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<尖閣諸島沖衝突事件> 「そもそも放水で対抗すべきだった」 生かされなかった米海軍音響測定艦「インペッカブル」の教訓2010/09/26 01:37

<尖閣諸島沖衝突事件> 「そもそも放水で対抗すべきだった」 生かされなかった米海軍音響測定艦「インペッカブル」の教訓


9月25日、自民党の谷垣禎一総裁は京都市内の講演で尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で中国人船長が釈放されたことに関して次のように話したとか。

「騒いで得をするのは中国で、問題を深刻化させないことが一番大事だ。直ちに国外退去させた方が良かった。最初の選択が間違っていた」

「最初の選択」と言われると大いに気になることがあるので指摘しておきたい。

はたして海上保安庁は昨年3月の米海軍音響測定艦「インペッカブル」の教訓を生かすことができたのかどうなのか。同じく昨年3月に米国防総省が議会に提出した報告書「中国の軍事力-2009年」を読んでいたのだろうか。

海上保安庁が衝突時の一部始終を撮影したとされるビデオが公開されていないため、事件発生時の詳しい状況が今ひとつわからない。確かにインペッカブルが置かれた状況とは異なるかもしれない。

しかし、それでもインペッカブルの教訓を生かすならば、漁船が接近した時にまずは放水で対抗すべきではなかったのか。

放水で追い払うことに失敗し、接触を許したとしても、海上民兵が乗り込む海の便衣隊の可能性がある漁船を拿捕する必要があったのかどうか。さらに中国人船長を逮捕してもよかったのか。思い切って「わざと逃がす」という選択肢もあったはず。

どうやら二重三重の判断ミスを繰り返していたように見える。誰がどう指示を出していたのかも気になる。

結果として中国側の「無実の漁船を拿捕し、船長を逮捕した」との汚い宣伝に使われ、最後は見事な腰砕け。

インペッカブルの教訓がまったく生かされていなかったと指摘されても仕方がない。


<関連記事引用>

中国の船舶5隻、米調査船を妨害。
2009/03/10 日本経済新聞 朝刊

 【ワシントン=弟子丸幸子】米国防総省当局者は九日、南シナ海の公海上で八日、中国の船舶五隻が米海軍の非武装の海洋調査船「インペッカブル」に異常接近し、航行を妨害する事件があったと明らかにした。米政府は「連携した嫌がらせ行為」だったとして、中国政府に抗議する方針だ。

 国防総省当局者によると、異常接近の事件が起きたのは、中国の海南島から南約百二十キロメートルの地点。五隻のうち二隻はインペッカブルから、およそ十五メートルまで接近。中国の国旗を振りながらインペッカブルを取り囲み、同海域から立ち去るように主張した。インペッカブルは消火用ホースで放水して対抗した。

 インペッカブルは南シナ海で調査活動中だったという。国防総省資料によると、インペッカブルは「海中の脅威」を探査する船で、低周波ソナーを搭載。中国の潜水艦の実態を調査するのが目的だったとみられる。

 国防総省によると、アジア周辺では最近、中国船による「攻撃的な行為」が頻発していた。

 インペッカブルに対しては五日にも中国の小型船が約百メートルの地点まで接近した。


中国が米海軍観測船を妨害、狙いは何か(上) ※抜粋
2009/03/11 朝鮮日報 892文字

◆米「国際法違反」と主張

 米国防総省は9日、南シナ海の海南島から120キロ離れた海域で、中国船5隻が非武装船舶である米海洋観測船「インペッカブル」に8メートル前後まで接近し、海域を去るよう要求してきたほか、同号の進路に木材を落とすなどしたことを明らかにした。

 米ニューヨーク・タイムズによると、米調査船が中国船に向かってホースで放水を行い、離れるよう求めると、中国側船員は下着姿でからかうような姿も見せたという。米国防総省は「中国船舶の行動は、公海の合法的な使用者に対する安全と権利を尊重するよう定めた国際法に違反したものだ」とし、挑発行為を自制するよう中国側に求めた。

 しかし、中国外務省の馬朝旭報道局長は10日の定例会見で、「米国船が中国政府の許可も受けずに、中国の経済水域で活動したことは国際法と中国の法律に違反している。米海洋調査船を脅すような行動を取ったというのは事実と全く異なる」と否定した。


