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独り善がりな東アジア共同体構想、それはアジア太平洋の国際政治を不安定にする(元韓国外交通商相尹永寛氏)2010/02/08 08:45

日経「経済教室」 独り善がりな東アジア共同体構想、それはアジア太平洋の国際政治を不安定にする(元韓国外交通商相尹永寛氏)


韓国・盧武鉉政権時代に米軍竜山基地の移転問題などをめぐって「自主派」が台頭。
米国との同盟関係を重視する「同盟派」の尹永寛外交通商部長官が更迭されるという事態にまで発展。

その尹永寛が日経「経済教室」に登場し、リアリストの立場で発言。
何やら素朴に東アジア共同体構想が域内の平和に寄与すると思っている人も多いようですが、実は全く逆の事態になる可能性があることを示唆しています。

軽々しい「友愛の海」の先には「混沌の海」が待っている。
最悪の場合、その先には「血まみれの海」が待っているということをわかっているのか。

独り善がりな東アジア共同体構想。それは戦前の独り善がりな大東亜共栄圏に通じる。
今一度、頭を冷やしてよく考えてみよう。


<関連記事引用(抜粋)>

日米安保50年鳩山外交を問う(4)元韓国外交通商相尹永寛氏(経済教室)終
2010/02/01日本経済新聞朝刊

 2009年8月の衆議院選挙で民主党が大勝したことは、自民党の従来の外交政策とは全く異なる新外交政策を打ち出す好機を鳩山政権に与えたといえる。鳩山首相にとっては、今はまさに自身の外交構想、すなわち米国とは別の自主路線の採用、中国や東アジアとのより密な関係の確立、米国抜きの東アジア共同体の構築などを実行に移すべきときなのだろう。おそらく首相は、グローバルな力関係が米国から中国へ大きくシフトし、日本は多極的な国際システムの時代に歩を進めると考えているのだ。

 だが鳩山政権の外交姿勢は、日本国内あるいはアジア太平洋域どちらの専門家から見ても、かなりあいまいである。そもそも民主党政権は、国際政治において日本がこの先めざす長期構想といえるものを明らかにしていない。たとえば過去20~30年間の日本の伝統的な外交政策は、台頭する中国との政治的経済的関与を深めつつも、米国との安全保障関係は維持するという具合に理解できよう。

 では現政権のアプローチは、これに近いのだろうか、それとも多少ちがうのだろうか。多少ちがうとして、具体的にどこがちがうのか。明確な答えはみえてこない。

 民主党の指導者が過去の外交政策とは決別する意図を持ち、たとえば安全保障の面でも米国と距離を置くつもりだとしたら、吉田茂政権下で確立した戦後の軽武装経済優先路線を破棄するに等しい対外戦略の大転換ということになろう。この場合には、2つの選択肢があると考えられる。一つは、日本が米中のバランサー、すなわち対米、対中で等距離に近い立場をとり、「均衡者」となる役割を果たすことであり、いま一つは、台頭する中国に接近することである。しかしどちらの選択肢も、それぞれに問題をはらむ。

 第一に、日本が米中のバランサーの役割を果たすとの選択肢は、理論的には可能だとしても現実には実行不可能である。米中の間で真に中立のバランサーとなるには、日本は米国の安全保障に依存せず自立する必要がある。すなわち再軍備し場合によっては核武装も辞さないことになる。2国のうち1国に安全保障を依存しながら2国間の中立のバランサーとなることはできない。この選択肢を取れば、日本は国際的にも国内的にも多大なコストを強いられよう。

 まず国際的には、国際社会からの強い反発にあうはずだ。国際社会では、核拡散防止はいまも世界が守るべき最も重要な規範とみなされており、とくに韓国と中国は、日本の核保有には強硬に抗議するだろう。また日本の再軍備は、東アジアの軍拡競争を激化させかねない。この意味で中国にとっては、自立した日本よりむしろ日米同盟に依存する日本の方が好ましいと考えられる。

