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「バック・トゥ・ザ・フューチャー ~1923年編~」 シュタルク専務理事辞任で浮き彫りになったECBとドイツの軋轢、国債買い入れをめぐるタカ派とハト派の対立、今蘇る1923年のハイパーインフレ2011/09/16 06:05

「バック・トゥ・ザ・フューチャー ~1923年編~」 シュタルク専務理事辞任で浮き彫りになったECBとドイツの軋轢、国債買い入れをめぐるタカ派とハト派の対立


インフレ阻止を最優先課題とするドイツ連銀の頑固な伝統。
その背景には1923年のハイパーインフレという苦い経験。

シュタルク専務理事辞任で浮き彫りになったECBとドイツの軋轢。
国債買い入れをめぐるタカ派とハト派の対立。

欧州は悲劇の1923年へとバック・トゥ・ザ・ フューチャーとなるのか。
世界は歴史の教訓を無視した傲慢と愚行によって破滅へと向かうのか。

あのジョージ・ソロス様がこう警告。
「欧州債務危機が大恐慌を引き起こす恐れがある」と。


<関連記事引用>

マーティン・ウルフ「もしかしたら未来の歴史家たちはマーストリヒト条約を、欧州全域にまたがる安定した勢力圏の誕生に向かう決定的な一歩だったと考えるかもしれない。だがそれとは違う、もっと暗い展開になる可能性もある。複数の国家を束ねようとする試みは、狙いに反して各国間の摩擦の激化をもたらす可能性がある。だとすれば、その出来事は典型的な悲劇の定義を満たすだろう。すなわち、ヒューブリス(傲慢)、アテ(愚行)、ネメシス(破滅)だ」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/22503


Martin Wolf: “Perhaps future historians will consider Maastricht a decisive step towards the emergence of a stable, European-wide power. Yet there is another, darker possibility ... The effort to bind states together may lead, instead, to a huge increase in frictions among them. If so, the event would meet the classical definition of tragedy: hubris (arrogance), ate (folly); nemesis (destruction).”
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/fdb8cb90-ddf0-11e0-a391-00144feabdc0.html#axzz1XyAPGBj0


▼浮き彫りになったECBとドイツの軋轢ドイツ出身の専務理事の辞任でユーロ圏に衝撃
2011.09.13(火)
(2011年9月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/22152

欧州中央銀行(ECB)とドイツとの契約が書き直された。9月9日、ただでさえギリシャのデフォルト(債務不履行)に対する不安が金融市場の神経をすり減らしている中でのユルゲン・シュタルクECB専務理事の突然の辞意表明は、ユーロ圏に激しい衝撃を与えた。

 また、ECBが当初モデルとしたドイツ連銀とECBとのつながり(あるいは手かせ足かせ?)も断ち切った。

 ユーロ圏の債務危機が激化しており、ジャン・クロード・トリシェ氏が総裁の座をイタリアのマリオ・ドラギ氏に引き継ぐまであと数週間というところで、ECBはドイツの政治家および有権者との極めて重要な関係を急ぎ改めることになった(ドイツ側も同様)。

創設以来ECBを形作ってきたドイツ連銀出身者

 1998年の創設以来、ECBの役員会には有力な元ドイツ連銀高官が名を連ねてきた。当初は、経済学の教授として評価の高いオトマー・イッシング氏が、例えばマネーサプライの指標をインフレの警戒信号として使うといったドイツ連銀の慣行を基盤として、誕生間もないECBの運営方法を定めた。

 イッシング氏はECBの調査部門と強い権限を持つ経済部門を管掌し、非公式にECBの「チーフエコノミスト」と呼ばれた。退任後は次第に元雇い主を厳しく批判するようになり、特にECBの国債購入策を酷評してきた。

 シュタルク氏は2006年にイッシング氏の後を継ぐまで、ドイツ連銀の副総裁を務めていた。ECB内では保守派であり、1990年代に自身が草稿に携わったユーロ圏の財政規則を破ったことについて各国政府を厳しく戒めた。

