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「国家資本主義」に潜む闇、中国の金融システムをほじくり始めたIMF2011/11/16 07:57

「国家資本主義」に潜む闇、中国の金融システムをほじくり始めたIMF


昨日、中国がTPP交渉に参加する可能性を取り上げ、「中国に見合ったルールへの修正を迫りながら、中国経済の改革を促すという思惑があればお見事」と指摘。

日本には反米感情が行き過ぎて、中国を過大評価する人が大勢。しかし、その実態はとてもとても盤石とは言えない。特に中国経済は問題山積み。だからこそ、TPPを利用して経済改革を促す方法を中国に提案。

早速、中国の金融システムをほじくり始めたのがIMF。注目浴びる地方政府債務問題にも言及。不動産バブルが崩れれば、地方政府の金融部門が「深刻」なダメージを受ける恐れがあると警告。すでに市場では中国の不動産バブル崩壊が始まっているとの見方が多数となる中でどうなることやら。

中国経済の減速は誰もが認めている。減速を前提にソフトランディングかハードランディングで見方が割れているだけ。国家資本主義の強みを生かし、粉飾も駆使して、ソフトランディングに向かうとは見ているものの、気になるのは欧州債務危機の影響。

中国最大の輸出先である欧州向けの伸びが一段と鈍化。欧州の景気後退で中国の輸出環境は厳しさを増すとの見方が優勢。

「欧州の次はどこだ。米国か、日本か。否、中国が米国と日本を追い抜いて欧州の次に浮上か」

2012年はそんな声も聞こえてくる年になりそうだ。


<関連記事引用>

▼中国の銀行、資産劣化の恐れ IMFが報告書で警鐘
2011/11/15 12:00
http://s.nikkei.com/vztzIi

 【ワシントン=矢沢俊樹】国際通貨基金(IMF)は14日、中国の金融制度について、金利や為替相場、銀行監督などを含む広範な改革を急ぐよう求める評価報告書を初めて公表した。地方政府向け与信の大きな伸びなどを背景に銀行の資産内容が劣化する恐れが強いと指摘。金融システムの健全性に警鐘を鳴らした。

 報告書は「中国金融セクターは複数の短期リスクに直面している」と指摘。銀行ローンの質の劣化や欧州債務不安による連鎖的な影響、さらに住宅など不動産バブル崩壊の懸念などを挙げた。

 具体的な改革として、政策の国家目標達成のために金融機関を活用する現状を改めるとともに、与信判断にあたって事業採算など市場原理を基準にするよう要請。預金者保護や遅れている法的枠組みの整備、定期的な資産査定の導入なども求めた。

 一方、中国の為替介入で通貨人民元が割安に誘導されている結果、将来の人民元高を期待した海外からの資本流入が一段と加速する恐れが高いとも説明。為替市場改革とともに、市場における短期金利操作を重視した金融政策への転換を訴えている。

 大幅な貸し出し増加が、金融システムの健全性を損なうリスクにも言及。海外からの資本流入などによる余剰資金が生産性の低い投資に振り向けられる一方、不動産や株のバブルを引き起こし、銀行の収益力と財務毀損の潜在リスクが高まっていると指摘した。

 特に問題視しているのは地方政府向け融資の増加だ。2010年6月末時点で融資額は推計7.7兆元と国内総生産(GDP)の2割強相当に上るなど伸びが大きい。銀行が抱える地方向け簿外取引も増えているという。不動産バブルが崩れれば、地方政府の金融部門が「深刻」なダメージを受ける恐れがあるとした。

 IMFの資産査定(ストレステスト)では、中国の成長率が4%程度に減速する悲観シナリオで、一部銀行の自己資本比率が国際統一基準の8%を割り込むという。

 IMFはリーマン・ショック後の金融危機を踏まえ世界的な金融システムに影響を及ぼす国を対象に監視機能を強化する方針を決定。今回の対中報告書策定もその一環。


▼中国は金融システム改革を=バブルの危険性に警鐘-IMF
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011111500381

 【北京時事】国際通貨基金(IMF)は15日、中国の金融システム安定性評価書を初公表した。IMFはその中で「金融システムは健全だが、もろさも増しており、一段の改革が必要」と強調した。

