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米国主導の経済ブロックに潜む毒饅頭、それに伸るか反るかの大博打 - 「野口悠紀雄&佐藤優&伊藤元重」論争を読む2011/11/03 09:58

米国主導の経済ブロックに潜む毒饅頭、それに伸るか反るかの大博打 - 「野口悠紀雄&佐藤優&伊藤元重」論争を読む


野口悠紀雄は「TPPとは、アメリカの対中国太平洋戦略の一環であり、中国を排除することこそが目的」と断言。その上で、経済ブロック化協定に対しては、一般的に反対としつつも、どうしてもやりたいのなら、貿易協定を結ぶ相手は「アメリカではなく、中国である」と語る。さらに「日本のTPP参加は、日本の製造業にとって自殺行為としか考えられない」と。

佐藤優も「TPPの本質は、日米を基軸とするアジア太平洋地域における経済ブロックを構築することだ」と明言。「日本も中国と米国のいずれかと手を握り、帝国主義的再編に対応するかを迫られている」としながら、「日本に残されている現実的なシナリオは、TPPに参加し、政治・安全保障分野のみならず経済面においても日米同盟を深化させるしかない」とのご意見。

ここで伊藤元重も参戦。戦前の大恐慌の時代のブロック経済化に言及しながら、こうした保護主義は結局その経済を停滞させることになった」と警告しつつも、なぜか結論は「TPPはいずれアジア太平洋地域全体の経済連携へつながる可能性があるし、これが起爆剤になって世界全体の貿易自由化がさらに進むだろう」とバラ色の未来へと導いていく。

伊藤はついでに野口をチクリ。「日本が貿易を拡大しているのは中国だから、米国などとTPPを結ぶよりも中国との経済連携を模索した方が好ましいのではとも言われた」などと語りながら、「問題の本質はそうしたすぐに数字に出るような利益ではない」と。さらに米国陰謀論もチクリ。「TPPに参加すれば米国の言うなりになってしまうなどという古いマルクスボーイみたいな話」と彼らの本質を見事に突いたご指摘。

米国主導の経済ブロックに潜む毒饅頭の存在に気付きながらも、それに伸るか反るかの大博打。その一方で、やはり出てきた中国やロシアからのブロック崩し。これでブロックめぐる大国間ゲームがいよいよスタート。それぞれに保護主義抱えた醜い罵り合いが勃発。これぞまさに「ブロック化の連鎖反応」。

確かに野口に代表される経済のみからのアプローチは視野が狭く近視眼的。そこに極めて危ない要素を抱えている。では伊藤はどうか。今のEUの現状を見れば、バラ色の未来には到底思えない。TPPに待っているのは茨の道。交渉段階で見事決裂。TPP消滅の事態もありと見る。

時代はまさに1930年代。ゲームに負ければ、待っているのは1940年代の主役の座。勝つと思うな、思えば負ける。しかし、指をくわえて見ているわけにもいかない。今はひたすら負けないように立ち回るしかないだろう。

日本が取るべき現実的なシナリオは限られている。中国が民主化シナリオを前向きに表明するなら話は別だが、現時点では考えられない。今はまだジョン・ミアシャイマーの言葉を噛み締めながら、多少のお付き合い程度は容認。「TPP交渉には参加し、しばし様子をうかがう」あたりが落としどころになるだろう。


ジョン・ミアシャイマー 「アジアで米中の覇権争いが起き、いずれかを選択しなければならない場合、答えは米国しかない」



<関連記事引用>

▼経済・メディア・情報を捌く 「超」整理日記 Number 584 
TPPによる輸出増加 効果はたった0・4%
2011/11/05 週刊ダイヤモンド
早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問●野口悠紀雄

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加が論議されている。「TPPが日本経済にとって必要」との考えは、「TPP参加によって日本の輸出が増える」という期待を基としている。そして、その期待は、TPPをめぐる議論で当然のように前提されている。しかし、以下に示すように、そうした効果は期待できない。

 TPP参加候補国のうち、日本からの輸出が最も多いのはアメリカだ。2010年の輸出額は10・4兆円であり、輸出総額の15・4%を占める。では、TPPに参加してアメリカの輸入関税がゼロとなれば、日本の対米輸出は増加するだろうか? そうとは考えられない理由を述べよう。

 日本の対米輸出中の最大の項目は乗用車だが、この輸入関税率は2・5%と、すでに非常に低い。仮にそれがゼロになっても、日本からの輸出にはほとんどなんの効果もないだろう。

