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いつかはまた晴れる日が来るから2011/04/10 14:52






<コメント引用>

YouTube - 美空ひばり - 川の流れのように
評価の高いコメント
http://www.youtube.com/watch?v=3wmIrAFKLs0

震災のとき、生まれて初めて死を覚悟した。怖かった。

幸い、家族も家も無事だった。でも、その両方を失った人も多くいる。あるいは一家全員で亡くなってまだ発見されていないケースもあるのだろうか。想像を絶する。

毎日のニュースで、涙が止まらない。昔、二年間住んでいた気仙沼が津波で流され、火事で燃えてる。この世の終わりだと思った。火の海だった。

今はライフラインが断たれているだけで、オレは被災者とは言えないと心から思う。

自分にできることは、まず一生懸命生きることだと思った。

毎日、音楽に励まされている。ひばりさんの曲は、元気が出る。

全ての被災者の人に、これから良いことがたくさんあるように祈念している。

必ず良いことがある。信じてる。

「東電ショック」で国滅ぶ、「原子力村」ギルドで国滅ぶ、前代未聞の無知で未熟な「政治主導」で絶体絶命の危機到来2011/04/11 06:53



痛恨の福島第1原発「複合事故」。

初期主導の遅れを考えれば原発事故は8割が人災。
日本経済をどん底に追いやった「無計画停電」にいたっては完璧な人災。

すでに当事者たちは人災を認めているのか、醜い責任の擦り合い。
政府、東電、保安院他役人どもが責任逃れで情報リーク合戦。
そこに群がる日本メディア。

独自に集めた情報ともすり合せ、全員クビが妥当と判断。

「人災」を認めた方が何かと都合がいい。当面原発は守られる。
わかっているよな菅直人。


<関連記事引用>

菅首相の官僚外しと原発危機対策
2011年 4月 10日 14:02 JST
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_219448

 【東京】菅直人首相は、震災で停止した福島第1原子力発電所の危機対応のため、旧来の官僚主体の指揮系統を排除し、独自にアドバイザーを招請して特別対策チームを設置した。このことは、キャリア官僚の怒りを買うとともに危機管理を誤ったとの首相への非難が強まっている。

 災害基本法に基づいて設置された災害対策本部があるにもかかわらず、菅首相は、同原発の事業者である東京電力(東電)への対応に新たな緊急対策機関を併設したのだ。

 3月11日の地震と津波以降にとった一連の措置を通じ、菅首相は、過去数十年にわたってキャリア官僚が政策策定を主導してきた日本で、国を統治する新たな方法を事実上試運転しているといえよう。

 だが首相が現地視察に向かったことが過熱した原子炉の爆発を食い止める初動の遅れを招いたと指摘されている点を含め、自ら陣頭指揮しようとする首相の決意が危機を一層悪化させたとの批判が起きている。

 菅首相が、おおかた反故(ほご)にしてしまった原発緊急時計画の策定にかつて一官僚としてかかわった与党民主党の福島伸享衆議院議員は、「マニュアルがあるにもかかわらず、マニュアル通りに動かず、アドホック的に自分たちで命令系統を作り時間を浪費している。実際にマニュアル通りに対応して事態がもっと軽症で終わっていたかどうかは分からないけれど、少なくとも対応が遅れた」と語る。

 福島氏は、「今や経済産業大臣も東電の本社に行っている。言ってみれば、消防庁長官が火事の現場にいっているようなもの」と語る。大将は本丸にいるべきで、現地に判断をさせる部分、大臣が判断する部分、総理大臣が判断する部分はマニュアルであらかじめ分けてあったのだが、「どこで誰が判断するかということが一番混乱している」と指揮系統の混乱を指摘した。

 東電と政府は、震災と事故への初期対応について批判にさらされている。菅首相はそうしたつまずきを、自ら陣頭指揮に当たることを正当化する理由にしてきた。首相周辺によれば、断固たる措置をとる以外、首相に選択肢はなかったという。

 菅首相の側近トップである枝野幸男内閣官房長官は取材に対し「今回の災害対策では、通常の行政システム、時間の掛け方では対応できなかった」とし、政治が従来の手順や段取りにこだわらず判断することで一定の効果があったと弁明している。

 とりわけ、3月19~20日の週末に東京都の消防隊員を原発の現場に派遣し、使用済み核燃料棒を貯蔵してあるプールを冷却するため何千トンもの水の放水にあたらせる手を打ったことは、菅首相の功績だという。

 首相の危機管理へ直接手を下すやり方は、部内者をも驚かせてきた。地震発生当日から、菅首相は被災した原発に強い関心を示し、非常用発電機を原発ま で空輸できるかどうか尋ねたこともあったという。側近の一人、下村健一氏によると、首相は自ら携帯電話をかけて、発電機のサイズと重量を問い合わせたとい う。

 民主党は、政治主導を唱えて選挙戦を繰り広げ、2009年に政権をとった。国家的危機のさなか、官僚主導を排除しようとする菅首相の決意は、官僚主導の日本においては明確に政治的色合いを帯びている。

 政治的な非難の応酬に距離を置く人々の中にも、菅首相の政治主導の原則を評価する一方で、その原則を実行に移す際にあまりにも多くのことを自分でやろうとしたことで、つまずいた、との見方がある。

 日本大学の政治学者、岩井奉信氏は、「民主党は危機管理のノウハウが弱い」、「素人だったことがマイナスになっている」 と語る。

 菅氏は、1980年に政界入りし、長く野党に身を置いた。96年には厚相として、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に汚染された血液製剤の流通に 関わる隠ぺい工作を暴き、官僚と企業幹部に責任をとらせた。菅氏には、福島原発事故もまた、大企業と官僚の癒着を物語るものと映った。

 99年に制定された原子力災害対策特別措置法は、首相を本部長とする原子力災害対策本部の設置を定めている。菅首相は、この法律に従って同本部を設置した。しかし、側近トップの枝野官房長官によると、首相はその後、情報が幾層もの官僚機構をくぐって上がってくるのをただひたすら待たなければならなかったという。

 日本共産党が発表した会談筆記録によると、菅首相は先週、共産党の志位和夫委員長に対し、「『原子力村』というか、ある種、専門家のギルド的な雰囲気がある」と語っている。

 地震後数日以内に、菅首相は独自の計画を練り上げていた。3月15日午前5時30分に東電本店に乗り込んだ首相は、東電本社内に統合対策本部を設置 することを経営陣に伝えた。この新しい対策本部には、菅首相の補佐官らを配置することとし、東電から直に情報を取って、その場で命令を出せるようにした。

 こうした臨機応変の措置は、各国が「責任の明確な割当」を伴う「指揮統制体制」を事前に設けるよう定めている国際原子力機関(IAEA)のガイドラインに反しているとみられる。

 首相サイドは東京都の消防隊の派遣を、新体制が機能している例として挙げているが、それ以前の、過熱する使用済み燃料プールの冷却を試みて失敗した機動隊高圧放水車の一件を批判する向きもある。

 元警察官僚で自民党衆議院議員の平沢勝栄氏が首相官邸や一部民主党議員から聞いた話では、官邸はまず、機動隊放水車を派遣するよう命じたという。平沢氏は、そこは当然官邸に責任があるとし、放水を専門にしているのが消防であることは子どもでも分かると述べている。

 四方敬之内閣副広報官は、まず消防を呼ぶべきだったと思った人もいるかもしれないが、内閣府はその時点時点で最善と思われる措置をとってきたと述べている。

 放射線データ公表の遅れの責任が誰にあるのかについても、双方の言い分は食い違っている。政府の原子力安全委員会はようやく23日になって、福島第 1原発周辺20キロ圏内の避難地域の外でも放射線濃度が高いおそれがあると公表した。このデータ発表を受け、政府は原発から30キロ圏内の住民に避難支援を提供することにした。

 首相側近によると、首相は22日の会合に原子力安全委員長ともう一人の委員を呼び出し、官僚の縄張り争いについて不満を表明することで、データ公表に直接介入したという。

 前出の福島議員は、皆が手順に従っていたなら、こうした情報は「即時公表」されていたはずという。一方、原子力安全委員会の広報官によると、データ公表の遅れは、重要データの不足と委員らの多忙な日程によるものだったと説明した。

 震災翌日12日午前7時ごろの菅首相の福島第1原発視察をめぐっても議論がある。菅首相は、床の上に毛布にくるまって眠っている作業員の脇を通り抜けて、小会議室で原発施設の幹部2人と20分間にわたって会談した。ある側近によると、首相は技術的質問をし、過熱する原子炉を冷却する方法について アドバイスしたという。

 問題は、この視察のせいで1号機のベント開始が遅れたかどうかだ。原子力安全・保安院が発表した時系列記録によると、11日午後10時の時点には、 保安院当局者は、翌日早朝には1号機原子炉内部で炉心が溶け始めると予想し、圧力を下げるための緊急ベント開始を要求していた。だがベントが始まったの は、菅首相が現場をあとにした数時間後だった。

 菅首相は、視察のせいでベント開始が遅れたことを否定した。政府当局者は、遅れの原因が、電源喪失後に手動で弁を開くことの難しさと連絡上の問題にあったとしている。

 官僚の不満が募るなか、菅氏の長年のアドバイザーだった北海道大学の政治学者、山口二郎氏は先週、首相官邸に緊急面会を申し入れ、官邸で40分間会談した。山口氏と同僚の北大教授は菅首相に、官僚の活用を強く促したという。

 山口氏は首相に、「責任追及をしている時ではないといった」という。同氏によると、菅首相は、一部始終を伝えてくれないから官僚は信用できないと改めて不満を漏らし、会談は不本意な結果に終わったという。

 しかし、首相側近はこの助言を受け入れる兆しをみせており、民主党が政権に就いて以後廃止した事務方トップの会合を復活させた。この会合は目下、震災救援・復興に関する政策の調整に当たっている。

記者: Yuka Hayashi and Norihiko Shirouzu


【大震災特別連載】官邸機能せず(上)「開かずの扉」のその奥は…
2011.4.10 00:29
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110410/stt11041000390000-n1.htm

 首相官邸に「開かずの扉」がある。5階の首相・菅直人の執務室。3月11日の東日本大震災発生後しばらくは早朝から深夜まで怒号が響いていたが、震災から1カ月を迎える最近はトンと静かになった。中の様子はどうなっているのか。

官僚の足遠のく

「やっと精神的な安定期に入った」「気力がうせているのではないか」-。そんな臆測が乱れ飛ぶ。各国外交官も政府関係者に「首相は本当に大丈夫なのか」と真顔で問い合わせてくるという。

 なぜ扉が開かないのか。理由は一つ。よほどの緊急時でない限り、誰もノックしようとしないからだ。官僚であろうが、政務三役であろうが、誰かれかまわず怒鳴り散らす。ある官僚は東京電力福島第1原子力発電所の事故の最新状況の報告に入ったところ、菅から頭ごなしにこう言われた。

 「そんな話は聞いていないぞ!」

 日本の官僚は「首相がすでに知っている話を報告したら恥だ」と教育されてきた。マスコミに政策をスクープされることを嫌う最大の理由はここにある。ところが菅には通用しない。

 官僚の訪問は絶えた。4月に入り、官僚が首相執務室を訪ねたのは7日まででわずか8組。ある官僚は吐き捨てるように言った。

 「民主党政権であろうと大連立であろうと何でもいい。とにかく首相だけは代わってほしい。もう官邸を見るのも嫌だ…」

 さすがの菅もまずいと思ったらしい。3月26日、前国土交通相・馬淵澄夫を首相補佐官に起用したあおりで首相補佐官を外された衆院議員、寺田学の机を首相秘書官室に置かせ、「開かずの扉」の“開閉係”を命じた。34歳の寺田は64歳の菅と親子ほど年が離れているせいか、腹も立たない。腰が軽く頭の回転が早いところも気に入っているようで妻・伸子と並ぶ「精神安定剤」となっている。

 もう1人、頻繁に首相と会っている男がいる。内閣情報官・植松信一。官邸の裏通路を使い首相執務室に出入りするので新聞などの「首相動静」に載ることはないが、週に2~3回は報告に入っているという。

 植松の報告で菅がもっとも神経をとがらせているのは政界の「菅降ろし」の動き。次に気になるのは内外メディアが自らをどう報じているかだという。

 ある官僚は執務室に山積された新聞や雑誌の切り抜きを見て愕(がく)然(ぜん)とした。記者団のぶら下がり取材に応じないどころか、災害対策基本法に基づく中央防災会議さえ開こうとせず、執務室に籠もって一人で新聞や雑誌を読みふけっていたとは…。そこに未曽有の国難にどう立ち向かおうかという発想はない。

「現場見てないだろ」

 「どんなことがあっても原発の異常を食い止めるんだ。みんな覚悟はできているだろうな!」

 3月11日午後4時25分すぎ。東電福島第1原発の異常を伝え聞いた菅は、首相官邸地階の危機管理センターから執務室に移ると、官房長官・枝野幸男ら官邸スタッフを前にこう命じた。鬼のような形相に一人はこう感じた。「死者が出ることを覚悟しているな…」

 東工大応用物理学科卒で「ものすごく原子力に強い」と自負する菅はさっそく執務室にホワイトボードを持ち込み、原子炉の格納容器への海水注入などを次々に指示。午後10時に経済産業省原子力安全・保安院から炉心溶融の可能性を指摘されると菅は12日午前1時半に炉内の蒸気を排出するベントを急ぐよう指示した。

 ところが、東電の反応は鈍かった。しびれを切らした菅は午前6時14分、陸上自衛隊のヘリに乗り込み第1原発の視察を強行。「こっちは人命を考えてやっているんだ。早め早めにやらなきゃダメだ」と東電副社長・武藤栄に詰め寄った。