【湯浅博の世界読解】「中国の海」で米中熾烈
2009/03/18 産経新聞 東京朝刊

 中国海軍はこのところ、南シナ海を「中国の海」にすべく米海軍に真っ向から挑戦している。とりわけ、その重要な拠点となる海南島の周辺で警戒が厳しい。島に地下要塞(ようさい)をつくって原子力潜水艦を配備し、海中から出入りさせる。

 軍事専門家は今回の南シナ海を舞台にした米中小競り合いで、中国艦船の統合運用ぶりに注目している。

 米音響測定船インペッカブルが海南島の南120キロの公海上で、中国海軍の情報船を含む5隻に「危険な操船行為を伴う妨害」(米国防総省)を受けた。

 興味深いのは中国艦の巧みな連携で、最初に海軍のフリゲート艦と航空機Y-12が出てきた。次いで国家海洋局の情報収集船、海洋漁業局のパトロール船、それに海上民兵のものと思われるトロール船2隻が加わる。

 これまでバラバラだった各機関がピタリと呼吸を合わせてきた。

 中国艦は危険な距離を超えて8メートルまで接近し、木片をインペッカブルの進行方向にばらまいて妨害したという。調査船に木片を見舞うとは、いかにも海上民兵らしいやり方である。

 この「海上民兵」というのがクセ者で、外見は漁船だから最初は識別が難しい。隠した魚雷を発射してくることもあるし、いつの間にか漁船団となって敵を囲んでしまうこともある。

 これを攻撃すれば「敵は無実の漁船を攻撃した」との宣伝に使われる。いわば海の便衣隊である。南京事件のさい、軍服を脱ぎ捨て後方撹乱(かくらん)した便衣兵と同じ発想だ。調査船は機銃すら持たないが、放水で対抗したのは妥当だった。

 防衛大学校の太田文雄教授によると、海上民兵は地方ごとに漁民で構成され、海軍が実施する演習にも定期的に参加して海上作戦で一定の役割を担う。

 中国はこの手で、ベトナムが領有していた西沙諸島の一部を1974年に海上民兵に占領させ、フィリピンでも90年代にミスチーフ環礁を奪わせた。しかも、今回は軍、海洋局、漁業局などの統合がとれていた。

 もちろん米国は中国に抗議するとともに、インペッカブルを護衛するためにイージス型駆逐艦を現場海域に派遣した。

 中国はこれを嘲笑(ちょうしょう)するように、海外向けの中央テレビが漁業監視船「漁政311」を南シナ海のパラセル(西沙)諸島に派遣したと報じた。漁政は軍艦を改造した中国最大の監視船だ。

 これまでも中国は、海洋に「力の空白」が生じると、これに乗じて軍を送り込んできた。まず92年の領海法で「中国の海」であるとの意思を示し、第2段階では海洋調査船の派遣を開始する。第3段階で海軍艦艇や航空機を派遣して力で領有権を明示する。その先兵が海上民兵だ。

 太田教授は、すでに第3段階に入っていると『インテリジェンスと国際情勢分析』で述べている。

 今回の米音響測定船に対する中国艦の異常接近事件も、表向きオバマ米政権との米中協調が叫ばれようと、海面下では熾烈(しれつ)な戦いが露骨に進んでいることを物語る。インペッカブルは、海南島に配備された中国原潜の音紋採取や潜水艦を探すための海底地形の調査である。台湾海峡で風雲急を告げたさいに、米空母機動部隊の脅威となる中国潜水艦を警戒するためでもある。

 南シナ海は日本にとってこそ中東原油を輸送する生命線である。ソマリア沖に護衛艦2隻を派遣するだけでも大騒ぎをしているようでは国益の確保はおぼつかない。やがては中国の空母が台頭してくるはずだ。


【野口裕之の安全保障読本】中国の“トロール漁船”警戒を
2009/11/04 産経新聞 東京朝刊

 日米の民主党がいかに中国に媚(こ)びようが、「国軍」には粛々と安全保障の重責を果たしてもらいたい。国軍は政権党ではなく国家に仕える組織であるからだ。日本には憲法理論上「国軍」はないことになってはいるが、自衛隊は国際的に事実上「国軍」と認められており、国家の安全には万全を期さねばならない。実際、オバマ政権が中国の少数民族弾圧に目をつぶっても、米海軍はやるべき任務を果たしている。