 IMFは、高貯蓄や豊富な流動性をもたらす経済構造が、不適切な資本配分や不動産などのバブルの危険性を招いていると警告。与信の急拡大と質の悪化、ヤミ金市場や簿外債務の拡大、不動産価格の下落や世界経済の不安定さなどをリスクとして挙げた。

 改革策としては、(1)金融サービスの多様化を図り、銀行間の健全な競争を促す(2)政府の役割を縮小し、政策目標の達成のために銀行システムを利用するのをやめる(3)金融政策の主眼を行政指導から金利調節に改める(4)決済システムの強化や消費者保護、法制度の整備など金融インフラの拡充に努める-ことなどを提言した。(2011/11/15-12:09)


▼IMF:中国は銀行の監督強化を、簿外融資のリスク増大-報告書(2)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=auLHS5kLvcIQ

11月15日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は中国の銀行の簿外融資と不動産価格急騰に絡んだリスクが増大しているとして、中国に対し銀行の監督強化を求めた。

IMFは15日公表した中国金融システムに関する初の公式評価となる報告書で、「中国は現在進めている改革とその財政の力強さにもかかわらず、金融セクターで脆弱(ぜいじゃく)性が着実に増している」と分析。銀行は最新のリスク管理システムを導入する必要があるほか、中国中銀と規制当局は熟練した人材を増やすべきであり、より厳しい開示基準の適用が求められると指摘した。

報告書は、国内大手銀17行のストレステスト(健全性審査)の結果、各行が不動産不況などの単発的なショックに対しては回復力があることが判明したが、複数の問題が同時に起きた場合、金融システムに「深刻な影響が出る」との見解を示した。また、中期的には政府主導の信用配分モデルによって「偶発債務」が積み上がりつつあり、成長を阻害する恐れがあると警告した。

IMFの報告書は、中国の成長鈍化と不動産市場の冷え込みをきっかけに不良債権が急増しかねないという懸念を浮き彫りにするものだ。MSCI中国金融株指数は年初来で23%下げ、中国株の指標である上海総合指数の10%を上回る下落率となっている。

報告書はまた、中国が政策金利の設定の仕方を抜本的に見直す必要があり、金融システムのリスク抑制のため人民元のより自由な取引を容認すべきだと提言。「現在の金融政策の配置は、高い貯蓄と流動性、不適切な資本配分と不動産を中心とする資産バブルのリスクを助長する。こうした歪みのコストがやがて拡大し、マクロ金融リスクを増大させる」との懸念を示した。


▼中国の銀行、システミックなリスクに直面する恐れ=IMF
2011年 11月 15日 14:15 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-24172420111115

 [北京 15日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は15日、中国の大手商業銀行は信用、不動産、通貨、イールドカーブに関する単独のリスクは克服できるが、それらが重なり合った場合、システミックなリスクに直面する恐れがあると警告するリポートを発表した。

 ただ、政府が投資家や商業銀行、人民銀行(中央銀行)に対する規制を緩和し、市場の自由化を進めれば、それらのリスクを抑えることができる、との認識を示した。

 IMFは、差し迫った危機を予測しているわけではないとしながらも、資産バブルによって安定が損なわれやすい状況にあるため迅速な対応が必要だと指摘、「現在の政策は高い貯蓄率、構造的に高い流動性、不適切な資産配分を招くリスク、特に不動産市場における資産バブルをもたらしている」と述べた。

 このリポートは、中国の銀行システムの83%に相当する17行を対象に、人民銀行および中国の銀行監督と共同で実施したストレステスト(健全性審査)に基づき、6月にまとめられた。

 それによると、中国の国内総生産(GDP)成長率が1%ポイント低下するたびに、銀行の不良資産比率は少なくとも1%ポイント上昇する。

 銀行が一連のショックに見舞われる深刻なシナリオの下では、資産ベースで約5分の1の銀行で、自己資本比率が最低基準の8%を割り込むという。

 IMFによると、深刻なシナリオとは、GDP成長率が4%、M2の伸び率が10%前後、不動産価格が26%下落、預金および貸出金利が0.95%ポイント変動するケースを想定している。