 「東電の見通しは甘い。どうなってるんだ!」

 菅の意気込みはますます空回りし、秘書官らに当たり散らした。保安院幹部らの説明にも「お前たちは現場を見てないだろ!」。面識もない官僚に突然電話で指示を出し「何かあったらお前らのせいだぞ」と責任をなすりつけた。

 そして東電が第1原発からの撤退を検討していることを聞きつけると15日午前4時15分、東電社長の清水正孝を官邸に呼びつけた。

 菅「清水さんだったらどうしますか?」

 清水「残ります…」

 菅は言質を取ったとばかりに5時35分に東京・内幸町の東電本社に乗り込み、「撤退などありえない。撤退したら東電は百パーセント潰れる」と恫(どう)喝(かつ)した。

 感情まかせの行動にしか見えないが、菅は「原発問題は官邸主導でやれる」と確信したようだ。政府と東電の統合連絡本部を設け、東電本店に経産相・海江田万里と首相補佐官・細野豪志を常駐させた。主要官庁の閣僚不在により政府機能はますます失われた。

説明に逆ギレ

 「助けてくれないか!」

 3月16日夜、元防衛政務官、長島昭久の携帯電話に細野の悲痛な声が響いた。

 長島「何を?」

 細野「『何を』なんて次元じゃないんですよ…」

 菅は自衛隊にヘリからの放水を指示したが、自衛隊は放射線量を気にしてなかなか応じない。地上からの放水のオペレーションも自衛隊、警察、消防の調整がつかないという。

 その間も菅からは「早く放水させろ」と矢のような催促が続き、細野はすっかり参っていた。

 原子力災害対策特別措置法を適用すれば、首相はいろいろな指示が出せる-。これを説明すべく2人は17日に菅と面会した。

 「指示はとっくに出した。なぜ進まないんだ!」

 菅は逆ギレした。ところが菅の「指示」とは口頭で個別の官僚に命じただけ。これでは官僚組織は動かない。長島らは慌てて指揮系統を自衛隊に一元化させる関係閣僚への「指示書」を作成させた。これがその後の放水作業につながった。

 それでも菅は納得しなかった。18日に官邸を訪ねた元連合会長で内閣特別顧問・笹森清にこんな不満を漏らしている。

 「現場の意思疎通がうまくいっていないんだ…」

「セカンドオピニオン」

 菅の官僚機構と東電への不信は深まるばかり。東工大教授で原子炉工学研究所長の有富正憲らを次々と内閣官房参与として官邸に迎えたことは証左だといえる。

 その数はすでに6人。「セカンドオピニオン」を背後に付け、菅はますます高飛車になった。東京電力や原子力安全・保安院などが自らの指示に抵抗すると「俺の知ってる東工大の先生と議論してからこい」と言い放った。

 ところが、3月末になると菅はすっかり淡泊になった。細野が日課となった東電福島第1原発の状況を報告しても「そうかあ…」「それでいい」-。どうやら事態の長期化が避けられないことを悟り、気合を持続できなくなったようだ。

 菅は4月1日の記者会見で「専門家の力を総結集しているが、まだ十分安定化したというところまでは立ち至っておりません」と長期化をあっさり認めた。

 淡泊になったのは理由がある。東日本大震災の発生後、菅の頭は原発でいっぱいだったが、ようやくガソリンや物資供給など被災者支援が後手に回っていたことに気づいたようだ。

政務3役も無言

 実は首相官邸の指示がなくても各省庁は阪神・淡路大震災を先例にさまざまな被災者支援や復旧策をひそかに準備していた。ところが政務三役の「政治主導」が障害となった。

 ある局長級官僚は「官邸も動かないが、政務三役も何も言ってこない」といらだちを隠さない。民主党政権になり政務三役に無断で仕事をやってはいけないという「不文律」ができた。「勝手なことをやりやがって」と叱責されるのを覚悟の上で官僚機構は黙々と対策を練ったが、実行のめどは立たない。政治不在がいかに恐ろしいか。官僚らは思い知った。   

自衛隊に多大な負担

 自衛隊も官邸の機能不全の被害者だといえる。

 「遺体の搬送や埋葬まで自衛隊が背負わされているんだぞ!」

 3月23日、防衛相・北沢俊美は厚生労働省に怒鳴り込んだ。自衛隊の本来任務は行方不明者の捜索だが、遺体を発見すれば市町村に渡す。ところが市町村は被災で動けず葬儀業者も見つからない。やむなく遺体安置所から埋葬地までの遺体搬送や埋葬までも自衛隊が請け負った。救援物資輸送やがれき撤去などの任務にも影響が及んでいた。

 北沢は3月18日に枝野に調整を求めたが、官邸の最終的な返答は「関係省庁でよく協議してほしい」。そこで北沢は埋葬を所管する厚労省との直談判を試みたのだ。

 厚労相・細川律夫も「確かに自衛隊ばかりにお願いするわけにはいかないな」と応じ「官邸抜き」の調整が始まった。結局、事務レベルの関係省庁連絡会議が開かれたのは4月1日。運輸行政を担う国土交通省の協力を得て民間業者による遺体搬送態勢が整ったのは4月5日だった。

 「政治家だけじゃなくてあらゆる者を総動員させるべきだ。要は役人をどう使うかなんだ」

 国民新党代表・亀井静香は2日、こう忠告したが、菅はのんきに返答した。

 「まあ役人を使えるのは一に亀井さん、二に私、三に仙谷さんだな…」(敬称略)


本部や会議が乱立…指揮系統、官僚も「不明」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110410-OYT1T00366.htm?from=main3

 東日本大震災への対応で、政府全体を指揮する「司令塔」が依然として見えてこない。

 政府内には「本部」や「会議」が乱立気味のうえ、菅首相はブレーンとして内閣官房参与を次々と任命するなど肥大化が続いている。菅首相がどう指導力を発揮するのか、正念場となる。

 ◆「何の会議」◆

 「出席してても『これは何の会議だっけ』と思う」

 国土交通省幹部は震災以来、対策本部などの会議に忙殺される官僚の気持ちをこう代弁した。

 震災から1か月後の今、政府内では、「会議が多過ぎる」「指揮系統や役割分担がハッキリしない」など、「組織乱立」への不満が充満している。各組織の構成や仕事の内容を整理するために政府が作成した内部資料は十数ページに及ぶ。

 対策本部は閣僚級だけで五つ。被災者受け入れ支援については、地震・津波なら「被災者生活支援特別対策本部」、原発事故による退避なら「原子力被災者生活支援チーム」に分かれる。省庁ごとの「縦割り」でなく、複数省庁による「横割り」組織の乱立には、「責任の所在がわかりにくくなり、かえって非効率だ」(政府筋)との指摘もある。

 ある経済官庁幹部は、「ナントカ会議が多すぎて政府全体の優先順位が見えない。自民党政権時代は、党の部会で政治家同士が議論し合い、その場で役人に指示があったので、政治家の問題意識が顕在化して動きやすかった」と話す。民主党は、内閣と党の「政策決定の一元化」を掲げ、震災対応も党より政府主導で進んでおり、意思決定プロセスがわかりにくい。

 震災1か月となる11日を機に、首相はさらに有識者らによる「復興構想会議」や閣僚級の「復興本部」(仮称)などを設置する方針だが、西岡参院議長は7日の記者会見で「会議が踊っている」と酷評した。

 ◆参与膨張◆

 政府の責任の所在をさらに見えにくくしているのが、首相のブレーンとなる内閣官房参与の存在だ。震災後、首相は6人を任命。現在は総勢15人と過去最多だ。

 「あいつらは、正確な情報を伝えてこない。あいつらは、何か情報を隠している」

 菅首相は、しばしば周辺に「あいつら」への疑心暗鬼をあらわにする。東電や原子力安全・保安院、原子力安全委員会のことだ。首相は連日のように参与を呼んで「あいつらとは違う視点のセカンドオピニオンを得る」のだという。このため、首相は参与との面会には官僚を同席させないことが多い。一部の参与は、東電にある統合本部にも詰め、日米両政府の連絡調整会議にも出席。官僚からは「どういう権限で出席しているのか」との不満が漏れる。

 そんな首相に先月27日に会った政治学者の山口二郎北大教授はこう伝えた。

 「外部の専門家を使うのはいいが、情報がランダムに入ってくるだけでは逆に混乱する」

 一方、参与側にも「個別の意見では採用されない」として、民間スタッフによる発言力を強めるための「参与会議」創設を模索する動きもあり、政府内の意思決定ラインは複雑を極めている。(政治部 吉村隆平、鎌田秀男)
(2011年4月10日14時53分 読売新聞)


▼「ベント」の真相
日経:原発「安全神話」に葬られた日本製災害ロボット
編集委員 滝順一
2011/4/10 16:17
http://goo.gl/8agoA

 すべてが始まった3月11日夜、福島第1原子力発電所2号機が電源喪失と冷却不足で「炉心溶融の可能性」と報じられた。菅直人首相はじめ政府から東京電力に対し「ベント」と呼ばれる排気操作が指示された。原子炉圧力容器の圧力が高くなり危険であるうえ、消防ポンプ車で海水を炉心に緊急注入するには、内部の蒸気を抜いて圧力を下げる必要があったからだ。原子炉内は高圧で、消防車の力では水を入れられない。

 東電はベント操作をすぐに実行しなかった。これに対し「海水注入で原子炉が使い物にならなくなるのを恐れた東電が躊躇(ちゅうちょ)したからでは」と、東電の対応に批判的な見方がある。遅れの真の原因は、いずれ事故調査の過程で明らかになるはずで、現時点では明言はできないが、東電がベントをしたくてもできなかった可能性もある。

 原子炉が冷却機能を失った場合、「ベントと水(海水とは限らない)の緊急注入は事故対応の手順書に明記されている」と原発に詳しい専門家は言う。ただ、被災直後の所内は停電で真っ暗。混乱のなかでベントを実行するには、建物内に入って2つの弁を手動で開けなければならない。1つの弁は空気圧で開く仕組みで、コンプレッサーが動かないため、ガスボンベを現場まで持って行く必要があったという。現場作業者の安全も考慮すれば、即時の実行が困難だった可能性はある。

 こんなことを書くのは、東電をかばうためではない。強調したいのは、事故対応の手順書がいざというときに実行困難であったかもしれないということだ。現実と遊離した手順書の存在は、東電はもちろん、原子力の安全規制にかかわる人たちが、ベント操作を必要とする事態を真剣に想定していなかったことを意味してはいないだろうか。紙の上の、形だけの対応を決めて、安心していた。もしそうなら、このことにかかわった技術者たちは深く反省するべきだ。福島第1以外の各原発の安全総点検でこれからチェックしなければならない項目の一つだろう。

 炉心溶融などの深刻な事態を専門家は「シビアアクシデント(過酷事故)」と呼ぶ。日本ではシビアアクシデントは起きないと、原子力関係者は事あるごとに語り、いわゆる「安全神話」を広めてきた。深刻な事故に至る前の段階でトラブルを食い止める手法はいろいろ工夫してきたかもしれない。しかし、起きてしまった後の対応については、手薄だった。ベントの手順書はその象徴にも思える。自ら広めた安全神話に縛られ、シビアアクシデント対策を真剣に考える機会を逸した。あるいは、考えてみようともしない知的怠慢に陥ったと言われてもやむを得まい。


▼菅首相の東電本店急襲の真相
東日本大震災:被災者支援、出遅れ 官邸チーム乱立、官僚に戸惑い
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110410ddm012040087000c.html

 東日本大震災への対応で菅政権は、被災地支援と原発事故という「同時多発危機」への対処を強いられる苦境が続く。大津波のあまりの惨状に復興への足がかりをなかなかつかめず、原発事故は続出するトラブルへの対症療法的対応で一進一退が続く。発生からの1カ月を政治の現場から振り返る。【田中成之、野原大輔、野口武則】

 菅直人首相や枝野幸男官房長官が原発事故の対応に追われた結果、政府の被災者支援は後手に回った。首相官邸の態勢を立て直そうと設置された「本部」や「会議」は傘下のチームも含めると20を超え、指揮系統の混乱がかえって首相の指導力不足を印象づけている。

 「被災地は大丈夫ですか」。震災発生当初、「原発一色」の官邸を見かねた民主党の岡田克也幹事長や仙谷由人代表代行(前官房長官)は首相に繰り返し懸念を伝えた。「役所は自分で責任を負わない。誰に何をやらせるかが大事だ」が首相の持論。1月まで「影の首相」として政府内を仕切っていた仙谷氏を官房副長官として官邸に復帰させたのは震災6日後の17日だった。既存組織を頼らずに「自前チーム」を次々と首相が発足させた背景には薬害エイズ問題などで首相に染みついた官僚組織への不信感が根強く残っていた。

 仙谷氏が被災者生活支援各府省連絡会議を設置したのが22日。官僚組織を総動員しようと全府省の事務次官を集めた。「カネや法制度のことはあとから考えろ。スピード感を持って処理しろ」。仙谷氏は官僚らにげきを飛ばした。生活支援のメニューが官邸に集約されるようになったが、「官僚主導」の象徴として廃止した事務次官会議の復活とも皮肉られた。

 政治家の仕切る本部・会議の乱立には、官僚側から「誰に報告すればいいのか」と戸惑う声も出ている。被災地支援には仙谷氏と片山善博総務相、松本龍防災担当相、平野達男副内閣相、辻元清美首相補佐官(ボランティア担当)の「5役」がかかわり、ある省の幹部は「何でも5役会議を通さないといけない。政治主導の弊害だ」とぼやく。