 例えば3月、南シナ海・海南島南方120キロで、米海軍の音響測定艦インペッカブルが5隻の“中国トロール漁船”に取り囲まれた事件は、米海軍の「果たすべき任務」を示唆している。中国船のうち2隻は15メートルまで接近し、中国国旗を振り、海域を離れるよう求めた。インペッカブルが中国船に放水すると、内1隻の“船員”たちは下着姿になり7メートルまで近付いた。

 インペッカブルは無線を通じ、中国船に海域を離れるので、航路を開けるよう求めた。ところが、2隻により前方をふさがれたことから衝突防止のため、緊急停止を迫られた。中国船は航行妨害に向け、木材を海中に投げ込んでもいる。中国船は事件前から、強力な照明を当てるなど、嫌がらせを継続していた。

 ■不気味な「海上民兵」

 トロール漁船と船員を括弧でくくったのは、民間人に偽装した軍事組織・海上民兵の調査艇で、操船・妨害は海上民兵が行っていたからである。

 海上民兵なる聞き慣れぬ軍事用語は、米国防総省が3月に議会提出した報告書「中国の軍事力-2009年」でも初めて登場した。

 《2008年5月、中国海軍・民兵沿岸支援部隊は商業用漁船を活用し、鎮江沖合で活動中の同海軍艦艇2隻に燃料・弾薬・その他の物品を供給した。民兵沿岸支援部隊が遠方の海軍艦艇に、どの程度の兵站(へいたん)・継戦支援を提供できるのかは明らかではない》

 報告書は「予備軍と中国民兵」という囲み記事まで設け分析を載せている。

 《18~35歳までの軍に在籍していない男子は、すべて理論上は民兵組織に所属していることになっている。中国・国防白書によれば、その数は1千万人(2000年版)から2010年には800万人に減じられる(2008年版)。戦時には、居住地域で戦争支援に向け動員される。任務・組織性は一定ではなく、コンピューター・ネットワークの作戦・運用にかかわる場合もある》

 なぜ、この海域に海上民兵が任務に就いていたか、そして、インペッカブルの任務も今もってナゾだ。事件17日後に出された報告書にも、その答えを見いだせないが、メディア報道の紹介を装いながら「海南島における新たな海軍基地」について言及している点は興味深い。

 《弾道ミサイル搭載・攻撃型潜水艦や最新鋭水上艦を数隻ずつ収容するに十分な規模。海底施設を包含する港湾は、海軍が死活的に重要な国際シーレーンに直接、出撃することを可能にする。潜水艦は南シナ海に、探知されること無しに移動できる》 

 ■「海中」の攻防

 ところで、音響測定艦は冷戦時、ソ連原子力潜水艦の監視・追跡用に建造された。つまりインペッカブルは、海南島に出入港する特定・不特定潜水艦のデータを収集していた可能性がある。あるいは、潜水艦のエンジン・原子炉・スクリュー音測定のため、事前に海中・海底のデータを広く収集していた可能性もある。

 海中での音波は海水の温度や塩分濃度が変わるところで反射・屈折する。水深や海流の方向・速度でも音波の伝わり方は違う。特に、海流は季節ごとに違う流れを見せる。さらに、海底地形や岩や砂・泥の種類によっても、音波は異なった屈折をする。こうしたデータがなければ、潜水艦の動きや型式=任務・戦闘力は解明できない。インペッカブルが曳航(えいこう)するパッシブ・ソナー(水中聴音機)を、海上民兵が長尺のフックで引っかける瞬間を米海軍は撮影しているが、この種のデータ収集の重要性を逆に裏付ける一枚だ。

 中国当局は、米海軍の行動に関し「自国管轄海域」であると主張して、妨害活動を正当化している。だが、領海問題で係争中の周辺諸国は、当該海域を「中国管轄海域」だとは認めていない。そもそも、中国は日本の「管轄海域」にも海洋観測艦を頻繁に展開させ、同様の調査を行っている。その鉄面皮には毎度、感心させられるが、感心している場合ではない。

 海上自衛隊の音響測定艦「ひびき」「はりま」は当然、日本領・南西諸島近くの排他的経済水域でも調査活動を実施しているが“トロール漁船”に妨害される日が遠からず来るかもしれない。中国にとって、必要な海はすべて「管轄海域」なのである。


