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タンポポ・ジャパン:忍び寄る産業空洞化の足音、仕掛ける中国の思惑2011/05/29 07:26

タンポポ・ジャパン:忍び寄る産業空洞化の足音、仕掛ける中国の思惑


<関連記事引用>

■部材「海外調達増」25%(社長100人アンケート)
2011/05/29 日本経済新聞 朝刊

 日本経済新聞社が28日まとめた「社長100人アンケート」で東日本大震災によるサプライチェーン(供給網)寸断への対応を聞いたところ、4分の1の経営者が「製品・部材の調達先を海外で増やす」と回答した。震災後、国内で集中生産していた高シェア製品や部材の生産を海外へ分散させる動きが表面化している。震災を機に部品調達先も海外に求める流れが鮮明になってきた。(1面参照)

 足元の施設・設備の稼働状況が、震災前と比べ「大幅に落ち込んでいる」「やや落ち込んでいる」はあわせて46・7%。落ち込みの理由(2つまで回答)については、「供給先企業の被災による需要減」「取引先企業の被災などによる調達難」がいずれも44・4%で、供給網寸断の影響の大きさを改めて示した。「自社施設・設備の被災」も34・9%と3分の1以上に上った。

 サプライチェーン寸断への対応策(2つまで回答)では「同一製品・部材の調達先企業を海外で増やす」が25・2%と最も多かった。「調達先地域を国内で分散させる」(20・7%)や「調達先企業を国内で増やす」(17・8%)など国内の対応を上回った。国内に依存したリスク管理体制の見直しに取り組み始めている。

 政府の電力使用制限など、今夏に予想される電力不足への対応を企業は迫られている。どんな省電力対策を計画しているか聞いたところ(3つまで回答)、最も多かったのが「自家発電設備の導入」で31・9%。「輪番休業の設定」(17・8%)や「生産能力の西日本へのシフト」(9・6%)なども含め、電力消費の多い工場を中心に、あの手この手で夏の電力不足を乗り切ろうとしている姿勢がうかがえる。

 オフィスでの働き方を見直す動きも多い。「夏季休暇の長期化」(14・8%)や、「サマータイム」(9・6%)の導入で、冷房などの使用が増える夏の電力ピークから就業時間をずらそうと工夫している。


■高シェアの電子部品・素材、供給網維持へ分散生産、HOYAやルネサス。
2011/05/26 日本経済新聞 朝刊

HOYAやルネサス 海外にも拠点

 日本メーカーがリスク分散のため、国内に集中している高機能部材を海外で生産する。HOYAは世界シェア8割の半導体生産部材で初の海外生産に乗り出す。ルネサスエレクトロニクスは米国、台湾への生産委託を増やす。技術流出を防ぎつつ生産効率を高めるため国内で集中生産してきたが、東日本大震災後、サプライチェーン(供給網)寸断のリスクに敏感になった海外需要家から生産の分散を求める声が強まった。部材各社は高い世界シェアを守りつつ、災害に強い供給体制を再構築する。(高機能部材は3面「きょうのことば」参照)=関連記事11面に

 世界の自動車、電機メーカーなどは震災前から、リスク回避のため1次取引先の複数化を進めてきた。「ピラミッド型」の調達網を作ったはずだったが、高機能部材は供給できる企業が限られるため、2次取引先以降は調達先が減る「たる型」になっていた。

 震災でこの弱点が露呈し海外メーカーから高機能部材の生産分散を求める声が強まった。不安を払拭できなければ海外の部材メーカーにシェアを奪われる懸念もある。

 HOYAは半導体の生産に不可欠な原版部材「マスクブランクス」を海外生産する。用地選定に入っており、今後1年半を目安に海外生産を始める予定。同社は現在、マスクブランクスを山梨県北杜市の長坂事業所1拠点で生産し世界の半導体大手に供給している。

 長坂事業所は被災していないが、震災後に米インテルなどが「主要部材の供給を日本の1拠点に依存するリスクを懸念し始めた」(HOYA)。このため同社は海外生産に乗り出す方針を大口顧客に伝えた。約3割の世界シェアを持つカメラ用の非球面レンズで使うガラス材料の海外生産も検討する。