 「首相の関心は復興に移っている」と政府関係者は指摘する。首相は震災1カ月の節目となる11日、「復興構想会議」の設置を発表し、被災地の復興へかじを切る構え。復旧・被災者支援は仙谷氏が主導しただけに、復興ビジョンを自ら示すことで政権の求心力を回復させたい思いもにじむ。

 ◇東電に不信感、首相急襲 「原発撤退したら日本がつぶれる」

 「東電撤退を許さなかっただけで菅直人が総理だった価値はある」。政府高官はこの1カ月で首相が最も指導力を発揮した場面を3月15日早朝に東京電力本店に乗り込んで「全面撤退」を阻止した時だったと述懐した。

 東電福島第1原発では大地震翌日の12日午後、1号機建屋で水素爆発が起き、14日には3号機建屋でも水素爆発が発生。複数の政府関係者によると、東電幹部は14日夜、枝野氏、東電を所管する海江田万里経済産業相、原発事故担当の細野豪志首相補佐官に「全面撤退」を打診していた。

 11日夜から、格納容器の弁を開けて圧力を下げる「ベント」に踏み切らなかったことで生まれた東電本店への不信感は深まり、官邸は首相の12日午前の視察を機に信頼を寄せるようになった吉田昌郎・福島第1原発所長に確認。吉田氏は「何とか(原発は)止められる」と説明した。

 政府関係者によると、報告を受けた首相は15日午前4時過ぎ、東電の清水正孝社長を官邸に呼んだ。「退くのか」と問う首相に清水氏は否定したが、首相は説明を信じられず東電本店を急襲。「撤退などあり得ない。日本がつぶれる」とクギを刺し、政府との統合本部を東電に設置。細野氏に常駐を命じた。首相を迎えた東電社員は「激励に来てくれると喜んでいたら、怒鳴られてすごいショックを受けた」と落胆を隠さなかった。

 自民党は「総大将自ら刀を持って外に行くのは最悪」(脇雅史参院国対委員長)と批判したが、首相は後に「放置したら原子炉が溶解し、アメリカが(原発を)占領しに来るぞ」と周辺に漏らしている。

 統合本部設置後、東電は官邸との意思疎通を欠かさず、情報の流れは良くなったと政府関係者は指摘する。しかし、官邸側の東電への不信感は根強い。震災後最大の余震が宮城県などを襲った7日深夜、官邸には首相や枝野氏、東電には細野氏が駆けつけた。だが、間もなく細野氏は官邸に伝えた。「統合本部には東電の役員は誰もいません」


【都知事選】石原氏、民主党政権を批判「無知で未熟な連中」「役人いかに使うかが政治家」
2011.4.11 00:44
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110411/elc11041100460013-n1.htm

 4選を決めた石原慎太郎氏(78)は10日夜の記者会見などで、東日本大震災の復興支援や福島第1原子力発電所の事故の対応で、民主党が掲げる「政治主導」が省庁の統制や政策決定に大幅な遅れを生んでいると指摘し、「(現政権は)無知で未熟な連中が集まって、役人を使わない。何をうぬぼれているのか」と痛烈に批判した。

 政府は原発事故で電力の供給不足が生じ、計画停電や節電を呼びかけたが、石原氏は「日本の電力消費は世界的に見たら奇形だよ。パチンコと自動販売機で合わせて1千万キロワット近い量が使われている。自動販売機は便利かもしれないが自分の家で冷やせばよい」と持論を展開した。

 その上で、「国全体でやらなければならないことは、国で出さなかったら国民は動かない。政府はきちっと政令を出すべきだ。オイルショックのときは出した」と、その場しのぎで対応を変える民主党政権を批判した。

 「役人の言うことを聞かないで、『政治家で、政治家で』と役人を使わない。この事態になぜ一番ノウハウ持っている事務次官会議をやらないのか。役人をいかに使うかが政治家の力量。いまだに事務次官会議を開かない、こんな政府は前代未聞だ」と“石原節”で断じた。

 大震災の影響で、首都圏を中心に買いだめによる物品の品薄などが問題となった際に、都内のコンビニエンスストアを視察した蓮舫節電啓発担当相にも触れ、「担当大臣が報道陣をたくさん引き連れてニコニコやってる場合じゃない」とパフォーマンス先行の対応に疑問を呈した。

 政府批判は自民党政権時代の政策にもおよんだ。

 石原氏は「福田バカ内閣のときに、バカ財務省が、法人事業税の分割基準を変更した。これにより大きな予算が取られたが、それをとりかえし、東京をさらにしっかりしたい」と毎年拠出してきた法人事業税約3600億円を取り戻し、全額を震災対策にあてる考えを示した。

 復興支援には巨額の財源が必要な事態が想定されるが、「これだけの大災害が起きれば、当然予算の組み直しをしなかったらだめ。東京が自腹を切り、国をサポートするが東京は首都であって政府じゃない。国が復興資金の調達をどうするのかを考えないと。国債だけで、あるいは増税だけで、とてもうまくいかないと思う」と話した。

「東電ショック」で国滅ぶ、「レベル7ショック」で輸出産業も大ピンチ2011/04/13 08:10

「東電ショック」で国滅ぶ、「レベル7ショック」で輸出産業も大ピンチ


早くからこの事態を想定し、ブツブツ呟いていたのはこの私。
最も恐れていた事態が「レベル7」ショックですぐそこに。

今がチャンスとしたたかに動いているのは中国や韓国の企業。
商談で飛び交う「日本産」「日本製」リスク。
彼らこそが風評被害を拡大させていると嘆いている友人もいる。

こうした動きに関する具体的な情報求む。
現状を把握し、早急に手を打たないと日本が沈む。


<関連記事引用>

東日本大震災:福島第1原発事故「レベル7」 食品、工業製品…規制強化拡大も
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110413ddm002040121000c.html

 ◇観光キャンセル、56万人超

 「チェルノブイリ原発事故並みとのイメージが独り歩きすれば、ビジネスへの影響はより深刻化する」(大手旅行会社幹部)--。政府が12日、福島第1原発事故の国際評価尺度を過去最悪の「レベル7」に引き上げたことは産業界にも衝撃を与えた。海外からの旅行予約キャンセルの拡大や日本の食品の輸入規制が強まる懸念があるからだ。工業製品でも放射性物質汚染の恐れを理由に輸入が足止めされる例が出ており、「レベル7」ショックは震災からの復興を目指す日本経済の大きな足かせになる恐れもある。

 「政府の原発安全宣言がない限り、海外からの旅行客は戻らないと覚悟していたが、『レベル7』発表はショック」。大手旅行会社幹部は12日、悲痛な声を漏らした。

 観光庁によると、福島原発事故の深刻化を受けて、日本で開催予定だった国際会議計60件が延期・中止となっている。ビジネス需要の急減と、外国人観光客の訪日取りやめに国内旅行の自粛も加わり、宿泊施設の予約キャンセルは56万人分超にものぼる。

 海外諸国が農産物などの輸入規制の動きを強化する可能性もある。農林水産省によると、11日時点で28の国・地域が日本産のホウレンソウなど農産品・加工食品の輸入停止や規制強化を実施している。

 影響は工業製品にも及び始めている。米国などでは日本製自動車が放射性物質に汚染されているとの風評も出ており、日本自動車工業会は「輸出する自動車や部品の放射線量測定などを検討中」だ。

 電機メーカーも風評被害への対応に苦慮している。NECは福島市で生産する通信機器について、アジアや欧州から問い合わせが寄せられ、「放射能汚染に関する政府の避難指示区域外で生産した」と説明に追われている。ある電子部品メーカー幹部は「工業製品には明確な安全基準がなく、海外にどう証明すればいいか」としており、風評被害が拡大すれば、政府に何らかの対応が求められそうだ。【高橋昌紀、浜中慎哉、米川直己、弘田恭子】


【福島原発「レベル7」】モモやブドウは?電子部品は? 最悪評価に産業界が戦々恐々
2011.4.13 00:53
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110413/biz11041300540000-n1.htm

 「このまま売れなくなってしまうのか」。日本の産業界に、東京電力福島第1原子力発電所の事故の国際評価が最も深刻な「レベル7」まで引き上げられたことに対する不安が広がっている。海外からの「日本産」「日本製」に向けられる視線は厳しく、実際に食品や工業品では輸出先が慎重姿勢を示すことが増えた。正確な情報発信など、風評被害対策が急務だ。

 「6月にはモモやブドウの輸出が始まる。原発による打撃は大きい」。福岡県などが出資する貿易会社、福岡農産物通商(福岡市)は「レベル7」によるイメージの悪化に強い懸念を示した。3月下旬には県産イチゴ「博多あまおう」が香港などの輸入業者から契約の一時停止を求められた。

 日本が輸出に力を入れるコメも同様だ。日本産への評価が高かった中国は、新潟、山形を含む関東甲信越の12都県に対し、輸入停止の措置を取っている。

 原発事故による放射能漏れを受けて、27カ国・地域(EUを含む)が日本の農産物や加工食品の輸入停止や安全証明書を要求する事態となっている。農林水産省幹部は「ますます各国の日本を見る目が厳しくなる」と肩を落とす。

 農産物だけではない。メーカー各社も放射線物質(放射能)対策に懸命だ。

 放射線量検査を手がける日本海事検定協会(東京都中央区)では、「普段なら微々たる件数」しかない民間企業からの検査依頼が、東日本大震災から約1カ月間で、200件を超えた。

 検査対象は電子部品といった工業品からコンテナや船舶まで幅広い。「輸出先のバイヤーや輸入業者から安全証明を求められる事例が増える一方だ」(中山和英・企画総務チーム長)と悲鳴を上げる。

 日産自動車の台湾法人は日本から部品を輸入したり、その部品を使って組み立てた完成車を台湾市場に出荷したりする段階で、放射能検査を実施。出荷の際には「放射能検査済み」のシールを張る。半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、海外の取引先に対して製品の「安全性」に関する説明を強化。レベル7への引き上げについて「今後どのような影響が出るのか、引き続き注視する」としている。

 海外から迎える社員や出向者が多い日本ヒューレット・パッカードは「今回のレベル7への引き上げを重く受け止めている。事業継続とのバランスを取る上で難しいかじ取りを迫られるだろう」と話す。外国人社員の一時帰国などの措置も、今は決めていないが、今後、慎重に検討する。

 外国人観光客の減少にも拍車がかかるのは必至だ。

 帝国ホテルによると、震災の影響で、通常4~5割の外国人の利用比率は2割を切るまでに落ちた。「レベル7」の衝撃について同社では「海外で衝撃的に報道され、『危険な国』と思われると一段と利用客が減るかもしれない」と不安を隠さない。

 ある旅行会社は「国内外に正確な情報を提供し、風評被害を食い止める対応が必要だ」と訴える。レベル7ショックはその間も日本経済に影を落としそうだ。


Japan's nuclear crisis
Blemishing "brand Japan"
Apr 10th 2011, 1:47 by K.N.C. | TOKYO
http://www.economist.com/blogs/banyan/2011/04/japans_nuclear_crisis

THE crisis in Japan has bruised the country's reputation for excellence. Its hyper-efficient supply chains were shown to have major vulnerabilities. Its prestigious nuclear technology companies look feeble. Its renown for food safety has been undermined by fears of radiation contamination.

At least one Western diplomat and economist believes that the stature of Japanese goods in the minds of consumers overseas may be severely damaged. "People buy 'brand Japan' because it implies a premium—that the quality will be better, or the product is more reliable—and now they don't have that," he says.

Fear of radiation has ruined the area around Fukushima and disrupted the flow of exports well beyond its perimeter, as a story in this week's newspaper explains. The worries overseas are largely irrational. Yet what might be the consequences to "made in Japan" as a brand? The Economist asked a number of firms to follow the data.

One place where the level of public unease can be measured is on social-networking sites. Since late March the number of messages on Twitter expressing fears about radiation began to exceed the tweets about relief efforts to victims by a ratio of three-to-two, according to Webtrends, a social-media analysis firm. (The firm examined English-language messages, which mainly gives an idea of what non-Japanese are thinking.)

Webtrends performs what is called "sentiment analysis" of the zillions of tweets posted each day. Its algorithms examine the messages' content to identify their topics, whether their references have good or bad connotations. As far as science goes, its predictions are inexact in the extreme—don't use it to bet on the Oscars—but it does give a useful, broad picture of what people are thinking.

According to Webtrends, around 60,000 tweets per day relate to Japan's economy, relief efforts and radiation (down from more than 1.5m on the day of the quake). The fear of contamination has been a consistent theme, particularly since late March, after radiation was detected in farm products. And more people believe the effect of the disaster will be bad for the economy than good. Though that is hardly a scoop in itself, the degree of difference in opinion is interesting: for every three optimistic messages five others are pessimistic, and the disproportion is increasing.

Another social-networking measurement firm, Meltwater, notes that in the roughly four weeks since the disaster began, there have been 2.7m items about Japan, with around half on microblogs like Twitter, and the rest divided between old-fashioned blogs and social-networking sites like Facebook. To put that figure into perspective, there have been around 3m social conversations about Libya logged since March 11th, the day of Japan's earthquake. And items related to the nuclear crisis outnumber those about the humanitarian operations in Japan by almost three-to-one, according to Meltwater.

Has "brand Japan" been hurt commercially? For an answer to that question we turned to Interbrand, a consultancy and brand research firm. Alex Murray, of Interbrand's Tokyo office, explains that it is hard to put a monetary value to the damage. For a start, a valuation of Japan's 60 leading domestic and global brands puts them at $160 billion. "However what percentage of that is due to associations with 'Japan' and how much of that is at risk is a highly debatable topic," he says.

