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<国債が消化できなくなる日> いつまでもあると思うな金融資産2010/07/04 09:38

国債が消化できなくなる日 いつまでもあると思うな金融資産 週刊東洋経済「スペシャルリポート-近づく破綻の足音 財政改革待ったなし」より



<関連記事引用>

▼「2025年」説

日本の財政赤字はどこまで深刻か
http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/research/r100601japan.pdf


▼「2023年」説

菅政権経済再建狭き道(上)財政健全化時間との勝負――続かぬ国債安定消化。
2010/06/30 日本経済新聞 朝刊

 新政権始動から約3週間。菅直人首相は消費税率の引き上げや政権公約の見直しによる歳出入改革に言及するなど、日本経済の復活に強い意欲を示す。だが経済成長と財政再建の両立は容易でない。「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」を掲げる菅政権の経済政策を点検する。

 「資金調達が主に国内で行われている特殊事情がある」。27日閉幕した20カ国・地域(G20)サミット。議長を務めたカナダのハーパー首相は閉幕後の記者会見で、あえて日本の財政事情に言及した。ギリシャ危機を受け、先進国が「13年までに財政赤字を半減する」という目標で一致するなか、日本だけは例外扱いにしたからだ。

 先進国で断トツの借金を抱えつつも、安定消化を続けてきた日本国債。それを支えるのが、ハーパー首相が指摘した国内投資家が国債の95%を保有する日本特有の市場構造だ。だが特殊事情が続く保証はない。

23年度に逆転

 「とうとう視野に入ってきた」。内閣府幹部は22日に公表された経済財政の中長期試算を前にため息を漏らす。記されていたのは、23年度に政府の借金が個人金融資産を上回る見通しだ。増え続ける国債を個人マネーで支えきれない時代が近づいている。

 G20サミットで日本は例外扱いになったが、代わりに22日に閣議決定した財政運営戦略の実行が国際公約になった。戦略の柱は13年度までの3年間は歳出を増やさないことと、20年度までに基礎的財政収支の黒字を達成することだ。先進国に課された赤字半減よりも甘い目標とはいえ、実現へのハードルは高い。

 最初の3年間、国債費を除く一般会計の歳出を10年度の71兆円に抑えるといっても、社会保障費の自然増だけで1・2兆円増える。マニフェストの政策や成長戦略の新規予算を確保するには、従来の歳出の大胆な削減が避けられない。

 内閣府によると、10年後に基礎的財政収支を黒字化するには、名目成長率が1%台後半の場合で21・7兆円の歳出削減か増税が必要だ。すべて消費税で賄う場合は8~9%税率を引き上げなければならない計算だ。

失敗続きの過去

 さらに難しいのが財政再建と経済成長の両立だ。1~3月期の名目雇用者報酬は前年同期比0・3%減と6四半期連続で減った。デフレを脱し、増税に耐えられる経済を構築できるか。

 菅首相は「増税しても成長はできる」と訴えるが、道筋は見えない。橋本龍太郎政権が消費税率を5%に引き上げて景気を冷やしたと批判されたように、過去の財政再建は失敗の連続だった。民主党の小沢一郎前幹事長が「地方経済は都会以上に深刻。消費税10%という話になると心配だ」と述べるなど、与党内にも不協和音がある。

 「消費税率は欧州の平均20%に対し、日本は5%。引き上げ余地が大きい」。日銀の白川方明総裁は4月のニューヨーク講演で国債が買われる理由をこう分析した。だが「最後の砦(とりで)」である消費税増税に踏み切るハードルは高い。菅政権には社会保障制度の青写真や経済成長の道筋を示すことで国民の不安を取り除くという難題が待ち構えている。


関連サイト=経済財政の中長期試算 平成22年6月22日 内 閣 府
http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/h22chuuchouki.pdf


▼「2013年」説再び

スペシャルリポート-近づく破綻の足音 財政改革待ったなし
2010/03/13 週刊東洋経済


国債消化構造はまもなく崩れる

 小泉政権時代に、「11年に歳出と歳入の均衡、いわゆるプライマリーバランスを実現する」としたプランはついえた。野放図な国債増発にもかかわらず、あまり国民間に危機感が高まらなかったのは、1500兆円の家計金融資産を支えに、国債を国内の投資家が消化するという構造がなお盤石だと思われていたことに加え、最近ではデフレ構造が定着し、金利が上がらなかったからだ。

 だが、これまでの構造は限界を迎えつつある。32ページ中図のとおり、昨年9月末時点での国債残高のうち532兆円を銀行、生損保、年金基金等国内の機関投資家が保有。だが、家計金融資産のうち、740兆円は貸出金、190兆円が国債以外の公社債に回っている。差額はわずか570兆円で、国債買い増し余地はあと40兆円足らず。あとは外国人か日本銀行に買ってもらうしかない。日銀に対する長期国債買い入れ圧力にはこうした不気味な背景がある。

