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新聞危機下のニュースの裏側2009/05/19 08:13

新聞危機下のニュースの裏側


米国では金融、自動車業界に続いて新聞社が救済対象になるとの見方が浮上中。

クリスチャン・サイエンス・モニターが米主要紙で初めてネットのみのオンライン新聞に完全移行。
そして、現在経営難で話題になっているのはニューヨーク・タイムズ紙(NYT)。
すでにNYT傘下の老舗紙ボストン・グローブは休刊の危機に瀕しています。

またNYT救済に向けて友好的な買収に動いているのがデービッド・ゲフェン。
ゲフィンはグーグルに共同買収を持ちかけているとの報道もあります。

こうした中、新聞業界の熱い視線を集めている製品があります。
それは、米アマゾン・ドット・コムの電子書籍端末「キンドルDX」。
アマゾンと組んでいるのはNYT、ボストン・グローブ、ワシントン・ポストの3紙。
旧メディアがITに活路を見出そうとしているわけです。

さて、日本を見てみましょう。
在京民放キー局5社の2009年3月期連結決算ではテレビ朝日とテレビ東京が上場後初の最終赤字。
各社ともスポット広告の落ち込みが響き、営業・経常利益は軒並み二ケタ減少。

また、税引き後利益が204億円の赤字となったのは広告最大手の電通。
これはなんと1901、02年度の創業期以来の赤字決算。
企業が広告費を大幅に絞り込んだことから、新聞や雑誌の出稿減が響いたようです。

電通の中本祥一常務執行役員は「しばらく厳しいが、今期の好材料の一つは総選挙。選挙が拮抗する状態になれば、広告にもたくさんお金を使ってもらえるのでは」と発言。

電通同様に総選挙関連の広告需要に大きな期待を寄せているのは発行部数のジリ貧続く新聞業界。

新型インフルエンザ大袈裟報道に拮抗煽る民主党新体制と政権交代論。
いずれもテレビや新聞各社の懐事情が大きく関係しているようです。

とはいえ、実際にこれだけ新型インフル感染が拡大してくると経済も大打撃でさらなる広告減。
衆院解散・総選挙の時期への影響も避けられない。
これはまさに自業自得。
これから一気に大袈裟報道から「新型インフル怖くない報道」に切り替わるかも。

現在、さまざまな憶測が流れているのは産経新聞と毎日新聞。

IT戦略で一歩先行く産経新聞。
すでにヤッパのiPhone 3G専用アプリ「新聞ビューワー」を採用。
次に狙うはアマゾンの「キンドルDX」か。
オンライン新聞への移行を視野に着々と準備しているようにも見えます

一方、毎日新聞も子会社が創価学会から聖教新聞の印刷を受託するなどもう必死。
「ウチが生き残る方法は『聖教毎日新聞』になることだ」との自虐ネタを披露する社員まで。

私にとってデービッド・ゲフェンといえばアサイラム。
何を隠そうアサイラムのホワイト・ラベル・コレクター。
あのアナログレコードの温かみのある音とジャケットデザインが忘れられない。

新聞も懐かしのコレクターアイテムになるのでしょうか。


<関連記事引用>

米新聞、ITに活路探る、主要紙部数、10-3月7%減、サイト閲覧伸び続く。
2009/05/16日本経済新聞朝刊

 米国で新聞の発行部数低迷が続いている。三月までの半年間に主要紙の平均発行部数は前年同期に比べて七・〇%減った。景気後退による広告収入の減少も収益を圧迫している。インターネットや電子書籍端末など、IT(情報技術)の積極活用に活路を見いだそうとする動きが広がり始めた。

 米新聞雑誌部数公査機構(ABC)がまとめた二〇〇八年十月―〇九年三月の主要三百九十五紙の平均発行部数(平日版)は、前年同期比七%減の約三千四百万部。上位二十五紙のうち部数が伸びたのはウォールストリート・ジャーナル(WSJ)だけだった。

 一―三月期決算では大幅減益や赤字計上の新聞社が続出。「USAトゥデー」など八十五の日刊紙を持つ最大手ガネットは前年同期比五九・六%の減益で、三位のマクラッチーは三千七百万ドル(約三十五億円)の最終赤字だった。

 ただインターネット経由の読者は増加基調だ。米新聞協会とニールセン・オンラインの共同調査では、一―三月の米新聞社のサイト閲覧者数は月平均で約七千三百万人と、前年同期より一〇%増加した。

 ネット活用に苦境脱出の糸口を探る動きも目立ってきた。昨年十月、クリスチャン・サイエンス・モニターが米主要紙で初めて紙の新聞発行をやめネット版に完全移行すると発表し、ワシントン州のシアトル・ポスト・インテリジェンサーが三月に追随した。

 どこからでも日々の新聞を読めるように、無線で情報を取り込む電子書籍端末と提携する動きも活発になっている。WSJとボストン・グローブなど三社はアマゾン・ドット・コムと手を組んだ。アマゾンが新聞や雑誌用に開発した端末「キンドルDX」を購読者向けに割安価格で提供し、宅配網のない地域などで読者を掘り起こす考えだ。
(ニューヨーク=杉本晶子)

<米主要日刊紙の発行部数(画像引用)>      
単位は万部、平日版、2008年10月―09年3月平均、▲はマイナス順位   

新聞名/部数/前年比増減率
1   USAトゥデー   211   ▲7.4
2   ウォールストリート・ジャーナル   208   0.6
3   ニューヨーク・タイムズ   103   ▲3.5
4   ロサンゼルス・タイムズ   72   ▲6.5
5   ワシントン・ポスト   66   ▲1.1
(注)米新聞雑誌部数公査機構(ABC)調べ  