Moreover there are factors in the crisis that put a positive shine on Japan, notes Interbrand. To name just three: the Japanese resilience of character, excellent engineering that saw buildings withstand the quake and hundreds of aftershocks, and the fact that Japan is interacting and communicating better with the international community.

What is certain is that the crisis will change Japan, in an unknowable variety of ways. Yet unless Japan's political and business leaders calm the world's worries, the blow to "brand Japan" may remain even after business returns to normal.


<画像引用>

レベル7に「深くおわび」=東電
http://www.jiji.com/jc/p?id=20110412132844-0718689

福島原発事故が国際基準で「レベル7」とされたことを受け、会見で陳謝する東電社員=12日、福島市。東京の本社で記者会見した担当者は「放射性物質の放出が完全に止めきれていないことが懸念材料だ」と述べた 【時事通信社】

ベストを尽くしても「痛恨の出来事」、その先に見えてきた日本企業の国外脱出ラッシュ2011/04/14 08:03

ベストを尽くしても「痛恨の出来事」、その先に見えてきた日本企業の国外脱出ラッシュ


賠償問題を抱えている以上、人災的な面を決して認めるわけにはいかない東電。
しかし、「ベストを尽くした」は別に言わなくてもいいこと。

ベストを尽くしてこの結果。だったら原発なんてやめちまえよと言われて当然。
それでいいのか東電さんよとツッコミを入れたくなる。

この状態で柏崎刈羽原発3号機の運転再開などできるものか。
長期にわたって電力不足で縮こまる日本の姿が現実味を帯びてきた。

このままでは日本企業の国外脱出ラッシュが始まるだろう。


<関連記事引用>

東電・清水社長会見(3)「収束に向けベストを尽くした。廃炉を恐れてはいなかった」
2011.4.13 15:56 (2/2ページ)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110413/biz11041315560027-n2.htm

 --外部電源がだめになった段階で、より早く海水の注入を決断していれば水素爆発などを免れたのではないか。廃炉を恐れてのことだったのか。今回の事故は、一私企業で責任を負える範囲はないように見受けられる。今後、原発を一企業で進めていくことについてはどう考える

 清水社長「海水の注入や、実際の収束に向けてのさまざまな取り組みについてはベストを尽くした。廃炉を恐れるというより、その時々のパラメーターに基づいてやった。タイミングはしっかり判断してやった。原子力のありかたについては、現在、事態の収束に向けて全力で取り組んでいるところであり、現時点であり方についてコメントする段階ではない」


東電・清水社長会見(8)「民営でありたいが、言及できる状況ではない」
2011.4.13 16:59
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110413/biz11041317000038-n1.htm

 --(3月)12日のいつごろ、東京に戻ったのか

 清水社長「12日の午後10時ごろ戻った」

 --ベント(炉内の圧力を下げるための排気)について、最終的にゴーサインを出したのは誰でいつなのか。その後の作業の段取りは

 清水社長「本部には不在だったが、常時連絡をとって判断していた。確認の上でベントも実施した。ゴーサインを出したのも私だ」

 --官邸から「東電が福島原発から撤退したい」という情報があったが、コミュニケーションにギャップが生じたのはなぜか。東電としては当時、どういう判断をしようとしていたのか

 清水社長「福島原発撤退や退避がベストという判断をしたというのは事実ではない。私が官邸に行った際に、政府と事業者が一体となって取り組むべきだという話をいただいた。緊急時に備えて直接作業にかかわらない人間は、退避などのしかるべき対応をとるが、全員がそうということではない。首相にそのことはちゃんと伝えた。(官邸との齟齬があったことによる)私の体調への影響はない」

 --12日のベントは、住民の避難が終わらないうちに始まった。被災された人に対し、どう感じているのか

 清水社長「外部電源喪失の中で、作業を強いられたのはもちろんだが、いかなる理由があっても、ご迷惑をかけたことは改めておわびしたい」


放射線封じ込め「時間がかかる」 東電社長会見
2011年4月13日22時8分
http://www.asahi.com/business/update/0413/TKY201104130518.html

 東京電力の清水正孝社長会見の主なやりとりは、以下の通り。

 ――被害者への賠償について決まっていることは。

 「国と協議しながら誠意を持って対応する。避難が長期に及んでいるので、一日も早く仮払いをしたいとは思っている。具体的な金額はこれから決める」

 ――福島第一原発1号機で12日に実施したベント(排気)の対応に社長も携わったのか。

 「当然、原子力緊急時対策本部長として逐一かかわった」

 ――政府のベントの命令から時間がかかったが、社長の判断が遅れたのか。

 「外部電源が失われ、困難な状況で作業を強いられた。着手にやや時間がかかったのは事実だ。作業が大変厳しい条件下だった」

 ――海水はもっと早く注入できなかったのか。

 「収束に向けてベストを尽くしてきた。廃炉を恐れるうんぬんより、その時の状況に基づき適切な判断をしてきた」

 ――廃炉を進めるのか。

 「福島第一原発1~4号機は廃炉にせざるを得ないという認識だ」


「レベル7、深くおわび」 東京電力社長の主な一問一答
http://www.47news.jp/47topics/e/204896.php

 ―事故発生後、海水注入やベントのタイミングが遅れたのではないか。

 「技術陣の報告を受けて指示し、ベストは尽くしてきた。その時々のパラメーターに基づいて私が判断した」


東日本大震災:福島第1原発事故 東電社長会見 「具体策まだ」何度も
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110414ddm003040087000c.html

 ◇将来像描けぬまま 指導力に疑問

 東京電力の清水正孝社長は1カ月ぶりに都内の本店で会見したが、福島第1原発事故の収束見通しや補償問題の説明は具体性に欠け、被災者らの不安は払拭(ふっしょく)できないまま。巨額の賠償負担などを抱える東電の先行きについても方向性は示せなかった。事故対応では、格納容器内の水蒸気を放出して圧力を下げる「ベント」や炉心への海水注入について、自身の決断だったことを明らかにしたが、初動の遅れが事態を悪化させたとの指摘については「ベストを尽くした」と述べるにとどめた。

 「具体的なやり方はこれからだ」「まだ、決まった段階ではない」。会見では、損害賠償の具体策や事故収束の見通しに関する質問が集中したが、清水社長はこう繰り返すばかりで、損害賠償や震災復旧などで巨額の財務負担が生じる東電の将来像は描けないまま。事故や夏場の電力不足など難問が山積する中、指導力を発揮できるかは疑問も残る。

 清水社長は損害賠償の一時金支払時期について言及を避ける一方、鼓紀男副社長が福島市で4月中の支払いに言及するなど情報発信で足並みをそろえられない場面も。損害賠償を東電以外の電力各社にも負担させる案が浮上していることにも「承知していない」と述べるだけで具体的な見通しは示せなかった。

 東電を巡っては、原発部門を切り離して公的資金を投入する案など、経営危機を先取りした処理策が政府内で浮上。清水社長は「民営でありたいと考えているが、現時点で言及できる状況ではない」と述べるにとどめ、事故後に予想される経営難を乗り切る対策は描けていない。

 東電のトップは従来、対外調整が多い総務・企画畑からの輩出が続いたが、清水社長は資材調達の出身。「官僚的な東電の体質を一新する」(東電OB)ための起用だったが、社内基盤の弱さや、政府などとの調整経験が少ないことなどが当初から不安視されていた。今回の事故では、体調を崩した清水社長に代わり、勝俣恒久会長が官邸や原子力安全・保安院との調整などで陣頭指揮を執っている。

 事故の情報発信についても情報開示の遅れが批判されている。清水社長は「現場の錯綜(さくそう)で伝わらなかったのはおわびしたい。私自身が(適切に開示されているか)確認しながら進めている」と釈明。東電は歴代トップが3人続いて原発のトラブルや不祥事で辞任に追い込まれており、事故収束に指導力を発揮できないままでは東電への逆風は強まる一方だ。【三沢耕平、永井大介】

 ◇放射線封じ込めに時間

 大量の放射性物質を放出する深刻な原発事故の対応に追われる東京電力。清水社長は13日の記者会見で、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能の復旧が難航している福島1~4号機について、「放射性物質の放出を一日でも早く抑止するために全力で取り組む」と強調した。だが、「放射線を封じ込めるのは時間がかかる」とも述べ、事態が長期化するとの見通しを示した。

 清水社長は事故の状況について「原子炉や核燃料プールの冷却と放射性汚染水の排水処理が喫緊の課題だ」と説明。「少しずつ安定化している」と語ったが、収束時期の見通しは「詰めている段階」と述べるにとどまった。

 東日本大震災発生直後の対応では、原子炉格納容器内の圧力を下げるため、弁を操作して高温の水蒸気を外部に逃がす「ベント」作業の遅れが事故拡大を招いたと指摘されているが、「外部電源の喪失で、作業の着手に時間がかかった」と強調。ベントや圧力容器への海水注入は自らの指示だったと説明したものの、決断の時間など詳細は明言を避けた。社長は震災当日の3月11日は関西地方に出張。地震で交通網が乱れ、東京に戻ったのは翌12日午前10時だった。

 福島第1原発1~3号機の事故が、国際評価尺度で最悪のレベル7と暫定評価されたことは謝罪したが「地震で制御棒が正常に働き原子炉を止めることができた。その意味で経年化した(1号機などの)施設の安全性は保たれた」と強調した。【中西拓司、八田浩輔】


<画像引用>

東電・清水社長会見(3)「収束に向けベストを尽くした。廃炉を恐れてはいなかった」
2011.4.13 15:56
http://sankei.jp.msn.com/economy/photos/110413/biz11041315560027-p1.htm

会見する清水正孝社長 =13日、東京・内幸町の東京電力本店(瀧誠四郎撮影)

ゴジラの逆襲、「しんぶん赤旗」の大いなる矛盾に噛み付く福島ゴジラ2011/04/15 08:04

ゴジラの逆襲、「しんぶん赤旗」の大いなる矛盾に噛み付く福島ゴジラ


不気味な沈黙を続ける福島ゴジラ。
同時に4匹のゴジラを相手の前代未聞の戦いに世界はまだまだ大注目。

そして今、「しんぶん赤旗」を読みながらブツクサ・ゴジラ。
「人災なんだろ。だったら俺たちだけを悪者にしないでよね」と。

さらにはこんなことも。
「人災だと思っているなら、反民主、反東電、反役人運動にしてよね」と。
「俺たちだけを悪者にしたような反原発やら脱原発は矛盾しておる!」と堂々の正論。

赤旗同様自分の矛盾に気付かぬ人多数。
「ほらみろ」調で原発止めてと叫んでいる。

確かに「暴れん坊の俺たちに依存するなんてバカだ」と的を射た自爆ネタ。
「でもさ、俺たちを捨てると言うなら、代替案も語らなきゃ」と大人の意見。
「現実を直視しなよ。経済も語らなきゃ。さもなくば日本壊れちゃうよ」のお節介まで。

それでなくても少子化高齢化で人材不足。その上余震に放射線チェック。
さらには電力不足まで追い討ちをかけるとどうなるか。

もうすでに日本企業も本格的な国外脱出を考えているだろう。
自動車メーカーや電機メーカーなどのグループ丸ごと集団移住だって有り得る。

「いいのかい。今俺たちの仲間を捨てて」
福島ゴジラの警告は重い。

「ものづくり」拠点の一斉海外移転。
それが日本の死を意味することに気付いていない人が多過ぎる。


<関連記事引用>

2011年4月13日(水)「しんぶん赤旗」
原発事故は二重の人災
吉井議員らパネリスト シンポに300人余参加
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-13/2011041305_02_1.html

 東日本大震災から1カ月、東京電力福島原発事故による放射能漏れが深刻ななか、「原発・核兵器 私たちの未来」と題した特別シンポジウムが11日、東京都内で開かれ、環境問題を考える若者のグループなど、300人余が会場を埋めつくしました。主催は、原水爆禁止日本協議会。

 福島県南相馬市で大地震にあい避難生活をする福島農民連の三浦広志さんが特別発言し、日本共産党の吉井英勝衆院議員と日本大学専任講師の野口邦和氏がパネリストをつとめました。

 「政府・東京電力の対応の問題点と今後の課題」をテーマに報告した吉井議員は、これまでの国会追及に触れながら、福島原発事故は、二重の人災だったと強調しました。一つ目は、大地震や津波で燃料棒を冷却するための電源がなくなり、炉心溶融することを警告していたにもかかわらず、対策をとらなかったことです。

 二つ目は、大震災が起きた3月11日夜から12日にかけて、電源が失われたことが分かった段階での無策ぶりです。「燃料棒を冷却するために海水でもいいからかけるべきだったのに、東電はもうけ第一に廃炉をおそれて対応を遅らせました。政府は国民の安全第一にただちに注水を命じるべきだった」と指摘しました。

 野口氏は、「放射線が私たちにもたらす影響」について報告。そのなかで、政府が決めた避難範囲(半径20キロ圏内)について、▽風向きを無視した同心円で現実とかけ離れている▽避難と屋内退避指示を出した根拠をいまもって明らかにしていない―ことをあげました。

 海域の放射能汚染では、ヨウ素、セシウム以外にバリウム140も検出された採取試料の発表が、3月30日を最後になくなったと指摘。ウランやプルトニウムもふくめて採取した海水から検出されたすべての放射性物質について公表を求めました。

 さらに、東電と政府が、「低レベル汚染水」と説明するものの、放射性物質の種類も濃度もいっさい公表していないと批判。果たして本当に低レベルなのか、検証するうえでも種類と濃度を東電は公表すべきだとしました。

