市場に弄ばれる総選挙--長期金利バロメーターは「暴走モード突入」か ― 2012/01/28 09:08
消費税増税をめぐり年内の衆院の解散・総選挙もあり得る展開。
その場合の注目は市場の動向。
市場に弄ばれる総選挙として歴史に刻まれることになるだろう。
世論調査の動きに合わせて振れる長期金利バロメーター。
消費税増税反対派が勢いを見せれば、国債は売られ長期金利上昇局面も。
「野田首相が法案成立に失敗すれば、市場にかなり大きなインパクトを与えることになる」--ブルームバーグとのインタビューでこう語ったのは岩田一政日本銀行元副総裁。
岩田氏は国債金利が3倍以上に跳ね上がった過去の例を挙げる。
その上で市場に並外れた衝撃が走る可能性を排除できないと指摘。
3倍以上に跳ね上がる長期金利バロメーターの「暴走モード突入」はあるのか。
日本の借金規模を考慮すれば、10年物国債利回りが3%にまで上昇でもうパニック。
もしもそうなった時の消費税反対派の反応が楽しみ。
「市場が悪い。投機筋が悪い。ヘッジファンドが悪い」と空騒ぎ。
叫んだところで何も変わらない。
市場も納得の説得力あるアイデアを示せるとも思えない。
市場からボコボコにされる消費税増税反対派。
そんなことも想定していない間抜けな消費税増税反対派議員たち。
とはいえ消費税増税を行えば市場は納得するのか。
それほど単純だとは到底思えない。
そこに見えるは消費税増税推進派のセカンド・インパクト。
米ハーバード大学のアルベルト・アレシナ教授はこう指摘する。
「増税(歳入増加)ではなく歳出削減に重点を置いたほうが成功する見込みが高い」と。さらに「国民の十分な理解がなければ、ギリシャのようにデモ連発で経済は麻痺する」と。
消費税増税には反対せず、その前の徹底的な歳出削減実施を訴える。
「消費税増税よりも先にやることがあるだろう」はお利口さん。
もうすでに消費税反対派のレッテルを貼られている政治家はお馬鹿さん。
市場参加の総選挙で試される政治家のセンスと力量。
役に立たない政治家をふるい落とす結果になればいいではないか。
<関連記事>
「消費税国会」にはらむ国債金利上昇リスク、自民は解散要求 (2)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LYEYN21A1I4I01.html
1月27日(ブルームバーグ):今国会で最大の焦点となっている消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革は、野党側が野田佳彦首相の呼び掛ける法案提出前の与野党協議を拒否していることで入口から立ち往生している。民主党内に反対派が存在していることや自民党が早期解散を要求するなど政局含みの展開になっており、法案が成立しなければ国債金利の上昇などのリスクをはらんでいる。
「野田政権のとるべき道は、有権者に謝罪をした上で、解散総選挙を行い、国民に信を問い直すしかない」-。自民党の谷垣禎一総裁は26日の衆院本会議での代表質問で、民主党が2009年の衆院選マニフェスト(政権公約)に消費税増税を明記しなかったのは「公約違反」として早期の衆院解散を求めた。
政府・民主党は6日の社会保障改革本部で、消費税率(現行5%)を2014年4月から8%、15年10月から10%に段階的に引き上げることを柱とする社会保障・税一体改革素案を正式決定。3月に関連法案を国会提出する計画だが、野党側は法案提出前の事前協議を拒否しているほか、民主党内にも反対派を抱え、法案成立のめどは立っていない。
岩田一政日本銀行元副総裁は25日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで、「野田首相が法案成立に失敗すれば、市場にかなり大きなインパクトを与えることになる」と警鐘を鳴らす。岩田氏は1998年10月から99年2月、2003年6月から9月にかけての2回、国債金利が3倍以上に跳ね上がった例を挙げ、市場に並外れた衝撃が走る可能性を排除できないという。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の320回債利回りは27日、前日比0.5ベーシスポイント(bp)低い0.97%で始まり、直後に1bp低い0.965%と18日以来の低水準を付けた。その後は0.965-0.97%で一進一退となり、午後2時前からは0.965%で取引されている。
試算
財務省が試算した2015年度までの財政見通しによると、一体改革が実現できなければ、同年度に新規国債発行額に相当する財源不足が50.8兆円に上る。基礎年金の国庫負担割合引き上げに伴う歳出を加えれば、財源不足は14年度に51.9兆円と50兆円台を超え、15年度には53.6兆円となる。試算は名目成長率を1%台半ば、金利(10年国債)を2%に設定している。
一方で、一体改革による消費増税に踏み切ったとしても、財源不足は14年度に45.3兆円、15年度には45.4兆円と徐々に拡大。税収は15年度に52.8兆円と50兆円台を上回るが、社会保障関係費や国債費の増加によって歳出が100兆円を超える。14年度までの財政運営戦略をまとめた政府の「中期財政フレーム」に基づいた新規国債発行額の44兆円枠の維持は困難な状況だ。
増税反対派
消費税率の10%への引き上げは、もともとは2010年の参院選で自民党が公約に明記した。公約作成に関わった自民党の野田毅税制調査会長は、政府・与党の一体改革素案に盛り込まれている消費税の増税幅については「そのこと自体はノーとは言いにくい」と指摘するが、それでも政策協議のテーブルにつけない理由として小沢一郎元代表ら民主党内の増税反対派の存在を挙げる。
