米メルトダウンから始まる恐怖の連鎖 ― 2008/09/16 19:30
昨日の「速報めも」を整理しておきます。
米連邦破産法11条の適用を申請したリーマン・ブラザーズ。
負債総額は6130億ドル(約63兆8千億円)。
これまでトップだったのは02年の米通信大手ワールドコム(1039億ドル)。
ワールドコムを軽く上回り、米国史上最大の企業破綻となりました。(画像参照)
リーマン・ショックが瞬く間に拡がり、世界同時株安へ。
東京株式市場でも年初来安値を更新し、約3年2カ月ぶりの安値水準。
9月15日、投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX指数、別名“恐怖指数”)も急上昇し、終値は31.70。
ベアー・スターンズが実質破綻した今年3月以来の高水準となっています。
この指数が30を超えてくると、株式相場は底入れし、反転に向かうことが多いのですが、今度ばかりはどうなることやら。
メリルリンチは身売りという形で先手を打ちましたが、米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)はモタモタしており、投資家の警戒感につながっています。
追い討ちをかけるように、米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン前議長が、「ほかにも大手金融機関が破たんに陥る可能性がある」と言っちゃった。
「恐怖指数」はしばらく高止まりするかもしれませんね。
それにしても気になるのはAIG。
米三大機関(スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズ、フィッチ・レーティングス)が、揃って格付けを引き下げました。正直、存続が危ぶまれる事態となっています。
AIGは日本でAIU保険、アメリカンホーム保険などを通じ損害保険事業を、アリコジャパン、AIGスター生命保険、AIGエジソン生命保険で生保事業を手掛け、富士火災海上保険にも出資しています。
テレビコマーシャルでジャンジャン流れるアリコジャパンにアメリカンホーム・ダイレクトといえばわかりやすいですね。
イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドやAIGオープン(ジャパン・オープン・テニス選手権)のスポンサーとしても知られています。
昨日、真っ先にお伝えしましたが、リーマンがニューヨーク連邦破産裁判所に提出した大口債権者リストには、あおぞら銀行、みずほコーポーレート銀行、新生銀行、中央三井信託銀行、日本生命保険などが名を連ねています。
これに加えAIGまでもが破綻すると一大事。
日本の奥様たちだってきっと大騒ぎするでしょう。
(今はまだ気付いていない人が多いような・・・?)
さすがに自民党総裁選に出馬している与謝野馨経済財政担当相も遊説欠席の意向を示したそうですが、これは当然。北朝鮮問題も含め、こんな時期に「何をやっとる自民党」と言わなきゃ。
この与謝野さん、米国の金融不安が「さらに手の付けられない深刻さを持つとは考えにくい」との認識を示したようですが、何を根拠にそのようなことが言えるのか、さっぱりわかりません。
さてさて。まさかと思いつつ我が家に確認したところ、
自動車保険はいつの間にやらアメリカンホーム・ダイレクト(笑)
何も知らない家族に事情を説明したところ、娘が一言。
「今のうちに事故しといたらぁ?」
いぁー、日本の女性はたくましいですなぁ。
パパは本気でこんなことを考えています。
「ガソリンも高いし、子供も大きくなって遊んでくれない。これを機会に、そろそろ車も手放そうかな~。それが地球温暖化防止にも、ちょいメタボにも、一番いいよねっ!」
こうして日本でも恐怖の連鎖が始まるのです。
<画像出所>
Chapter 11, Title 11, United States Code - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Chapter_11,_Title_11,_United_States_Code
<関連情報>
AIG経営難でアクセス殺到 アリコジャパン「支払い心配ない」
http://www.j-cast.com/2008/09/16027056.html
コメント
_ どい・としき ― 2008/09/16 23:41
_ Y-SONODA ― 2008/09/17 09:41
どいさんへ
私はまだ大恐慌とは思っていませんよ。
米国は日本の金融危機から学んだことが多い。
ひょっとしたら、日本は実験台にされたのかもしれませんね(汗)
私はまだ大恐慌とは思っていませんよ。
米国は日本の金融危機から学んだことが多い。
ひょっとしたら、日本は実験台にされたのかもしれませんね(汗)
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_ 自動車保険. - 2009/08/14 21:16