 海外移転で技術流出のリスクは高まり「製造コストが上がる」(HOYA)懸念もあるが、災害に強い複線の供給体制を敷いて海外需要家の不安を取り除く。

 ルネサスは7月までに、同じ種類のマイコンなどの生産を国内外の複数工場に分散させる新たな計画をまとめる。米国や台湾にある半導体受託製造会社(ファウンドリー)への委託量を増やす。ルネサスは主力工場が被災で停止し、自動車生産などに影響が出ている。

 日立製作所、三菱電機、NECの部門統合で発足したルネサスでは、工場ごとに半導体の回路設計、製造手法が異なる。今後投入する製品ではこうした技術を共通化し、グローバルな分散生産体制を確立する。

 リコーはカラー印刷に適した複合機用の新型トナーを米ジョージア州の拠点で生産する検討に入った。新型トナーは日本勢が約8割の世界シェアを持ち、コニカミノルタなども現在は全量を国内で生産している。

 リコーの生産拠点は東北リコー(宮城県柴田町)と沼津事業所(静岡県沼津市)の2カ所で、東北リコーが被災。リスク分散のため海外生産が必要と判断した。


■高シェアの電子部品・素材、供給網維持へ分散生産――大胆な政策急務(解説)
2011/05/26 日本経済新聞 朝刊

国内投資促進へ大胆な政策急務

 厳しい国際競争にさらされる企業の多くは、生産拠点の海外シフトを検討している。こうした企業の国内投資を促すためには、政府が大胆な政策を打ち出す必要がある。

 政府は昨年11月に法人税率の引き下げやインフラ整備、規制見直しなどで企業の国内投資を促す「日本国内投資促進プログラム」を策定。外国企業の誘致でアジア各国と競うため、高い能力を持つ外国人を入国審査・永住権付与で優遇することなども目指す。

 しかし法人税の引き下げは、東日本大震災の復興財源の確保のため見送られる公算が大きい。環太平洋経済連携協定(TPP)も参加の意思表明を先送り。抜本策が手詰まりになっている。

 現時点で進んでいるのは、工場敷地の緑地規制の緩和など、投資や企業活動を妨げる規制の見直し。しかし、これだけでは生き残りをかけて海外シフトに動く日本企業を引き留められない。

 今回のHOYAなどの動きは災害などに備えた生産の分散で、ただちに空洞化にはつながらない。だが国内市場の縮小が続く中、日本企業は成長市場の新興国などに生産の重点を置く姿勢を強めており、雇用を維持・拡大するためにも国内投資を促す有効な政策が求められている。


■部材各社海外生産、市場から分散圧力、調達網の「日本外し」懸念。
2011/05/26 日本経済新聞 朝刊

 日本の部材メーカーが生産拠点を海外に移す背景には、株式市場の圧力もちらついている。外国企業が日本勢のシェア切り崩しを狙って部材を供給し始めており、日本メーカーが収益機会を失うことを投資家も恐れている。(1面参照)

 震災後に急落した日本の株式相場は、海外投資家らの買い主導で回復してきた。部材の調達先を失った企業が代替調達を急ぎ、生産の正常化を前倒ししてきたからだ。

 最終製品の生産ストップという懸念は後退し、投資家は部材メーカーの収益に不安の目を転じつつある。米ゴールドマン・サックスは今週、日本企業抜きのサプライチェーンが固定する可能性を「海外投資家が最も注目する(企業収益の)下振れリスク」と指摘した。

 サプライチェーンが寸断される危うさは、ここ数年、何度も表面化した。2009年は米ゼネラル・モーターズ(GM)の破綻で、GMに納入する部品メーカーが連鎖倒産する恐れが出た。昨年は、北朝鮮による韓国への砲撃で韓国からの電子部品の調達に不安が持ち上がった。

 完成品メーカーの間で部材調達地の分散機運が高まった以上、外国勢に需要を奪われないためには部材メーカーが生産地を分散するしかない。目先の経営効率は悪化するが、投資家はそれ以上に安定性を企業に求めざるを得なくなっている。

(編集委員 梶原誠)


▼仕掛ける中国

■中国広東省、日本の中小向け工業団地、初期負担抑制、まず3社進出。
2011/05/26 日本経済新聞 朝刊

 中国広東省は日本の中小企業が進出しやすい工業団地を設立する。最低投資額の基準を設けず、工場の建物も貸し出すことで初期負担を抑制。日系コンサルタント会社が労務など現地業務の相談に応じる体制も築く。第1弾として仏山市南海区に設立。自動車部品メーカーなど3社が25日に同区と進出契約に調印した。