<関連サイト>

ANNUAL REPORT TO CONGRESS
Military Power of the People’s Republic of China 2009
http://www.defense.gov/pubs/pdfs/China_Military_Power_Report_2009.pdf


<画像引用>

米海軍の音響測定艦「インペッカブル」
http://www.jiji.com/jc/p_archives?rel=j7&id=20090310105228-7807414

<尖閣諸島沖衝突事件> 生かされなかった「インペッカブル」の教訓、その背後で蠢くパンダ・チルドレン2010/09/26 10:48

<尖閣諸島沖衝突事件> 生かされなかった「インペッカブル」の教訓、その背後で蠢くパンダ・チルドレン


タイミングよく今朝の産経新聞に「インペッカブル」が登場。尖閣諸島沖衝突事件の関連でインペッカブルを取上げたのはこの記事が初めて。つまり、日本の新聞もインペッカブルの教訓を生かしていなかったということになる。

産経によれば、米ヘリテージ財団研究員のディーン・チェンも昨年3月の南シナ海でのインペッカブル活動妨害事件を引き合いに出しつつ、今回の衝突事件も「中国政府が漁船を仕立て故意に起こしたのではないか」との根本的な疑問を惹起。漁船が本物の工作員もしくは海上民兵が乗り込む工作船だった可能性を指摘しているわけです。

なお、今朝の日経は誤算の17日間を追いかけながら、強硬論を主張した人物を岡田克也外相(当時)と前原誠司国土交通相(当時)と特定。さらに「仙谷由人官房長官は最初は逮捕しなくてもいいんじゃないか、と言っていた」との気になる発言にも注目。さらにさらにあの習近平の名前まで。

衝突事件発生は9月7日。それは9月14日に行なわれた民主党代表選のちょうど1週間前。中国が民主党代表選前に当時海上保安庁を所管していた前原を狙ったことは明らか。

中国は小沢一郎を勝たせようとしていたのか。それとも菅勝利の情報を得た上で前原の外相就任阻止に向けた牽制だったのか。

日経が指摘するように菅直人、前原、岡田に共通するのは中国政府中枢との対話のルートを持っていないということ。持っているのは小沢や鳩山由紀夫。鳩山などは、「私だったら事件直後に、この問題をどうすべきか中国の温家宝首相と腹を割って話し合えた」とのバカ丸出しの自慢話までご披露。

村木厚子元局長の無罪判決が出たのも民主党代表選前の9月10日。フロッピーディスク(FD)改竄問題まで浮上し、今や検察批判が吹き荒れている。これもまた検察審査会の2回目の議決を控える小沢にとっては完全な追い風。

何やら民主党代表選前後に起こった一連の事件すべてが小沢につながっているように見える。その背後で蠢く中国。民主党内部に中国のスパイでも紛れ込んでいるのだろうか。

ダンカイのダンカイによるダンカイのためのダンカイ政権。ダンカイ星人の中には中国が手塩に掛けて育ててきたチャイナ・チルドレン=パンダ・チルドレンも多数。当然、ダンカイ政権にも官僚組織にも送り込まれている。そして、彼らは国益よりも内ゲバを好む。

パンダのいじわるはパンダ・チルドレンに担がれた小沢首相が誕生するまで続くのだろうか。


<関連記事引用>

【私はこうみる】尖閣敗北 “ダミー漁船”で衝突という疑念も
2010.9.26 07:45
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100926/plc1009260746005-n1.htm

 □米ヘリテージ財団研究員 ディーン・チェン氏

 中国漁船衝突事件は、中国海軍の艦船が今年4月に沖縄本島と宮古島の間を通過した活動を含め、昨年来の中国海軍の活発な動きとの関係でみる必要がある。従って、日本は中国人船長を釈放したが、これですべてが終わったわけではない。

 では、中国政府がかつてない強硬姿勢を見せた背景には何があるのか。

 一つは、中国が経済成長と軍拡で自信を深め、大国になったと自覚し、それにふさわしい行動をとろうと考えていることだ。これらの行動は区別はつきにくいが、覇権主義と受け止めることもできる。

