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バック・トゥ・ザ・フューチャー:中国は日本の1930年代へと突き進むのか、相次ぐ識者の警鐘2010/12/05 10:29



ようやく1930年代問題が注目されつつあるようです。


<関連記事引用>

時代の風:日中の情勢に思う=東京大教授・加藤陽子
http://mainichi.jp/select/opinion/jidainokaze/news/20101205ddm002070073000c.html

 ◇1930年代に似た空気
 文章を書くことは孤独なものなので、読者からのお便りや読み巧者がインターネットに上げた読後感などは、私の一番の宝物とあいなる。

 最近いただく感想で突出して多いのは、現在の国内外の状況をみると、「満州事変から日中戦争へ」(岩波新書)で描いた1930年代の雰囲気が今と似ていて怖い、というものだ。歴史は繰り返さない。しかし、世界不況と国際秩序の変動期にあって、社会の構造や制度がそれに追いつけない時、国民は心情のレベルで国内外の情勢に対応するようになる、とのパターンが似ているのかもしれない。

 この本で私は、31年の満州事変から33年の国際連盟脱退に至る過程で、日本がいかなる主張を連盟で展開していたかを書いた。日本と中国が激しく争ったのは、満州事変に先立つこと25年前、日露戦争の後で日本がロシアから継承した諸権益をめぐる条約の解釈だった。今年起きた尖閣問題の背景にも、78年の日中平和友好条約交渉時の未処理案件や解釈の違いがあるのだろう。こちらは32年前のことではあるが。

 満州事変を、その計画者・関東軍の意図から説明するのは簡単だ。将来に予想される対ソ戦を有利に戦えるように、国境線を北へ上げておく、これに尽きる。だが、真の意図を隠しつつ、昭和戦前期の陸軍が国民を説得するのに用いた論理の肝は、中国への不満をあおるところにあった。いわく、中国は、日本が日露戦争によって正当に獲得した満州の特殊権益に関する条約を守らない国である、と。陸軍は時局講演会などで、中国側の条約違反の最たる例として、「併行線」問題を取り上げるのが常だった。

 では、併行線問題とは何だったのか。日本の権益の柱・南満州鉄道に関し、この満鉄に併行して走る幹線鉄道や支線を中国は敷設できないとの条約があったのに、中国は違反する鉄道を敷設したのだと非難する日本の主張である。条約を守る日本、守らない中国、との二項対立で、陸軍は国民をあおっていった。

 本問題につき、リットン報告書と連盟が下した結論をみておこう。報告書は、日本側が主張するような、併行線を禁ずる条約(・・)は存在しないと断じた。ただ、05年末、日中間で開かれた北京会議の議事録中に発言(・・)の記載がある、と指摘していた。この結論は史料からも支持できる。全権・小村寿太郎や同時代の外務当局は、この併行線問題に言及する際には、必ず「北京会議録に存する明文(・・)」と、正確に呼んでいたのである。

 満州問題の危機を国民に説く際、陸軍は中国側の条約違反を喧伝(けんでん)し、黒白(こくびゃく)をつけるための外交論争に自ら入っていき、そして敗北した。明治の外務当局に自覚されていた正確な知見は、昭和の陸軍当局には継承されなかったと考えざるをえない。もっとも、別の推測も可能だ。当初は国民を欺いているとの自覚のあった当事者も、しだいに自らの宣伝を信じるようになった、との見立てである。これについては、鶴見俊輔氏の「思い出袋」(岩波新書)が深い。「自分だけだまさずに他人をだますのはむずかしい。日本の政治家はそこまでかしこくない」と。この感慨を抱いた当時の鶴見氏19歳、41年秋のことである。

 30年代と今の空気が似ていると気づいた読者であれば、そのきな臭さの一半が、今の中国の外交姿勢に起因していることにも気づくだろう。現在の中国は、外交に黒白をつける思想を持ち込んでいるといわざるをえない。日本の戦争によって最も惨禍を被った国だからこそ、日本の過誤の過程を最もよく見てきたはずではなかったのか。

 むろん、私たち自らを顧みる必要があるのはいうまでもない。そのような時にお薦めの本を2冊挙げておこう。まずは、日中友好に大きく貢献し、中国大使も歴任した中江要介氏の「アジア外交 動と静」(蒼天社出版)。6名の気鋭の若手研究者による行き届いたインタビューの記録である。中江氏は言う。中国側が感情を害する案件が生じた時など、慌てずに「中国はこんなことで怒るのか」という点のみを、情報として蓄積すればよいのだと。外務当局の重厚な知恵は若手の手で、しかと後世に伝授された。

 2冊目には、70年代生まれの若手による刮目(かつもく)すべき批評を挙げたい。大澤信亮氏の「神的批評」(新潮社)である。批評の主たる対象は、宮沢賢治、柳田国男、北大路魯山人の3巨人。彼らはそれぞれの時代において、「生きるとはどういうことか」という、一見するとやぼな問いに、いかに深く向き合っていたのか。

 人間は、「食」という行為を内蔵された肉体をもって生まれてくる。食べることは奪うことであり、殺すことでもあるならば、人間の身体は、暴力を初期設定されて生まれ落ちてくるともいいうる。

 では、そのような存在としての人間は、弱い者がさらに弱い者をたたく暴力の悪循環を断ち切るために、いかにすべきか。賢治が格闘していた問いを、大澤氏はこのように掘り当てた。著者の眼差(まなざ)しには、ありふれた現実を回転させ、真に世界を変えるに足る力がある。3巨人もまた、しかと現代によみがえった。=毎週日曜日に掲載