 その半面で、為替レートの変化は、ずっと大きい。10年の春頃と比べると、為替レートは1ドル90円程度から77円程度へと15%近く変化した。これは、2・5%の関税などまったく問題にならないほどの変化だ。今後さらに円高になれば(その可能性は高い)、2・5%の関税がゼロになることの効果など、完全に吹き飛ばされてしまう。

 他の品目はどうか。エレクトロニクス製品や家電製品に対する関税率はほとんどがゼロなのだが、かかっているものだけ取り上げても3%程度である。高くても5%程度だ。だから、これらに対してもTPPは影響を与えないだろう。

 トラックに対する関税率は25%と、他の品目よりは高い。これがゼロになれば、影響があるだろう。しかし、日本からの輸出額は、ごく少ない。バス、トラックを合わせても、対米輸出額の0・5%にならない。だから、仮にトラックの輸出が増加しても、日本の総輸出に与える影響は微々たるものだ。

 したがって、TPPに加盟したところで、日本の対米輸出にはほとんど効果がない。

FTAの輸出増効果はデータで認められない

 TPPへの参加が予定されている他の国への輸出はどうか。このうち、シンガポール、マレーシアはすでに日本とFTAを締結ずみなので、TPPの影響はないと考えてよい。

 問題は、FTA未締結国への輸出がどの程度増えるかだ。その予測は容易でないが、次のように考えてみよう。

 01年から10年までの期間における日本からの輸出の変化を見ると、アジア全体では1・92倍になった。他方で、日本とFTAを締結した国は、シンガポール1・24倍、マレーシア1・16倍だ。

 つまり、FTAを締結した国への輸出の増加率は、アジア全体より低いのである。貿易はさまざまな要因に影響されるから、このことだけから「FTAは貿易増大効果を持たない」とは言えない。しかし、「FTAが貿易に対して絶大な増加効果を持つわけでない」とは言えるだろう。

 日本との2国間協定ではないが、「日本・ASEAN包括的経済連携協定」に含まれている国として、タイとベトナムがある。前記の期間における貿易増加は、タイが2・08倍、ベトナムが3・31倍だ。アジア全体の伸び率に比べると、タイは8・2%、ベトナムは72・5%ほど高い。タイとベトナムの数字を貿易額で加重平均すれば、アジア全体の伸び率に比べて16・7%高い。

 言うまでもないことだが、これにはさまざまな要因が関係しており、そのすべてが経済連携協定の影響ではない。しかし、FTAの影響について最大限に好意的な見方をして、このすべてが経済連携協定の効果だとしよう。

 そして、TPPへの参加が予定されているがこれまで日本と貿易協定を結んでいない国(オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ)に対する日本の輸出が、TPP締結によって16・7%増加するものと考えよう。

 これらの国に対する輸出額は、10年において日本の輸出総額の2・5%を占める。これが16・7%増えれば、日本の輸出は0・4%増える。

 つまり、TPPによる貿易拡大効果とは、たかだかこの程度のものなのだ。これまで述べたことからわかるように、これは貿易協定の効果を非常に好意的に見た場合の数字である。それでもこれだけの効果しかないのだ。これは、ほとんど無視しうる効果である。

 そして、現実の世界においては、輸出は為替レートの変動によって絶大な影響を受ける。韓国の輸出増も、ウォン安による。07年には、100ウォンが13円近くしたが、最近では、6・5円程度にまで安くなっている。10年春と比べても、25%程度のウォン安だ。韓国の輸出が伸びるのは当然である。

中国こそ日本にとって重要 その出方次第では輸出激減

 日本にとって重要な輸出相手国は、TPP参加予定国でなく、不参加国である。とりわけ中国だ。

 10年において、中国への輸出は13・1兆円であり、日本の総輸出の19・4%を占める。中国は日本の最大の輸出先であり、しかも、関税率も高い。

 したがって、もし貿易協定を結ぶのであれば、相手はアメリカではなく、中国である(私は、TPPやFTAのような関税同盟、すなわち経済ブロック化協定に対しては、それらが自由貿易を阻害することから、一般的に反対である。もし「どうしてもやりたいのなら」という意味である)。

 しかし、日本がTPPに入れば、アメリカは日中FTAを許さないだろう。なぜなら、TPPとは、アメリカの対中国太平洋戦略の一環であり、中国を排除することこそが目的であるからだ。

