染する技術の確立を目指す。実験では除去能力の高い藻類を14日間培養し、水中のセシウムを7割程度除去することに成功した。セシウムを取り込んだ藻はフィルターで捕集し、焼却処理を施す。
◆海などの除染技術確立へ
研究開発においては、筑波大学と水産総合研究センターが放射性物質の除去に適した藻類の選定や、培養技術開発を手掛ける。効率的な太陽光集光システムの検討など、藻類成長プラントの技術開発は理化学研究所と慶應義塾大学が担当している。
旧ソ連・チェルノブイリ原子力発電所事故の周辺地域ではヒマワリ栽培により土壌中のセシウムを吸収する「ファイトレメディエーション」が成果を挙げたが、今回は同様の仕組みを水中に適用する。
筑波大学などは放射性物質を添加した培養液を用いて189種類の藻類や植物を培養し、放射性物質の除去率を検定。セシウム137を40%以上除去する藻類3株などを明らかにした。
この検定結果を総括し、3核種に対して除去能力を持つ藻類を藻類プラントの培養対象種に選抜した。
理化学研究所は太陽光を効率的に集光する「フレネルレンズ」を開発。慶應義塾大学は、集光システムで集めた太陽光を光ファイバーで藻類成長プラント内に伝送する藻類成長プラントの試作機を開発した。これらの技術を駆使することで、自然光を取り込むことが困難な環境下においても安定的な藻類培養が可能となる。
セシウムを取り込んだ藻類はフィルターで回収し、焼却処理により廃棄物をコンパクト化する。同技術はため池や湖、水田の汚染水除染への活用が考えられるという。
今後は大容量のプールなどで実証実験を行い、「汚染水の中で藻類を育て、フィルターで回収して焼却処理するだけという低コストでの除染技術の確立を目指す」(筑波大学)方針だ。
除染新技術実用段階に、理研、藻育て放射性物質吸収、産総研、ナノ粒子で焼却灰処理。
2012/03/12 日本経済新聞 朝刊
東京電力福島第1原子力発電所事故で出た放射性物質による土壌や河川の汚染を除去する新技術が、相次ぎ実用段階に入った。理化学研究所などは水中の放射性セシウムを藻に吸着させ、濃度を約10分の1程度に減らせる装置を試作。産業技術総合研究所などは焼却灰からセシウムを99%以上除去できる吸着材を開発した。今後、本格化する除染活動に役立ちそうだ。
理研と慶応大学、筑波大学は共同で、水田や池の放射性物質を藻を使って除去する浄化システムを試作した。1メートル四方の正方形で特殊な表面加工を施した厚さ約4センチメートルの大型レンズで太陽光を集光。汚染水と藻を入れたガラス管に光ファイバーで光を送り、藻を成長させながら除染する。
国内の約200種類の藻から、放射性物質をよく吸収する褐藻類などを選んだ。汚染濃度が1リットル当たり100ベクレルの水3リットルで実験。2~3日で8~9割の放射性物質を取り除けた。
水田などではまずセシウムを泥からはがす必要がある。窒素肥料などを加え弱アルカリ性にする方法があるという。藻と光ファイバーを大型水槽入れるなどしてポンプで水を通して除染する。藻は回収し乾燥すれば体積が減り、鉱物のゼオライトに吸着させる従来法などに比べ処理しやすい。
4月から福島県内の水田や池の広い面積で実証実験を始める計画。「太陽光や藻などに経費がかからず大規模な水浄化が可能」(理研の和田智之ユニットリーダー)
放射性物質を含む焼却灰の処理技術も進む。産総研などは青色顔料の一種、プルシアンブルーの直径10ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の微細粒子を使った吸着材を開発。樹木など植物の焼却灰に水を通し、溶け出したセシウムを99%以上除去できるのを確認した。ゼオライトの約67~1400倍の吸着性能を示した。
都市ごみ焼却灰を水で洗浄し、セシウムが溶出した汚染水に新吸着材を加えて混ぜる実験では検出限界の1キログラム当たり10ベクレル以下に減らせた。下水汚泥の焼却灰を除染する容量20リットルのミニプラントも製作した。今月中に性能を確認する予定だ。
高度情報科学技術研究機構はスーパーコンピューター「地球シミュレータ」を使い、先端材料が放射性セシウムを効率よく吸着することを見つけた。直径0・6ナノメートルの筒状炭素分子カーボンナノチューブの表面に、セシウム原子が3個ずつ集まって吸着するという。吸着後に約700度で焼却すると、二酸化炭素と酸化セシウムの灰が発生。灰だけを回収する。
福島で放射性物質浄化、カネカや北里研が事業化。
2011/11/03 日本経済新聞 朝刊
カネカや北里研究所(東京・港)などの産学グループは、藻類を活用した放射性物質の浄化技術を事業化する。汚染土や住宅を低料金で効率よく除染できる技術として自治体などにアピールし、11月下旬から福島県内の汚染地域で事業を始める。東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴う汚染土の処理に産学の技術やノウハウを生かす。
事業には造船大手のツネイシホールディングス(広島県福山市)や東京海上ホールディングス、東邦大学など11の企業や研究機関が参加。3日に福島県伊達市の住宅団地で住民や行政向け説明会を開き、除染が必要な地域で事業を始める。
浄化技術は日本バイオマス研究所(千葉県柏市)が発見した藻類「バイノス」を活用する。北里研究所などによると、セシウムやヨウ素など約20種類の放射性物質を細胞に取り込む性質があり、放射性物質の吸着材として使われるゼオライトに比べ最大20倍程度の浄化能力を持つことが分かっている。
除染にはバイノスを含むゲル状の薬剤を土壌や住宅の壁に塗布して乾いた後にはがす手法や、大量の汚染土を洗浄できるジェットポンプとバイノスを組み合わせた専用装置を使う。カネカがバイノスを培養し、ツネイシの子会社などが設備や機材を供給。東京海上のグループ会社が放射線のモニタリングなどを通じて効果を確認する。
株式会社バイノス
http://www.binoscorp.com/
バイノスについて
http://www.binoscorp.com/binos.html
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