 進出を決めたのは自動車部品のイイダ産業(愛知県稲沢市)と小川工業(和歌山県橋本市)、発電設備部品の松本製作所(兵庫県姫路市)。2012年からの操業をめざす。広東省では自動車産業が集積する広州市花都区も同様の工業団地の開設準備を進めている。

 工業用地が不足するようになった中国沿海部では、最低投資金の支払いや工場の建設で3億~5億円の初期投資が必要になることが多く、負担の重さが中小企業の進出を阻んでいた。

 仏山市南海区などは日本貿易振興機構(ジェトロ)と協力し、中小企業の進出しやすい仕組みを構築。日本の製造業を支える中小企業を呼び込み、地元の産業活性化や雇用拡大につなげる考えだ。(広州=桑原健)


■東日本大震災/香港の投資会社、被災進出企業を優遇-無利子融資2年間
2011/05/27 日刊工業新聞Newsウェーブ21

 香港の投資会社である平謙国際は東日本大震災の被災企業が平謙の中国・大連市の工業団地に進出する場合、中国の国有銀行から2年間の無利子融資を受けられる優遇施策を講じる。また進出の契約書に署名してから100日以内に工場を建てて生産を始められるように支援する。通常は契約から生産まで200日以上かかる。

 平謙国際が進出企業に代わって中国国有銀行に融資を申請。進出企業は2年間、無利子で融資を受けられる。通常、日系進出企業が中国の国有銀行から融資を受ける場合、進出から一定の期間と投資額を超えるなどの厳しい条件がある。大連市が後ろ盾となり、日系企業が優遇されるようにする。

 優遇されるのは福島県や岩手県、宮城県などの被災企業で、公的機関からの罹災(りさい)証明が必要。工業団地の賃料は今後、詰める予定で、「周辺工業団地に比べ競争力のある価格を想定している」という。

 平謙国際の大連の工業団地は保税区にあり、計画中の新大連国際空港に近いほか、大連港には高速道路を利用して40分で着く。面積は66万平方メートルで20社程度の進出を見込む。自動車や電機を中心に製造業を誘致する。

 平謙国際は日系向け工業団地の開発を専門とする投資会社。広州や長安などに団地を構え、自動車、電子機器などの企業進出実績がある。


■日系自動車部品メーカー群が中国へ、工業団地も整備(1)
2011/05/29(日) 15:39  
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0529&f=business_0529_018.shtml

  自動車部品を取り扱う日本の中小メーカーを主な誘致先とする自動車部品工業団地が江蘇省丹陽市で稼働されようとしている。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  江蘇省丹陽市招商局筋の情報によると、江蘇省丹陽市政府は「丹陽日本自動車部品工業園」を設立し、日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援を受け、自動車部品を扱う日本の中小メーカー群を主な誘致の対象とする自動車部品工業園の運営が開始されている。今年11月には入居した工場が稼働できる体制が整うという。

  東日本大震災は、日本国内の製造業に甚大な被害をもたらした。財務省が5月26日に公開した貿易統計(速報)によると、自動車輸出額は2553億円、前年同期比67%減と激減し、1979年1月以来の最低を記録した。現在、海外進出の動きが一企業から産業全体にシフトしており、自動車産業全体では裾野産業に当たる部品メーカーも、江蘇省丹陽工業団地などの部品製造工業基地への進出に積極的になっている。

▽3年後、入居企業は300社に

  5月24日、江蘇省丹陽市に設立された日系部品メーカーを主体とする丹陽市経済開発区のプロジェクト紹介文には、「日本自動車部品工業園(JAPIC)は日系中小メーカーを主体に誘致し、国内一流の自動車部品産業パークを構築する」と書かれている。同工業団地は大まかに分けると、金属加工、電気・電子、樹脂・ゴム、繊維・その他の4機能を持つことになる。

  当該工業団地の総面積は310ムー(1ムー=1/15ヘクタール)で、建築物の延べ床面積は10万3000平方メートルとなっている。うち2500万平方メートルを占める第1期プロジェクトが今年11月には竣工し、入居メーカーの稼働が行なわれる予定である。計画によると、日本自動車部品工業区は第1期および第2期に建設プロジェクトが分かれており、第1期は日本自動車部品工業園区(JAPIC)、第2期は日本自動車装備工業園区(JAEIC)を主体としている。

