中国「真珠の首飾り」南へ、アフリカ東部進出に米印警戒(日経より) ― 2012/01/31 09:47
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中国、アフリカ東部進出、資源輸送拠点確保へ港開発、インド洋南進に米印警戒
2012/01/31 日本経済新聞 朝刊 8ページ
西部を中心にアフリカ資源の権益獲得に動いていた中国が、インド洋に面した東部への進出姿勢もみせ始めた。内陸の天然資源を輸送する拠点としてケニアやモザンビークの港湾開発に着手。パキスタンやミャンマーなどインド洋で「真珠の首飾り」と呼ぶ沿岸国の港に加え新たな足場確保を狙う思惑もうかがえ、米国やインドと駆け引きが激化する可能性もある。
中国が注目するのはケニアのラム、モザンビークのベイラ、タンザニアのダルエスサラームの3港。隣国の原油や銅、鉄鉱石などの搬出拠点とする目的で中国企業が開発に名乗りを上げた。
●背景にスーダン情勢 アフリカ東部は天然資源に乏しい。中国の投資はもっぱら中部のアンゴラや西部のナイジェリア、北部のスーダン、アルジェリアなど産油国に向いていた。今、東部進出に動くのはなぜか。
最大の要因はスーダン情勢の変化だ。昨年の南北分断後、油田の8割を獲得した南部と、唯一の港を持つ北部が原油収入の分配で決裂し、原油生産が停止。ケニア経由の代替搬出ルートが必要になった。インド洋に直結するアフリカ東部の港を使えば、輸送ルートが海賊被害の多発するアデン湾を回避できる。
●日本にも商機 港湾開発は日本企業に商機を開く可能性もある。日本の商社やゼネコン14社は昨年10月に南北スーダンとケニアを視察、ラム港開発の説明を受けた。
だが、中国が開発に乗り出したアフリカ東部の港湾のうちケニアやタンザニアは旧英領で、英海軍が拠点を置いた海上交通の要衝。中国の動きには安全保障戦略上の思惑も色濃く感じとれる。
●「首飾り」南へ 中国はエネルギーの輸送路シーレーンのインド洋沿岸に、インドを東西から挟む形で拠点港を確保。米軍は「真珠の首飾り」と呼んで警戒する。これにアフリカ3港が加われば「首飾り」は南へ伸び、同洋で存在感が一段と増すのは確実だ。
インド洋は世界で最も海上輸送が盛んな海路の一つで、西端のホルムズ海峡は世界の原油輸送の40%が通過。東端のマラッカ海峡は世界の商業輸送の50%が経由する。それだけに米軍がディエゴガルシア島に一大拠点を設けるなど主要国は安全保障面でも重視してきた。東シナ海と南シナ海に続きインド洋進出も加速する中国の動きには独自のシーレーン防衛の思惑も読み取れ、米印両国などは警戒を強めそうだ。(北京=森安健)
エチオピアを訪問した中国の賈慶林・全国政治協商会議主席は29日、アフリカ連合(AU)首脳会議に出席し、AUに今後3年間で6億元(約73億円)の無償援助を表明した。「アフリカ諸国は中国経済発展のための有力な支持を提供している」とも述べ、連携強化の姿勢を示した。中国の国営新華社が30日伝えた。
イラン情勢の緊迫で資源の代替調達先としてアフリカの重要性が増大。同会議には、胡錦濤国家主席が「手を取りあって戦略的関係を高めたい」と祝電を送った。
共産党政治局常務委員で党内序列4位の賈氏は指導部で初めて同会議に参加。各国に経済援助の継続を伝え、スーダンとは対中原油供給の拡大も確認した。ただアフリカ側では急増した中国人労働者に「富を横取りしている」と反感も出ている。(北京=島田学)
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