▼中国の地方政府債務、監査機関の試算大幅に上回る規模-経済観察報
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=aItPaS5yX96A

11月14日(ブルームバーグ):中国の地方政府債務は、省や市、県などより下位の行政単位である郷などを含めると、中国国務院の審計署(会計検査院に相当)が示した数値を3兆元(約36兆5000億円)近く上回る可能性がある。中国の週刊紙、経済観察報が独立機関からの調査報告書を引用して伝えた。

12日付の同紙オンライン版に掲載された調査報告書によると、郷の借り入れは6月に審計署がまとめた報告書には含まれていない。省や市、県の3つの行政区分の債務は10兆7000億元だった。

審計署の報告によれば、直接の債券発行や銀行借り入れを禁止されている中国の地方の当局は、道路や下水処理場、地下鉄などの費用を調達するための投資会社を少なくとも6576社を設立した。審計署の報道官、侯凱氏に取材を試みたが連絡が取れなかった。


▼中国の国家資本主義:皇帝と王について
2011.11.15(火)
(英エコノミスト誌 2011年11月12日号)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/29179

中国の国有企業は進撃を続けている。

2001年12月に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した際、多くの人はこれで同国の国有企業の力が弱まることを期待した。それから10年が経ち、中国の国有企業はかつてないほどに力をつけているように見える。

 週末開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、中国の胡錦濤国家主席に対してこの問題が持ち出されることが予想された。米国のヒラリー・クリントン国務長官は国家資本主義の危険性について、断固として警告し続けている。

 10月26日に公表された米連邦議会の報告書は、国有企業が享受している不当な利益を厳しく批判し、中国政府が国有企業に「より重要な役割」を与えようとしている点を嘆いている。

国有企業を支援し、市場原理を阻害する政府

 確かにその通りだ。テンプル大学のロゼリン・シュー氏は新著『China’s Regulatory State(規制国家中国)』の中で、情報通信から繊維産業に及ぶ様々な分野で、中国政府が密かに市場原理を妨害する模様を記している。

 政府は国内のトップ企業に低利の融資を行っている。民間部門の競合企業に対しては、規則を選択的に適用して、現状以上に力を持たないよう仕向けている。

 中国電信(チャイナ・テレコム)のような国有企業は独占禁止法関連当局の取り締まりを受けることなく、国内市場で圧倒的なシェアを獲得できる。

 一方、コカ・コーラのような外資系企業が現地の企業を買収しようとすれば、妨害に遭う可能性がある(ただし、中国政府は8日、米ヤム・ブランズによる中国のレストランチェーン小肥羊の買収計画を承認した)。

 中国政府は戦略的に最も重要と見なす10以上の業界で、強制的に合併・統合を推し進めてきた。

 その結果生まれた巨大企業の株式は国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)が所有しており、SASACは約120社の国有企業の支配株主となっている。

 SASACの支配下にある資産は3兆7000億ドルに上る(図参照)。

 ボストンコンサルティンググループ(BCG)はSASACを「誰も聞いたことのない、最も強大な力を持つ存在」と表現する。ただし、常にSASACの思い通りにいくわけではない。一部の国有企業には有力な友人がおり、思いのままに動かすのは難しい。

近代化を目指している面もあるが・・・

 ある意味では、SASACは傘下企業の近代化を目指している。ケンブリッジ大学ジャッジビジネススクールのピーター・ウィリアムソン氏はその好例として鉄鋼業界を挙げる。

 中国にはかつて、経済効率の悪い小規模な鉄鋼会社が乱立ししていた。SASACは強制的に合併を進め、3社の「皇帝」と5社の「王」を生み出した。

 これで国内での競争を促すに十分な製鉄会社の数が確保され、しかもそれぞれの企業は海外進出が可能なほどの規模になったと、ウィリアムソン氏は説明する。しかし政府の計画は、民間の鉄鋼会社が国内で皇帝や王と競合する可能性を全く考慮していない。

 前段の米議会の報告書によれば、中国の国有企業は農業を除いた国内総生産(GDP)の5分の2を担っているという。国による優遇措置(補助金による信用供与など)を受けている企業を含めると、その割合は半分まで上昇する。