 したがって、日本のTPP参加は、中国の反応を惹起するだろう。実際、日本がTPPに加盟すべきだという主張の理由として言われるのは、「韓国がEUやアメリカとFTAを結ぶから、日本もやらないと乗り遅れる」というものだ。ブロック化協定は、「そこから排除された国が別のブロック協定に走る」という「ブロック化の連鎖反応」を引き起こすのである。

 だから、TPPに対抗して、中国がTPP非加盟国と積極的なFTAを求めることは、十分考えられる。その相手はEUだろう。なぜなら、輸出・輸入両面においてEU(なかでもドイツ)は、中国にとって重要だからだ。そうでなくとも、経済危機後のユーロの減価によって、中国市場でのドイツの存在感は大きくなっている。

 仮に中国とEUのFTAが締結されるなら、中国市場はドイツに席巻されるだろう。したがって、日本の対中輸出は激減する。それは、日本の製造業にきわめて大きな影響を与えるだろう。日本の対中輸出は、機械や部品などの中間財が中心だ。そして、今後の日本の輸出は、新興国に対する中間財の輸出をこそ中心にすべきなのである。

 そして、この分野においては、日本と似た産業構造を持つドイツがライバルだ。日本にとってもドイツにとっても、中国に対する中間財の輸出を増やせるかどうかが、貿易上の大きな課題なのである。

 中国以外に日本の輸出先として重要なのは、韓国、台湾、香港である。台湾、香港が中国と同じ行動を取れば、日本の輸出は壊滅的な打撃を受けるだろう。日本のTPP参加は、日本の製造業にとって自殺行為としか考えられない。


▼闘論席
2011/11/08 週刊エコノミスト
第89巻 第50号 通巻4199号
佐藤 優 Sato Masaru

 野田佳彦首相が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉に参加する意向を表明した。本件をめぐる真実の争点は、自由貿易を推進すべきか、農業をはじめとする国際競争力の弱い産業を保護すべきか、という問題ではない。TPPの本質は、日米を基軸とするアジア太平洋地域における経済ブロックを構築することだ。

 現下の国際秩序は、急速に帝国主義的なブロック化を強めている。既に欧州には欧州連合(EU)という経済ブロックがある。ロシアのプーチン首相はユーラシア同盟を形成することで旧ソ連地域に経済ブロックを作ろうとしている。このような国際環境の中で、日本も中国と米国のいずれかと手を握り、帝国主義的再編に対応するかを迫られている。

 中国が訓練用空母ワリャーグの試験航海を行い、海洋覇権確立の動きを本格化している状況で、日中を基軸とする東アジア共同体の創設は非現実的になった。

 日本に残されている現実的なシナリオは、TPPに参加し、政治・安全保障分野のみならず経済面においても日米同盟を深化させるしかない。農業を含め、日本の国益に死活的に重要な分野について、政府が毅然と自己主張をすれば、米国と折り合いをつけることは可能だ。

 それとともに、沖縄の民意を考えれば実現可能性が皆無である米海兵隊普天間飛行場の辺野古移設をこの機会に断念すべきである。TPPと沖縄問題を一つのバスケットに入れて、日米同盟を深化させる現実的方策を考えるべきだと思う。


▼【日本の未来を考える】
東京大・大学院教授、伊藤元重
2011.11.3 03:13
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111103/fnc11110303130005-n1.htm

 ■TPPは対症療法ではない

 市場を閉鎖して健全な経済発展をした国は歴史的には皆無である。何十年も国際経済学の世界で仕事をしてきた研究者としての私の実感である。アダム・スミスの重商主義批判から現代にいたるまで、保護主義と経済学の論戦は何百年も続いている。経済学の側に保護主義が優れているという議論が主流となったことはないが、政治の世界では保護主義は何度も頭をもたげてくる。戦前の大恐慌の時代のブロック経済化、1950年代に多くの途上国がとった輸入代替政策などが、その典型である。こうした保護主義は結局その経済を停滞させることになった。人類は保護主義の問題点を学んだはずであるが、しばらくたつとまた保護主義が頭をもたげてくる。

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をめぐって、日本を開くか閉ざすかの大論争が続いている。これは小手先での政策運営の話ではなく、日本をどういう国にしたいのかという意思の問題である。TPP反対派の国会議員の方と対談したとき、TPPに参加したらいったいどれだけ日本のGDPが上がるのかと問われた。また、日本が貿易を拡大しているのは中国だから、米国などとTPPを結ぶよりも中国との経済連携を模索した方が好ましいのではとも言われた。