 しかも、1500兆円が変調を来している。日本では12年ごろから団塊世代の年金受け取りが本格化する。つまり日本の高貯蓄を形成してきた年齢層が取り崩す時代に突入する。三菱UFJ証券の石井氏は「高齢化の進行により家計の貯蓄率がマイナスに転じ、家計金融資産が減少に転じるのは14年から」と試算、「この構造転換が視野に入る13年ごろからリスクプレミアムが一段と拡大し、10年国債の金利も悪い上昇を始める可能性が高まる」と指摘する。

 国の利払い費は現状約9・8兆円に上るが、そうした金利上昇で膨らみ始めると、やがて利払いのために借金(赤字国債を増発)する、いわば“サラ金地獄”に陥りかねない。

 国債の消化を海外に頼らざるをえなくなり、さらに、経常収支が赤字に転落し恒常化、金利も急上昇などという事態になれば、IMF管理が他人事でなくなるという怖いシナリオさえ思い浮かぶ。


▼「2012年」説再び

【経済コラム】日本国債に現実逃避のマネーが流れ込む-W・ペセック
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=ar4WD6s8qmVs

国債消化を脅かす現実

 日本の1億2600万人の人口の約23%が65歳よりも上の世代であり、15歳未満は13%弱にすぎない。本当に深刻な問題は、多くのベビーブーマーが定年を迎える2012年度以降に始まる。貯蓄率の低下と年金支給の増加が同時進行し、国債投資に資金が向かわなくなる。

 日本が国債の消化をもっぱら国内需要に依存していることで、ギリシャやアイルランド、イタリア、ポルトガル、スペインと同列の分類を免れるという主張は、受け入れ難くなりつつある。

 ハイ・フリークエンシー・エコノミクス(米ニューヨーク州)のチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は、約200%に達する日本の公的債務のGDP比率について、今後の低下を予想させる説得力あるシナリオは承知しておらず、日本に比べれば欧州の債務危機が小さく見えるのは間違いないと話す。

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)やフィッチ・レーティングスなど格付け会社が懸念するのもこうしたシナリオだ。7月の参院選で菅首相への有権者の支持がかなり大きなものとなれば、首相が債務を抑制する裁量も拡大する。このため、格付け会社も選挙の結果を見守っている。

 ソブリンリスクがあふれる世界の中で、債券市場の安定した取引の歴史を持つ日本のような国の国債は引き続き人気を集めている。しかし、それがいつまで続くだろうか。市場の信認が再び崩れれば、日本の債務の脆弱(ぜいじゃく)さは無視できないほど大きくなり、利回りは著しく上昇するだろう。(ウィリアム・ペセック)

Bond Bulls Find Shelter in Upside-Down ‘Haven’: William Pesek
http://www.businessweek.com/news/2010-06-30/bond-bulls-find-shelter-in-upside-down-haven-william-pesek.html

Scary Demographics

That’s the short run. The longer-term risks are the really scary ones. About 23 percent of Japan’s 126 million people are older than 65, while less than 13 percent are younger than 15. The real trouble starts in the fiscal year beginning in 2012 as many of the baby boomers retire.


▼その他

日本国債、国内保有95%超に、昨年度1.8ポイント上昇、銀行・保険に集中。
2010/07/01 日本経済新聞 朝刊

 国債消化の「国内頼み」が一段と進んでいる。国内投資家による日本国債の保有比率は今年3月末で95・4%。1年間で1・8ポイント上昇し、2006年3月末以来の高水準になった。市場混乱などでリスクを嫌ったマネーが日本国債に向かっているほか、国内で運用資金が滞留している事情もある。とくに銀行や保険会社など金融機関に国債保有が集中している。

 日銀統計によると、国債の残高は3月末時点で約684兆3000億円。このうち銀行や保険会社など国内投資家の保有分は約652兆8000億円で、09年3月末に比べると15兆円以上も増えた。4月以降もその流れは変わらず、国内の大手銀行は5月に日本国債を約1兆7000億円買い越した。

 国内投資家の国債買いから、30日には、指標となる新発10年物国債の利回りが一時、1・075%まで低下(価格は上昇)。約6年10カ月ぶりの低水準となった。超長期債である20年債、30年債も1年5カ月ぶりの低さで、「国債バブル」との見方も出ている。

