日本版キームガウアーの提案 ― 2009/02/02 08:29

キームガウアーを取り上げた日本の新聞記事がなんと0。
こりゃいかん。
新聞記者さんも森野さんの講演会に来てもらって、一緒にお勉強しましょう。
わかりやすく説明したものはないものかと探していると、
ドイツ在住の美濃口坦さんのコラムを発見!
美濃口さん、さすがですね。
仲良しの美濃口さんに御一報した上で、下記引用させていただきます。
森野さんにも助けてもらって、私はここで大胆提案!
日本版キームガウアーを財務省マネーとして発行し、
まずは政治家や役人の給与の一部にあてる。
このアイデアは定額給付金よりずっと効き目があるはずです。
▼引用開始
欧州どまんなか
August 8, 2006
「キームガウアー」ってなあに
http://www.geocities.jp/tanminoguchi/20060808.htm
話しているうちに、反対したり賛成したりするだけで、本当は現実べったりの自分が少し恥ずかしくなる。忙しいのに私の相手をしてくれているのは、今までドイツで一番成功した地域通貨の「キームガウアー」を立ち上げたクリスティアン・ゲレーリさんである(写真下)。
地域通貨とはなにか。この説明はややこしくなりそうなのでゲレーリさんがしたことを順番通りに書く。今から4年前の2002年に彼はプリーンのシュタイナー学校に「経済」と「情報工学」の課目の先生として就職し、授業で貨幣をテーマにとりあげた。「お金がなんのためにあるのか」からはじまって、利子があるために資本として投下されたお金を殖やす経済成長が不可避になることや、またその弊害を防止するために別のタイプの貨幣が考えられることなどを生徒たちに議論させたという。
そのうちに熱心な生徒(写真下)が会員の間だけで通用する通貨をつくろうといいだす。
このシュタイナー学校があるプリーンは、ミュンヘンからザルツブルクへ向かう途中の「キームゼー」という大きな湖の畔の町で、この地域は「キームガウ」とよばれる。こうして2003年にはじまった学校の課外プロジェクトの通貨が「キームガウアー」になったのもこの地域名に由来する。
上の写真は1、2、5、10、20、30キームガウアーのお札と会員カードをしめす。1キームガウアー=1ユーロで、会員は交換所で100ユーロを渡すと100キームガウアーをもらい、会員になった業者から物を買ったりサービスの提供を受けたりするとその代金をキームガウアーで支払う。
過去三年間で購買者会員が1000人に、業者会員が500人に増え、現在7万キームガウアー(邦貨で約1030万円)が流通し、2006年は財とサービスの売上げの総額が140万キームガウアー(約2億6百万円)に達すると予想されている。こうしてプロジェクトは学校の放課後活動の枠を超えて、ゲレーリさんも今では教師を辞めて通貨制度運営に専念している。
はじめは業者会員も自然食品店とか本屋さんだったのが、現在では幅がひろがり、食料品や雑貨など日常に必要なものはだいたい購入できるだけでなく、キームガウアーを受けとる弁護士、電力会社まで出現している。
この通貨の厄介なのは、ユーロにもどそうとすると5%失う点にある。ということは100キームガウアーをもっていくと95ユーロしかもらえないことになる。これが5%の上納で、その2%が通貨制度の運営に、3%が幼稚園、スポーツクラブ、音楽教室などの地域の非営利事業団体(NPO)に寄付される。
キームガウアーがひろまった大きな要因は、人々が自分と関係のある事業団体を援助したいと思い、そのような団体のほうも寄付が欲しいために関係者にキームガウアーの会員になることを勧めるからである。会員登録申請用紙には支援する非営利事業団体名を記入できる。このような団体から寄付を求められて困る人は少なくないので、どうせ必要なパンやお肉や野菜を買うことで寄付できるのなら、これはけっこうな方式ともいえる。
ところが、会員業者がキームガウアーをユーロにもどさなくなったら上納も止まり、この通貨の運営も非営利団体事業支援も不可能になる。そうならないのは、本屋を例にとれば、卸や出版社には仕入れた書籍の代金をユーロで払わなければいけないからである。ということは、この会員制地域通貨はユーロが機能していることから得していることになり、これは寄生関係である。
でもゲレーリさんたちのこの現実主義によって、地域外に出て行くお金がへり、その分だけ経済の活性化に役立っている以上、地域通貨はその目的を達していることになる。ユーロ導入で各国通貨の障壁がなくなり、グローバル化で資本は一番殖える場所に流れるようになった。この結果今度は国家でなく、以前より小さな単位の地域でとばりをつくり、その流れをわずかでも阻止しようとしているのは、健気な振る舞いである。
キームガウアーのもう一つの重要な特徴は「賞味期限」をもつ通貨である。というのは、この貨幣は発行後3ヶ月経過するたびに価値の2パーセント分に相当する延長スタンプを購入して貼り付けないと無効になるからだ。この措置のお陰で、昔から日本でも「金は天下のまわりもの」といわれるが、この会員制通貨はユーロの二倍のスピードでまわる。これも、もちろん地域経済活性化に寄与することになる。
この措置がとられているのは、キームガウアーをはじめたゲレーリさんたちがシルビオ・ゲゼル(1862年-1930年)の「自由貨幣」論の信奉者だからである。この人の理論よると、貨幣が蓄財でなく交換のために手段として役立つことこそ、より自然に機能する経済秩序の実現につながることになり、だから利子の存在を否定する。
ここで冒頭の私の感想にもどる。私はゲレーリさんと話しているうちに少し自己嫌悪を覚えた。というのは、私は戦争ばかりあった20世紀の人間であるためか、右か左かとか、革命か反革命かとかいったことばかりを問題にして、けっきょく自分が今まで身近な現実を変えようともしないで、旗振りばかりしてきたような気がしてきたからである。