消費税増税に反対していた内山晃衆院議員らは昨年12月に民主党を離れ、「新党きづな」を結成。共同通信によると、小沢氏は22日、北海道釧路市の会合で、消費税増税は09年の衆院選で掲げた約束と違う、と反対の考えを強調している。内山氏は27日、衆院本会議での代表質問で現段階での消費増税について「デフレ経済下での増税は恐慌のトリガーを引く大変危険な施策だ」と指摘した。
野田毅氏は民主党内の対立を解消できないままで野党側に協議を呼び掛ける首相側の姿勢について「消費税を上げる第一義的責任を持つのは政府・与党なのに、真っ二つになっている時に、なぜ野党に丸ごと賛成しろということになるのか」と疑問を投げ掛ける。
最悪のケース
同氏は「最悪のケースは与党内が割れたままで採決で賛否が分かれること」と指摘。与党側から大量造反が出れば、「僕らが協力しても衆院で通らない。与党の中の一人、二人の反対ではないから、割れたままでは逆立ちしたって通らない」と述べ、衆院通過も困難になるとの見方を示した。
自民党の山本一太前参院政審会長は12日のインタビューで、首相の政治姿勢について「党内に100人以上いる反対派をまとめる自信がないから、素案の段階で事前に協議をして自民党の中の増税賛成派を巻き込んで、民主党内の反対派を抑えようという極めて姑息な計略で消費税問題に向き合うというそのひきょうさが許せない」と批判する。
消費税増税をめぐる政治の混乱が日本の信用をリスクにさらす可能性は高まっている。実際、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の信用アナリスト、小川隆平氏(シンガポール在勤)は昨年11月24日のインタビューで、野田政権下で財政健全化が進まなければ状況は悪化の一途をたどると発言。日本国債のさらなる格下げが近づいている可能性があると語っている。
ネガティブ
同社は昨年1月から日本の外貨・自国通貨建ての長期国債格付けを最上位から3番目の「ダブルA」から、「ダブルAマイナス」に1段階格下げしたと発表。長期国債格付けの見通しは「安定的」としていたが、同年4月には「ネガティブ」に変更した。
自民党内でも財政再建派とされる野田毅氏は「危険水域に入っている。僕らも今の首相以上に焦りを覚えている」と指摘。茂木敏充政調会長は22日の党大会での政策報告で、政府・与党に対し、「1日も早く税制改革法案を閣議決定して国会に提出してほしい。議論、協議は徹底的に行うが、裏取引や談合はしない」と述べ、法案提出後は国会で議論する方針を示している。
これに対し、自民党はあくまでも対決姿勢を貫くべきだと主張するのは山本氏。「絶対に突破口はない。総選挙をやって民意のもとで政権をつくり直してやらない限り、消費税増税はできない」と明言。消費税増税法案が成立しなかった場合の国債市場に与えるリスクを聞くと、「負のインパクトは気になるが、法案に賛成すべきではない」と言い切った。
鳥瞰・虫瞰・アレシナ教授=「増税(歳入増加)ではなく歳出削減に重点を」
りそな銀行・エコノミスト・ストラテジスト・レポートより
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/01/18/6296371
<画像引用>
CR新世紀エヴァンゲリオン セカンドインパクト 暴走大当たり.MOV
http://www.youtube.com/watch?v=K7yCnVneHsg&feature=related
特会の闇、根拠なき積立金142兆円の行方 ― 2012/01/28 10:07
<関連記事>
特会積立金の必要規模不明 18資金、142兆円
2012.01.19 共同通信
2010年度末時点で年金などの特別会計(特会)にある積立金のうち、29の資金(残高約172兆円)を会計検査院が調べたところ、18資金(同142兆円)は必要な規模が具体的に示されていないため、残高が適正かどうかを判断できない状態にあることが19日、分かった。検査院が同日、調査を要請した参議院に報告した。
一般会計に繰り入れ可能な“埋蔵金”がまだ残っているとの見方もあり、専門家からは「明確な根拠がない積立金は東日本大震災の復興などに活用すべきだ」との声も出ている。
検査院は「積立額が過大なら、一般会計への繰り入れや保険料の引き下げを検討できる。説明責任が果たされていない」と指摘した。
検査院によると、残高のうち、113兆円余を占める年金特会厚生年金勘定と約7兆4千億円の国民年金勘定の積立金は、いずれも必要規模を「100年程度の期間に年金の給付に支障が生じないようにするため必要な額」とするだけで、具体的に示していない。
国債償還の財源になる国債整理基金特会の積立金は、残高約13兆7千億円。雇用保険事業を扱う労働保険特会雇用勘定は、二つある積立金の残高が計約5兆7千億円に上る。三つの資金とも必要規模や水準について明示していない。
厚生労働省は「雇用保険の給付金や助成金の支出額は経済情勢により大きく変動するので、規模を示すのは難しい」と説明。財務省は、国債の市況や入札状況が変わるため基準を示すのは困難としながらも、10年10月の事業仕分けを踏まえ、国債整理基金特会の積立金を12年度末で9兆円台に減らす。
外国為替資金特会など六つの積立金は、必要額や上限額を具体的に明示。この中でエネルギー対策特会の周辺地域整備資金については、検査院は11年10月、使う見込みがない657億円を減額できると指摘した。
会計検査院:「特別会計改革の実施状況等に関する会計検査の結果について」
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/24/pdf/240119_zenbun_2.pdf
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