 シュタルク氏は内々に、国債市場への介入という論議を呼ぶ決断に反対運動をした。財政政策と金融政策との境界を曖昧にし、ECBの独立性を損ねることを懸念してのことだ。

 同氏はECBの政策理事会に政策提言するうえで重要な役割を担った(政策理事会を構成するのは、ECBの専務理事6人とユーロ圏17カ国の中央銀行総裁)。

 しかし、シュタルク氏は前任者のような影響力を得ることはなかった。

 イッシング氏であれば、2010年5月の国債購入策の決定や、イタリアとスペインを支援するための先月の国債購入拡大を阻止できたかもしれないが、どちらの場面でもトリシェ氏は23人から成るECB政策理事会で過半数の賛成を確保した。

 シュタルク氏の辞任は、ECBの戦略を巡る同じような論争の後、2月にドイツ連銀総裁を辞任したアクセル・ウェーバー氏に続くものだ。

シュタルク氏抜きの方がECBは動きやすい?

 ECBは恐らく、シュタルク氏がいない方が自由に行動できるだろう。シュタルク氏の後を継ぐ見通しのヨルク・アスムセン氏とドイツ連銀新総裁のイエンス・ヴァイトマン氏はともに、ウェーバー氏が大学の経済学者だった頃の教え子だ。

 アルファベット順に席次が決まるECBの取り決めでは、両氏は政策理事会の会合で総裁と副総裁の両隣に座ることになる。

 だが、2人は現実主義の利点を学んだ。彼らは過去4年間の金融危機の最中にキャリアを形成し、アスムセン氏は財務省内で、ヴァイトマン氏はアンゲラ・メルケル首相の経済顧問として地歩を築いてきたからだ。

 ECBの国債購入ペースは著しく加速している。8月初旬以降に買い入れた550億ユーロ(400億ドル)相当の国債は既に、それ以前の購入総額の4分の3に達している。経済・金融危機が深刻化すれば、さらに国債が購入されるだろう。

 だが、合意形成を基本とするECBでは、いかなる変化も漸進的であり、ドラギ氏が11月1日に総裁に就任した時には、ドイツの支持のてこ入れが最重要課題となる。独立した中央銀行の信頼性は、市民からの支持にかかっているからだ。

 ドイツ人はユーロ圏に加わった時、ECBは、独立性を持ち、インフレ抑制に懸命なドイツ連銀のように行動すると考えた。今では保守派は、ECBは自らの行動と金融市場の捕らわれの身になっていると見ている。

退任を控えたトリシェ総裁の怒り

 9月8日、シュタルク氏が辞任を発表する数時間前に、トリシェ氏は腹立たしげに、ドイツ国内の同氏の批判勢力を糾弾した。

 ECBのインフレ抑制の実績はドイツ連銀よりも良く、そのことについては「祝福の声を是非聞きたい」。

 トリシェ氏はフランクフルトでの記者会見で声を荒げてこう述べ、ユーロ圏の債務問題の責めを負うべきは、過去のドイツ政府を含む各国政府だと断じた。

 ドイツとECBの関係がこれほど緊迫したことはないし、これほど重要だったこともない。


▼〔ECBフォーカス〕シュタルク専務理事辞任でドラギ次期総裁の行動に制約
2011年 09月 12日 14:24 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK898833120110912

 [フランクフルト 10日 ロイター] ドイツ出身のシュタルク欧州中央銀行(ECB)専務理事がECBによる債券買い入れプログラムに抗議して辞任したことで、11月に就任するイタリア出身のドラギ次期ECB総裁にとって、プログラムを積極的に進めることが難しくなりそうだ。

 ECBはシュタルク専務理事の辞任について「個人的な理由」と説明しているが、関係筋は、イタリアを含む一部ユーロ圏諸国の債券買い入れに対する抗議の意思を示すものだと指摘している。

 関係筋によると、シュタルク専務理事はトリシェ総裁の退任を「ECB時代の終わり」と受け止めていた。専務理事はドイツ連銀のバイトマン総裁と共に、ECBが先月19週間ぶりに債券買い入れプログラムの再開を決めたことに強く反対していた。

 ドイツ国内でECBによる債券買い入れに対する反発が高まる中、ドラギ次期総裁がイタリアなど債務不安に直面している国々に甘い対応を取れば、自分自身ばかりでなく、ECBの信頼感も損なわれかねない。

