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ビッグ3救済法廃案と米国の南北分裂2008/12/15 00:18

the continental poverty divide(大陸貧困分水界)


拙著『最新・アメリカの政治地図』で米国内の地政学変化に着目。
私はこの視点からビッグスリー救済問題を眺めているのです。

南北の賃金格差。
さらには貧困という問題。
ここに貼り付けた“the continental poverty divide(米国陰陽太極図!?)”に注目下さい。

米国の亀裂はますます深まります。

分裂を回避する方法は?
米国が一枚岩に結束する方法とは何か。

おそらく彼らは外敵を探しに行きはる(なぜか大阪弁w)。
強敵であればあるほど都合がよい(本命ロシア、次いで中国、大穴で日本!)。

そして危機を煽る。
時には勢い余って戦争へ。
これも何度も繰り返されてきたことですね。

産経さんが南北対立を掘り下げていますので、貼り付けておきます。

▼引用開始

ビッグ3救済法廃案 “南北対立”表面化
2008.12.13 23:33
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/081213/biz0812132335012-n1.htm

 【ワシントン=渡辺浩生】ビッグスリー(米自動車3大メーカー)救済をめぐって、日本車など外国車メーカーの生産拠点が集積する南部州と、ビッグスリーの拠点が集中する北方の中西部州との対立が表面化している。南部選出の共和党議員が救済法案反対を主導し、ビッグスリーに外国メーカー並みの賃下げを迫ったことも廃案のきっかけになるなど、“地域間対立”が救済の行方に大きな影を落としている。

 「破綻(はたん)企業の救済を納税者に頼ることはできない」。共和党のマコネル上院院内総務は11日の上院本会議で、下院可決の法案に反対を表明して審議の流れを変えた。地元ケンタッキー州は、トヨタ自動車の大規模な組立工場があり、約7000人を雇用している。

 同日、ビッグスリーに債務の大幅削減などを義務づける修正案を提出したコーカー上院議員の地元テネシー州には、日産自動車の北米本社と生産拠点があり、フォルクスワーゲンの工場も誘致が決まった。

 そして、140億ドルのつなぎ融資を「頭金にすぎない」と指摘し、連邦破産法11条適用申請を唱えた救済反対の急先鋒(せんぽう)、シェルビー上院議員の地元アラバマ州は、ホンダ、メルセデス・ベンツ、韓国の現代の自動車工場とトヨタ自動車のエンジン工場がある。

 これに対して、同じ共和党でも救済を支持してきたボイノヴィッチ上院議員の地元オハイオ州、ボンド議員の地元ミズーリ州はともに、ミシガン州に次ぐゼネラル・モーターズ(GM)などビッグスリーの生産拠点が集まる中西部州だ。救済の賛否は「党派だけではなく、地理的な分裂」(ボストン・グローブ紙)を引き起こしたと、この問題の難しさを指摘する。

 外国メーカーが南部州を生産拠点に選ぶのは「労働組合非加入で、低賃金の伝統」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)があるからだという。

 そして今回、南部の共和党議員たちが問題視したのが南北の賃金格差だ。労組との協約で退職者を含めた医療費や解雇者に対する失業期間中の賃金を負担してきた結果、ビッグスリーの平均人件費は外国メーカーより3割以上高い。

 11日の上院協議では、コーカー氏らが全米自動車労組(UAW)に対して「トヨタ並みの人件費引き下げ」を迫ったが、これが協議決裂の原因になったとされる。UAWのゲテルフィンガー委員長は「リンゴとオレンジをごちゃ混ぜにした」と批判。外国メーカーは南部の州から巨額の補助金を受けているとも指摘し、つなぎ融資の要求を正当化してみせた。

 一方、シェルビー上院議員は10日の会見で、救済反対に「地元の外国メーカーが影響しているのでは」と問われ、「私の州にGMやフォード・モーターの工場があっても、この救済には反対だ」と強調した。

 当の外国車メーカーは、ビッグスリー救済の行方を静観している。

▲引用終了

<画像>
the continental poverty divide(大陸貧困分水界)

The Topography of Poverty in the United States: A Spatial Analysis Using County-Level Data From the Community Health Status Indicators Project
http://www.cdc.gov/Pcd/issues/2007/oct/07_0091.htm

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http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/12/13/AR2008121302207.html?hpid=topnews
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/12/13/AR2008121302

コメント

_ とおる ― 2008/12/15 22:59

> 強敵であればあるほど都合がよい(本命ロシア、次いで中国、大穴で日本!)。

戦争を始める理由づけ(何かをしでかす)を強敵がしてくれると手っ取り早いのでしょうが、どういうネタがあるのでしょう?
パキスタン・アフガニスタン・インド・中国が争いを始めれば、米国は漁夫の利を得れるかも。
大穴の日本は、自動車産業をズタズタにしてくれた憎い相手になる可能性も。

_ Y-SONODA ― 2008/12/16 08:11

とおるさんへ

強敵の存在が米国を結束させるということですね。
米国は911で見事にまとまったでしょ。
米国人も単純だからまとまると情報操作しやすくなる。
戦争もしやすくなるということ。

とはいえ、ロシアも中国も役目をちゃんとわきまえているでしょうから、
戦争にはならない。冷戦ゲームで終わり。

空気が読めずに暴走する可能性があるのは日本。
ここで大穴が本命に躍り出る可能性があります。
なんといっても実績がありますからね。

自動車産業云々というレベルではなく、
米国は中国が脅威だと認識した時点で、まず忠犬を中国にぶつけます。
忠犬に大量の武器を売りつけてから、資源&領土などで日中の火種を作る。
米国は日中戦争再びという構図を作り出すのです。

忠犬の中には中国が大嫌いな人がいっぱいいる。
米国がリードを放した瞬間に、忠犬は中国に突進。

忠犬が狂犬になるとまた悪者になっちゃいますね。
歴史は繰り返します。

_ とおる ― 2008/12/16 09:12

園田様
> 米国は中国が脅威だと認識した時点で、まず忠犬を中国にぶつけます。
> 忠犬に大量の武器を売りつけてから、資源&領土などで日中の火種を作る。

分かり易い説明、ありがとうございます。

_ Y-SONODA ― 2008/12/17 09:21

とおるさんへ

この件はこれから何度も取り上げることになると思うので、
どうぞ、よろしくおねがいします。

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