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東京財団「日本の水源林の危機」シリーズを読む2010/03/29 08:36

東京財団「日本の水源林の危機」シリーズより


国民への注意喚起という面では高く評価したいが、中国をことさら強調するあたりに産経・バイアスを感じる。

日本の水源林がモテモテならば、真っ先におフランスあたりが出てくるような気もする。

東京財団さんももう少し具体的な買収事例を示す必要があるのではないでしょうか。


<東京財団サイト>

政策提言「日本の水源林の危機 ~グローバル資本の参入から『森と水の循環』を守るには~」
http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=118
http://www.tkfd.or.jp/admin/files/2008-9.pdf

政策提言「グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点~日本の水源林の危機 II ~」
http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=179
http://www.tkfd.or.jp/admin/files/2009-09.pdf


<関連記事引用>

日本の森と水、むさぼる外資 埼玉や山梨でも山林買収を打診
2010.3.29 01:07
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100329/crm1003290107000-n1.htm

 埼玉や山梨、長野、岡山県など全国各地の水源に近い山林について、中国などの外国資本が買収の打診をしてきていることが、東京財団がまとめた「グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点」と題した調査報告書で明らかになった。類似した事例は昨年、三重県大台町、長野県天竜村でも確認され、林野庁が調査に乗り出す事態にもなった。

 報告書は外国資本進出の背景に、水資源などの資源獲得競争がグローバルに展開されている世界的潮流があると指摘。「日本の土地制度には、国土を守る意味で多くの問題がある」と警鐘を鳴らしている。

 報告書によると、ほとんどが森林で占められる5ヘクタール以上の土地取引は、平成20年の統計で、10年前に比べ面積で倍以上、件数で1・5倍の増。また、具体的な事例を並べたうえで、山林買収は事実関係の把握が困難とも指摘した。

 背景として、世界の水需給の逼迫(ひつぱく)が予測され、日本の「水」が狙われている可能性に言及。特に中国の水需要が2004年までの7年間で4倍以上伸びており、日本から水を調達するために買収に触手を伸ばしている可能性を指摘している。

 また、今後、環境問題の取り組みが世界的に強化されるなかで、二酸化炭素(CO2)吸引源とされる森林やその生態系に新たな価値が付加されるとにらむ期待投資で森林売買が加速する可能性も指摘した。

 報告書では、日本の土地制度が諸外国に比べて極めて強いとも指摘。いったん外国資本に所有されると、それを手放させることが難しいため、事前の実態把握と事前届け出など諸規制を提言している。

 また、水源林以外にも、香港資本や豪資本の買収によって地価上昇率が3年連続全国一となった北海道ニセコ町の例や、廃屋化したホテルなど買収、更地化して分譲マンションを建設中の長野県白馬村での豪資本の動きを例示。公益や安全保障などの観点から、国土資源(土地・森林・水)を守るために十分な備えが諸外国並みに必要だと説いている。


中国、森林買収に触手 日本の水源地物色? 林野庁調査
2009/05/13産経新聞東京朝刊

 中国の企業が日本各地の森林を大規模に買収しようとする動きが、昨年ごろから活発化していることがわかった。逼迫(ひっぱく)する本国の水需要を満たすために、水源地を物色しているとみられる。買収話を持ち掛けられた地元自治体などが慎重姿勢を示しているため、交渉が成立したり、契約締結に至ったりしたケースはないというが、外国資本の森林買収による影響が未知数なことから、林野庁は都道府県に対し一斉調査を始めた。

 奈良県境に近い三重県大台町では、昨年1月ごろ中国の企業関係者が町を訪問。水源地の宮川ダムを視察した上で、「立木と土地を買いたい」と一帯の私有地約1000ヘクタールの買収を仲介してほしいと町に持ち掛けた。約3年前にも、別の中国人の男性から同じ地域の買収話があったが、いずれも町が断ったという。

 水源地の立木は、原生林を伐採した後に植林した二次林で、木材としては使いにくい。土地も急斜面で木材の運び出しに費用がかかるため、同町産業室の担当者は「木ではなく地下にたまった水が目的ではないか」と分析する。

 また、長野県天龍村には昨年6月、東京の男性が訪れ「知り合いの中国人が緑資源を買いたがっている」と持ちかけてきた。森林組合の担当者によると、男性は「今の市場価格の10倍の金を出す」と話したが、外国資本であるため難色を示すと、話は立ち消えになったという。ほかにも、岡山県真庭市の森林組合に昨年秋、中国から水源林を伐採した製材の買収話が持ちかけられ、その後も交渉が継続している。

 林野庁によると、昨年6月、「中国を中心とした外国資本が森林を買収しているのではないか」との情報が寄せられ始め、実態把握のため全国の都道府県に聞き取り調査を始めた。売買が成立したケースは確認できなかったが、同庁の森林整備部計画課は「現在の法制度では、万一、森林が売買されたとしても所有権の移転をすぐに把握する手段はない。森林の管理についても国が口をはさむことは難しい」としている。

                   ◇

 ■林業衰退…外国資本の標的

 日本国内の水源地に中国資本が触手を伸ばす背景には、世界各地で繰り広げられる水資源の争奪戦がある。一方で日本国内の水源地は約30年前の価格にまで暴落しており、中国にとっては買い時に映ったとみられる。識者は「水源地を守るためには現在の法制度は未整備」と訴えている。

