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「大陸国家が海洋を目指す時」 パンダはうまく泳げない、ならば海に引きずり込もう2011/10/02 07:52

「大陸国家が海洋を目指す時」 パンダはうまく泳げない、ならば海に引きずり込もう


パンダはうまく泳げない。ならば海に引きずり込もう。そして溺れさせる。

いよいよ大荒れ「南シナ海」。日本としては前のめり禁物。深入り禁物。
オーストラリアからマラッカ海峡方面を眺める冷静かつズル賢い視線が求められる。

そのためにも早急に日米豪の連携強化を。
年内の日米豪合同軍事演習実施を提案したい。

戦争の当事者に進み出るのは単なるアホ。
漁夫の利を得ながら、最後の最後に米豪と共に介入すればいいこと。


<関連論文引用(画像も)>

When Land Powers Look Seaward
大陸国家が海洋を目指す時
アンドリュー・エリクソン(Andrew Erickson)
ライル・ゴールドスタイン(Lyle Goldstein)
カーンズ・ロード(Carnes Lord)
http://www.andrewerickson.com/wp-content/uploads/2011/09/When-Land-Powers-Look-Seaward_Proceedings_201104_Japanese.pdf

要 旨

 この論文は、中国のような伝統的大陸国家が、如何にして海洋国家への転換を果し得るかということをテーマとしている。そしてその論旨は、大陸国家から海洋国家への転換が、大昔から度々試みられてきたが殆ど成功していないという歴史的な事実を指摘しながらも、希有な成功例として古代ペルシャを挙げ、中国はこれらの歴史から教訓を導くことができることを示唆している。

・今、久々に難しい議論が北京に広がっている。中国は大陸国家か? 海洋国家か? 或いはその両方か? そして、地勢に関しては、どの程度まで政治的かつ戦略的に固執し、大陸国家としての文化が、海洋国家としての発展を拘束するだろうか?

・歴史家達は、中国が海洋を軽視してきたことを誇張する嫌いがある。南宋朝時代(1127-1279)には、その首都であり長江(Yangtze River)の海港である杭州(Hangzhou)があった。モンゴルが宋を倒し元朝(1271-1368)として継承した時代、大きな造船所が十分な海軍力を支えていた。

・清の海洋における敗北は、斯様にしてアヘン戦争に始まり、引き続いて西洋海軍からの技術導入に失敗したことに由来し、このことは、ライバル日本と極めて対照的である。

・冷戦の間、中国海軍の発展は、東アジアにおける海洋での米国の優位性に拘束され、後には、内政の失敗とソ連との関係悪化により拘束された。中国海軍は、主に地上兵力を支援してきたが、1988 年頃までは独自の戦略すらなかった。

・何を以ってして北京政府が事実上ゼロから近代的な海軍を構築し得たかと言えば、それが唯一可能だったのは、1960 年に終了したソ連からの技術支援供与であった。

・中国は、数世紀振りに、有利な条件下でこの30 年間の結果として運用可能な近代海軍を本気で開発している。冷戦の終焉とソ連の崩壊と共に、中国は、最早、内方のアジア国境線において存在した脅威に直面することはなくなった。その代わりに、最も重要な安全保障上の関心事は、明らかに海洋領域への転換の過程にある。第一に、海洋における地域国家との領域紛争が先鋭化する恐れがあり、それは1974 年、南シナ海の西沙諸島(Paracel Islands)を巡り中共(PRC)とベトナムとの衝突に始まった。第二に、民主主義に向いた台湾における国内政治の進展が、長年にわたり「一つの中国」政策を掲げて、事実上のそして法律上の台湾の独立に対抗してきた中国を追い込む恐れがあることである。同時に、台湾の擁護者として明らかに進んで行動する米国があり、特に、1995-96 年の台湾海峡危機において、中国は、東アジア海域における紛争に際し米国海軍が参戦するという決定的な可能性に直面させられた。

・中国海軍は、強力な接近拒否能力(Anti-Access Capabilities)持つ地域海軍力になりつつある。しかしながら、風説の域を超えないが、近接した周辺海域を大幅に超えてハイエンドの戦闘能力を発揮するに必要な資源と人材への投資はしてこなかった。

・中国及びその他の大陸国家が海への進出を試みた歴史を調べると、普遍的な教訓がある。第一に、地理条件が重要である。例え技術的進歩の最中でもだ。大陸国家は、一般に、その地理的条件から不利益を蒙ってきた。そして、その動かしようのない地理的不利から脱却すべく、野心的で戦略的なプロジェクトに度々挑戦してきた(中国が構築した万里の長城、京杭大運河及び三峡ダム、そして現在建設中のビルマ縦断石油パイプラインである)。

・中国は、合理的に観て多くの点で海洋を利用する権利を有しているが、中国と海で接する近隣諸国の全てと未解決の利権問題を抱えている。中国は、依然としてその多くの戦略的思想家の観点からすると“ 島々の鎖” で縁取りされたところに留まっている。

・陸の国境は、また大きな潜在的挑戦を象徴している。中国は、今は安定してものの、インド及びベトナムとは領土戦争を戦ってきており、そして、ロシアとは今後不和に直面するかも知れない。

・海洋国家への転換は、困難かつ危険な過程があり、これを十分に成し得た近代の大陸国家はない。機会費用が大きく、そして勇気を失わせるような巨大な勢力が多々存在する。全ての歴史の中で、海洋国家への転換に成功し不朽にしたのは、ペルシャとローマだけである。

・中国は、強力な経済的基盤と共に包括的な国力を有している。海軍の発展に関する長期的な取り組みは、経済的にも合理的と評価される。疑問は、中国によるその様な能力の獲得が、それを脅威とみなす国際的な反響と同様に他に差し迫った要求のある中で、事実賢明かどうかということだ。

・中国の指導者達は、通商の保護と海上交通路の重要性に関わるアルフレッド・セイヤー・マハンの考えを明らかに高く評価しているようだ。今日、中国における意見の全体的傾向としては、長い歴史の中で何時の時代よりも、海洋国家への転換に対して好意的である。しかしながら、反対に作用する要素も残っている。

・中国の短/ 中距離弾道ミサイル開発(例えばDF-21D 対艦弾道ミサイル)は、「海を制するに陸を用いる」というこの取り組みの最新版であることを幾分示している。中国には継続した制約があり海軍の発展を独特な中国的特徴にしてきたが、これは最早致命的なものにはならない。中国の海軍戦闘は、米国のものと極めて異なって見えるかもしれないが、中国独自の状況に適用する場合には、成功するかもしれない。

・以前に海洋国家たるべく試みたことがある大陸国家の経験は、概して欠点とされてきた。従って中国は、戦略的に逆風の中を帆走しているようなものだ。