 しかし、問題の本質はそうしたすぐに数字に出るような利益ではない。TPPに参加すればGDPを押し上げる効果はあるだろう。しかし重要なことは即効性の効果ではない。例えてみれば、熱が出ているから熱を下げるというような薬ではなく、免疫を高め体質を強化する漢方薬のようなものだ、とその対談ではお答えした。そうしたらその方は「伊藤はTPPが漢方薬のようなもので、効果は30年も50年も先になると言っていた」と発言していると側聞した。漢方薬の効果はもっと早いだろうから30年も先というのは漢方医に失礼な話ではある。

 私たちの健康に例えてみればよい。熱や痛みが出たときの対症療法ではない。私たちの体を健康に保つためにどういう生活習慣を定着させるのか。食事、運動、そして必要があれば漢方薬やサプリメントの摂取があってもよい。TPPの交渉に参加するか否かも、日本が開かれた国という姿勢を積極的にとるのか、それとも市場を閉ざして閉塞(へいそく)感を高めていくのかの選択の問題である。

 TPPの側にとっても、日本が参加するかどうかは大きい。もし日本が参加すれば、世界のGDPの約40%を占める大きな自由貿易地域が形成されることになる。EUを超える規模である。TPPはいずれアジア太平洋地域全体の経済連携へつながる可能性があるし、これが起爆剤になって世界全体の貿易自由化がさらに進むだろう。将来的にはTPPがEUなど他の地域との経済連携に発展する可能性だって否定できない。

 世界の潮流を大きく変える可能性がある流れに背を向けるのか、日本が新しい経済秩序の形成に積極的に取り組む姿勢を見せるのか。海外諸国は日本の選択をじっと見守っているのだ。TPPに参加すれば米国の言うなりになってしまうなどという古いマルクスボーイみたいな話をしていないで、そろそろ世界に向けて打って出る外交を真剣に論じる時期なのだ。(いとう もとしげ)



▼中国 G20サミットで 保護主義に反対表明
2.11.2011, 19:33
http://japanese.ruvr.ru/2011/11/02/59781202.html

 カンヌG20サミットで、中国の胡錦涛国家主席は、数々の国際経済問題の中でも貿易投資における保護主義台頭に特に注目する意向。

 1日、パリを訪問した胡錦涛国家主席は、「フィガロ」紙のインタビューにおいて、先が見えない不況、経済面および金融面における不安定かつ予測不能な要素の増加、先進国経済成長の低迷、先進国の債務危機および、国際金融市場の破綻などの世界経済をとりまく最も重大な問題を列挙した。

 これらの深刻な問題に対処するために、G20のメンバーは経済における最重要課題に集中し、「確実で安定していてかつバランスの取れた」世界経済に到達すべく、一致団結しなければならないと胡国家主席は述べた。

 G20サミットは国家負債あるいは原料資源価格の状況のような当面の問題を多面的に検討しなければならないだけでなく、国際通貨金融システムの改変に刺激を与えなくてはならない。

 胡国家主席はその他にも、国際金融機関および経済機構における発展途上国の発言権拡大が不可欠で、「国際経済行政の分野における決議」にも途上国は参加するべきであると述べた。


▼<南シナ海>関係国+日米印豪の連合を阻止せよ、中国は個別対応で反撃を―中国紙
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=55644&type=

2011年11月1日、中国紙・環球時報は中国現代国際関係研究院の林利民(リン・リーミン)研究員の寄稿記事「南シナ海問題の関係国が日米と連合して中国を抑え込もうとしている、中国は個別に対応を」を掲載した。以下はその内容。

米パネッタ国防長官はインドネシアを訪問した際、南シナ海問題の行動規範を早急に策定し、11月に行われる東アジア首脳会議(EAS)に提出するよう求めた。日本メディアも故事成語「合従連衡(がっしょうれんこう)」を引用し、中国を当時の強大国・秦に、ベトナやフィリピン、そして日本・米国・インド・オーストラリアを周辺6カ国に例え、南シナ海情勢を分析している。

こうして見ると、南シナ海問題はもはや単なる領有権争いの範疇を超え、アジア太平洋地域さらには世界の平和問題にまで発展していると言える。今のところ、この「合従論」はマスコミや学者らが騒ぎ立てているだけで、どこかの国が明確に戦略を打ち立てたわけではないが、決して根拠のない作り話ではない。

彼らが唱える「合従論」とはベトナムとフィリピンを主体とし、その延長戦上に日本・インド・オーストラリア、さらに米国が「大ボス」として控え、中国に対抗しようとしているというもの。こうした構図が出来上がってしまえば、南シナ海問題の平和的解決はさらに困難となり、戦争勃発の可能性も高まる。中国の平和的台頭にも直接影響が出るだろう。

