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「危機管理に絶対に必要なのは悲観的な想像力だ」--ならば消費税増税と原発再稼働は避けられない2012/03/27 08:00

「危機管理に絶対に必要なのは悲観的な想像力だ」--ならば消費税増税と原発再稼働は避けられない


「危機管理に絶対に必要なのは悲観的な想像力だ」
こう語ったのは佐々淳行元内閣安全保障室長。

それでは悲観的な想像力を働かせて直近リスクを大雑把に並べてみよう。


▼日本に重大な影響を及ぼしそうな海外リスク

1、中国の軍備増強
2、北朝鮮のミサイル
3、イラン情勢とホルムズ海峡封鎖
4、欧州債務危機
5、中国経済の急減速とそれに伴う中国国内の混乱 

▼日本に重大な影響を及ぼしそうな国内リスク

6、欧州債務危機の日本への飛び火
7、電力供給問題
8、産業空洞化と雇用喪失


こうしたリスクから日本を守るためのファイアウオール(防火壁)が必要。
それでは今できることは何か。

6への対策として消費税増税。
3、7、8への対策として原発再稼働。

危機管理上から見ても消費税増税と原発再稼働は避けられない。
とはいえ運良く危機が回避された場合のことも想定したシナリオも準備。


まずは消費税増税。道筋だけはつけておくべきだろう。
そして、状況に応じて停止もしくは延期できるように景気弾力条項を活用する。

それでもこんな反論が聞こえてきそうだ。

「日本国債の9割以上が国内で消化されているのでまだまだ大丈夫」
「ヘッジファンドによる日本国債への攻撃がことごとく失敗してきたではないか」

では、これからも大丈夫と言い切れるのだろうか。
福島原発事故の教訓から想定外に備える必要はないのか。

今現在のリスクは消費税増税法案が廃案になること。
その時は日本国債が格下げになり、長期金利上昇を招く可能性も。
そうならないことを祈るしかないような状況が続いている。


次に原発再稼働。安全が確認できたものから速やかに再稼働。
脱原発の方向性は正しい。しかし、脱原発にはまだまだ時間がかかる。

ホルムズ海峡封鎖という最悪の事態が回避できたとしても国富流出は止まらない。
原発の長期停止で貿易赤字が定着するようなことだけは避けたい。

ここでも反論が当然出てくる。
「ドアホ! 原発そのものが危機の源だ、バカヤロー」などなど。

そう言いたい気持ちはわかるのだが、目の前にある現実は変わらない。

今の技術水準では20年はかかるであろう脱原発を10年で成し遂げる。
さらに努力して5年で成し遂げる。

そんな前向き発想への転換こそが大事。


最後に民主党政権というリスクにも言及。

野田首相は危機管理の重要性を理解。
そのため消費税増税と原発再稼働を着々と進めようとする。

しかし、消費税増税同様に原発再稼働も民主党内から反発が出てくる可能性も。
よって、民主党左派の存在そのものが最大リスクに浮上。
民主党左派は危機管理という視点そのものが欠落している。

「ここで決断し、政治を前進させることができなければ野田内閣の存在意義はない」
こう語ったのは野田首相。

「首相が不退転の覚悟で望むのならば決別も辞さずということが必要なのではないか」
野田首相に対してこう迫ったのは自民党の谷垣禎一総裁。

不退転の決意で、政治生命を懸けて、命を懸けて、守るべきは国なのか、党なのか。
党を守りつつ国を守る手立てはないものか。

野田首相の苦悩はここにある。
日本が抱える最大のリスクがここにある。

今言えること。
それは消費税増税と原発再稼働が日本の分水嶺になる可能性は否定できない。


<関連記事>

「危機管理に絶対に必要なのは悲観的な想像力だ」
=佐々淳行元内閣安全保障室長 
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201203/2012030200726


「欧州債務危機を踏まえると、どういうきっかけで投資家に売りを浴びせられるかわからない。日本の消費税引き上げが反故になるようなことがあれば、そのタイミングで投資家が仕掛けてくるか知れない。その場合、日銀が国債をさらに買うことになるが、それで相場が維持できるかはわからない」
=立教大学の田谷禎三・特任教授(元日銀審議委員)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE82P04J20120326?sp=true


「欧州問題が落ち着けば、市場の次の関心は日本に向かう。危機が始まる前に行動を起こすべきだ」
=シカゴ大学教授でニューヨーク連銀の経済諮問委員会委員を務めるアニール・カシャップ氏
http://jp.reuters.com/article/jpopinion/idJPTYE82L01N20120322?sp=true


コラム:消費税問題は日本の分水嶺、廃案ならトリプル安も
2012年 03月 26日 19:52 JST
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE82P03V20120326?sp=true


【東電 全原発停止】日本経済に深刻な影響 産業空洞化に拍車
2012.3.25 21:35
全原発を火力発電で補えば、原油や液化天然ガス(LNG)などの輸入にかかる費用が年間3兆円増え、「それだけの国富が海外に流出する」(経済産業省幹部)。イランがホルムズ海峡の閉鎖に踏み切れば、深刻さが更に増すのは明らかだ。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120325/trd12032521360017-n1.htm


高まる「夏の電力不足」リスク、原子力規制改革の遅れで危機増大
2012年 03月 26日 21:24 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE82P00120120326?sp=true


麻生太郎氏と安倍晋三氏 原発再稼働に頼らざる得ないと意見
2012.03.25 07:00
http://www.news-postseven.com/archives/20120325_96610.html

 民主党政権の体たらくは、自民党時代よりひどいといわざるを得ない。第90代、第92代の内閣総理大臣をつとめた安倍晋三、麻生太郎の両氏は、「今の民主党は政権党の体をなしていない」と怒り心頭だ。政治ジャーナリストの藤本順一氏が司会を務めた対談では、原発の再稼働についても言及された。

――原発の再稼働についてはどう考えるか。

安倍:勇気を持って、動かすことのできる原子力発電所については稼働するという決断が求められていると思います。今後、イランに対する制裁がより厳しくなれば、日本は1割近い原油輸入先を失うと同時に、原油価格はさらに上がる。万が一ホルムズ海峡の航行がうまくいかなくなれば、原油輸入量の9割近くが影響を受けます。

 今、日本はガスも国際価格より高く買わなければならないのが現状です。立場を強くするためにも代替エネルギーを増やしていくことが必要ですが、再生可能エネルギーはまだまだ時間がかかる。まずは現実的なエネルギーである原発を再稼働させていくことです。

麻生:太陽光とか風力とかいった話ばかりするけど、太陽光発電の稼働率って10数%ですよ。風力発電にしても、あの巨大な風車の耐用年数はどれくらいなのか。しかも、海上での補修は容易ではない。やっぱり現実を見れば原子力発電にも頼るしかない。発送電分離とか東電の国有化というのも、そう簡単じゃない。アメリカは発送電分離して大規模停電が増えた。もっと現実の話をしないと。

※週刊ポスト2012年3月30日号


<画像引用>

- 和歌山県 那智勝浦町 - やたがらす(八咫烏)
http://www.town.nachikatsuura.wakayama.jp/forms/info/info.aspx?info_id=9487