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アジアは米国率いる海洋派と中国率いる大陸派に分裂へ、その時新たな冷戦が始まる2010/02/22 08:17

アジアは米国率いる海洋派と中国率いる大陸派に分裂へ、その時新たな冷戦が始まる アーロン・L・フリードバーグ


インドで行われた「アジア安全保障会議」に出席したアーロン・L・フリードバーグ(プリンストン大学教授)。
「2030年のアジアの地政学」をテーマに米国の展望を語る。

フリードバーグはアジアが米国率いる海洋派と中国率いる大陸派に分裂すると指摘。
この二つの勢力によって新冷戦に類似したような状況になる可能性にも言及。

フリードバーグによる海洋派と大陸派の顔ぶれは次のとおり。

★海洋派=米国主導
日本、韓国、フィリピン、インドネシア、オーストラリア、シンガポール、タイ、インド、モンゴルなど

★大陸派=中国主導
北朝鮮、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、パキスタン、ミャンマー、ラオス、ベトナムなど

フリードバーグは伝説の軍略家として知られるアンドリュー・マーシャルの秘蔵っ子。
またヘンリー・キッシンジャーにも通じている。
よって、フリードバーグが描いたシナリオ通りの展開になる可能性が高い。

冷戦ゲームに持ち込みたい米国の思惑も透けて見える。
場合によっては中国率いる大陸派は「悪の枢軸」、あるいは「アカの枢軸」と呼ばれることになるのか。
米国が小沢一郎を手懐けようとしている理由もここにあるのか。

いずれにせよこれはあくまでもゲーム。ゲームを楽しむ余裕も必要。
日本人が忘れてはならないことは、本気になって先に熱くなった方が負けだということ。

この会議に出席していた五百旗頭真は早速その詳細を政府関係者に説明していることだろう。
はたしてサルたちに理解できるのだろうか。


<関連記事引用>

時代の風:インドでの安保会議=防衛大学校長・五百旗頭真
http://mainichi.jp/select/opinion/jidainokaze/news/20100221ddm002070110000c.html

 さて首都ニューデリーでの国際会議である。躍進中のインドが知的交流面においても格別に積極的であることを印象づけられた。「アジア安全保障会議」には、米国、中国、ロシア、英国などからも雄弁な論客が招かれており、活気にあふれていた。聞けば、数年前にはこれほど充実していなかったという。変化をもたらしているのが「中国・インドの並走的台頭」であることは明らかである。

 高度成長を続ける中印両国は、昨年の世界経済危機の中でも8%もの世界に例外的な躍進を主として内需によって遂げた。中国は周知のようにGDP(国内総生産)において今日本に並び、抜き去ろうとしている。インドは日中両国の4分の1規模に達した。まだまだ低いと思われるかもしれないが、インドのGDPはオーストラリアや韓国を抜き、アジアで第3位となって急成長中なのである。

 会議は「2030年のアジア」はどうなっているかをめぐって議論した。中国とインドが20年後の主要なアクターであることは全討論者が認め、「中印二極体制」を語る者もいた。中印並列ではなく、中国の優位を重視する「中国覇権体制」論もあった。その際に、世界が対抗的な権力政治に傾くのか、協調的な制度化に向かっているのかが大きな論点であった。そして覇権的な構図を警戒する議論が、中国をめぐって出される傾向が認められた。経済高度成長を上回るペースの中国の軍拡について、日本においても懸念の声があるが、インドではそれ以上であった。中国は消費する石油の70%をインド洋を通じて入手しており、そのルートに沿って、ミャンマー、ココ島、バングラデシュ、スリランカ、パキスタンなどで中国は港湾開発に協力、推進し、利用権を拡大しようとしている。それがインドを取り巻く「真珠の首飾り」と警戒されている。

 中印両国以外にも重要なアクターがアジアに存在することは言うまでもない。私は日本の役割を語り、ロシアの教授は、アジア大陸における中国・インド・ロシアの三極体制に言及した。しかし最大の焦点は、米国のプレゼンスであった。アジア大陸での単極・二極・三極の論は、いずれも米国が関与しない場合の構図である。そして会議の参加者の誰一人としてそれを望んでいないことが、議論の中で浮かび上がった。