<日中の窓>中国が日本から学ぶべき教訓
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=134724

8日、香港のサウスチャイナモーニングポスト(SCMP)は「中国が日本から学ぶべき教訓」と題して、出井伸之元ソニー会長のインタビュー記事を掲載した。

井出氏はインタビューで、経済規模で日本に追いついた中国について、「誰も驚いてはいけない」とし「中国が過去の日本の発展軌道を歩んでいるだけに、日本は中国に鏡と見なされるかもしれない」と強調した。

出井氏は「中国の日本追跡は不幸な転換点と解釈されるべきでない。中国の発展は両国の経済が協力できる、さらに多くの機会をもたらすだろう」と述べた。また「中国は日本に比べて大国であり、大きな貧困を抱えている」とし「北京や上海から車に乗って少し郊外に出ると、これがすぐに分かる」と強調した。

出井氏は「中国は日本と似た開発行路を進んでいるが、日本が1930-40年代に犯した失敗を繰り返してはならない」と述べた。さらに「もう時代は変わった。中国は過去の日本の過ちから教訓を得て、バランスが取れた三角形構図を構築する必要がある」と強調した。

コメント

_ とら猫イーチ ― 2010/12/05 14:25

 「歴史は繰り返す」と言っても、1930、40年代の世界と彼我の置かれた政治・経済的状況が相違していますので、結果は異なるでしょう。
 第一に、中国の過去と、現在の姿が決定的に相違しています。 共産党一党独裁を、漢民族のみならず多くの他民族にまで強制し、圧倒的な軍事力で維持している今は、1930年代には想像も出来なかったことでしょう。 周辺諸国には、当時は存在しなかった脅威として、現実に対応しなければならない軍事的圧力が掛っているのですから。
 日本は、曲がりなりにも民主主義国として再出発しましたが、冷戦下では、米国の同盟国と言うよりも傘下にある国家として、経済・軍事とも自主独立に依って立った国家とは言えませんでした。 軍備の問題は、改憲が障害となり解決は先送りされて、「自衛隊」等と言う誤魔化しで切り抜けて来ましたし、今まで政府・国民ともども世界の現実に向き合う困難を棚上げして来たのが真実でしょう。 
 私の周囲でも、「戦争は嫌だ」と言うばかりで、実際の世界が現在、どうであるのかには興味も示さない人々が多くいます。 言わば、「引きこもり」ですね。 「護憲」をお札と勘違いしているのでしょうか。 このような人々に共通しているのは、戦争に関しては、異常に、被害者意識だけが際立っていることです。 
 中国のように周辺国に撃って出る国と国民、内に引きこもる国と国民。 日本は、この先、止めども無い転落をするのでしょうか。

_ まりねすく ― 2010/12/05 23:21

とら猫イーチさん

大日本帝国=共産党中国という入れ替わりがポイントでしょう。
また現在の日本はアメリカ陣営のひとつ、という視点で見れば
当時の中国=現在の日本の立場になります。
なので「歴史は繰り返す」の意味は
大日本帝国の破綻=共産党中国の破綻という意味合いになるはずです。
そしてそれは様々な不幸を生む可能性があると出井さんは中国に助言(期待?)してるわけです。

_ Y-SONODA ― 2010/12/06 08:00

★とら猫イーチさんへ

>私の周囲でも、「戦争は嫌だ」と言うばかりで、実際の世界が現在、どうであるのかには興味も示さない人々が多くいます。 言わば、「引きこもり」ですね。 「護憲」をお札と勘違いしているのでしょうか。 このような人々に共通しているのは、戦争に関しては、異常に、被害者意識だけが際立っていることです。 

なかなか鋭い観察力。
「米軍出て行け」系の人たちに限って、その後のビジョン語らず。
追求すると「丸裸でいいのだ」と熱く語る人まで。
「米軍出て行け~丸裸万歳」系の人って結構日本には多いかもしれませんね。


★まりねすくさんへ

>「歴史は繰り返す」の意味は大日本帝国の破綻=共産党中国の破綻という意味合いになるはずです。 そしてそれは様々な不幸を生む可能性があると出井さんは中国に助言(期待?)してるわけです。

実際もう少し中国はうまくやるかと思っていたのですが、困ったちゃん状態。
どう見ても戦前の日本と重なりますよね。
出井さんの場合は中国にもお友達が多そうなので期待はないのではないかと。
今の中国を冷や冷やして見ているといった感じではないでしょうか。

_ とら猫イーチ ― 2010/12/06 22:02

 現在の中国は、聊か腹立たしいのですが、大日本帝国とは違い、軍事力と経済力が強大で、情報収集力も強くて、米国とも経済的に緊密な関係を構築しているのです。 なお且つ、国家の基本が神がかりでは無くて、社会主義の原理も現実に即しつつ、なお国家統治の原理としては揺らぎが無い事実に着目する必要があると思うのです。 
 ただ、弱点は、基本的人権の尊重に欠けるアジア的独裁政治だと思います。 漢民族以外の民族は、この圧政に何時まで耐えられるのか、と言う点でしょう。 漢民族自身にも限度があることでしょうし、やがては、ソ連の辿った運命のようになるのではないでしょうか。 ただ、その時点では、民族自立の機運が高揚しているでしょうから、日本と同様の運命を辿ると短絡的に考えるのは近視眼的に過ぎるのでは? 何より、香港を観るとまた、違った視点が開けると思います。 統治機構と理念が少し違うだけで、同じ国家には見えませんものね。 TVのニュースも、本土とは情報公開の程度が違います。 (Free IT TV News 等を参照。)

_ Y-SONODA ― 2010/12/07 08:38

とら猫イーチさんへ

>やがては、ソ連の辿った運命のようになるのでは

その可能性も高いですね。
それがいつ頃起こるのか。おそらくそれも2012年。
なぜなら中国の少子化、高齢化問題が浮上してくる。
そうならないことを祈りたいですね。

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