 背景には、国内のカネ余りがある。株価低迷で個人や企業の資金が預金などに回る一方、銀行の貸し出しは低調だ。

 欧米では国内投資家の国債の保有率は50~70%程度で、残りは海外投資家が持つ。これに対して日本では最近1年間に海外投資家の国債保有額が約12兆5000億円減り、保有率が6・4%から4・6%に下がった。欧米に比べて金利水準が低いうえ、先進国で最悪の財政状況から、敬遠されたとみられる。

 日本の投資家は長期保有の傾向が強く、短期的な売買を繰り返す海外投資家に長期金利が左右される恐れは少なくなる。ただ95%を国内消化に頼る状況はバランスが悪く、将来的に銀行や保険会社が国債購入を手控える事態になれば、安定消化に影響が出かねない。


▼その他 60歳代の金融資産保有額に占める割合は37.2%

年令別・職業別・年間収入別にみた金融資産の分布状況(2009年)
http://www.shiruporuto.jp/finance/tokei/stat/pdf/data02a.pdf

コメント

_ ロッキーホラーショー ― 2010/07/04 12:30

デフォルトとあいなって、各自勝手に待避せよ(sauve qui peu !)状態になっちゃった後は、地域通貨という名の筏にしがみつくとか。

_ とら猫イーチ ― 2010/07/04 13:35

 国家財政が、急激に焦眉の課題となって来ましたね。 WSJでは、「世界最長のケインズ主義の実験」と揶揄された「土建国家」も落日を迎えつつあります。 もっとも、民主党政権は、対象を変えたバラマキに熱心ですので、やっていることは同じですが。 

http://jp.wsj.com/Opinions/Columns/node_73138
【社説】日本の「第三の道」

 偶然の一致ですが、池田信夫ブログでは、昨日3日に「政府債務はいくらあるのか」と題して「個人金融資産から負債や株式・社債などを引いた純資産は924兆円。純債務との差(資産超過)は271兆円だから、今年の国債発行額44兆円(+金利)で割ると、あと6年で使い切る」と計算されています。 しかし「本質的な問題は国債の消化ではなく、世代間の負担の不公平である」と指摘されてもいます。 財政政策的には、正しくご指摘のとおりです。
 対応策は、第一に税制度の改革と思います。 消費税は増税で、所得税制度の所得捕捉率を高める。 同時に法人税を減税して、租税特別措置を極小にする(言い替えれば実効税率で課税する)。 税負担に耐えない国民層には、社会福祉制度で救済する。 ただし、年金受給者との均衡を図るべく制度改革を行う。 これらの改革によって等しく痛みを分かち合える社会にする。― ― ― 自分だけ「抜け駆け」を謀る国民が居ては、言い古された言葉ですが、「国家の品格」が下落するだけでしょうに。

_ Y-SONODA ― 2010/07/05 09:06

★ロッキーホラーショーさんへ

内国債ということもあってデフォルトは認められないと思いますよ。
つまり他国からの借金を踏み倒すことができないということ。
他国に迷惑をかけないからいいじゃないかー。
結局泣くのは日本国民だけということになりますね。


★とら猫イーチさんへ

>池田信夫ブログでは、昨日3日に「政府債務はいくらあるのか」

実はこの池田ブログの「国債の75%は国内の金融機関が保有」とあるの95%に修正した方がいいのではないかと指摘したところご本人から「20%は金融以外の機関投資家および個人投資家」とのご返事が。妙な部分でこだわっているようです。
それもあって東洋経済のグラフを紹介しておきました(笑)

_ とら猫イーチ ― 2010/07/05 14:23

 おお! 池田信夫ブログへの突っ込みですね。 「金融機関」に拘ることは無いのに。 「国内で95%を保有」にすれば良かったのに。

_ Y-SONODA ― 2010/07/06 07:49

とら猫イーチさんへ

>「金融機関」に拘ることは無いのに。 「国内で95%を保有」にすれば良かったのに。

普通そう思いますよねー。
カラス如きに突っ込まれたのでムキになったのかもしれません(汗)

_ ロッキーホラーショー ― 2010/07/06 11:23

そうですね。 中銀引受なり政府通貨発行すれば済む話ですし。 ただ、これは中央政府に絶大な権力を与えることになるわけで、高橋蔵相の日本とシャハト連銀総裁のドイツの行く末はご存じのとおり。 共産主義もファシズムも国家社会主義も嫌なので通貨改革にでも期待するしかないと。
http://bijp.net/transcript/article/27
http://www.grsj.org/colum/colum/dagras.html

_ Y-SONODA ― 2010/07/07 08:52

ロッキーホラーショーさんへ

今週末にMorino,Eiichiさんと新たな勉強会立ち上げのための打ち合わせ。
またまたベロンベロンに酔っ払うだけになるかもしれませんが(笑)、そろそろまじめに発信準備しますね。
消費税還付に地域通貨が使えるかも・・・。

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