 米国がアジアの主要アクターであり続ける場合にも、(1)米国単独覇権(ありえない)(2)米中の共同統治(両国に利害の対立と不信があり難しい)(3)米中印三極体制(三極は通常安定しない)(4)米中が海洋派(日本・韓国・インドネシア・オーストラリアなど)と大陸派(北朝鮮・中央アジア・パキスタン・ミャンマーなど)を率いて二系列化するシナリオなどが提示された(フリードバーグ教授)。主催者側インドのゴスワミ女史も、対決シナリオと協調シナリオの双方を描きつつ、中国が責任あるアクターとなれるか、あるいはナショナリズムと覇権主義に傾きたとえば台湾武力統一に走るかによって異なる将来像となる旨指摘した。アイケンベリー教授は「中国・インドの台頭、日本のノーマル化(冷戦終結後の20年に自衛隊がさまざまな活動を海外で行うようになったことなど)」とアジアの変化をスケッチしつつ、米国は日米同盟や地域協議への参加などを通してアジアにとどまり、アジア安定の供給者を務めるべきであると取りまとめ報告を行った。インドでの対話は予想以上に示唆と刺激に富むものであった。


Geo-Politics in Asia Country Perspectives
http://www.idsa.in/asc/RapporteurReport_session8.html

One final possibility could be a continental maritime divide. Instead of being dominated by a Sino-American condominium, Asia could effectively be divided into two camps - one led by China with countries like North Korea, Russia, Kazakhstan, Kyrgyzstan, Tajikistan, Pakistan, Myanmar, Laos, and possibly Vietnam; and the other led by the United States with countries like Japan, South Korea, the Philippines, Indonesia, Australia, Singapore, Thailand, India, and possibly Mongolia. In case of the emergence of such groupings in Asia, the situation could come to resemble a new Cold War, with the United States and China sharply at odds with one another, and each trying to bind its friends into a more tightly integrated coalition.


<関連サイト>

Asian Security Conference
http://www.idsa.in/asc/index.html

Geo-Politics in Asia Country Perspectives
http://www.idsa.in/asc/RapporteurReport_session8.html

Asian Security Conference > SPEAKERS (画像引用)
http://www.idsa.in/asc/speakers.html

12 Asian Security Conference 2010 12 Asian Security Conference 2010
http://www.idsa.in/asc/programme.pdf

米国の退場を迫る中国 日米同盟、危機へ
2009年12月20日(Sun) アーロン・フリードバーグ
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/682

China 2025: Keynote I: China’s Rise: Strategic Implications for Asia
http://www.cfr.org/publication/20467/china_2025.html?breadcrumb=%2Fbios%2F1561%2Faaron_l_friedberg

コメント

_ トンチンカン ― 2010/02/22 18:26

ASEAN主要6か国における対日世論調査(平成20年)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h20/5/1179515_907.html

ASEAN諸国にとっての重要なパートナーはどの国かとの質問については、6か国全体で、中国(30%)、日本(28%)及び米国(23%)の順で評価された。このうち、日本を1位とする国(インドネシア、フィリピン、ベトナム)と中国を1位とする国(マレーシア、シンガポール、タイ)が6か国の中で二分化したのが特徴的であった。

ASEANにとって重要な国は中国?日本?/東京財団

http://www.tkfd.or.jp/research/sub1.php?id=120

ベトナムとタイの扱いが対日世論調査の結果と逆なのが面白いですね。
新冷戦状態になったら、海洋派はモンゴルとどうやって接触するんでしょうか?

_ isaacpapa ― 2010/02/22 23:40

園田さん

此処のサイト,ハックされてませんか? 今はありませんが「最近のトラックバック」に変なタイトルが出てました.

_ へなちょこエンジニア ― 2010/02/23 07:33

海洋派と大陸派の面子を見ればどちらについたらいいか分かるだろうに。
トホホ。

_ 老荘バーク ― 2010/02/23 10:29

>はたしてサルたちに理解できるのだろうか。

ムッソリーニも日本のことを「とてつもない」サルと思っていたそうです。

イタリア:ムソリーニの通説覆す素顔 愛人の日記
http://mainichi.jp/select/today/news/20100222k0000e030047000c.html

一方、37年10月の日記では、同盟国・日本の占領下にあった中国の大使との会談に触れている。「なぜイタリアは中国を支援しないのかと聞かれたが、単に仏英と同じ立場になれないからだ。もし仏英が日本側につくなら、我々は中国につく」「中国人は頭がいい。だが日本人はとてつもない。猿みたいに何でもまねをする。彼らはすごい。すぐに学習する」と語っていた。