 一方国内的にも、指導者は重大な政治的困難に直面するはずだ。最近行われた世論調査によると、日本人の約75%は日米同盟を支持している。とすれば、民主党政権は、第一の選択肢に基づく外交政策に対して国民の支持を得られるだろうか。

 第二に、日本が中国に接近するという長期戦略を選べば、今度は別の重大な問題が浮上する。この戦略は、米国が20世紀初頭からとってきた長年の東アジア戦略に真っ向から対立するからだ。米国の日本研究者の長老で歴史学者のケネス・パイル米ワシントン大学教授が述べているとおり、米国は東アジアで1国が突出して優位に立つことを防ぐべく、この地域でバランサーの役割を果たしてきた。

 日本が東アジア支配を狙って1930年代に中国を侵略したときは、米国が干渉し中国と手を組んで日本をけん制した。49年に共産党一党独裁の中華人民共和国が成立、中国大陸を支配するようになると、米国は今度は日本と同盟し中国の影響力に対抗した。米中の外交関係が正常化してからも、米国は日中間の微妙なパワーバランスを維持するよう努めてきた。

 近年になって米国の経済力が衰えたとはいえ、軍事力に関しては米国はいまなお超大国であり、今後もしばらくはこの地位を維持するだろう。したがって米国が東アジアへの積極的な関与とバランサーとしての従来の政策を打ち切ることはあるまい。

 鳩山首相が提案した米国抜きの東アジア共同体構想に、海外の多くの論者が不安を抱いたのは、こうした理由からだ。日本が中国に急接近すれば、東アジアは中国という強大な一国の影響下に置かれることになり、東アジアの戦略的関係にも世界の政治にも重大な変化をもたらす。日米同盟という戦略的な軸を失った米国は、東アジアへの関与を維持するうえで非常な困難を強いられることになろう。

 一方で、急速に膨張する中国のパワーに懸念を抱く東アジアの国々もまた、不利益を被ることになる。これらの国々は、米国の東アジア戦略の基盤となっていた日本が米国離れをすれば、そのすき間を米国との2国間関係の強化によって埋め合わせようとするだろう。また日米韓の3国協調関係も解体しかねない。今後も多難が予想される北朝鮮問題を抱える韓国は、米国との結びつきを一層強めたいと考えるはずだ。

 このように、東アジアにおける国際秩序は緊張の度合いを強め、対立的になると予想される。経済開発を引き続き最重要課題に据える中国の政治指導者は、東アジアの国際安全保障関係がこのように不安定になることを、果たして望んでいるだろうか。

 2010年以降の新しい国際政治環境において、米国と日本が冷戦時代のような保護者と庇護(ひご)者の関係を維持するのは、たしかに問題が多い。したがって、新しい政治環境により適した新たな制度的構造を構想し、安全保障協力の新しい形を模索することは、日米両国にとってのみならず、国際社会の他のメンバーにとっても重要な課題の一つといえよう。

 だがここでとるべきは、細やかで漸進的なアプローチである。将来に向けた明確な構想もなしに、既存の安全保障の枠組みを突如として一方的に解体するような試みは、日本の国益に反するうえ、アジア太平洋の国際政治を不安定にさせかねない。

 英国の昔の政治家が言った言葉に「新しい家を建てる前に古い家を壊してはならない」というものがある。(対米自主外交を唱えた)盧武鉉政権時代に外交通商相を務めた際、筆者が米国との同盟関係を最大限維持すべく努力を重ねたのは、この言葉を肝に銘じていたからである。

=この項おわり

 ユン・ヨングァン 51年生まれ。ソウル大卒、ジョンズ・ホプキンス大博士

コメント

_ きたろう ― 2010/02/08 23:55

韓国にとって都合が悪い事態になるのなら、別に鳩山の戦略でも構わないと思うw
たしかに、自民党政権が反米になるのはリスクが高い。一応、自民党は日本の保守本流に近い政党だから。
でも、民主党は表向き、日本の保守本流に遠い政党だから、全ての責任を民主党に押し付けることが出来るし。