<詳細データ>

USA TODAY -- 2,113,725 – (-7.46%)
THE WALL STREET JOURNAL -- 2,082,189 -- 0.61%
THE NEW YORK TIMES -- 1,039,031 -- (-3.55%)
LOS ANGELES TIMES -- 723,181 -- (-6.55%)
THE WASHINGTON POST -- 665,383 -- (-1.16%)

DAILY NEWS (NEW YORK) -- 602,857 -- (-14.26%)
NEW YORK POST -- 558,140 -- (-20.55%)
CHICAGO TRIBUNE -- 501,202 -- (-7.47%)
HOUSTON CHRONICLE -- 425,138 -- (-13.96%)
THE ARIZONA REPUBLIC -- 389,701 -- (-5.72%)

THE DENVER POST (02/28/2009 to 03/31/2009) -- 371,728 -- N/A
NEWSDAY -- 368,194 -- (-3.01%)
THE DALLAS MORNING NEWS -- 331,907 -- (-9.88%)
STAR-TRIBUNE, MINNEAPOLIS -- 320,076 -- (-0.71%)
CHICAGO SUN-TIMES -- 312,141 -- (-0.04%)

SAN FRANCISCO CHRONICLE -- 312,118 -- (-15.72%)
THE BOSTON GLOBE -- 302,638 -- (-13.68%)
THE PLAIN DEALER, CLEVELAND -- 291,630 -- (-11.70%)
DETROIT FREE PRESS -- 290,730 -- (-5.90%)
THE PHILADELPHIA INQUIRER -- 288,298 -- (-13.72%)

THE STAR-LEDGER, NEWARK, N.J. -- 287,082 -- (-16.82%)
ST. PETERSBURG (FLA.) TIMES -- 283,093 -- (-10.42%)
THE OREGONIAN, PORTLAND -- 268,512 -- (-11.76%)
THE ATLANTA JOURNAL CONSTITUTION -- 261,828 -- (-19.91%)
SAN DIEGO UNION-TRIBUNE -- 261,253 -- (-9.53%)

http://www.editorandpublisher.com/eandp/search/article_display.jsp?vnu_content_id=1003966608

<関連記事>

電通、創業期以来の赤字決算…広告費減に保有株式下落も
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090511-OYT1T00864.htm?from=navr

電通、初の赤字転落 「総選挙の広告需要に期待」
http://www.asahi.com/business/update/0511/TKY200905110242.html

自動車不況で全国紙も消える!?
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/12/03/3989998

コメント

_ とおる ― 2009/05/19 09:29

日本の新聞が長期低落なのは、テレビの多チャンネル化やインターネットの普及で分かる気がしますが、なぜか、朝刊単独部数だけは増加傾向です。
米国で、新聞社まで政府の救済対象になるのは、言論の自由よりも、背に腹は変えられない気持ちも分からないではありませんが、いつのまにか社会主義国・共産主義国になってしまったようで、精神的に大丈夫か?と心配してしまいます。

_ アルルの男・ヒロシ ― 2009/05/19 10:50

KindleDXは果たして成功するかどうかわかりませんが、NYTが新しい電子新聞のサービスを始めましたね。私はIHT購読者なので、このサービス、Times Readerを使えます。良い点はウェブ画面でもちゃんと段組で表示される点ですか。横長の画面というのはウェブの最大の弱点だと思いますのでこれはグッドです。

日本の新聞は、日経はやるやるといっておきながら、電子新聞をやらないですね。この点ではもっとも産経が先を行っていますが、親会社の補助などがなければ自立できないでそう。

http://journal.mycom.co.jp/news/2008/05/24/008/index.html

_ Y-SONODA ― 2009/05/20 22:51

★とおるさんへ

>いつのまにか社会主義国・共産主義国になってしまったようで精神的に大丈夫か

あはは。確かにそれは言える。
ただし、米国には正面から議論提起する論客も多数。
いつも曖昧に片付けようとする日本との違いがあるかもしれません。
失われた10年の日米比較においても重要なテーマになるでしょう。

仮にブッシュ政権下でNYTの経営危機が起こっていたら、
リベラル牙城殲滅と息巻いて速攻つぶされていたかもしれません。
この点でオバマ政権に替わってNYTはラッキーかもね。


★アルルの男・ヒロシさんへ

キンドルDXって見れば見るほど物欲わかないよねw
この分野でまもなく発売のドコモのグーグル携帯に注目が集まるかも。

産経さんも間違いなくグーグル携帯に飛びつきそう。
とはいえ日本で稼げるかどうかは疑問。しかも親会社との関係も危うい。
どうなることやら。

ところでドコモはグーグル携帯でiモードをいったん捨てるようですね。
今までのドコモメールも使えないんじゃないかなー。

_ とおる ― 2009/05/21 09:09

園田様
> この点でオバマ政権に替わってNYTはラッキーかもね。
そうですね。
オバマ大統領は、何でもかんでも助けて、父の祖国ケニアまでUSAの一員にして、アフリカ大陸に進出!
なんて。(冗談です)

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_ 米流時評 - 2009/05/19 17:23


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  米国がついに開けたパンドラの箱、イラク戦争の侵攻事由はやはり捏造だった
イラク戦争時代のCIAの拷問が、憲法違反・戦争犯罪に問われるかどうか?という、ブッシュ体制の国家犯罪的本質を暴く状況が、今春から問題化している。オバマにとっては、政治の倫理観を問われるもっとも厄介な問題である。

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