『外交フォーラム』誌が事業仕分けで外務省による約9000部の買取を廃止する影響で4月号から休刊することになってしまったので、政権として外交、国際政治、地政学などにあまり熱心ではなさそうに見えます。
これらも「いのちを守る」ことに関係すると思うのですが。

外務省買い上げ廃止「外交フォーラム」休刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20100216-OYT1T00033.htm

_ Y-SONODA ― 2010/02/23 10:37

★トンチンカンさんへ

>新冷戦状態になったら、海洋派はモンゴルとどうやって接触

海洋と大陸という言い方からしてフリードバーグは完全に地政学。
一応モンゴルについてはフリードバーグもpossibly付きにしていますが、「なんでモンゴルが海洋やねん」とのツッコミもしたいところ。
モンゴル事情に詳しい方のお話を聞くと、中国とモンゴルの関係は微妙とのこと。
しかもモンゴルの資源に世界中が注目。また中露の間に火種を残しておきたい。
このあたりで米国の思惑が大きく絡んでいるのではないでしょうか。

★isaacpapaさんへ

>此処のサイト,ハックされてませんか?

最近またコメントやトラックバックにエロ系スパムが多いんですよ。
気が付いたら消しているのですが、おそらくそのことではないかと思います。

★へなちょこエンジニアさんへ

>海洋派と大陸派の面子を見ればどちらについたらいいか分かるだろうに

あはは。勝ち負け以前にこういう見方ができる人が日本には少ないですよね。
教育に問題があるのではないかと。
日本の大学の国際関係論もなんだか左よりが多いような気がする。
ジョセフ・ナイみたいな人ばかりじゃないのに。

★老荘バークさんへ

>ムッソリーニも日本のことを「とてつもない」サルと思っていた

「中国人は頭がいい。だが日本人はとてつもない。猿みたいに何でもまねをする。彼らはすごい。すぐに学習する」

うひゃ、これまたおもしろい。情報ありがとうございました。

>「外交フォーラム」休刊

これはもったいないですよね。
私も愛読者の一人でしたから残念といえば残念。
海外のレベルからすればちと物足りなさはありましたけどね。

_ isaacpapa ― 2010/02/23 14:41

★海洋派=米国主導
日本、韓国、フィリピン、インドネシア、オーストラリア、シンガポール、タイ、インド、モンゴルなど

★大陸派=中国主導
北朝鮮、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、パキスタン、ミャンマー、ラオス、ベトナムなど

20年先のアジア関係国を地政学的に考えた場合,上記のようにはならないと思います,以下はあくまでも武力によ再編ではありますが.

浸食される支那.

インドはネパール・ブータンを盾にチベットまで進出し,青海省を飲み込む.北からロシアの後押しでラマ教の国モンゴルが内モンゴル,西の黒竜江省,南の甘粛省までを制圧し,大きなチベット仏教国がロシアとインドの主導で出来上がる.

非アラブイスラーム諸国(シーア派)イラン,パキスタン,トルクメニスタン,ウズベキスタンがトルコ主導でアフガニスタンを制圧.その勢いでカザフスタン,キルギスタン,タジキスタンが新疆ウイグルへ進行.大規模な非アラブイスラーム圏が出来上がる.

支那は国土を半分にされる中,北主導で朝鮮半島を統一させ吸収,ミャンマー,タイ,ラオス,カンボジア,ベトナム,マレーシア,シンガポール等,非アラブイスラーム諸国や仏教国を制圧しASEANは崩壊.その後支那自体が南北に分裂.

米国,日本,フィリピン,インドネシア,オーストラリア,ニュージーランドは,南支との繋がりを濃くし,支配下に置く.

つまり,インド(中間派),トルコ(大陸派),ロシア(大陸派),北支(海洋派),米(海洋派)の5極体制に,アジアは収まるような収まらないようなw

_ Y-SONODA ― 2010/02/24 08:44

isaacpapaさんへ

ご指摘の支那浸食シナリオは2080年頃に向けたものではないでしょうか。
おそらく米国は冷戦ゲームを相当期間楽しみたいと思っているはずですよ。
ロバート・カプランがインド洋の地政学に関する新著を出す予定とのこと。
その関係からか都内で講演会も開催されます。私も参加申し込みしました。

笹川平和財団主催 講演会のご案内】
"THE INDIAN OCEAN AND GEOPOLITICS" インド洋をめぐる地政学
講演者: ロバート・カプラン氏
http://www.spf.org/event/article_3035.html
https://reg31.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=pao-scqf-e3bb95b4c1a91d46461d3024bf754c1a

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