 中国は同時に、インドとは、(同国東部にあり中国と国境を接する)アルナチャルプラデシュ地方、東南アジア諸国とは南シナ海(の島々の領有権)、米国とは宇宙の衛星破壊実験をめぐり、覇権主義の姿勢を押し出してきている。

 中国は国内で社会不安が増大しているがゆえに、対外的に強硬な姿勢をとらざるを得ないとの見方がある。従って、対外的に融和姿勢をとるわけにはいかず、国内の愛国主義をかき立てているのだろう。

 ただ、日中関係には先の大戦が暗い影を落としており、その意味で現在の事態を過小評価すべきではない。中国の指導者が単に自国民の感情をあおっているだけでなく、中国国内からわき起こる純粋な愛国主義の発露とみるべきだ。

 次に、今回の事件が偶発的なものか、組織的なものかは分からない。

 中国が昨年3月、南シナ海で米調査船「インペッカブル」の活動を妨害したように、われわれは、中国漁船が主権にかかわる活動に使われたとみている。この一件は、今回の衝突事件で、中国政府が漁船を仕立て故意に起こしたのではないか、という根本的な疑問を惹起(じゃっき)する。

 中国は今年7月、軍事作戦を支援する際、民生物資の動員を可能とする「中国国防動員法」を施行した。こうした軍と民生部門のあいまいな状態はとても危険だ。何かあった場合、民間の漁民が危険にさらされる可能性がある。

 米政府は一貫して、領有権についての立場は示さない。しかし、日本の施政下にある領域への武力攻撃に対し、共通の危険に対処することを明記した日米安全保障条約が、尖閣諸島に適用されるのは明白だ。もし、尖閣諸島周辺で日本への武力攻撃があり、日本が日米安保条約の発動を求めた場合、米国はこれに応えるだろう。

 中国政府は、米国が日本の強力な同盟国であり、何かあれば日本のために動くということをはっきり認識すべきだ。中国がこの問題で強い態度に出れば出るほど、破滅的な事態が起きる可能性はそれだけ大きくなる。(談)

                   ◇

【プロフィル】ディーン・チェン

 1966年生まれ。86年、米プリンストン大卒、米マサチューセッツ工科大(MIT)院博士課程。米議会技術評価局で中国の軍需産業に関する調査員を経て、米海軍分析センター中国研究所研究員。専門は中国政治、軍事。44歳。



尖閣沖衝突、誤算の17日間、前原・岡田氏が強硬論、船長否認で事件長期化。
2010/09/26 日本経済新聞 朝刊

 沖縄県の尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船と衝突した事件を巡る政府の対応は、菅内閣の外交の稚拙さを露呈した。政府は民主党代表選のさなかという政治空白を突かれ、落としどころの展望や中国政府中枢との対話のルートを持たぬまま船長を逮捕。この見切り発車が多くの誤算を招いた。船長逮捕から釈放決定までの17日間を検証する。

 事件当日の7日午後10時半。海上保安庁が那覇地裁に中国人船長の逮捕状を請求した。漁船と海保の巡視船の衝突事故からはすでに約12時間が経過。事件の発生から令状請求までの「空白」が逮捕をめぐる菅政権内の揺れを象徴した。

 海保を所管する前原誠司国土交通相(当時)は事件発生直後から強硬路線を主張した。前原氏は代表選直後の16日、日帰りの強行日程で石垣島を訪問。石垣海上保安部の職員を激励するとともに、中国漁船と衝突した巡視船も視察した。中国を刺激するとの声にも「領土問題はないから毅然(きぜん)とやる」と逮捕の正当性を主張した。

 岡田克也外相(当時)も周辺に「わが国の領海内における公務執行妨害なので、法執行しないわけにはいかない」と主戦論を唱えた。「仙谷由人官房長官は最初は逮捕しなくてもいいんじゃないか、と言っていた」(政府筋)が、岡田、前原両氏の意向も踏まえ、8日の逮捕後に略式起訴の決着を探った。

 「わが国の法律に基づいて厳正に対応していく」。菅直人首相は8日夜、官邸で記者団に「中国に強い態度で臨むのか」と問われ「法律に基づく対応」と2度繰り返した。仙谷長官も「厳正に対処していく」「ガス田にも影響せず」と強硬姿勢を繰り返した。