 三浦氏は、田んぼが津波で水没し、11キロメートルの距離にある原発で放射能漏れがおきているなか、「故郷に戻れるのは10年になるのか、もどれないかもしれないのか」と心境を語りました。


2011年4月7日(木)「しんぶん赤旗」
福島原発事故は人災 警告に耳貸さず 初動に遅れ
衆院委 吉井議員が告発 “英知総結集し危機回避を”
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-07/2011040701_01_1.html

 福島第1原発の重大事故を招いたのは、“二つの人災”だった―。6日の衆院経済産業委員会で日本共産党の吉井英勝議員は、原発事故を招いた政府の責任をただし、危機脱却のために英知を結集するよう求めました。 (詳報)

“海水注入命令は翌日になった” 海江田経産相

 人災の一つは、地震や津波などによる全電源喪失が原子炉の冷却機能を破壊し炉心溶融を招くことを、吉井氏が2005年以来、質問主意書や国会質問で取り上げてきたのに、政府が耳を傾けなかったことです。吉井氏は、今回の危機について「国も電力会社も原子力安全・保安院も“原発安全神話”を信仰し、情報を公開せず、国民の安全より企業利益第一主義に走ったのが最大の要因だ」と告発しました。

 昨年5月、国会で全電源喪失による炉心溶融は現実には起こらないと吉井氏に答弁していた寺坂信昭・経産省原子力安全・保安院長は、「当時の認識に甘さがあったことを深く反省している」と答弁。鈴木篤之元原子力安全委員長(現・日本原子力研究開発機構理事長)も、「現実にこのような事故が起きた。申し訳ない」と陳謝しました。

 吉井氏は、原子力安全基盤機構(JNES)の研究報告が、全電源喪失で0・6時間後に核燃料が落下、1・8時間後に圧力容器が破損すると警告していたと言及。重大局面に菅直人首相や班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長が現地視察のため4時間半も原子力災害対策本部を離れたことは「重大な問題だ」と指摘。さらに、「視察から戻ってからも、12日の20時5分に経産相が東電に海水注入などを命令するまで10時間以上もきちんとした対策をとらなかったことが、今日の重大な事態を招いた」とのべ、重大な局面で対策を断行しなかった“もう一つの人災”について批判しました。

 班目原子力安全委員長はJNES報告を知らず、「どれぐらい緊急を要しているか把握していなかった」と弁明。海江田万里経産相は、ベント(蒸気排出)や海水注入を命令したのは「日をまたいでから」だったと認めました。

 吉井氏は、多くの研究者や技術者から、政府に提言を受け付ける窓口がないとの声が上がっていると述べ、「受付部門をつくり、日本の英知を総結集して、深刻ないまの事態を食い止めるべきだ」と主張。枝野幸男官房長官は、「おっしゃるとおりだ。関係当局と相談したい」と応じました。


2011年4月7日(木)「しんぶん赤旗」
原発事故集中審議 吉井議員質問
保安院長「認識甘く深く反省」 経産相「(「想定外」は)使うべきでない」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-07/2011040703_01_1.html

 福島第1原発事故発生後、初めて集中審議が行われた6日の衆院経済産業委員会で、同事故を取り上げた日本共産党の吉井英勝議員。未曽有の事故を引き起こした責任の所在と、危機打開の道筋が鮮明になりました。

警告が現実になった

 吉井氏は昨年5月26日の同委員会で、地震や津波による「電源喪失」が招く炉心溶融の危険性を指摘。これに対し経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は「論理的には考えうる」と述べ、現実には起こらないと答弁していました。

 吉井議員 “理論的な話”ではなく、現実のものとなったのではないか。

 寺坂院長 現実に、指摘のような事態が発生した。当時の認識に甘さがあったことは深く反省している。

 2006年3月1日の衆院予算委員会で、当時の原子力安全委員長だった鈴木篤之氏(現・日本原子力研究開発機構理事長)は吉井氏に、外部電源やディーゼル発電機、蓄電池など多重、多様な電源設備があり、他の原発からの電力“融通”も可能だから「大丈夫だ」と答えていました。

 吉井 設計上“大丈夫”だという話だったが、全ての電源が喪失したのではないか。

 鈴木理事長 国民に大変な心配、心労、迷惑をかけていることを大変申し訳ないと思っており、痛恨の極みだ。

 今回の事故について、菅直人首相や東京電力の清水正孝社長は、「想定外」としています。吉井氏は、日本の原子力安全基盤機構(JNES)の研究報告でも、全電源喪失で0・6時間後に核燃料が落下、1・8時間後に圧力容器が破損、16・5時間後には格納容器が過温で破損すると警告されていたと述べました。

 吉井 全電源喪失を考えて、いかなる場合にも今回のような事態を起こさせないというのが、原子力安全行政であり、原子力安全委員会の使命ではないか。

 班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長 おっしゃる通りだ。今回の事故を深く反省し、二度とこのようなことが起きないよう指導してまいりたい。

 海江田万里経済産業相も、「想定を超えるものが現実の問題として起こったわけだから、(想定外というのは)使うべきではない」と答えました。

10時間以上 対応に空白

 大地震発生から約1時間後の3月11日午後3時42分、原子力安全・保安院はすでに全電源喪失による炉心溶融の可能性を認めていました。ところが、原子炉格納容器からのベント(蒸気排出)などの緊急措置が行われたのは翌12日の午前10時以降。

 吉井 なぜ早い時点で東電を指導しなかったのか。あるいは、東電が指示に従わなかったのか。

 海江田 法律にもとづく命令というのは、日をまたいでのことだった。

 吉井 班目委員長と寺坂安全・保安院長は、危機感を持って臨んだのか。

 班目 どれぐらい緊急を要しているのか把握していなかった。

 官邸の対応はどうだったか。

 吉井 炉心溶融から危険な事態にすすみうることを認識して、はっきり東電に圧力容器の蒸気(を出して圧力)を下げろ、海水を含めて冷却水を入れろといわれたのか。

 枝野 電力が回復しない、ベントもなされない、水も入れない状況が一定時間続いて、急がないといけないということを午前1時半の段階で行った。

 こうした甘い認識によって、結局、実際に1号機でベントが行われたのはそれから9時間後の午前10時17分。東電が最初の海水注入を実行したのはさらに10時間後の午後8時20分でした。

 それもそのはず、そういう措置を判断する重大局面だったはずの12日午前6時すぎ、菅直人首相と班目委員長はヘリコプターで福島第1原発に向かい、原子力災害対策本部を4時間半も離れてしまったのです。吉井氏はさらに、原子力緊急事態宣言を出した12日午前7時45分から同日の午後8時5分に経産相が東電に海水注入を命令するまで、なんの対応もみられない“空白の10時間”があったと指摘。

 「東電がやらなかったら、やらせなきゃいけない。総理と原子力安全委員長が4時間半空白をつくっただけじゃなく、12日の7時45分(原子力緊急事態宣言)から空白の10時間がある。これだけ深刻なものだということが明らかになっているのに、きちんと対応しなかった責任はきわめて大きなものがある」と吉井氏はただしました。

危機脱却へ英知総結集を
官房長官「提言踏まえ相談したい」

 吉井氏は、原発危機から脱却するために積極的な提案をしたいとして、全国の研究者や技術者が情報不足で提言したくてもできないという声があがっていることを紹介し、「研究者番号を伝えて意見を聞かせてもらえる受付部門をつくり、原発危機からの脱却へ日本の英知を総結集すべきだ」と提起しました。

 枝野官房長官は、「おっしゃる通り、さまざまな専門家の英知を結集することが大事だ。ご提言も踏まえて関係当局と相談したい」と応じました。

 吉井氏は「国も電力会社も原子力安全委員会もみんな『原発安全神話』を信仰し、“原発利益共同体”を築き、情報公開しないで、国民の安全より企業利益第一に走った。思い込みと秘密主義こそが重大な事態をもたらした要因だ」と締めくくりました。


対策を怠った政府の責任は重大 原発事故直後の動き
《3月11日》
 14時46分 地震発生

 15時42分 第1原発1、2、3号機・全電源喪失(経産相に通報=以下同じ)

 16時45分、18時08分 同1号機など注水不能、原子炉冷却材漏えい

 19時03分 第1原発に原子力緊急事態宣言

 21時23分 第1原発半径3キロ圏避難、10キロ圏屋内退避指示

 22時00分 原子力安全・保安院「2号機炉心露出。燃料棒被覆管破損」の予測発表

《3月12日》
 1時20分 第1原発1号機・格納容器圧力異常上昇

 1時30分 枝野官房長官がベント(蒸気排出)指示

 2時30分ごろ 首相が福島原発視察を決定

 5時54分 第2原発1、2号機・圧力抑制機能喪失

 6時00分すぎ 枝野官房長官が東電に「どうしてベントがすすんでいないのか」

 6時14分 菅首相が原発視察にヘリ出発

 ★首相、安全保安委員長が不在に

 6時50分 経産相が東電に第1原発1、2号機原子炉格納容器内の圧力抑制を命令

 7時45分 第2原発に原子力緊急事態宣言。避難・屋内退避指示

 ★10時間以上東電に命令せず

 10時17分 1号機ベント開始

 10時47分 首相がヘリで官邸帰着

 15時36分 1号機で水蒸気爆発

 17時16分 第1原発・敷地境界線放射線量異常上昇

 17時39分 第2原発10キロ圏内住民に避難指示

 18時25分 第1原発20キロ圏内避難指示

 20時05分 経産相が東電に海水注入などを命令

 20時20分 1号機に海水注入開始


【コラム】レベル7で日本が背負った「ニューノーマル」-Wペセック
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=am4krhhg5kDQ

 4月14日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)のアジアに関する見通しは、高い評価を得ていない。日本の成長率の最新予想はその好例といえる。

IMFは今年の日本の成長率予想を1.4%と、従来の1.6%から下方修正した。修正幅は0.2ポイント。マグニチュード(M)9.0の地震、巨大な津波、原子力発電所の放射能漏れ事故による影響はほとんどないということだろうか。

3月11日の地震発生直後には、復興への取り組みが成長を支えるというシナリオも妥当な議論だった。しかしその後、停電などの影響でソニーやトヨタ自動車の工場は操業停止に追い込まれ、外国企業の幹部らは国外に脱出し、外国人観光客も激減した。

福島第一原子力発電所から放射性物質が何年にもわたって放出される可能性があることが分かったのもその後だ。原発事故の評価が国際原子力事象評価尺度(INES)で最も深刻な「レベル7」と、1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故と同水準に引き上げられたことも、既に脆弱(ぜいじゃく)な個人消費や設備投資に追い打ちをかけよう。

これは日本の「ニューノーマル」(新たな標準)であり、IMFは楽観的過ぎることが明白になるだろう。理由は3つある。

1つ目の理由は、国民の不安だ。ケインズ派経済学や日本の歴史に基づけば、震災は復興需要を生み出し、成長を押し上げるという見通しが生まれる。日本の国内総生産(GDP)の約8%を占める東北地方では、道路や橋、港湾、鉄道、建物の大がかりな再建が必要になる。ただここで見落とされているのは、東日本大震災がもたらしたトラウマ(心的外傷)だ。

トラウマ

日本経済の行方は東京が鍵を握っている。福島第一原発までの距離はわずか220キロだ。不透明感によって長年苦戦を強いられてきた業界は回復の道が既に閉ざされつつある。例えば不動産投資信託(REIT)は保有物件の売却を棚上げし、資金調達計画を凍結した。日本からの貨物船や航空機は、わずかな放射線量を理由に荷降ろしを拒否されている。

過去1カ月にわたり部品供給不足に苦しんだ製造業者は、日本国外に拠点を移す可能性がある。そうなれば今後数年は、海外諸国が日本の犠牲の上に設備投資の恩恵を受けることを意味する。

さらに余震や津波の再発、放射線汚染の忍び寄るような広がりを懸念し、日本の家計は貯蓄志向を一段と強めるかもしれない。将来への不安は節約や自粛をエスカレートさせている。高級品店や高級料理店では客の姿も少なく、日本人のお気に入りの娯楽であるショッピングも湿りがちだ。

脆弱な世界経済

2つ目の理由は、勢いに欠ける世界経済の成長だ。日本は最近、円安誘導の取り組みに成功したが、大方の見方ほどこれが輸出拡大につながることはないだろう。米国の成長がもたつき、欧州債務危機の影響がスペインに迫り、主要新興国の景気が鈍化し始めているためだ。これには日本最大の輸出相手国の中国も含まれる。

日本が95年の阪神大震災から急速に立ち直った理由の一つは、世界経済の堅調さだった。インターネットの出現で通信・情報革命が加速。米消費者の需要に支えられ、97-98年のアジア危機が日本に与えた悪影響は限定的だった。そして今日、ハイテクバブルははるか昔の出来事となり、米消費者も住宅バブル崩壊後の債務返済に追われている。

日本の政策の選択肢も底を突いている。短期金利は既にほぼゼロの水準にあり、公的債務は国内総生産(GDP)の2倍に膨らんでいる。信用格下げへの懸念から国会議員の間では復興資金調達のため、30年代のような国債の日銀引き受けの実施を求める声が上がっている。

リーダーシップ

外需の後押しがなければ、財政出動や金融緩和の効果は限られる。政策当局がインフレ抑制に取り組んでいる中国にも以前ほど頼れなくなった。中国の成長減速は、日本製品への需要縮小を伴う。

