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「歴史の終わり」がハッピー・エンドとは限らない 中東地域全体が煮えたぎった大釜に変わることもあり得る2011/02/02 08:39





「歴史の終わり」で最終的には民主主義が勝利すると説いたのがフランシス・フクヤマ。エジプトで繰り広げられる自由を求めるデモを見ながら、アラブ世界も例外ではなかったと喜んでいるネオコンも大勢いることだろう。

今、中東で起こっていることはベルリンの壁崩壊に匹敵するほどの衝撃。そこで浮き彫りになったのはこれまでの欧米の偽善と矛盾。とりわけその中心は米国。

米国は自由と民主主義の拡大を主張しながら、一方ではエジプトやサウジアラビアなど世界で最も専制的な政府を支えてきた。かつてコンドリーザ・ライス前国務長官が地域の安定性のために自由と交換したのだと辛らつな言葉で皮肉ったこともある。

今まさに米国の矛盾に満ちたリアル・ ポリティークが崩壊しつつある。皮肉なことに米国得意の「インターネットの自由」というアジェンダを象徴するツイッターやフェイスブックを駆使した反政府デモによって、ムバラク親米政権は退陣表明に追い込まれた。

「自由で公正な選挙」がエジプトで実施されれば、穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」などのイスラム勢力が政治の中心に躍り出ることになるだろう。

これまでの米国の偽善と矛盾に対して刃を向ける可能性もある。それでも米国はイスラム勢力の台頭を歓迎することができるのだろうか。米国は秘密裏にムスリム同胞団との接触も図ってきたが、準備万端とは言えないようだ。

そして、イスラム勢力の台頭に懸念を表明したのはイスラエルのネタニヤフ首相。アラブ諸国で初めてイスラエルと平和条約を締結したのがエジプト。安全保障上極めて重要な隣国エジプトを失うという事態になった場合にはどうなるのか。中東地域全体が煮えたぎった大釜に変わることもあり得るのだ。

「歴史の終わり」がハッピー・エンドとは限らない ムバラク親米政権退陣後に待ち受けるのは中東のカオスかもしれない。

エジプト国民の怒りが癒されることを祈りつつ、ここでヨーダに登場していただこう。

「恐れはダーク・サイド(暗黒面)に通じる。恐れは怒りに、怒りは憎しみに、そして、憎しみは苦痛へとつながるのじゃ」