 東京財団の調査によると、中国では飲用水の需要が急速に伸びており、この10年間で約4倍。工業化が進む北部では工業用の水不足も慢性化しており、内陸部でも、干魃(かんばつ)被害の影響で水不足が深刻化しているという。

 国連の予測では、人口爆発と経済発展により、水不足の深刻な国で暮らす人は現在でも5億人に達し、2025年には約30億人に増加するとしている。一方で「水メジャー」といわれる大企業が、世界で水源地を確保しようとする動きも目立っているという。

 これに対し、日本国内では水源地を守る役割を果たしてきた林業が衰退し、外国資本が入り込むすきを与えているとの指摘がある。日本不動産研究所によると、安価な輸入木材に押されて、地価にあたる林地価格や、立木価格は昭和55年以来、ほぼ一貫して下落。平成20年3月末で、10アール当たりの林地価格は北海道と沖縄を除く全国平均で5万5118円、昭和49年時の6万460円を下回る価格となった。

 森林が国土の約7割を占めるにもかかわらず、法制度の不備もある。国土交通省水資源政策課によると、現在の地下水の規制は都市部で地盤沈下を防ぐことが目的で、山間部については、地下水をくみ上げる量に制限がないという。

 さらに、森林法では民有林の売買に関する規制はなく、所有者は山林を自由に売買することが可能。国土利用計画法でも、1ヘクタール未満の土地の場合は届け出義務がなく、外国資本による水源地買収を把握する制度すらないという。


外国資本、森林買収に触手―林野庁調査昨夏まで交渉あり
2009/05/15日刊木材新聞

 13日、一般紙に「中国が森林買収に触手」「日本の水源地を物色」「林業衰退、外国資本の標的に」という記事が掲載された。同社系の、朝のテレビ番組でこの記事が取り上げられたこともあって、同日、林野庁に問い合わせが殺到した。

 産経新聞13日付の記事によると、中国の企業が日本各地の森林を大規模に買収しようとする動きが、昨年頃から活発化。ひっ迫する同国の水需要を満たすために、日本の水源林を物色している、というもの。買収を持ち掛けた地区も具体的に3カ所挙げられている。場所は奈良県境に近い三重県大台町、長野県天龍村、岡山県真庭市。

△▽

 また、同記事に先立ち雑誌「選択」09年5月号にも、ほぼ同じ内容の記事が掲載されている。ただ新聞記事と雑誌記事で異なっているのは、新聞記事には「林野庁調査」という見出しが付いていること。そこで、林野庁に取材してみた。 担当の森林整備部計画課は、昨年6月頃から中国を中心とした外国資本が森林を買収しているのではないかとの情報が寄せられ、実態調査のために、全国各県の担当課に対して問い合わせをした。確かに、この3カ所では、そういった動きがあったようだが、売買が成立したケースは確認できなかった(つまり、成約には至っていないと思われる)。

 外国資本が日本の森林を買収に動いているという話が出ていたのはリーマンショック(08年9月15日)までで、以後は聞いていない。また、水資源としてではなく、森林資源として購入に動いたようだ、という。

 私有林を含めた土地の転売は、国土利用計画法によって2週間以内の事後届出(都市計画区域外では1ヘクタール以上の売買のみ)が義務付けられている。同庁でも、森林の売買については監視を続けており、九州地方で、製材工場が自社の原料手当てのために山林を購入したり、日本の民間企業が育林目的で森林を購入していることは把握している。22日の各県担当者との会議でも実態を確認する、とのこと。

 矢部三雄森林整備部計画課長の話 昨年6月以来、各県から情報を集めている。水源地という感じではなく森林資源として買収に動いたようだ。しかし昨夏以後は、こういった話は聞いていないが、実態調査は続けている。全国紙に掲載されて問い合わせが殺到したが、森林は国民の財産であり、国民への注意喚起という意味にもなったのではないだろうか。


<関連記事>

水の世紀で日本企業は「水メジャー」になれるのか?
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/01/13/4055328

この記事に貼り付けた画像の会社は私の義父が役員を務めていたとか・・・。

コメント

_ ロッキーホラーショー ― 2010/03/29 18:05

両親が山遊び用に買った杉林が一町歩ほどあるのですが、水源林として役に立っているはずなのに、市役所から来るのは固定資産税の通知書だけ。水源税を徴収してやりたいぐらいですが、杉花粉で市民に大迷惑をかけていると思うと、声を上げるわけにもいかず。杉林なんかより雑木林の方がうんと楽しいよ、と購入前にさんざんアドバイスしたのですが聞いてもらえませんでした。

_ Y-SONODA ― 2010/03/30 08:14

ロッキーホラーショーさんへ

>両親が山遊び用に買った杉林が一町歩ほどある

もれなく杉花粉付きとはいえ、うらやましい限り。
それこそ「中国人に売っちゃうぞ」などと言えば、東京財団やら産経新聞やらが押しかけてくるかも。
一躍有名人になるかもしれませんよ。

_ ロッキーホラーショー ― 2010/03/30 18:56

場所が上海の東1000キロの九州なんです。連中には、汚染された雨が降り注ぐ地域にしか見えないのでは。

_ Y-SONODA ― 2010/03/31 09:03

ロッキーホラーショーさんへ

>連中には、汚染された雨が降り注ぐ地域にしか見えない

なんとも憎たらしいですなぁ。
連中への杉花粉攻撃はできないものかと(笑)

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