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サーベラスの三つの頭が導く日米自動車連合2008/10/15 12:31

サーベラスの三つの頭が描く日米自動車連合


「ビッグ3」はゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、クライスラーの3大自動車メーカーの総称。
最近になって「世界はもとより米国でもトップ3じゃないよ」との声が高まり、
総称は「デトロイト3」へ格下げ。
3社がデトロイト市周辺に本社を置くからですね。

しかし、金融危機の深刻化でGMのデトロイト本社売却案が浮上。
「デトロイト3」もどうなることやら。

今夏、GMはフォードに合併を持ち掛けましたが、交渉は決裂。
そして、GMとクライスラーの合併構想が話題に。
一方でフォードは手元資金確保のためにマツダ株の売却を検討しているようです。

市場が米自動車業界再編を強引に迫っているように見える中、
環境技術面で立ち遅れた弱者連合はかえってマイナス。

遅かれ早かれ日本の自動車メーカーが米自動車再編の核になると思います。
トヨタがどのタイミングでどうやって乗り込むかに注目。
三菱UFJフィナンシャル・グループとは一味違うものになることを期待しています。
おそらくトヨタはすぐには動かないでしょう。

私が現在チェックしているのはサーベラス・キャピタル・マネジメント。
サーベラスは、クライスラー株の80・1%と、
GMの金融子会社GMAC株の51%を保有しています。

サーベラスはGMとクライスラーの合併構想にも登場。
サーベラスのクライスラー株とGMが保有するGMAC株(残り49%)の交換を提案。
しかし、GM取締役会はサーベラスが提案したGMAC株取得額が低すぎると評価。
そのために交渉中断。

いずれにせよ、サーベラスはクライスラーを売却する意向を固めたようです。
現在、サーベラスが日産自動車・仏ルノー連合に接近するとの観測浮上中。

それにしても、このサーベラスは謎だらけ。

サーベラスはギリシャ神話に出てくる地獄の番犬「ケルベロス」の英語読み。
頭が三つ、尻尾がヘビという怪物で、人間を地獄に導く抑制のない食欲の象徴。

三つの頭を象徴する3人がいます。
創業者のスティーブン・ファインバーグ(Steve Feinberg)。
ブッシュ政権の財務長官で、現サーベラス会長のジョン・スノー(John W. Snow)。
ブッシュパパ政権で副大統領を務めたダン・クエール(James Danforth "Dan" Quayle)。

クエールは国際投資部門のサーベラス・グローバル・インベストメンツの会長。
政界人脈を生かしてあおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)やエアカナダ買収に貢献。

サーベラスの傘下企業として国際興業と昭和地所の名前もあります。

この3人の中でとりわけ謎が多いのがファインバーグ。
マスコミの前にほとんど顔を出さず、クライスラー買収記者会見もスノーに任せたほど。
ファインバーグはドレクセル・バーナム・ランバート出身。
ジャンクボンドの帝王と呼ばれたマイケル・ミルケンの秘蔵っ子の一人ですね。
1992年にウィリアム・リクターらと共同で設立したのがサーベラス。

サーベラスは米国でもハゲタカファンドと揶揄されてきましたが、
最近は企業再建屋に方針転換。
ワシントンに顔が利く2人をトップにすることで、政財界の大物を取り込む。
そして、再建屋として取締役会に大物を送り込む手法をとっています。
ある種のエリート人材派遣業のようなもの。

現在もあおぞら銀行取締役会にクエールと並んでこのひとがいるのもそのため。
この人とはローレンス・B・リンゼイ(Lawrence B. Lindsey)のこと。
米国連邦準備制度理事会理事やブッシュ政権で経済政策担当補佐官を務めた人物。

おそらく、すでにこのサーベラスが日本政府に対して協力を呼びかけていることでしょう。
その内容とは三菱UFJ同様、
「グローバル・アライアンス戦略の展開を目指した日米自動車再編」かな。

その先に待っているのは地獄かもしれない(汗)


<不親切な関連サイト(笑)>

Cerberus Capital Management
http://www.cerberuscapital.com/