 誤算は程なく生じる。送検された船長は否認を続けた。容疑者が否認する場合、通常、逮捕後の拘置は避けられない。事件は長期化した。

 19日。那覇地検が拘置期限の延長を請求し、那覇地裁も認めた。拘置延長で、起訴は確実との見方が広がった。これを受け、中国政府が日中間の閣僚級以上の交流停止などの対抗措置を発表。王光亜外務次官は「船長を無条件に即時釈放しなければ、強烈な対抗措置を取る」と警告した。

 このころ、在日中国大使館から仲介者を通じて、官邸側に「日本にも色々と事情があると思う。だが、我々も複雑な事情を抱えている」とのメッセージが伝わる。胡錦濤国家主席が日本に融和的な対応を取れば保守派の台頭を招き、より穏健な習近平氏への権力継承が円滑に進まないとの中国の国内事情を示唆したと官邸は受け止めた。

 「さらなる行動を取る」。訪米中の温家宝首相が21日、船長の即時無条件の釈放を公然と求め始めると、同日からレアアース(希土類)の対日輸出が止まった。河北省でフジタの日本人社員4人が拘束されたと官邸に伝わると強硬論はとどめを刺された。「拘束したのは公安当局ではなく軍との情報がある。邦人の安全が心配だ」。日中友好議員連盟の一人は仙谷長官に電話で忠告した。

 22日。仙谷長官の言葉が変わった。「戦略的互恵関係をいかに中身を豊かにしていくかが一番重要だ」。そして事態が動いたのは23日のニューヨークでの日米首脳会談の直後。船長の釈放に向けた動きが一気に表面化する。首相は渡米する直前、「何とかしろ」と仙谷長官に伝え、国会召集前にこの問題の幕引きを図るよう指示していた。

 民主党中堅は「首脳会談の席で、大統領が中国人船長の即時釈放を求めた可能性もある」と指摘する。那覇地検が中国人船長を処分保留で釈放することを決定したのは直後の24日だった。


<関連記事引用追加>

ありゃま、ついに産経さんもパンダネタ

【産経抄】9月26日
2010.9.26 03:06
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100926/plc1009260307003-n1.htm

 平成生まれのみなさんへ。長かったいくさが終わって、中国がぼくたちの「ともだち」だった時期がほんのひとときあったんです。つきあい始めたころには、白黒の珍獣を友情の印に贈ってくれ、上野動物園には長蛇の列ができました。

 ▼こんな愛くるしい動物のいる国はきっと、やさしい人たちが住んでいるんだろうな、とぼくたちは信じました。もちろん、いくさで死んだ兵隊さんを祭った神社に偉い人が参っても文句ひとついいませんでした。

 ▼しばらくして、「ともだち」は、神社へのお参りに難癖をつけ、ぼくたちが持っている島を「オレのものだ」と言い出しました。びっくりしましたが、トウ小平というおじさんが「次の世代は我々よりもっと知恵があるだろう」と言ってくれました。

 ▼でも小平おじさんは、本当は怖い人だったんです。「自由が欲しい」と広場に座り込んでいた若者たちが目障りになり、兵隊さんに鉄砲を撃たせ、多くの人を殺してしまいました。みんなはびっくりして「こんな野蛮人とはつきあえない」と村八分にしました。

 ▼それでもぼくたちは、みんなに「こいつは本当はいい奴(やつ)なんだよ」と口をきいてあげ、貧しかった彼には、いっぱいお金をあげたり、貸してあげたりしました。おかげで「ともだち」は、みるみるお金持ちになりました。

 ▼そのお金で「ともだち」は軍艦や戦闘機をいっぱい買い、今度はもっと大きな声で「この島はオレのものだ」と叫びました。「次の世代の知恵」とは、腕ずくで島を奪うことだったんです。パンダにだまされたぼくたちは浅はかでした。「次の世代」のみなさんは、もっともっと力をつけて真の友人をつくってください。お願いします。


<画像引用>

いじわるパンダ
http://www.youtube.com/watch?v=iCWoT225sVc&feature=related


<関連記事>

「私だったら中国首相と話し合えた」鳩山氏自負
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100925-OYT1T00966.htm

<尖閣諸島沖衝突事件> 「そもそも放水で対抗すべきだった」 生かされなかった米海軍音響測定艦「インペッカブル」の教訓
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2010/09/26/5368512