_ 老荘バーク ― 2010/02/09 01:53

>今一度、頭を冷やしてよく考えてみよう。
このところ毎日や日経でも取り上げていた朝河貫一さんの『日本の禍機』も考えるヒントになりそうですね。
http://www.amazon.co.jp/dp/4061587846

【コラム】韓国を手招きするオバマ大統領
http://www.chosunonline.com/news/20100207000026

「李明博(イ・ミョンバク)大統領は、オバマ米大統領が友好的な関係を維持する、最も重要な世界の指導者の一人だ」

 米ワシントンのウッドロー・ウィルソン・センターと北朝鮮大学院大学が主催したセミナーで、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の前アジア部長、ビクター・チャ氏はこのように発言した。ブッシュ前政権の高官だったチャ氏がこの発言をしたとき、オバマ大統領はメリーランド州ボルティモアにいた。共和党の下院議員の研さん会に出席したオバマ大統領は、まるでチャ氏の発言を支持するかのように、「韓国はわが国の偉大な同盟国」「すべての分野で韓国ほど米国に献身的な国はない」と韓国を高く評価する発言をした。

最近ワシントンで「最上級の韓米関係」に関する評価を耳にするのは珍しいことではない。昨年オバマ大統領が大統領府で李大統領と会談後、こうしたムードが高まった。2日に来韓したキャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)も、「李大統領からは、ほかの指導者にはない、前向きで信頼感のあるリーダーシップを感じた」と語った。

 両国の関係は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)-ブッシュ政権時代よりもよいムードだ。韓米自由貿易協定(FTA)を除いては、現在これといった意見の相違はない。

 とはいえ、米国の政府高官が事有るごとに韓国を高く評価する背景には、戦略的判断があると見なさなければならない。現在、日米関係は冷え切っている。米政府の内外では、米国のアジア政策の土台といわれていた日本に対する懐疑的な見方も出ている。中国とは米戦略国際問題研究所(CSIS)のチャールズ・フリーマン中国室長の予想通り、年初からギクシャクした関係になってきている。オバマ大統領が4月に主催する核安全保障首脳会議が迫っているが、北朝鮮の核問題はいまだに解決の糸口が見つかっていない。

 米国は、北東アジア情勢が悪化する中、韓国に対して友好的な発言を通じて助けを求めている。日本や中国との対立を韓国が解消し、北朝鮮問題の糸口を見つける役割を期待している。特に日本に対しては、韓米関係をスプリングボードとして活用する戦略もある。

 さらに視野を広げてみた場合、オバマ大統領は世界が直面している問題を解決するためのパートナーを探している。オバマ大統領は昨年1月の大統領就任時、新たな世界秩序の確立を明言したが、これまで空虚だという評価が多い。米国は、反テロ、エネルギー問題、気候問題、災害解決などで積極的な役割を果たすことを、韓国に期待している。昨年6月に韓米同盟を国際的に拡大する「韓米同盟未来ビジョン」にオバマ大統領が合意したのも、こうした理由からだ。

 11月に20カ国・地域(G20)首脳会議を開催する韓国にとって、米国のこうした動きはよい機会といえる。韓国が規模だけの「ミドルパワー」ではなく、大国と発展途上国間の懸け橋の役割を担う「ミドルパワー」を確立できる機会となり得る。今年は韓国の国際的地位を向上させる礎を築かなければならない。

ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員


日米関係の冷え込みに対して米韓関係は着実に親密さを取り戻していますね。
中間選挙で共和党がTea Partyの勢いとペンテコステ派のペイリンさん人気を上手く利用して、過半数を奪回するとオバマ政権の表面上の対中圧力はさらに強まりそうですが、そのとき鳩山友愛の海政権(がまだ存続していると仮定して)はどうするんでしょうね。
まさか「寺島さんに聞いてみます」なんてことはないと思いますが…

_ きたろう ― 2010/02/09 02:41

>老荘バーク
まあ、だいたい予想通りのアメリカの戦術でしょうけど...韓国と組む国家というのは、最終的には敗者になるという法則があります。アメリカはそれぐらい余裕がなくなってきていることの例えではないでしょうか...