 しかも、ドラギ氏はトリシェECB総裁の後任として有力視されていたウェーバー独連銀総裁が辞任したことに伴い、次期ECB総裁として浮上した経緯がある。ドラギ氏はECB総裁の座を射止めるためドイツに支持を要請しており、ドイツの意向をこれ以上無視できない立場にある。

 ウェーバー氏は今回辞任したシュタルク専務理事と同様、インフレ阻止を最優先課題とするドイツ連銀の伝統を重視することで知られていた。

 シュタルク専務理事の辞任を受け、ドイツ国内ではECBによる債券買い入れの是非をめぐる議論に火がついている。コメンテーターはシュタルク氏の辞任を「ショック」だと表現し、ECBの政策に対する懸念や、ECBがドイツ連銀のイメージからさらに遠のいていくことへの不安を表明している。

 ベレンベルグ銀行のエコノミスト、Holger Schmieding氏は、シュタルク専務理事の辞任について「金利政策および債券買い入れどちらに関しても、ドラギ次期総裁がタカ派的な姿勢を取らざるを得なくなる理由となろう。彼はECBに対する信頼感を損なうわけにはいかず、市場関係者にとって意外なほどタカ派的になる可能性がある」との見解を示す。

 <シュタルク氏の焦燥>

 ECBは債券買い入れの再開に当たり、イタリアに対し、財政健全化に向けた行動を求めた。だが、実際にどんな条件をイタリアに求めたのかについては明らかにされていない。

 また、債券買い入れはすぐに欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に引き継がれるとの認識も、ECBが買い入れ再開を決めた前提にあった。

 だが、実際はECBの思惑通りに進んでいない。ユーロ圏首脳は、各国議会が10月初めまでにEFSFを承認するよう期待しているが、それが実現する可能性は遠のいている。

 スロバキアの政府高官は先週、財務省が議会に対して迅速な行動を求めているが、EFSF改革に関する議会の採決は早くとも12月になる、との見通しを示した。

 そのことは、ECBがしばらく債券買い入れを続けざるを得なくなる可能性を示しており、トリシェ総裁も8日の記者会見でその可能性を否定しなかった。

 ECB当局者の一部は、イタリアのソブリン債をECBが買い入れれば財政再建に向けたイタリアの規律が緩みかねないと懸念しているにもかかわらず、トリシェ総裁は、イタリア政府の対応に満足していると述べた。

 そういった事情も、シュタルク総裁にとって不満だったとみられる。

 ある中央銀行関係者は「彼は厳格だったため、自分の主張が他のメンバーに支持されない状況を受け入れられなかった。自分が他のメンバーに影響を与えることができないと悟ったのだろう」と語った。

 <後任のアスムセン氏は現実的>

 ドイツ政府はシュタルク専務理事の後任として、アスムセン財務次官を送り込むことを決めた。アスムセン氏は社会民主党に所属しているが、メルケル首相は金融危機への対応に尽力してきた功績を評価し、総選挙後も留任を求めてきた。

 独5賢人委員会(政府経済諮問委員会)のベルト・ルエルプ委員長はロイターに対し、アスムセン氏はシュタルク氏よりも現実的な人物だとした上で、「彼が公然と戦うとは思えない。EFSFに債券買い入れの権限が与えられても、冷静に対応するだろう」と述べた。

 もっとも、シュタルク専務理事の辞任がECBの政策に影響を及ぼすとはみられていない。シュタルク専務理事は大きな発言力を持っていたとはいえ、理事会では23人のメンバーの1人に過ぎなかったためだ。

 トリシェ総裁は今月8日の会見で、ユーロ圏のインフレリスクはもはや上方に傾いては折らず、経済成長は鈍化する見通しだとして、利上げサイクルを中断する意向をほのめかした。一部のエコノミストは、ECBは利下げも視野に入れ始めたと受け止めている。

 UBSの為替戦略ヘッド、Mansoor Mohi-uddin氏は「トリシェ総裁が(10月も)現行政策を据え置けば、ドラギ次期総裁は11月に政策決定を迫られることになる」として、これまではECBのメンバー交代が金融市場に大きな影響を及ぼしてきたと指摘している。