自動車保険に入る前に必要な知識をみにつけより自分にあった保険選びを行うために正しい知識でより良い判断が行えるよう自動車保険の比較や・・・
>この記事が「大恐慌以来」と書き、たぶん初めて「大恐慌」と
>いう言葉が記事上に現われた例だと思います。ブルームバ
>ーグの記者はみな、なんとかこの言葉を使わないで自体の
>悪さを表現しようとしていたが・・・。
リーマン破たん、メリルは身売り:ウォール街に大恐慌以来の地殻変動
2008-09-15 14:32:11.990 GMT
【記者:Christine Harper】
9月15日(ブルームバーグ):金融業界にとって1930年代の大恐慌以来で最大の地殻変動が起こった。ウォール街で注目を集めていた2社、リーマン・ブ ラザーズ・ホールディングスとメリルリンチが、姿を消すことになった。
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米リーマンの無担保債務の大口債権者10社、1570億ドル超を保有
2008-09-16 00:01:22.500 GMT
【記者:Jeff St.Onge】
9月15日(ブルームバーグ):15日に破産申請した米証券大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの無担保債務の大口債権者10社は、合計で1570億ドル(約16兆5200億円)余りの債権を保有している。このうち1550億ドルは債券保有者の債権。また、少なくとも邦銀7行が債権16億2000万ドルを抱えている。
リーマンがこの日ニューヨークの破産裁判所に提出した資料によれば、1社で最大の債権を保有しているのはあおぞら銀行で、リーマンへの融資債権4億6300万ドルを保有。みずほコーポレート銀行は3億8200万ドル、シティグループの香港子会社が概算で2億7500万ドルを、それぞれリーマンに融資している。
リーマンによると、これらの融資は無担保で弁済は有担保債権者の後になる。債券保有者の1550億ドルは被信託人としてシティバンクとバンク・オブ・ニューヨーク・メロンが管理している。
あおぞら銀とみずほコーポレート銀以外の邦銀でリーマンの債権を抱えているのは新生銀行(保有債権2億3100万ドル)と三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下銀(同1億8500万ドル)、三井住友フィナンシャルグループの銀行部門(同1億7700万ドル)、信金中央金庫(同9300万ドル)、中央三井信託銀行(同9300万ドル)。
<関連>9/15--アジアの投資家が米国を見限る決心をした日としています。
【コラム】米投資銀行の正体にアジア投資家が気付いた日-M・ルイス
2008-09-16 09:03:58.410 GMT
があります。
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また、「政府、経営者団体は火消しに躍起になっている」そうですね。
【記者:駅 義則】
9月16日(ブルームバーグ):日本経団連の御手洗冨士夫会長は16日午後、経団連会館で記者団に対し、米投資銀行リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破たんの影響などについて次のように語った
金融不安の先行き:
「昔の金融恐慌のようなことは起こらないと思う」「米金融市場が不安定だということは分かるが、米政府は日欧などの当局と緊密に連携しており、世界全体の金融混乱につながらないよう適切に対応を取るだろう」「ただ米経済の回復には基本的に住宅産業の立ち直りが必要。今年いっぱい今のような状況が続くかもしれない」
日本への影響:
「あると思うが、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題は 欧米に比べて日本は軽微。16日の日経平均株価の下落も5%程度。2003年あたりに7000円あたりだったことからすると、このこと自体で大きな影響があるとは思わない。政府は緊急経済対策を粛々(しゅくしゅく)とスピード感を持ってやってほしい」
円高が日本企業に与える影響:
「円高は短期的に輸出産業に影響があるが、一方で資源高であり食品価格 も上がっている。円高が一概に悪いとは言えない」製造業は「昔と違い、海外でもいっぱい製品を作っており、ストレートに影響するとは思わない」
米政府がリーマンに公的資金を注入せず破たんに至ったことについて:
「日米は国民の意識や経済構造が違う。住宅金融公社は公的な会社だったので公的管理は当然だったが、民間相手に同じことをすればモラルハザード (倫理の欠如)につながる。今回はやむを得なかったし、それはそれで良かったと思う」
リーマン破たんへの感想:
「ショックだった。長い歴史を持った名門企業であり、倒れるとは想像していなかった。山一証券を思い出す」
これは、too lateではないでしょうか?