そのため、中国はこの6カ国と個別に同盟関係を築く「連衡」作戦を講じる必要がある。そのカギを握るのが米国だ。米国が「合従」に参加しなければ、リーダー不在となった彼らの行動力は限られてくる。

実はベトナムやフィリピンも中国の実力と「隣国は変えられない」という現実を分かっているはずだ。その場しのぎで外の力を借りたとしても、長続きはしない。米国がリーダーの座から降り、この2カ国に「中国に刃向ってもなんの得にもならない」ことを思い知らせることに成功すれば、日本・インド・オーストラリアも拠りどころがなくなる。そうすれば、彼らの「合従」も自然に瓦解していくだろう。(翻訳・編集/岡田)

林利民:以“连横”破南海“合纵”阴谋
http://opinion.huanqiu.com/roll/2011-10/2128335.html


▼日印接近が意味するもの
2.11.2011, 03:00
http://japanese.ruvr.ru/2011/11/02/59732488.html

10月末から11月初めにかけて、日本とインド両国指導部間のコンタクト活発化が目立っている。28・29両日クリシュナ外相が東京を訪問、今月2日にはアントニ―国防相も訪日する。 この二つの閣僚訪問は、両国内でも又国外でも、様々な反応を呼んでいる。

 ハイレベルでの日印協力の活性化という事実自体、何も特別なことではなく、警戒すべきものでもなんでもない。インドはダイナミックに発展を遂げる南アジアの大国で、先端技術を差し迫って必要としており、日本は、その点で、世界のリーダー国だ。すでに終わったクリシュナ外相の訪日、そして2日から始まるアントニー国防相の訪日に、観測筋が警戒感を抱いているのは、交渉内容だ。

 外相は主として、原子力エネルギー領域での協力プランについて討議した。インドの原発向けに日本の技術を供与する合意は、近く調印されるだろう。日本は、今年3月の大地震と津波により引き起こされた原発事故の後遺症からまだ立ち直っていない。福島原発事故により、日本政府は、原発推進プログラムの一時停止を余儀なくされた。しかし、原子力エネルギー技術の輸出停止決定はとられなかった。

 ロシア戦略調査研究所のボリス・ヴォルホンスキイ研究員に意見を聞いてみた―

 「原発輸出については、すでにかなり激しい意見が交わされている。日本は実際、西欧の先進諸国の大部分同様、福島のような事故の再発を懸念して、自国内では原発推進プログラムを中止したり、一時停止したりするようになっている。 同時にその一方で、原発を他国に勧めているわけで、特にインドに対する立場は矛盾していると言わざるを得ない。インドのタルミナド州では、すでに3ヶ月に渡り現地の人々が、すぐそばに集落があるという理由で、クダンクラム原発(写真上)反対運動を続けているからだ。」

 国内ではほとんど石油やガスが産出せず、急速な経済発展のため、エネルギーが今後ますます必要となってゆくインドが、原発を放棄する事がないのは明白だ。原子力エネルギー自体、チェルノブィリ、福島と大事故があったものの、今も最も環境にクリーンなエネルギーとしての評価は残っている。 日本での例を引くまでもなく、地震多発ゾーンに原発を建設しないことばかりでなく、原発の安全問題への注意を高めることは確かに重要だろう。

  しかし、今回指摘されている日印接近への危惧は、原発協力の中に、かなり政治的な意味合いが隠されていることから生じているもので、それは放射能漏れに勝るとも劣らないような大きなリスクを生み出す恐れがあるように思える。 ここで再び、ヴォルホンスキイ研究員の意見を御紹介する―

 「インドの外相訪日中に話された問題、そしてインドの国防相訪日の際、話されるであろう問題の中に、日印両国海軍の合同演習の活発化、軍事技術協力の拡大が含まれている。クリシュナ外相は、両国の協力は第三国に敵対するものではないと主張しているが、その事自体、すでにはっきりと何の事かを示している。

 東京訪問後クリシュナ外相は、まもなく開かれる日印米3カ国対話についても言及し、そこでは3カ国の懸念を呼び起こしているグローバルかつ地域的諸問題が話し合われるだろうと述べたが、すべては全く明白だ。 日印接近は、アジアにはっきりと反中国的方向性を持つブロックを作り固めようというアメリカ政府の試みの一環なのだ。  こうした緊張を高める試みは、新しい原発建設よりもっと破壊的な結果を、ついにはもたらすのではないか。」