▼〔焦点〕シュタルクECB専務理事辞任は最悪のタイミング、危機対応に暗雲
2011年 09月 12日 09:16 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK898781520110912

 [パリ 11日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)のシュタルク専務理事が「個人的な事情」を理由に辞意を表明した。ドイツ出身の専務理事は、国債買い入れに反対して辞任を決めたとみられる。ユーロ圏が発足後最も深刻な危機に見舞われる中、タイミングとしては最悪だ。

 欧州連合(EU)は連邦政府を持たず、財政を管轄する共通の機関もない。加盟国の意思統一が困難ななか、ソブリン危機への対応ではECBがこれまで中心的な役割を担ってきた。専務理事の辞意表明により、ECB内部で出身国による亀裂、イデオロギー上の相違があることが鮮明になった。危機管理が今後、一段と難しくなることは避けられない。

 金融危機への対応に関わっているEUの高官は「要になっているのはECBだ。ECBの弱体化につながることは悪いニュース」と述べた。

 国債買い入れをめぐっては、財政が比較的健全な北部諸国と、財政悪化に苦しむ南部諸国との間で対立が深まっている。特にドイツでは財政悪化国救済への有権者の反発が強く、ユーロ圏の財政統合は政治的に厳しい状況となっている。最悪のケースでは、債務危機が今後一段と悪化した際に、ECBは断固とした対応をとれなくなるかもしれない。

<ギリシャのデフォルトは「時間の問題」>

 シンクタンク、ブリューゲルのジャン・ピサーニ・フェリー所長は「非常に都合の悪いタイミングだ」と指摘した。「ギリシャ国債の本格的な再編が必要な今、ECBによるイタリア・スペイン国債の買い入れが制約されれば、危機が波及するリスクが高まる。ECBがコンセンサスを形成できなければ、それはリスクだ」との見方を示している。

 政策当局者やエコノミストの間では、ギリシャが債務不履行(デフォルト)となるのは、もはや単に時間の問題との見方が広がっている。

 EU・ECB・国際通貨基金(IMF)のギリシャ調査団は先週、ギリシャ政府との協議を中断した。財政健全化が遅れている理由や、その遅れの程度をめぐって、双方の見解が対立しているためとされている。

 ただし、週末の日米欧7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の関係筋によると、EU・ECB・IMFはギリシャ向けの次回融資80億ユーロを実行できるよう、調査報告書を工夫する方針。そうなれば、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)が流通市場での債券買い入れなど新たな権限を得るまで、ギリシャは持ちこたえられるかもしれない。

 同筋は、ドイツ財務省はギリシャがそう遠くない将来にデフォルトに陥ると考えている、と指摘。つまり、ギリシャの債務問題をできるだけ国内にとどめ、影響が波及しないようにすることが非常に重要になる。

 <ECBへの海外からの信頼感に打撃>

 ドイツは10日、シュタルクECB専務理事の後任として、アスムセン財務次官を提案した。アスムセン氏は実利的な人物とされ、危機管理の経験も豊富であることから、ECB内の対立が収まる可能性がある。

 ただ逆に、ドラギ・イタリア中銀総裁が11月にECB総裁に就任する際には、債券買い入れの終了を急ぎ、インフレ抑制というECBの中核的責務を重視する姿勢を打ち出さざるを得なくなるかもしれない。ドラギ氏はすでに、債券買い入れを当然視しないよう、くぎを刺している。

 欧州政策センターのリサーチディレクター、ジョセフ・ヤニング氏は「シュタルク氏の後任にはがちがちの保守派ではなく、淡々と危機対応に取り組むような人物が就任することになるだろう。ただ、辞任するシュタルク氏は、ますます自由に発言するようになるかもしれない。メルケル独首相やドラギ次期ECB総裁はやりにくくなるだろう」と述べた。