 完全な独立企業では正規の信用枠が圧倒的に不足しており、中国国内の「影の金融システム」に頼っている。政府は信用バブルを恐れ、この非正規金融システムを取り締まっているため、「竹の資本主義者」たちは孤立無援で取り残されている。

 国有企業でも近代化が進んでいると主張する人々は、利益が伸びていること、独立した顧問を含めた取締役会の設置が進められていることを指摘する。公式統計によれば、SASACの支配下にある企業の利益は増加しており、2010年には1290億ドルに達した。

市場金利で利払いを負担したら利益は帳消し

 だからと言って、これらの企業の多くが効率的で、経営が良好というわけではない。電気通信および天然資源分野の市場で特権を持つ一握りの企業が、全利益の半分以上を稼ぎ出しているのだ。香港金融研究所は2009年の調査で、国有企業が市場金利で利払いを負担した場合、利益は「完全に帳消しになる」と指摘している。

 国有企業の利益が薄い理由の1つとして、こうした企業は国家の目的を追求しなければならず、そこには利益を上げる以外の目的がいくつもある点が指摘できる。

 BCGのデビッド・マイケル氏の見解によれば、中国政府は国有企業にありとあらゆる余計なコストを強制的に負わせているという。例えば最近、石炭価格が急上昇した際にも、国有の大手エネルギー企業は上昇分を消費者に転嫁することを許されなかった。

 中欧国際工商学院(CEIBS)が国有企業で幹部として働く卒業生を対象に、最大の頭痛の種は何かと質問したところ、多くの回答者が政府の干渉について不満を述べた。

 それでも、外国人ながら中国移動(チャイナ・モバイル)の顧問委員会の委員を務めたこともあるマイケル氏は、SASACにも称賛に値する点はあると考えている。具体的には、経営に関する研修コースの運営、国際基準に従った企業評価、行動規範の策定などが実施されている。

 また、国外で中国企業による不祥事が相次いだことを受け、7月には主要な国有企業がデリバティブ(金融派生商品)を使うことを制限する正式な指示を出している。さらに最大の責務として、現在は取締役会の任命を推し進めている。

振り払えない政府の手綱

 一方、コロンビア大学ロースクールのカーティス・ミルハウプト氏は、こうした改革は「核心を突いていない」と主張する。ミルハウプト氏は新たに発表した論文で、中国の大手国有企業がいかに厳格に管理されているかを分析し、実に厄介な結論を導き出している。

 論文によれば、ニューヨーク市場で株式を上場していようが、「独立した」委員会を設置していようが、ハーバード大学で経営学修士(MBA)を取得した市場主義の会長を戴こうが、手綱はSASACの厳格な管理下にある主要な国有企業につながっているという。

 真の市場改革は、国有企業が一斉に国外に進出し、グローバルな基準に適応せざるを得なくなった時に初めて実現すると、ミルハウプト氏は考えている。

 欧州で最近下されたある決定は、未来の予兆となるかもしれない。今年、中国国有の化学企業、中国中化(シノケム)がオランダのDSMと抗生剤の製造に関する合弁事業を進めようとした際、欧州委員会の独占禁止法当局が関心を示し、当局は中国中化だけでなくSASACが支配する帝国全体を詳しく調べる決定を下したのだ。

 結局、合弁事業は認められたが、これは重要な先例を設けたことになるかもしれない。


<関連記事>

People’s Republic of China: Financial System Stability Assessment
http://www.imf.org/external/pubs/cat/longres.aspx?sk=25350.0
http://www.imf.org/external/pubs/ft/scr/2011/cr11321.pdf


I.M.F. Warns China on State Control of Banking
http://www.nytimes.com/2011/11/16/business/global/imf-warns-china-on-state-control-of-banking.html

IMF Calls for China Banking Revamp
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204323904577038962800958568.html?mod=WSJASIA_hpp_LEFTTopWhatNews

IMF warns on Chinese financial system
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/1b51d274-0ebf-11e1-b83c-00144feabdc0.html#axzz1dgdeZooC

State capitalism in China
Of emperors and kings
China’s state-owned enterprises are on the march
Nov 12th 2011
http://www.economist.com/node/21538159


<画像引用>

The Economist - Amercia's fear of China
http://www.flickr.com/photos/heartdisk/629283875/