というのは、中国や日本と関係が悪くなっているからといって、韓国を重視するのは、戦術的であって、戦略として、地政学的に成功しないわけです。

つまり、アメリカとしては、日中が組まれたら、いくら他の中小国家と連携しようが、挽回が利かない。中国とのG2戦略も、全く機能しようがないわけです。だから、その埋め合わせのために、他のアジアの国と連携しても、アメリカに勝ち目がありません。だから、あわてて、小沢つぶしを画策してきたのではないでしょうか?

_ Y-SONODA ― 2010/02/09 09:16

★きたろうさんへ

韓国云々で読まないほうがいいと思いますよ。
何点か気になるところはあるのですが、それでもなかなか地政学しています。
こういう意見が日本から出てこないから、あえて紹介したようなもの。
誤解があるようなのではっきり申し上げると、こと国際関係については国とか人種で好き嫌いはまったくなし。せいぜい「米国だけは怒らせるなよ」程度ですね。
また東アジアの国々のまともな人たちが鳩山の構想にビクビクしているのも事実でしょう。

★老荘バークさんへ

>朝河貫一さんの『日本の禍機』

いやー、朝河の名前が出てきてうれしいですね。
民主党の連中は全員読むべきでしょうね。

>中間選挙で共和党がTea Partyの勢いとペンテコステ派のペイリンさん人気を上手く利用して、過半数を奪回するとオバマ政権の表面上の対中圧力はさらに強まりそうですが、そのとき鳩山友愛の海政権(がまだ存続していると仮定して)はどうするんでしょうね。

おそらく現状何も考えていないと思いますよ。
それほどスタッフもいないようですし、外務省ともまだギクシャク。
困ったものですね。

_ YS ― 2010/02/12 10:10


<関連記事引用>

アジア・大洋州覆う憂鬱 日米同盟動揺の影 普天間解決願う各国
2010.2.11 23:36
http://sankei.jp.msn.com/world/america/100211/amr1002112338006-n1.htm

 鳩山由紀夫政権下で米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を引き金に始まった日米同盟の動揺を案じる声が今、アジア・大洋州地域からも上がりだしている。同地域では北朝鮮の脅威、そしてそれ以上に中国の台頭をひしひしと感じているからだ。地域を覆う憂鬱は、在日米軍が両国をにらんで地域を安定させているという、日本人の意識から抜け落ちてしまいがちな日米同盟の存在意義を映し出している。

 核武装の北朝鮮と対峙する韓国では、きしむ日米関係への懸念は小さくない。

 金浩燮(キム・ホソプ)中央大学教授は韓国紙、文化日報のコラムで、「日米同盟の弱体化は1950年の朝鮮戦争勃発以降、北東アジア地域で固定化されてきた安保軸が揺れることだ」と指摘、「日米同盟の弱体化、日中接近の中、韓国の外交は米韓同盟強化再確認の方向性を選択することが必須だ」と日中接近に伴う韓国孤立化への不安をもにじませる。

 韓国外交安保研究院の尹徳敏(ユン・ドクミン)教授は、対米関係が悪化した盧武鉉前政権の例を挙げて、「結局、米韓同盟の根本部分は何も動かなかったので、日米同盟も根本は変わらないだろう」と落ち着いた見方も示しつつ、「日米韓の安全保障はつながっているので、日米関係が揺らぐと、(日米と)韓国との安保上の連帯も弱まる」と危惧を隠さない。

 普天間飛行場の移設先についても心配されている。朝鮮半島有事に際しては、沖縄駐留の米海兵隊が即応部隊として展開することになっており、それが仮にグアムに引っ越すとなれば、韓国の安保上、深刻な影響が出るとの憂慮である。

 陳昌洙(チン・チャンス)・世宗研究所日本研究センター長は「沖縄の米軍基地問題は、日本だけの問題だけでなく、東アジアの安保ともかかわる問題だ。良好な日米関係は、周辺国家にとっても大変、重要で、日米同盟が揺れることは周りの国々を不安にさせる。一日も早く決着してほしい」と話している。