 さらにシュタルク専務理事の辞任により、ECBおよびユーロ圏全体に対する海外の信頼感が大きく損なわれる可能性が指摘されている。

 ブリューゲルのピサーニ・フェリー所長は「ECBが政治から自由になったことはないが、今は政治色が一段と強まっている。ECBが依然として、各国の寄せ集めである印象を与えた」と指摘。「ニューヨークからこれがどのように見えるのか、考えなければならない。同じテーブルにつくこともできないように思われるのではないか」としている。


▼「独連銀はECB内で孤立」-シュタルク理事辞任でIfo経済研所長
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=a.3d2XCNuC3k

9月9日(ブルームバーグ):ドイツのIfo経済研究所のハンスウェルナー・ジン所長は、シュタルク氏が欧州中央銀行(ECB)理事を辞任したのは、ドイツ連邦銀行のウェーバー総裁が今年辞任したのと同じ理由からだとの見方を示した。

ジン所長は9日、電子メールで「独連銀はECB政策委員会内で孤立している」と指摘した。ウェーバー氏はECB政策委メンバーだった。

事情に詳しいECB当局者によると、シュタルク理事は今週の電話会議で、ECBによる債券購入に反対姿勢を示していた。

ジン氏は、政策委が「マーストリヒト条約で自国通貨マルクを捨てる条件としてドイツが求めた鉄のルールを破った」と指摘。「その中には、ECBによる公的金融の供与を禁じる措置もあった。1923年のハイパーインフレという負の経験からだ」と述べた。


▼ECB、シュタルク氏辞任表明のなか140億ユーロの債券買い入れ
2011年 09月 13日 04:19 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-23149720110912

 [フランクフルト 12日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)が12日発表した証券市場プログラム(SMP)に関するデータによると、ECBは9月9日までの1週間に139億6000万ユーロの債券を買い入れた。ロイターのトレーダー予想では100億ユーロ程度と予想されていた。

 前週の買い入れ額は133億0500万ユーロ。これまでの買い入れ額は総額で1430億ユーロとなった。

 今回はシュタルクECB専務理事の辞任表明のなかでの買い入れとなった。ECBは9日、シュタルク専務理事が個人的な理由で辞任すると発表。関係者の間では、8月以降のイタリア・スペイン国債買い入れに対する抗議の辞任とみられている。

 過去に買い入れた債券の償還はなし。買い入れによるインフレへの影響を中和するため、13日に1週間物預金の入札を実施し、資金吸収(不胎化)する。

 買い入れの内訳は明らかになっていないが、市場では、これまで450億ユーロ程度のギリシャ国債のほか、イタリア・スペイン国債が集中して買われているとみられている。


▼ECBの国債買い入れに対する批判は見当違い=ビーニ・スマギ専務理事
2011年 09月 16日 03:09 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT899572520110915

 [ローマ 15日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)のビーニ・スマギ専務理事は15日、ECBの国債買い入れプログラムに対する批判について、過去の経験に基づく不安に由来しており、現在では見当違いとの見方を示した。

 ECBの国債買い入れプログラムは、シュタルクECB専務理事の辞任の理由になったとみられており、ビーニ・スマギ氏の発言は同プログラムをめぐるECB内の深い亀裂を浮き彫りにしている。

 ビーニ・スマギ専務理事は講演原稿で、ECBによる国債買い入れなどの市場介入が物価安定への取り組みの妨げになっていることを示す兆候は見当たらないとし、「ECBに対する批判の多くは、不適切な経済分析や現在の危機に関する知識の不足、現在とは無関係の遠い過去の経験に基づく不安に由来している」との見解を示した。

 ただ、国債買い入れを無制限に行えば問題を先送りすることになり、インフレを招く恐れがあるとし、制限を設ける必要があるとの考えを示した。


▼ビニスマギ理事:ECBは債券購入のリスクを完全に認識している
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=aErsD9ZuZWS8

9月15日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のビニスマギ理事は15日、ECB当局者らは債券購入に関連したリスクを「完全に認識している」とした上で、今までに行ったいかなる決定も同中銀の物価安定を守る能力を損ねてはいないと言明した。

同理事はローマで講演し、ECBが国債市場などで行動することについて、「過度に積極的になり過ぎるか、逆にあえて静観する可能性に伴うリスクを完全に認識している」と語った。

