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大久保気取りの菅首相が小沢氏を西郷どんに例えて「西南戦争」を語る、それでも私は谷垣首相誕生にスーパーひとし君2010/09/02 08:56

<西郷洞窟>大久保気取りの菅首相が小沢氏を西郷どんに例えて「西南戦争」を語る、それでも私は谷垣首相誕生にスーパーひとし君


9月1日午前に選挙管理委員会に提出した小沢一郎前幹事長の政見。私が注目したのは当然この国の命運を握ることになる外交。

小沢政見ではまず1点目に「日米同盟は最も重要な2国間関係であり、一層緊密な協力関係を構築」としながら、「同盟関係は従属関係ではなく、対等のパートナーであることから、日本は国際社会において、米国と共に今まで以上にその役割及び責任を分担」とある。

そして2点目は「日韓、日中関係は日米関係に次ぐ重要な2国間関係であり、長い関係史を踏まえて、政治、経済、文化等あらゆる分野で協力関係をさらに深める」と書かれている。

3点目は民主党得意の「環太平洋諸国を含む東アジア共同体構想の推進」。

「最も重要」に「一層緊密」、さらには「今まで以上」に「次ぐ」と「環太平洋諸国」。このあたりでとりあえず一安心。中国重視を敢えて避けるあたりに小沢のしたたかさが読み取れる。そこに自民接近の思惑もあるのか。

本ブログは防衛大学校長の五百旗頭真氏が唱えた「日米同盟」プラス「日中協商」を強く支持。中には勘違いしている人も多いようだが、あくまでも日中協商はプラスでしかない。基本は日米同盟。この点を小沢も理解していると判断しておこう。

子ども手当の満額支給にこだわるあたりにまだまだ怪しさが残るが、小沢は「帰ってきたリアリスト」というところか。

一方で「現実主義に立脚した外交の展開」を掲げた菅首相。本家リアリストを名乗りたいらしく、しかも目指すは大久保利通。

そこで菅は1日夜に開かれた野田佳彦財務相のグループの会合で「西南戦争」に言及。「明治維新には西郷さんの力が必要だった」としながら、「西南戦争があって本格的な明治政府ができた」と指摘。その上で「政権交代以降、西郷さんはああいう末路を迎えた。これが大事だ」と述べたとのこと。

出席者の間では「小沢氏を西郷隆盛に、西南戦争を代表選に例え、政権交代が実現した以上、小沢氏はもう不要だと指摘した」と受け止められているとか。

新聞やテレビが菅をリアリストと評しているが、私はそうは思わない。リアリストなら参院選前に消費税増税を掲げるなどという愚かなことはしない。掲げるなら代表選終了後。それに菅自らが「西南戦争」を語っていいものか。このあたりに見通しの甘さが目立つ。

このことから菅に対する私の評価はあくまでもリアリスト気取り。民主党代表選は「リアリスト気取り」と「帰ってきたリアリスト」の激突と見ている。

その結果、小沢が西郷どんになることもあれば、菅が西郷どんになることも十分あり得る。この時は山口県出身の菅にちなんで「平成の長州征伐」へと名称変更。そもそも不平不満分子の支持を集めて民主党政権が誕生。そして今や党内にも不平不満分子。ならば、民主党自体が西郷軍と化すこともある。

最も軽症で済ませたいのなら激突回避がうまいやり方だった。今となっては菅が代表選に勝つしかない。それは確かに小沢が西郷どんになる可能性を秘めている。消費税増税で自民との連立もあり。しかし、それでもまだ軽症で済む。

厄介なのは小沢勝利となった時。本当に小沢首相誕生となるのかどうか。私は谷垣首相誕生にスーパーひとし君。この場合は菅が西郷どん。民主党は分裂し、小沢はまたしても壊し屋と呼ばれることになるだろう。

その理由を説明しよう。小沢が勝つようなことがあれば、野党も『政治とカネ』の問題を国会で徹底追及せざるを得ない。出るわ出るわ、さらなる疑惑。円高株安の難局の中で国会は空転。二番底ばかりか三番底まで見えてくる。ここまで来ると日本を壊した張本人として小沢は歴史に名を刻むことになる。

この最悪の事態を避けるためには自民党に合流するか連立を組むかしかない。自民党の谷垣禎一総裁を首相に据えて、小沢得意の闇将軍。衆参のねじれも事実上解消し、国会運営は円滑に進む。

結局、平成の西南戦争を制する可能性があるのは自民党。頃合を見て政府軍を名乗って乗り込めばいいだけのこと。大久保に匹敵するわけではないが、大久保の血を引く人物が自民党にはいる。ミニ大久保もゴロゴロいる。

半藤一利氏は「大久保利通はだれですか」と聞かれますと、「いませんな」と答えるほかないと語っている。この見方に私も賛成。民主党には大久保に匹敵するような人物などいない。残念ながら自民党にもいない。

大久保のように世界を見渡せるリアリストが政界にはいない。剛腕といえども所詮日本ローカル。今の時代の剛腕とはロシアのプーチンのような人物のこと。ミニ大久保を寄せ集めて、この難局を乗り切るしかないだろう。


<関連サイト>

小沢一郎衆院議員 政見 略歴
http://www.dpj.or.jp/news/files/ozawa33seiken_ryakureki.pdf

菅直人衆院議員 政見 略歴
http://www.dpj.or.jp/news/files/kan33seiken_ryakureki.pdf

代表選は「西南戦争」=小沢氏排除で政権交代完結?-菅首相
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010090100977

菅首相、小沢氏を西郷さんに例えて不要論?
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100901-OYT1T01143.htm

半藤一利氏の「小沢一郎=西郷隆盛=懲りない永久革命論者」説を読む
(新刊『いま戦争と平和を語る』より)
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2010/07/25/5246469

出馬するも地獄、出馬しないも地獄、小沢一郎に待ち受ける「平成の西南戦争」という悪夢
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2010/08/21/5299445

いよいよ西南戦争勃発か 小沢西郷どんが出陣表明
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2010/08/26/5308418