 台湾の場合、脅威はむろん中国である。それは対中関係改善に努めてきた馬英九政権下でも変わらない。中国の統一攻勢にさらされる台湾が、事実上の独立状態にある現状を維持するためには、安全保障面での日米台の連携が一段と重要になっているとさえいえる。

 先にオバマ米政権が台湾への兵器売却を発表したことへの中国の激しい反発も台湾住民の対中警戒心を増幅させている。台湾の「天下雑誌」調査(昨年12月)では、中台関係の「現状維持」(78%)と「至急独立」(11%)を求める意見が大多数を占め、「至急統一」派は2%に過ぎない。

 馬英九総統もこうした民意に沿い、「中華民国は民主・独立主権国家」(元旦演説)と台湾の主体性を強調しており、昨年末の日本メディアとの会見でも「日米安保条約があってこそ台湾を含む東アジアが安定する」と述べ、日米関係の悪化に強い懸念を示した。

 そんな不安の念は党派を超えて共有されている。

 政治大学国際関係中心の丁樹範研究員は「中国の急速な軍拡や台湾政策は何ら変わらない。両岸(中台)の緊張緩和は長続きせず、再び対立し得る。台湾やアジア・太平洋の安全を維持するという日米同盟の意義は重大だ」と力説する。

 台湾の独立派の危機感はより強い。発足間もない野党の民進党系のシンクタンク「新台湾国策智庫」の羅致政・執行長が代弁する。

 「李登輝・陳水扁政権の下で20年間続いた日米台連携が馬英九政権の『親中、日米と距離を置く』政策で揺らいでいる。さらに鳩山政権の対中接近と『対米対中等距離外交』で、アジア・太平洋地域のバランス・オブ・パワーが変わりつつある。中国は間隙を突いて日米台や韓国の4者分断を図っている。われわれはもう一度、団結すべきだ」

 東南アジアや大洋州からは、域内で政治的、経済的な影響力を強める中国は、「北の巨人」と映る。

 その巨人との均衡を取るために、「アジア・太平洋地域での米国のプレゼンスは不可欠」(シンガポールのリー・シェンロン首相)であり、各国は、日米両政府が普天間飛行場の移設問題で同盟関係を傷つけ、域内の安全保障に悪影響を及ぼすことのないよう、問題の早期解決を願っている。

 オーストラリア国立大学戦略防衛研究センターのデズモンド・ボール教授は、「西太平洋地域で中国の軍事力が増大している点についてオーストラリアには深刻な懸念がある」と語る。

 ラッド同国政権は昨年の国防白書で、域内での中国の軍事的存在感が高まっていると指摘、海軍力を増強する方針を示している。同教授は「米軍事力は増大する中国の軍事力を相殺する役割だけでなく、地域全体を安定させる役割もある」と述べ、米軍の存在がアジア・太平洋地域全体の軍事バランスを保つ意味でも重要だとの認識を示した。

 90年代初頭に米軍基地存続条約が否決された後に、駐留米軍が撤退したフィリピンでも、周辺に中国海軍が出没するようになって、「隣国(中国)のパワーが米国の存在を特に重要なものとしている」(デ・ラサール大学のレナート・デ・カストロ国際学部長)と米軍再評価が起きている。

 各国の専門家は「普天間移設問題が米国のアジア戦略全体に影響を及ぼすことは少ない」(イアン・ストーリー・シンガポール東南アジア研究所研究員)という見方で一致している。

 ただし、万が一、米軍が日本から兵力をほとんど引くような事態では、「アジアの他の国が代わりに米国を受け入れてでも、その衝撃を最小限に抑えようとするだろう」と、シンガポール経営大学のウェルシュ准教授(政治学)は見る。

 同教授は、普天間問題をめぐる鳩山政権の対応に、「日本は米同盟国だから、東南アジア域内でも安全保障上の役割を期待されてきた。それがなくなれば、日本は域内各国から尊敬されなくなるし軽視される。鳩山首相は普天間問題を2国間の問題とだけとらえず、もっと域内首脳の声を聞くべきだ」と忠告している。(台北 山本勲、シンガポール 宮野弘之、ソウル 水沼啓子)

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