ECBは今年2回の利上げを実施。また8月から国債購入を拡大している。利上げについても国債購入についても一部に批判がある。

ビニスマギ理事は「ECBに対する批判の多くは、不適切な経済分析やわれわれが身を置いている危機についての知識不足、現在の状況とは結びつかない遠い過去の経験から来る不安の結果だと思われる」と述べた。

 救済基金である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)については一段の調整が必要かもしれないとして、域内の全ての政府の承認を必要とする現在のEFSFの意思決定システムは「時宜を得た行動で市場に介入するためにあまり効率的だとは思われない」と指摘した。


▼歴史の教訓を無視した産経記事=ECB理事辞任 世界に波紋広がる
2011.9.10 22:59
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110910/fnc11091023010005-n1.htm

 欧州中央銀行(ECB)のユルゲン・シュタルク専任理事が「個人的な事情」を理由に辞意を表明したことが波紋を呼んでいる。ドイツ出身のシュタルク氏が、ユーロ圏諸国の国債買い取りに反対して辞任を決めたとみられているためだ。国債買い取りは日米でも実施しており、中央銀行による資産購入について世界的な是非論に発展する可能性がある。

 シュタルク氏は独財務次官や独連邦銀行(中央銀行)副総裁を経て、2006年6月から現職。ECBが8月に信用不安が拡大するイタリア、スペインといった南欧諸国の国債買い取りを再開した際、ECB理事会で反対票を投じたとみられている。

 ECBが9日夕、シュタルク氏の辞任を発表すると、ユーロ金融市場が急落するなど市場の動揺を招いた。ECBによる南欧諸国の国債買い支えが不確実になり、国債を保有する欧州の金融機関の信用不安が拡大すると連想された。

 ECBの国債買い支えでは、南欧諸国の国債利回りの上昇を抑える効果がある半面、ECBは国債価格下落リスクを抱えることになる。このため、欧州内にも反対意見が根強く残っていた。

 国債の買い入れは、米連邦準備制度理事会(FRB)も量的緩和の手段としているほか、日銀も資産買い入れ基金を設けて国債や社債などを購入している。南欧諸国の国債に比べ、日米国債は安全資産とみられているが、財政状況が厳しい事情に変わりはなく、中央銀行の財務の健全性を損ないかねない。中銀が市場の信認を失えば、一気に通貨危機に発展しかねない。

 景気下支えのために各国が実施している国債買い取りの是非が問われれば、景気刺激策の選択肢をさらに狭めることになる。


▼欧州債務危機が大恐慌引き起こす恐れ、抜本的措置が必要=ソロス氏
2011年 09月 15日 14:38 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK050821920110915

 [15日 ロイター] 著名投資家のジョージ・ソロス氏は、ユーロ圏首脳が欧州の債務危機解決に向けて「欧州財務省」の創設を含む抜本的な措置を講じない限り、債務危機が大恐慌を引き起こす恐れがあると警告した。

 ソロス氏は、ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスとロイター・ドットコムに寄稿し、政策当局者はギリシャ、ポルトガル、そしておそらくアイルランドがデフォルト(債務不履行)に陥り、ユーロ圏離脱に追い込まれる可能性に備えなければならないと指摘。「たとえ破滅を回避できたとしても、赤字削減の必要性がユーロ圏を長期的なリセッション(景気後退)に導くことは間違いない。それは計り知れない政治的結末をもたらすだろう」と述べた。

 ソロス氏はそのうえで、1)弱小国家の銀行破たんを防ぐため、銀行預金を保護する必要がある、2)デフォルトした国の経済を支えるため、一部の銀行の機能を維持する必要がある、3)欧州の銀行システムの資本再編を実施し、国家でなく「欧州」の監督下に置く、4)赤字を抱えた他の国の政府債を保護する必要がある──とする4つの大胆な政策措置を提言。「それらはすべてコストがかかるが、課税権限を持ち、借り入れもできる『欧州財務省』を創設する以外に選択肢はない」と述べた。


<画像引用>

ECBのタカ派とハト派
http://graphics.thomsonreuters.com/F/12/EZ_ECBHD.html