3つ目の理由はリーダーシップの弱さだ。大震災の直前までは違法献金スキャンダルや支持率低下を受け、菅直人首相の辞任観測が強まっていた。国民の期待を受けて昨年6月に誕生した菅政権は、デフレ終結、競争力強化、膨らみ続ける債務の削減、高齢化対策でほとんど成果を上げていない。

前途は一層困難になった。膨大な復興費用が必要になるため、長期的な成長に向けた構造改革の財源確保は難しくなる。原子力専門家の間で最悪のシナリオをめぐる意見が分かれる中、経済的な影響を予想することは次の地震を予知する試みと同じくらい難しい。

信頼感の欠如

福島原発事故は、チェルノブイリ事故と並んで歴史本に載ることになる。1億2700万人の国民と企業の経営陣らは固唾(かたず)をのんで事態の成り行きを見守っている。普段の生活が早期に戻ってくると思う人はいないだろう。

経済復興の成否は信頼感に大きく左右される。戦後最悪の危機が続く中、指導者に対する信頼感はほとんどない。こうした政治的停滞も、日本の「ニューノーマル」を把握する上で必要な要因の一つだ。

これはまた、日本がリセッション(景気後退)を回避できるかどうかを次に予想する際にIMFが検討すべき要因でもある。(ウィリアム・ペセック)


<画像引用>

Nuclear disaster in Japanese film
http://www.wbez.org/episode-segments/2011-04-08/nuclear-disaster-japanese-film-84923

今や金正日も羨む堂々たる社会主義国、「統制経済」丸出し路線で見えてきた民主党の本性2011/04/16 09:30

今や金正日も羨む堂々たる社会主義国、「統制経済」丸出し路線で見えてきた民主党の本性


何が怖いかって・・・。
どこに問題があるのかわからない。そんな日本人が多そうなこと。

こんな状態が続けば、まともな民間企業は当然国外脱出するだろう。


<関連記事引用>

【第6回】 2011年4月1日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
統制経済の復活を許してはならない
http://diamond.jp/articles/-/11707

 新聞報道によれば、政府は夏の電力不足解消のため、業界ごとの「節電の自主行動計画」や「輪番休止」(または交代休業)を導入する準備を始めた。日本経団連も、同じ考えを示している。

 一見したところ、これは計画停電方式の不都合を取り除き、秩序だった電力節約を実現するための望ましい方式であるように見える。

 しかし、ここには、経済運営の基幹に関わる重大な問題が隠されている。以下では、まず最初に、「輪番休止」は技術的にきわめて困難であることを指摘する。そしてつぎに、どんな形態であれ、「割り当て」は官僚による統制経済の復活を意味することを指摘したい。

現代の複雑な経済で輪番休止は不可能

「輪番休止」や「交代休業」の具体的な内容は明らかでないが、例えば「2週間ごとに操業する企業と休業する企業をわけて電力を使用する」といった方式になると考えられる。

 しかし、現代の複雑な経済では、輪番休止の実施は、きわめて困難である。強行すれば、経済活動に大きな混乱が生じる。

 つぎのようなイメージを描けば、それが納得できるだろう。例えば、コンビニエンスストアを考えよう。いま、7月の第1週はコンビニエンスストアは開店を許されているとしよう。しかし、営業のためには、商品棚にさまざまな商品が並んでいる必要がある。例えば、パンが並んでいる必要がある。そのためには、パン工場も同じ時期に操業を許されていなければならない。さらに、パンの生産に必要な原料を供給する工場も操業していなければならない。また、それらの製品を運搬する運輸業も、同時に動いていなければならない。このように、さまざまな関連経済活動の「同時性」が確保されている必要がある。

 現代の経済活動は、個々の活動が孤立して並列しているのではなく、さまざまな活動が複雑に絡み合い、相互依存しながら成立しているのだ。それらは、単に連関しているだけでなく、「同時に」操業していなければならない。「今回の震災でサプライチェーンが壊れた」といわれるが、それが関連性の何よりの証拠だ。

 そうしたことを前提にすれば、事業所ごとに時間を区切って操業することなど、不可能に近いと考えざるをえない。

 もし「輪番休止制」が強行されれば、各事業所は、自分より「上流」(アップストリーム)にある産業活動の操業状態を事前に正確に把握しなければならない。しかし、それはきわめて困難だ。コンビニなどでは、「店は開いたものの、仕入れができない」という事態が頻発するだろう。

 しかも、あらかじめ決めた休業のスケジュールどおりに事態が進展する保証もない。例えば、工場で部品が故障したが、部品生産工場が休業中のため交換ができず、生産がストップしてしまうかもしれない。そうなれば、その工場の製品を必要とする事業所の生産も大きな影響を被るだろう。

 かくして、日本経済は大混乱に陥り、麻痺してしまうに違いない。

 同時性を期待できないとなれば、個別の事業所が、バッファーとして大量の在庫を抱えていなければならない。在庫管理は効率化のための重要な手段であるにもかかわらず、それができなくなるのだ。コンビニはきわめて精密な在庫管理を行なっているので、過剰な在庫を抱えれば、効率は著しく低下する。それに、商品によっては長期間の在庫保有が不可能なものもある(生鮮食料など)。同様の事態は、ほとんどすべての経済活動において生じるだろう。

重要度の恣意的判定こそ統制権力の源

 割り当て方式の第2の問題は、「重要性」の判断にかかわるものだ。

 まず、きわめて重要で、常時供給されていなければならない財やサービスは、「輪番休止」からは除外せざるをえない。「国民生活に必要不可欠な経済活動は対象から除外」という決定は、どうしても必要とされるものだ。例えば、消防、警察、ごみ処理などの公共サービス、鉄道などの公共交通機関などがそれに当たる。また、技術的理由から除外されるものもある。例えば、製鉄所の高炉を止めてしまうと、生産再開に非常に時間がかかる。だから、一貫製鉄所は「輪番休止」からは除外されるだろう。

 ここで生じる一つの問題は、これらを支える活動も除外しなければならないことだ。これは、上で指摘したのと同じ問題である。

 もう一つの問題は、境界的な分野で「重要性の線引き」を行なうのが、実際には非常に微妙であることだ。

 例えば、生命維持に必要な医薬品が重要であることは、誰でも認めるだろう。しかし、「風邪薬も同じように重要なのか?あるいは、ドリンク剤は?」ということになれば、判断は分かれる。食料品の場合もそうだ。食パンは生活に必要で重要なものであることは認めるとしても、「では、アンパンも必要なのか?」となれば判断は分かれる。

 価格メカニズムが用いられる経済においては、重要性の判断は個々の経済主体が行なう。しかし、統制経済では、重要性の判断は統制当局が行なうのである。そして、恣意的な部分や境界領域があるので、裁量の余地が大きい。したがって、統制官庁に権力が集中することになる。

 そして、こうした判断の恣意性は、きわめて重大な問題を引き起こす。例えば、「新聞用紙は重要だから、生産はストップさせない。しかし、週刊誌用紙は不要不急だから(あるいは、週刊誌では反政府的言論が横行するから)、優先度を落とす」といった判断がなされるかもしれない。そうなれば、強力無比な言論統制が可能となる。

 この問題は、計画停電ですでに生じている。一部の医療機関は、すでに例外扱いされているようである。しかし、例外と決めるのは、医師や病院経営者ではない。統制官庁である。そして、除外と認めてもらうには、陳情が必要である。「都心3区は夏季も計画停電から除外」というのも、統制官庁が決めていることである(表向きは東京電力の自主的決定だが)。

「自主的計画」というが、これほど欺瞞に満ちた言葉はない。「各々の業界が勝手に行動計画を作っては、全体の調整ができない」という主張は、当然なされるだろう。各団体の自主計画が、中央官庁の「調整」なしにそのまま認められることなど、絶対にないはずである。表向き、政府は直接に関与する形を取らず、業界団体が「自主的に」行なうとした場合でも、実態は何も変わらないのだ。

「官僚支配の排除」とか「政治主導」と言うのなら、こうしたことをこそ問題にすべきだ。しかし、そのような声はまったく上がっていない。

「1940年体制」の亡霊が復活した

 私は、「戦後日本の経済体制の基本は、1940年ごろに形成された戦時経済体制である」と考え、これを「1940年体制」と名付けた。

 その中核の一つは、岸信介を中心とする商工省の革新官僚が企図した統制経済である。そして、いま一つが「電力国家管理法」による電力国有化である。

 戦前の日本では、数多くの民間企業によって電気事業が運営されていた。しかし、1939年、各地の電力会社を統合して国策会社である「日本発送電」が設立され、自由な電力産業は消滅した。さらに、既存の電力会社を解散させて9つの配電会社が作られ、これが戦後の9電力体制の原点になった。「役所より役所的」と言われる日本の電力会社は、かくして設立されたのである。

 戦後、1950年代前半までは、通産省による外貨割り当てが行なわれ、これが企業に対して強い影響力を持った。特に、原材料を輸入に頼らざるをえない鉄鋼や石油化学などに対してそうであった。これらの企業の人々が割り当てを獲得するために並んだ通産省の廊下は、「虎ノ門銀座」と呼ばれた。

 電力制約は今年の夏だけで終わるものではない。原子力発電の新設が難しくなったため、長期にわたると考えざるをえない。電力割り当てが恒常化すれば、21世紀の日本に「虎ノ門銀座」が復活するだろう。

 戦時経済統制のために作られた「統制会」は、戦後、業界団体となった。そして、統制会の上部機構である「重要産業協議会」が、戦後の「経済団体連合会」になった。だから、業界団体や経団連は、商工省を中核とする統制経済体制の一部である。

 1960年代、「特振法」(特定産業振興臨時措置法)を提案した通商産業省に対して、石坂泰三によって率いられる経団連は刃向った。しかし、いまにして思えば、これは通産省と経団連が対立した唯一のケースだった。

「総力をあげて」「官民一体となって」「国家存亡の危機を乗り切る」といった言葉が、いま日本の新聞に、ゾンビのごとく復活している。

 これこそが40年体制の基本思想なのである。それは、1942年に制定され、1998年まで存続していた旧日銀法の第1条と第2条「日本銀行ハ国家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為……」「日本銀行ハ専ラ国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営セラルベシ」に明瞭に示されている。被災地の救援や原発事故に対処するために、官民一体となり、総力を挙げて国難に当たるのは当然のことだ。しかし、それをその後の経済運営に延長しようというのは、危険な思想だ。

 いま本当に必要なことは、価格メカニズムを働かせて、日本の産業構造を省電力型のものに変えてゆくことだ。しかし、統制割り当て経済が続けば、日本の産業構造は、これまでのまま継続する。そして、電力コストの上昇によって疲弊してゆくだろう。

 いまわれわれが選択する方向は、日本経済の重大なターニングポイントを決める。

(ミスプリントの訂正)
第5回「計画停電を回避できる料金引き上げの目安は、3.5倍」中にミスプリントがある旨、読者の石田勝さんからご指摘がありました。「したがって、全体としての平均的な値上げ率は、(5/3+1/3)=3.67倍(つまり、267%の引き上げ)と 考えてよい。」を、「したがって、全体としての平均的な値上げ率は、(10/3+1/3)=3.67倍(つまり、267%の引き上げ)と考えてよい。」に 訂正します(5を10に訂正)。なお、結論に変更はありません。



【第123回】 2011年4月15日 辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]
電力喪失騒動で露になった“統制経済のしもべ”という日本人の本性
http://diamond.jp/articles/-/11908

 日本人はいつまでも変わることなく、政府による“統制経済のしもべ”であり続けるのだろうか。そして、この素朴な疑問に対して、大手メディアがいっさい議論を起こそうとしないのはなぜなのだろうか。

 私たちは戦後初めて、電力喪失社会に遭遇した。東日本大震災で福島第一原発が世界史に残る事故を起こし、使用不能になった。火力発電施設なども損壊し、他の電力会社も被害をこうむって、電力安定供給という日本の戦後のエネルギー政策の根幹が崩れた。

 震災前の社会の電力使用量を前提にすれば、電力供給量は不足するに決まっている。突然の事態に度を失った東電は、「ほとんど政府に相談のないまま、一部の産業界と話し合っただけ」(経済産業省幹部)で、計画停電に入ってしまった。

 計画停電は、需要家を地域別に大別し、業種特性や電力使用量の大小などお構いなしに、一律に電気を落としてしまう、というあまりに乱暴な方法だったから、社会のあらゆる部分で混乱をきたし、経済活動を低下させるだけでなく、人の命まで脅かしたから、轟々たる批判が起こった。

 政府は、野蛮なる計画停電を原則廃止する代わりに、今度は自らが前面に立つことにした。年間使用量のピークに達する今夏には大停電もありうると海江田万里・経済産業相は警告、石油危機の1973年以来、37年ぶりの電気事業法27条に基づく電力使用制限令の発動も辞さない構えを示した。早くも経産省は、大口需要家は瞬間最大電力を平年に比べ25%減、小口需要家は20%減、という義務を課し、家計には15%の節電を呼びかける。政府による総量規制である。

 計画停電にしろ総量規制にしろ、強制的需要削減政策であることには変わりがない。政府(および東電)による事実上の命令であり、統制経済あるいは計画経済と呼ぶべき政策である。

 その欠陥は、二つある。第一に、ある地域、ある産業、ある企業、くくり方は様々だとしても、それぞれ一律に電力需要を削減してしまうのは、極めて非効率的、非生産的だ。なぜなら、同じ地域内、産業内、企業内には効率性、生産性が異なる事業が混在しているからだ。一律的な対処は、国の経済成長を妨げるのである。