  丹陽市経済開発区経済管理委員会招商局の殷輝副局長は取材に対し、「入居する日系自動車部品メーカーは、ハイテク製品を丹陽で製造することが契約により取り決められる。製造内容の承認に関しては中国側の厳しい審査を受けることになる」と述べている。

  東日本大震災の影響を受け、日本製の部品供給システムがストップし、自動車メーカーに多大な影響を及ぼすことになった。その結果、リスク分散策として、日本国内の中小部品メーカーによる海外進出が積極的に行なわれている。

  殷輝副局長は、「日本自動車部品工業園(JAPIC)の入居企業は年末時で30―50社を見込んでいる。3年後には日系部品メーカー300社の入居を予測している。JAEICは2012年には稼働できる予定だ」と述べている。(つづく 編集担当:米原裕子)


■日系自動車部品メーカー群が中国へ、工業団地も整備(2)
2011/05/29(日) 16:38  
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0529&f=business_0529_020.shtml

  日系中小部品メーカーは日本貿易振興機構(ジェトロ)および中国自動車工業協会の支援を受け、集団化して、関連産業が集中する中国の工業団地に進出するとされている。

  日本国内では、大地震により自動車産業全体が影響を受けた。部品のサプライチェーンが切断され、自動車組み立て工場の製造停止や減産などといった難局に見舞われている。製造のみならず、港湾も被害を受けたため輸送面も停滞しており、日本国内の生産拠点を一極集中型する分業生産体制の弊害が明るみになった。

  被災地の企業の中では、中小の部品メーカーがその被害を大きく受けている。大地震により、中小部品メーカーの海外進出を望む声が高くなってきている。日本貿易振興機構(ジェトロ)の関係者は、「進出企業が集団化、組織化を行なうことで、中国政府のより多くの支援を得たいと思っている」と述べている。

  この度、自動車産業の一環である日系中小部品メーカーの一団が中国に進出するのは、当該工業区の計画の第1期となる誘致プロジェクトとなる。今のところ30社以上が進出の意向を示しているという。

  この度、日本の部品メーカーが一団となって中国に進出することは、現地の発展をもたらすことになるかもしれない。また、供給体系のレベルアップや改善を促進することになるであろう。日本自動車部品工業園区に入居する日系企業および組織は、現地政府およびJAPIC関連団体の支援を享受することになる。原材料の共同買付け、物流ルートの共有、従業員の共同管理などは、生産コストの削減につながるはずだ。

  法令・規定関連の手続き、通関業務、労務管理などを現地政府およびJAPIC関連団体に委ねることにより、JAPICの入居者は無駄な労力を使うことなく、製造や研究開発に集中して従事することができる。

  社団法人日本自動車部品工業会の関連責任者である田中氏は、「日本の自動車部品メーカーにとって、中国の自動車市場は大きな潜在力を持っている。協会は、日本の自動車部品メーカーの中国進出・発展を促進していく次第であり、日本の自動車産業における供給体系をより完備していきたいと思っている」と述べている。(おわり 編集担当:米原裕子)


★ジェトロ:丹陽日本自動車部品工業団地・鎮江開発区見学会
=募集は締め切りました
http://www.jetro.go.jp/events/mission/20110518106-event


▼ここでも後手後手、政府の対応

■産業空洞化防止へ「リスク分散は国内で」 官房長官-震災で寸断の供給網復旧、政策誘導も
2011/05/27 17:55 日本経済新聞電子版ニュース

 枝野幸男官房長官は27日午後の記者会見で、東日本大震災で寸断された国内メーカーのサプライチェーン(供給網)について「中長期という観点からは一定のリスク分散という課題が避けられないと思うが、分散先が国内になるように日本全体としての空洞化防止策をさらに強化する」との方針を示した。

 そのうえで「これまで東北のみに拠点を置いた企業が西日本などにリスク分散することで東北の空洞化が加速しないように、逆に他の地域を拠点としている企業がリスク分散を図る場合には東北に工場を立地してもらえるような政策誘導も進める」と強調した。〔日経QUICKニュース〕