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Panda Huggers vs. Dragon Slayers2011/11/02 07:01

Panda Huggers vs. Dragon Slayers


<関連記事引用>

ワシントン駐在編集特別委員・古森義久
2011.11.2 03:15
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111102/amr11110203160001-n1.htm

 ■対中衝突回避へ抑止力強調

 米国のメディアでは中国の軍事力についての記事や論文がまた一段と目立つようになった。しかも「中国は核兵器を何基、保有しているのか」(ウォールストリート・ジャーナル)とか「中国との最終戦争を避けるには」(外交雑誌フォーリン・ポリシー)というような、どきりとするタイトルが多い。米中軍事衝突の可能性に触れる緊張した内容なのだ。

 研究機関の調査や研究となると、さらに身を引き締まらせる。戦略研究では伝統のある「ランド研究所」が10月中旬に発表した「中国との衝突」という報告は、ずばり米中戦争の可能性を研究していた。中国の軍事を専門に調査する「国際評価戦略センター」は「西太平洋での中国と米国の軍事競合」という詳細な分析を公表した。

 アジアの安全保障を研究する「プロジェクト2049研究所」は米国を標的とする中国の戦略ミサイル部隊の報告を出した。首都の大手シンクタンク「AEI研究所」は「米国は中国の膨張に対応できるか」という米中軍事バランスについてのセミナーを、つい10日ほど前に開いた。

 中国に対してまだまだ関与や対話という政策標語を語るオバマ政権下のワシントンでなぜこんな警戒の動きが表面に出てきたのか。簡単にいえば、海や空や宇宙、サイバーという広い領域での中国の軍事活動の攻勢が米側に威圧を与えるようになったからだろう。最近まで米軍統合参謀本部議長だったマイク・マレン提督は「私が中国の軍事動向に対してずっと抱いてきた好奇心はもはや真の懸念へと変わった」と述懐した。

 米国の中国軍事専門家には長年、「赤組」と「青組」、「パンダ・ハガー(抱く人)」と「ドラゴン・スレイヤー(退治する人)」というユーモアを交えての区分があった。前者は中国の軍事戦略が台湾攻略能力保持にとどまるというソフトな見解なのに対し、後者は中国軍が台湾有事を超えて米国と対決する意図だというハードな見方の持ち主を指していた。

 ところがこの1、2年間にこの区分がすっかり薄れ、「パンダをハグする人」はほとんどいなくなってしまった。理由はひとえに中国の軍事面での現実の言動がその長期戦略を守勢、協調、抑制という言葉で特徴づけることを難しくしてしまったことだった。だから米国の対中姿勢も軍事面では強固になったわけである。

 では米中戦争がありうるのか。どの研究報告も「確率はきわめて低い」と予測する。米国の軍事能力がまだ優位にあることに加え、両国は経済での交流や対テロ闘争での協力など協調の分野も堅持する。中国が全世界の共産化などを唱えない点も冷戦時のソ連とは異なる。米中関係はなにしろ複雑多岐なのである。

 しかしランド研究所の「中国との衝突」報告は米中戦争が起きにくい展望の前提として「米国側が強固な抑止力を保持する限り」という条件を強調した。だが北朝鮮、台湾、サイバー、南シナ海、日本、インドという要因で中国が軍事行動を取った場合、米軍との衝突もありうる、とも指摘した。そして中国への実効性ある抑止体制には日本や台湾、韓国など米国の同盟パートナーがそれぞれ堅固な防衛態勢を保つことが欠かせないと述べていた。

 となれば日本にも中国の軍拡の実態を認識するだけでなく、抑止のための防衛態勢を固めるという課題が迫ってくるといえそうだ。


<画像引用>

Panda Huggers and Dragon Slayers
http://en.radio86.com/chinese-media/panda-huggers-and-dragon-slayers