 第二に、政府官僚に権限が集中し、中央集権体制が強化される。本当のところ、現在から今夏に向けての正確な電力供給能力を把握しているのは、政府と東電だけである。したがって、過去の電力使用量との需給ギャップを埋めるべく、各業界や需要家がどれほど節電すればいいのか、量の割り当てには恣意性、裁量性が強く働く。つまり、彼らの思うままである。

 これらの統制経済あるいは計画経済の欠陥克服には、経済学者たちによって、的確な回答がとうに用意されている。市場メカニズムの導入である。

 たとえば、野口悠紀雄・早大ファイナンス総合研究所顧問は、電力料金の引き上げを主張している。それによって、需要家には節電による料金節約というインセンティヴが働く。そのとき重要なのは、需要家の自己判断で節電が行われることである。大口需要家である企業は、電力コストに対して効率性、生産性、収益性が高い事業を継続し、そうではない事業の活動を低下させるだろう。そうすることで、電力需要の抑制と経済成長の維持という両面を満たせる。家庭では当然、もっとも電気料金の高い――つまり、電力使用量がピークに達する――時間帯に節電しようとするだろう。

 また、需要家ごとに最大電力用枠を設定し、それぞれの不足分と余分の枠を相対で取引する、あるいは売買できる市場を整える、という発想はもはや常識とさえ言える。CO2排出権取引と同じ発想の経済取引である。

 あるいは、八田達夫・大阪大学招待教授は、大口需要家ごとに過去のピーク実績に対する削減目標数値を設定して、不足すれば税金をかけ、超過すれば補助金を与えるという仕組みを、提案している。

 供給側の論理による啓蒙活動に頼ることなく、強制命令に依存することなく、需要側の創意と工夫に働きかける市場メカニズムの導入こそ、先進国の経済政策である。そもそも、大震災前の電力需要量と供給量を前提として規制を行う発想がおかしい。市場メカニズムを機能させることで、新しい需給の均衡点を探り続けることがあるべき姿ではないのか――。

 これらの経済学者たちの指摘、提案は、市場経済の基本そのものであり、極めて論理的、合理的である。

 ところが、電力喪失騒動の中で、政策決定権を握る政府民主党、供給当事者である電力業界、需要当事者である産業界いずれも、彼らの指摘、提案を議論するどころか、耳を貸す気配さえない。無視である。

 そして、大手メディア――日本経済新聞も朝日新聞もNHKも、まったく取り上げない。根拠が今一つ不確かな予想電力不足量を示し、それを削減ノルマと受け止めて、業界ごと企業ごとに節電に走る必死のありよう、そのアイディアを実にきめ細かに記事中に取り上げるのみで、政府による電力統制経済へのいささかの疑問もない。

 電力喪失――繰り返すが、実態はわからない――騒動のなかで、彼らは一体となって救国運動に傾き、あえて思考停止にすら陥っているように見える。

 なぜなのだろう。

 野口早大ファイナンス総合研究所顧問が、このダイヤモンド・オンラインで、電力料金引き上げによる価格メカニズム導入を主張した際には、多数の反対メールが寄せられた。その多くは、「これほどの不祥事を起こした東電を、料金値上げによって助けることになるのは許せない」という感情的反発である。

 料金引き上げ分は税金として政府収入とするといった制度設計を行えば、この問題は解決する。また何より、料金引き上げの目的は需要家に節電を促すことにあるのだが、未曽有の不祥事が巻き起こした世論の感情のうねりには、論理的、合理的説明は通用しない。そもそも、政府に国民を説明、説得するという姿勢が薄く、それどころか迎合し、流されてしまう。読者という名の国民を抱える大手メディアも同じ構造なのだろう。

 一方、自動車業界が自主的にいち早く輪番制を導入するなど、産業界が極めて政府、東電に従順に、それも業界単位で共同歩調を揃え、需要削減指令に従うのを見て、小峰隆夫・法政大学教授は、「日本は計画経済に極めて親和性の高い社会なのだと改めて思う。業界ごとに行動するのはカルテル的行為だから、市場経済からは遠い。だが、危機に際しては誰もそんな指摘はしない。批判となって跳ね返ってくるのがわかっているからだろう」と言う。

 確かに、現在の熱狂的ともいえる産業界の節電運動を見れば、ハードルが高いといわれる25%以上もの需要削減をあっさりと実現してしまうのではないか、とも思えてしまう。

 仮に、電力需給に市場メカニズムを導入しても、最初からうまく機能するはずもなく、市場整備のために制度設計、運営にさまざまな修正、工夫を凝らさなければならない。それが市場経済の本質そのものなのだが、「そんな面倒なことをやるよりも、危機に際しては一致団結して乗り越える方が先だ、というメンタリティが働くのが日本社会」(経団連副会長)なのである。

 かくて、経済学者たちの主張は、蟷螂の斧に終わる。

 東電福島第一原発が世界の原子力事業で最悪の事故を起こしたのは、地域独占事業体たる電力会社が、経済産業省と結びつき、2003年に敷かれたはずの送発電の分離、自由化路線を事実上封じ込め、秘密裏に、自己の都合の良いように政策を展開した――つまり、事実上の計画経済にこそ原因があることを、私たちは指摘、批判する一方で、電力統制は素直に受け入れる。極めて不思議な国民、社会である。


▼世にも不思議な原発賠償業界負担

経産相、業界負担「選択肢には入る」 原発事故補償
2011/4/15 10:47
http://s.nikkei.com/gohplf

 海江田万里経済産業相は15日の閣議後の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所の事故の被害者救済をめぐって原発をもつ9つの電力会社にも負担を求める案について「あらゆる選択肢がある。その選択肢には入る」と述べた。ただ「その場合は他の事業者にしっかり説明して理解をいただかないといけない」と語った。

 原発事故の被害者救済のために新しい機構をつくる案は、新機構が東電が発行する優先株を取得して、東電の毎年の利益の一部を配当して補償にあてる方式。海江田経産相は同日の経済被害対応本部の初会合で「東電は電力供給の責任を果たし、収益をもとに賠償責任を果たすという観点も必要だ」と語った。


中部電社長、原発賠償の業界負担「提案の場合は検討」
2011/4/15 16:09
http://s.nikkei.com/dTPGF2

 中部電力の水野明久社長は15日午後の記者会見で、海江田万里経済産業相が東京電力福島第1原子力発電所の事故の被害者救済をめぐって原発をもつ9つの電力会社にも負担を求める案に言及したことについて「現時点で提案を受けた事実はない」と述べた。

 そのうえで「提案された場合は当社として内容について検討していきたい。ただ、仮に負担する場合は株主の理解を得られる内容となるかが重要だ」と語った。〔


福島原発事故の賠償負担、話あれば適切に判断=電事連会長
2011年 04月 15日 17:02 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20644420110415

 [東京 15日 ロイター]  電気事業連合会の八木誠会長(関西電力(9503.T: 株価, ニュース, レポート)社長)は15日の会見で、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原発事故の賠償を業界も負担するという考え方について、具体的な話があれば、内容や趣旨を聞いて適切に判断すると述べた。

 福島原発事故の早期の事態収束に向け、電事連も全力で支援に取り組むとの考えを示した。八木会長は、東電の清水正孝社長による電事連会長辞任表明を受け、同日付で就任した。

 福島第1原発の事故の賠償負担について、八木会長は「福島原発の事故は原子力損害賠償法に該当する。当該事業会社と国が賠償に当たるのが基本だ」との認識を示した。他の電力各社も一部を負担するとの考え方については「(各電力会社も賠償を)負担するとなると、国民に負担していただくことになる。全体のスキームの中で考えていくべきだ」と主張。現時点では具体的な案などは「聞いていない」とし「新たなスキームが出来上がってきたら、顧客への説明責任があるので、内容や趣旨を理解して判断したい」と述べた。

 エネルギー政策のあり方にも言及し「(福島原発事故の)事態にある程度の収束が見えた段階から、エネルギー政策全体の議論が進められてくると思う」との見方を示した。「日本のエネルギー自給率からは、原子力が軸になる大切な電源だと考えている」と述べ「(電源として)原子力を進めていきたい思いに変わりはない」とした。将来的な原発の新設などへの考え方は「言及できる段階にない。既存(の原発)プラントの安全確保に全力を挙げたい」と述べた。

 事業面での見通しは「原子力に対するコストが従前以上にかかってくることは明らか」と指摘。効率化などの経営努力を進めるとして「民間事業として収益があげられる努力を続けたい」と述べた。電力各社の資金調達環境については「社債のスプレッドが少し拡大する動きがある。今後の資金調達コストへの影響が懸念される」と指摘。この上で、社債や銀行借り入れ、CP(コマーシャルペーパー)などの各種の調達方法の中から「極力、安定・低利の調達に努める」とした。


<画像引用>

Kim Jong IlDe marian kamensky
http://fr.toonpool.com/cartoons/Kim%20Jong%20Il_112780#img9

今試される民力、「メード・イン・ジャパン」の信頼を取り戻せ、一丸となって走り始めた自動車業界2011/04/18 08:25

今試される民力、「メード・イン・ジャパン」の信頼を取り戻せ、一丸となって走り始めた自動車業界


自動車業界の行く手を阻む最大の障害物は日本政府、つまりは菅内閣。
ここでも後手に回れば日本沈没。政府は早急に手を打て!


<関連記事引用>

自動車業界「放射能汚染」払拭へ一丸 モーターショーで検査ルール公表
2011.4.18 05:00
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110418/bsa1104180502001-n1.htm
 
 自動車業界は、海外の一部で広まっている「日本で生産された車は放射性物質で汚染されている」という風評の払拭に一丸となって乗り出す。中国と米国で近く相次いで開催されるモーターショーで、放射線量の検査ルールを日本自動車工業会が公開するほか、各社も自主的な検査の結果を基に安全性を訴える構えだ。

 東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で、米国や台湾などの港では陸揚げされた日本車を対象に放射線量の検査が実施されている。メーカー各社の自主的な検査も含め、放射性物質はほとんど検出されていないが、根拠のない放射能汚染の風評は消えていない。

 このため業界では、19日開幕の上海モーターショーと20日に始まるニューヨークモーターショーで、日本車の安全性をアピールする。

 自工会は、輸出船ごとに船積み前の車両の一部を選び、放射線量を計測する新たな検査ルールを、それぞれのモーターショーで公表。上海モーターショーに出席する日産自動車のカルロス・ゴーン社長やホンダの伊東孝紳社長らが、スピーチや会見などで安全性を説明する。

 ただ、工業製品をめぐる放射性物質の安全基準が定められていないことから、業界では、安全基準を早急に策定して風評の沈静化につなげるよう政府に要望する考えだ。


[FT]日本株、震災のダメージいつ癒える
http://s.nikkei.com/dWQqNp

■自動車、ハイテク業界に懸念

 シンガポールに拠点を置くロング・ショート(両建て売買)戦略のヘッジファンド、モントレー・キャピタル・マネジメントのCEO(最高経営責任者)、村田啓氏は現在のサプライチェーンの混乱のために自動車、ハイテク業界に対して強気になれないと言い、より長期的な懸念も抱いている。この混乱に素早く対処できなければ、グローバル企業が部品の調達先を日本以外のサプライヤーに恒久的にシフトさせ始める恐れがあるというのだ。

 一方で、マッコーリーのイードン・クラーク氏をはじめ、より楽観的な見方をする人もいる。彼らは部品供給の混乱は6月か7月に終わるはずで、多くの企業は自家発電を行っているため、東電に完全に依存しなくて済むと話している。

 TOPIXの輸送関連企業の株価指数は震災後に8.6%下げており、トヨタ自動車は9%下落している。これは円建てのTOPIXの下げ幅(5.8%)よりもきつい下げだ。不動産株も激しく売られ、3月半ばの一時的な反発にもかかわらず、15.3%下落している


輸出車の放射線測定方法統一へ、自動車業界、風評防止へ連携。
2011/04/16 日本経済新聞 朝刊

 東京電力福島第1原子力発電所の事故による「風評被害」に対し、自動車業界は輸出車の残留放射線の測定方法の統一に乗り出す。日本自動車工業会が測定する部位などの基準を近く策定する。測定方法のばらつきをなくし、測定結果に対する信頼性を高める考えだ。

 基準は残留放射線を測定する部位を自動車のボンネットとタイヤの表面から1センチメートル以内とし、輸送船ごとに10台を抜き取って検査の対象とする方針。この基準に沿ってメーカー各社は港湾施設内で自主的に検査し、放射線に汚染されていないことを輸出先に示す。

 原発事故をきっかけに海外では日本製品の風評被害が広がり、日本車に対しても放射線量検査を求められるケースが出ている。一部メーカーが独自に実施している検査では影響は出ていないものの、業界で測定方法を統一することで信頼性を高め、風評被害を防ぐ。


自動車工業会 輸出車の検査へ (画像引用)
4月15日 4時16分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110415/t10015325421000.html

福島第一原子力発電所の事故の影響で、日本車に対しても放射性物質による汚染があるという風評が、海外で広がる懸念があるとして、自動車メーカーの業界団体、日本自動車工業会は、輸出する車に対する検査を行って、日本車の安全性を業界全体で訴えていくことになりました。

今回の原発事故を巡っては、すでにアメリカの複数の港で日本車に対する放射能検査が実施されるなど、日本車にも放射性物質による汚染があるという風評が、海外で広がっています。

今のところ、自動車メーカー各社が自主的に行った検査では、車から放射性物質はほとんど検出されていないということですが、自工会=日本自動車工業会は、日本車に対する懸念を払拭(ふっしょく)する必要があるとして、対応に乗り出すことにしました。