▲引用終了
<関連記事>
政府紙幣とゲゼルマネー
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/01/14/4056389
<参考記事>
それにしても山本一太さんの言ってることって、産経の田村秀男さんそのまま。
【新報道2001抄録】 「非常に興味ある」政府紙幣で自民・菅氏
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090201/stt0902011937003-n1.htm
山本氏「中身悪くなかった。具体的な数字も出たが、これから何を打ち出すかで(施政方針演説に)説得力をもたせていかなければならない。要は政治が今までやったこともないことを、リスクを負ってどう決断するか。例えば、相続税免除の無利子国債や政府紙幣、米国債を円建てで引き受けるとか」
「政府紙幣」発行 自民・菅氏「非常に興味」
http://www.asahi.com/politics/update/0201/TKY200902010122.html
コメント
_ 神田明神の氏子 ― 2009/02/03 04:30
_ 紫竹庵人 ― 2009/02/03 15:52
政府紙幣って国債を商用に一般流通させるってことでしょ。
政府紙幣をゲゼルマネーで発行するとどういうことになるのかな。
どのように減価できるのか、イメージができないのよ。
だれか教えてください。
政府紙幣をゲゼルマネーで発行するとどういうことになるのかな。
どのように減価できるのか、イメージができないのよ。
だれか教えてください。
_ 紫竹庵人 ― 2009/02/03 15:56
僕は「エンデの遺言」を今日から読んでいます。
アジア通貨危機のころに出版されていますが、グローバルマネーに対する危機感が伝わりますが、そのままマネーは暴走を続けたのです。
アジア通貨危機のころに出版されていますが、グローバルマネーに対する危機感が伝わりますが、そのままマネーは暴走を続けたのです。
_ Y-SONODA ― 2009/02/04 00:37
★神田明神の氏子さんへ
確認メールはまもなく送付されると思いますが、
ちゃんと受付されていましたのでご安心ください。
森野さんの講演会でも質疑応答時間を設けていますので、
お聞きしたいことがあれば、真っ先に質問してくださいね。
★紫竹庵人さんへ
「エンデの遺言」はまさに目から鱗。
私もテレビで見たときに驚きました。
番組の方はこちらで見ることができます。
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=566211
政府紙幣推進派は負債とする必要がないためにジャブジャブ刷ればいい。
巨額の発行益を景気対策に活用できると。
一方で白川日銀総裁は政府紙幣が戻ってきた段階で資金調達が必要になるから、
国債の発行と変わらないと語っています。
政府紙幣を減価するゲゼル・マネーで行う。
森野さんは印紙を貼り付けるスタンプ貨幣がいいとおっしゃっています。
詳しくは講演会でお話されるのではないでしょうか。
おそらく米国でも同じような議論が始まるかもしれません。
なんだかんだいって、米国で政府紙幣が復活すれば、
日本も追従するのではないでしょうかw
確認メールはまもなく送付されると思いますが、
ちゃんと受付されていましたのでご安心ください。
森野さんの講演会でも質疑応答時間を設けていますので、
お聞きしたいことがあれば、真っ先に質問してくださいね。
★紫竹庵人さんへ
「エンデの遺言」はまさに目から鱗。
私もテレビで見たときに驚きました。
番組の方はこちらで見ることができます。
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=566211
政府紙幣推進派は負債とする必要がないためにジャブジャブ刷ればいい。
巨額の発行益を景気対策に活用できると。
一方で白川日銀総裁は政府紙幣が戻ってきた段階で資金調達が必要になるから、
国債の発行と変わらないと語っています。
政府紙幣を減価するゲゼル・マネーで行う。
森野さんは印紙を貼り付けるスタンプ貨幣がいいとおっしゃっています。
詳しくは講演会でお話されるのではないでしょうか。
おそらく米国でも同じような議論が始まるかもしれません。
なんだかんだいって、米国で政府紙幣が復活すれば、
日本も追従するのではないでしょうかw
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/02/02/4095969/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
公表されて、すぐに申し込んだのですが、確認メールなどは来なくても大丈夫?
ところで、私、神田とか千代田区とかでコミュニティ活動をやっていた(今、チョッと休憩中)のですが、地域通貨についても周辺でかなり研究されていました。
私の脳内キャパを、そこまで割けずに傍観していましたが、丸ノ内関係とか、アースデイマネーとか、知り合いも活躍しています。
いま、日本の伝統工芸の「つくり手」と「つかい手」を結ぶ仕組みが構築できないか、と頭を悩ませているのですが、こういうコミュニティに対しても地域通貨の考え方は応用できますよね。是非、園田さんや森野さんにご指導いただきたい。
ところで、図書館からエンデ全集のモモと小安美知子さんの「モモを読む」を借りてきました。
なにせ、読書スピードが遅いもので、いつ読みきれるか。
モモは、ずーーいぶん前に読んで以来です。