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迫り来る「産業空洞化」の大津波:武藤敏郎「一番心配されるのは生産拠点の海外移転だ」2011/05/21 09:18

迫り来る「産業空洞化」の大津波:武藤敏郎「一番心配されるのは生産拠点の海外移転だ」


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武藤元日銀副総裁:2011年度の実質成長率はマイナス必至-講演(1)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=a.XCQlXo3Djw

  5月19日(ブルームバーグ):元日本銀行副総裁の武藤敏郎大和総研理事長は19日午前、都内で講演し、同日発表された今年1-3月の実質国内総生産(GDP)1次速報値が前期比年率マイナス3.7%と予想を上回る大幅な落ち込みとなったことを受けて、2011年度の実質成長率は「マイナスとなることは間違いない」との見方を示した。

  武藤氏は1-3月の実質成長率が大幅な落ち込みとなったことについて「個人消費が減少し、輸出から輸入を差し引いた純輸出も減少したが、在庫の減少がとりわけ大きく影響した。供給制約により企業が在庫を一斉に取り崩したためで、在庫の減少はGDPではマイナスに働く」と指摘。その上で、11年度の実質成長率は「恐らく0.4-0.5%のマイナスになるだろう」と語った。

  1-3月期GDPの6割近くを占める個人消費は前期比0.6%減と2期連続マイナス、設備投資は0.9%減と6期ぶりのマイナス、純輸出は0.2ポイント、在庫は0.5ポイント全体を押し下げた。ブルームバーグ調査によるGDPの予想中央値は前期比0.5%減、年率1.9%減だった。

  消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年同月比は「13年初にプラスになる可能性がある」としながらも、震災の影響で需給ギャップの解消が「後ずれする可能性がある」と述べた。一方「震災により生活関連の物価は上昇している」と指摘。「マクロの物価は安定しているが、主婦は皮膚感覚では物価が上昇していると認識する可能性が高く、期待インフレ率の上昇が起こりつつあるのではないか」と語った。

            日本経済の空洞化が懸念

  武藤氏はまた、震災が長期的に日本経済に与える影響について「電力供給には多分、長期的に制約がかからざるを得ない」と指摘。サプライチェーン(調達・供給網)寸断の影響と併せて、「一番心配されるのは生産拠点の海外移転だ」と述べた上で、既に海外への移転を「検討し始めた企業がかなりあるのではないか。それが現実化すると、日本経済の空洞化が懸念される」と語った。

  さらに、被災地の地域金融機関の不良債権問題にも言及し、地域金融機関の融資のうち、住宅ローンは担保である住宅が流され、融資の担保であった船などもなくなっていることから、「いずれ不良債権が急増するだろう」と述べた。


CPIは12年度再びマイナスに=武藤大和総研理事長
2011年 05月 19日 15:09 JST

[東京 19日 ロイター] 武藤敏郎・大和総研理事長(前日銀副総裁)は19日、都内で講演し、東日本大震災を受け需給ギャップ改善によるデフレ脱却が遅れるため、消費者物価指数(CPI)が「高校授業料無償化の反動の影響がなくなるとマイナスに戻る可能性がある」と述べ、2012年度に入り再び低下するとの見方を示した。

 13年初めのプラス転換を見込むが、多少遅れる可能性があるとした。また30兆円程度に膨らむ可能性がある復興費用を賄うため、復興基金の設立や連帯税が必要との持論を繰り返した。

 武藤理事長は、12年前半に需給ギャップがマイナス3%程度に縮小することで物価がマイナスからゼロ領域に上昇、物価は需給ギャップ改善に9カ月程度遅れて上昇すると説明したが、「事態はどちらかというと悪い方に向かっており、需給ギャップ改善の時期も後ずれする」と指摘した。

 一方で、生活関連品の価格上昇により、人々の期待インフレ率上昇が起こりつつある可能性にも言及した。

 実質経済成長率見通しについては、11年度の10─12月期からプラス転換するものの、11年度通年では前年比マイナス0.4─0.5%にとどまり、12年度も大和総研の従来見通しである3.0%から多少下振れるとの見方を示した。19日朝方発表された11年1─3月期国内総生産(GDP)が前期比・年率換算でマイナス3.7%だったことについては「市場コンセンサスより相当悪い、ショッキングなものだった」と指摘した。 

 震災によるサプライチェーン(供給体制)寸断の影響で11年度上期の自動車生産台数は前年比4割減とみていたが、最新の情報によれば減少幅は半分程度にとどまると述べた。

 震災前から企業は国内よりも成長率の高いアジアなど海外に生産拠点を移転しつつあったが、震災がその動きを加速しているとし、産業空洞化への懸念を示した。

 被災地金融機関については、今のところ政府の資金繰り支援が奏効しているものの、不良債権はいずれ急増するとの見通しを明らかにした。阪神・淡路大震災でも震災の翌年から倒産が急増したと指摘した。

 阪神・淡路大震災では震災後60日で8割まで進んでいたがれきの処理が、岩手県では18%にとどまるなど極めて遅れていることに言及。東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)・福島第1原子力発電所の事故で「悪い情報が次から次へと出てきて本格的に復興に取り組む雰囲気にならない」とし、「最終処理に10─20年かかるとしても、少なくとも収束の方向を実感する必要がある」と強調した。

 原発処理を含む震災復興費用については30兆円程度との見積もりを示し、全額を国が負担することはできないため、政府保証債を発行する復興基金の設立が必要と述べた。被災地向け低利融資と出資者へのリターンの差額については、連帯税による穴埋めを提唱した。 

(ロイターニュース 竹本能文;編集 山川薫)


「11年度はマイナス成長に」 武藤・大和総研理事長が講演 (画像引用)
2011.5.20 05:00
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110520/mca1105200502001-n1.htm

 元財務事務次官の武藤敏郎大和総研理事長が19日、今後の日本経済をテーマに都内で講演し、同日発表の1~3月期の国内総生産(GDP)速報値が実質3.7%減(年率)だったことを踏まえ、2011年度はマイナス成長になるとの見通しを示した。

 武藤氏は1~3月期のGDPについて、「非常にショッキングなものになった。市場コンセンサスより相当悪かった」とし、11年度は「マイナス0.4、0.5%とか、そのくらいになるだろう」と述べた。四半期ベースでは、7~9月期には震災による景気悪化が底を打ち、「10~12月期はプラスになっていく」と見込んだが、復興需要が出てくることが前提だ。

 また、1995年の阪神大震災の経験から、「地震直後の倒産は金融支援によってそんなに増えないが、翌年くらいから増えた」と指摘し、雇用問題への波及を懸念。地域金融機関に対しては、住宅損壊などの資産劣化で借り手側の資金繰りも苦しくなることから、「不良債権は急増していくだろう」と述べた。

 産業への影響では、電力供給不足と部品の調達難が海外移転を促す可能性を指摘。「震災前から海外移転問題はあったが、アジアと日本は成長率格差があり、自然の流れだ。震災が背中を押したというのは事実だろう」と述べ、産業の空洞化につながることに警戒感を示した。


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武藤敏郎:復興資金の調達は財政状況を悪化させないことが基本
膨大な民の金融資産活用も図るべし
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/05/20/5871570