具体的な対応策としては、輸出する船ごとに、船積み前の車10台程度をサンプルとして選んで、放射線を計測する機器で、異常な放射線が出ていないかどうかを計測します。計測は自工会が定めたルールにのっとって行い、必要に応じて海外でも安全を証明するデータとして示すことができるようにし、早ければ今月から主な輸出港で始めたいとしています。

自工会では、工業製品から検出する放射性物質の安全基準は今のところ定められていないことから、政府が安全基準を定めるよう要望していくことにしています。


IDC Japan:東日本大震災の国内IT生産への影響度を発表
SoC(System-On-a-Chip)の供給不足により自動車など一部の産業で一時的な操業停止が避けられない。
http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20110414Apr.html


【地震】国内IT産業、震災インパクト大きい自動車向けSoC……IDC Japan
2011年4月15日(金) 18時56分
http://www.rbbtoday.com/article/2011/04/15/76218.html

 IDC Japanは14日、東日本大震災による国内IT関連事業所への影響と復旧見通し、および2011年の生産インパクトについてのレポートの発表会を実施した。

■DCモータ、自動車、印刷
工場が原発避難地域にある日立化成工業

 次に比較的インパクトの大きな分野について、中村氏が説明を加えた。日立化成工業(福島)のDCモータ用(鉄道向け)カーボンブラシのグローバルシェアは70%と高い。そして工場が福島・浪江市にあり、原発による避難地域に入っている。したがって、いまでも復旧できない状態にあるため、-10%とインパクトが大きい。「ただし、ユーザー側で半年ほど保守部品の在庫があるため、その間に拠点移管が行われれば影響も抑えられる」(中村氏)と見ている。とはいえ半年を越えても工場の移管が行われなければ、相当なインパクトになるかもしれない。

 また高濃度(30wt%)の超純過酸化水素を供給する三菱ガス化学(茨城)も鹿島工場が停止しており、インパクトも-14%と大きい。国内シェアが60%(WWでは30%)もあり、深刻な状況だ。超純過酸化水素は、ウェハーの洗浄や紙の漂白などに使われるものだが、劇薬で運搬に留意する必要があり、輸入も面倒だ。「ただし国内シェア2位(20%)の日本パーオキサイドがいち早く復興した。すでに生産を開始しているので、他メーカーの工場も含めて、残りの40%程度の供給で目処がついている」(中村氏)。また鹿島コンビナートも一部復旧を開始しており、復旧スピードが若干速まるかもしれないという。

●インパクトの大きい自動車向けのSoC、一部操業停止で生産高14%減少

 そのほかインパクトが大きいものとして、ルネサスエレクトロニクス(茨城)がある。同社はカーナビのプロセッサーで75%の世界シェアを持っている。さらに一部のHDDコントローラー部でも25%のシェアがある。「7月復旧を目処にして考えても、2011年の自動車向けSoC(System-On-a-Chip)の生産高は14%ほどの減少が見込まれる。5月下旬以降、6月末までは供給の見通しが立っておらず、多くの自動車メーカーで一時的な操業停止が避けられない見通しだ。ただし自動車業界で復旧の応援が入り、6月ぐらいまでに回復するとの情報もある。そうなれば少し数値の改善がみられるかもしれない」(中村氏)という。

 中村氏は、さらにルネサス全体の状況について詳細に説明した。ルネサスエレクトロニクスは茨城(那珂)、山梨(甲府)、群馬(高崎)に事業所があり、ルネサス山形セミコンダクタ、ルネサスハイコンポーネンツ(青森)といった関連会社もある。このうちルネサスエレクトロニクスで最も影響を受けているのは茨城県の那珂事業所だ。そのほかの山梨、群馬、山形などの工場は直接被害というより計画停電の関係が大きかったが、これが原則停止になったので改善する見込み。一方、問題の那珂事業所では、前出のようにSoC、32ビットMPU、自動車向け部品(ECU)、携帯電話向けアプリケーションプロセッサなどを製造しており、半導体製造の前工程で大きな影響を受けている。

 半導体製造工程は前工程と後工程に分けられ、前工程はリソグラフィ技術によって回路をウェハーに何度も刻んでいくプロセスが中心。一方、後工程はデバイスを製造するために配線したり、パッケージングやテスティングを行うプロセスで、こちらは比較的早く復旧できるという。前工程は通常投入してから製品ができるまでに2~3ヵ月はかかる(自動車向け部品の場合は、さらに足が長く、時間がかかる)。そのためルネサスでは、他社への製造委託も考えているそうだ。

 たとえば携帯電話向け部品の一部は、すでにTSMC(台湾)への製造委託を始めており、影響は軽微となる見込み。また自動車向け部品の一部は、海外ファウンドリング(シンガポール)へ生産を移転。したがって生産の半分は外部に委託できる。ただし残りの半分は、どうしても那珂事業所で内製せざるを得ない状況で、そこがネックになっているという。それでも自動車向け部品に関しては、走行のために本当に必要なものかを仕訳することで、影響を最小限にとどめているという。中村氏は「カーナビなどディーラーオプションで取り付けられるものは後からでも対応できる。工場オプションであっても、後から持ち込みで取り付ければよい。カーナビを付けないで出荷するなど、震災直後からできるだけ影響を与えないようにしている状況だ」と説明する。

●新聞印刷などにも影響

 さらに、いまかなり厳しい状況にあるのがインク溶剤(メチルエチルケトン)だ。新聞印刷やオフセット印刷用のインク溶剤が供給できないと懸念されている。千葉県・市原市で炎上したコスモ石油コンビナートに隣接する丸善石油化学が全壊しており、リカバリーまでに1年ぐらいかかる予定。国内生産の60%を占めており、対応策としてリサイクルや代替溶剤(酢酸ノルマルプロピン、酢酸エチル)も考えているとのこと。あるいはインドネシアからの緊急輸入も行って、なんとか影響がでないように努力しているところだが、まだどうなるか予断を許さない状況だ。

 IDCでは、今後も震災を加味したインパクトについての予測レポートを公開していく予定だという。 《井上猛雄》


【東日本大震災 被災企業の現場から】自動車産業 崩れたピラミッドの裾野
2011/04/16 産経新聞 東京朝刊

 東日本大震災で、世界市場を牽引(けんいん)する大手自動車メーカーの生産ラインは軒並み稼働を停止した。最大の要因は部品供給の停滞だ。震災から1カ月がたち、一部生産を再開したが、巨大な自動車産業のピラミッドの裾野では今も、被災した中小、零細の部品会社が苦境から抜け出せずにいる。完成車の生産ラインの稼働率が震災前の水準を回復するのは秋以降との見方もあり、本格復旧に向けた道のりは、平坦(へいたん)ではない。(是永桂一)

 太平洋に沿って福島県と隣接する宮城県山元町。自動車用エンジン部品の金型を製造していた「ちひろ金型製作所」は津波で工場が全壊した。金型の機械は海水につかり、在庫品や工具も流されてしまった。

 工場を建てて35年ほど。パートを含め、従業員十数人でやってきた。「みんな波に持っていかれたけど、ほかの工場やメーカーも大変だから…」。千尋勝男社長は、機械にかぶった泥や砂をぬぐいながらさびしげにつぶやいた。

                 ■   ■

 ちひろ金型は、近くにある部品メーカー「岩機ダイカスト工業」に金型を納品していた。精度の高い自動車部品をつくる金型は、一定の回数を使って摩耗すると、すぐに新しいものに取り換える。

 岩機はその金型でアルミ製部品をつくり、ホンダ系列のケーヒンなどに納入、ケーヒンはホンダの工場にエンジン制御部品を納めてきた。震災後に、ホンダの完成車生産がストップしたのも、ちひろ金型など多くの部品メーカーが被災したためだった。

 自動車産業は、ホンダやトヨタ自動車などの完成車メーカーを頂点に、1次、2次、3次と多くの下請け部品メーカーが連なる巨大なピラミッド構造だ。

 完成車には2万~3万点の部品が使われるが、そのうち1つでも調達できなければ自動車生産は滞る。そんな産業構造の弱点が、露呈した。

 岩機の下請けは3社が、ケーヒンは10社以上が津波で壊滅的な打撃を受けた。両社はそれぞれ、被災を免れた取引先に代替生産を委託し、供給再開にこぎつけたが、生産規模や部品の種類は、震災前の水準に戻っていない。

                 ■   ■

 完成車メーカーにしても同じ状況だ。11日から生産を再開したホンダの稼働率はまだ5割。影響は海外にも飛び火し、ゼネラル・モーターズ(GM)をはじめ、米欧メーカーも減産を余儀なくされている。

 「もう一度、以前のように仕事がしたい。ここでつくった金型で車やバイクを生産してもらいたい」。千尋社長は強く語るが、操業再開のめどはまったく立っていない。

                   ◇

 ■部品供給に懸ける使命感 「日本の信頼を失ってはならない」

 東北地方は、南部鉄に代表されるように金型や精密加工の技術が発達し、量産には向かない部品の生産拠点が集積した。東日本大震災は、沿岸部に広がる「ちひろ金型製作所」のような企業だけでなく、広範な地域に被害を及ぼした。

 エンジンの鋳造、鍛造部品などをつくる福島県二本松市の自動車部品メーカー「テクノメタル」は、内陸部の中通りにあることもあり、東日本大震災で約690人の従業員は全員無事だったものの、鍛造工場の一部が火災に見舞われた。

 愛知県豊川市に出張していた三浦哲夫社長は、震災から2日後の3月13日に会社に戻り、対策本部を立ち上げた。ガスの配管や給油ラインを念入りに点検して安全を確認し、翌14日には韓国メーカーなど海外向けの製品の生産を何とか再開させた。

 だが、鋼材の供給元であるJFE条鋼仙台製造所の被害が予想以上に大きく、材料調達がストップした。急遽(きゅうきょ)、新日本製鉄の室蘭製鉄所などから材料を取り寄せたが、材質が「微妙に異なる」(三浦社長)ため、薬品や添加剤を調合して均質化し、対応した。

 さらに、努力や技術では乗り越えられない問題が起きた。工場は福島第1原発から約55キロに位置しており、海外の納入先が、同社部品への放射能汚染に懸念を示したのだ。「風評被害」との戦いが始まった。

 「日本の信頼を失ってはならない」(三浦社長)と、炉の中で溶けた鋼材の放射線量まで測った。発送までの工程をすべて屋内作業にし、梱包(こんぽう)時にも放射線量を確認した。

                 ■   ■

 国内自動車業界では、震災から約1カ月間の操業停止で、完成車の減産は延べ53万台に及んだ。4月半ば以降、大手各社が徐々に生産再開にこぎ着けているが、調達部門の幹部は「明日、本当に工場に部品が届くのか、不安でたまらない」と打ち明ける。ただ、被災した部品メーカーは「供給責任の重さを感じる」(岩機ダイカスト・横山広人常務)として、供給維持に全力を挙げている。

 2次、3次部品メーカーの被害の大きさから、トヨタ自動車は3月末、約500もの部品調達のめどがつかないことを明らかにした。部品不足は長期化し、生産停止が数カ月にわたって続く心配もあった。

 自動車市場で世界のトップクラスを走る日本メーカーの生産停止は、異例の出来事だ。だが、5割程度の稼働率とはいえ、4月半ばには全メーカーが生産再開にこぎ着けた。「部品メーカーの努力に感謝している」(トヨタの豊田章男社長)。完成車の生産再開の陰には、部品供給の使命を果たそうとする懸命の努力がある。


【主張】原発風評被害 ルール違反の拡大阻止を
2011.4.17 02:51
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110417/fnc11041702510000-n1.htm

 「日本からの輸入品は放射能に汚染されている」とのいわれなき誤解によって、農産品から工業品に至るまで日本製品への輸入規制の動きが広がっている。

 政府はこうした国際貿易ルール違反の疑いが濃い動きがこれ以上拡大しないよう、各国の協力取り付けなどに早急な手を打つ必要がある。

 福島第1原発事故に伴う海外での風評被害は日を追うごとに深刻の度を増している。多くの国が日本からの輸入品について、放射線量に問題がないという証明を要求し始めている。輸出業者は独自に検査を実施するなどの対応を迫られているが、とりわけ中小企業には大きなコストアップ要因だ。

 物流の滞りも懸念されている。このままでは日本経済を支える輸出の減少を招き、復興そのものを遅らせかねない。

 そもそも工業品の安全性に関しては放射線量の国際基準はない。世界貿易機関(WTO)は、禁輸措置を実施する際には科学的根拠が必要だとのルールを定めており、各国の対応は行き過ぎだ。

 14、15の両日、ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明は、原発事故の長期化に懸念を示す一方、日本の経済と金融の先行きについては「強靱(きょうじん)さを信認する」と明記した。このことは、世界経済の安定に果たす日本の役割の大きさを示してもいる。

 事実、今回の大震災では、日本からの部品供給が滞ったことで欧米やアジアの国々の生産にも影響が広がっている。

 風評被害については、各国と冷静に協議し、過剰な輸入規制は早急に改めさせるべきだ。それにはまず、正確な情報を迅速かつ丁寧に伝えることだ。外務省は在外公館などを通じて、現地政府やその国の輸出入業者らに正確な情報を伝える努力をしているという。だが、現状をみれば、情報発信が不十分で対策が後手に回っているとの批判は免れまい。

 政府は危機感を持ち、あらゆる外交チャンネルを活用してほしい。WTOや国際原子力機関(IAEA)など国際機関へも協力を強く求めるべきだ。担当閣僚である外相や経済産業相らが世界行脚するぐらいの行動力を示さなければならない。日本経済への信頼をつなぎ留めるには、それぐらいの強い働きかけが不可欠だ。