Google
WWW を検索 「園田義明めも。」を検索

「羅津・羅先・北極」記事集2013/03/26 08:15

「羅津・羅先・北極」記事集


<「羅津・羅先・北極」記事集>

「賢人の目」毎日新聞専門編集委員 金子秀敏/北極海・日本海航路
2013/01/14 ガスエネルギー新聞

 お正月の新聞はシェールガスやシェールオイルの話題で持ちきりだった。本紙の読者は大手メディアの認識が遅れていると思われたことだろう。

 こと国際問題になると日本のメディアの感度は鈍い。日本のメディアの海外取材網が弱く、情報を欧米通信社電に頼っているからだ。

 日本のメディアに限った話ではない。ロシアのプーチン大統領がシェール革命に気付いたのもつい1~2年前だという。それまで国営ガス企業のガスプロムは、シェール革命などは米国の陰謀情報にすぎないという報告を上げていた。ガスプロムも欧米の大手メディア情報を信じていた。欧米メディアは石油メジャーの発信する情報を信じていたので、メジャーとは別筋のシェール革命の情報が欠落していた。しかし、情報機関出身のプーチン大統領は、ガスプロムの報告に疑問を持ち独自に調べさせたのだそうだ。

 プーチン大統領が熱心な北極海航路の話も、日本のメディアはあまり関心を持っていない。1月5日の『日経新聞』は「北極海航路 貨物5割増。昨年、中韓の輸出入で利用多く」という記事を載せた。

 北極海航路とは、ロシア北方の北極海沿岸を東西に横断し、アジアと欧州を結ぶ海運ルートだ。インド洋を渡る南回りにくらべて距離が大幅に縮まる。地球温暖化で夏場の海氷が減り各国が関心を高めている。

 記事によると、2012年には延べ34隻の貨物船が北極海を横断した。前年より8隻増え、貨物の量も増えた。ほとんどが中国向けと韓国向けだった。韓国向けは燃料エネルギー、中国からは欧州向けの肥料なども運んでいる。

 韓国の造船業界が氷海航行に対応するタンカー建造に着手したという話を聞いたのは昨年だった。中国人企業家がアイスランドで土地買収をして騒ぎになったのは2年前だ。これで、中国が北極海に強い戦略的関心を持っていることが明らかになった。

 日本はどうだろうか。昨年12月、ノルウェーから北九州までLNGを初めて運んでいるが、日本船ではなく、ロシアがチャーターしたギリシャ船だった。日本では北極海航路の現実性を信じる人は少ない。

 北極海航路が開けるということは、東アジアにおいては日本海が重要な国際シーレーンになるということだ。中国にとっては一大事だ。上海や青島から出た中国船は対馬海峡を北上し、日本海を通って宗谷海峡、ベーリング海峡を抜けて欧州へ向かう。日本海に面した北朝鮮の羅先港を中国が租借したのは、まさに北極海航路のためだろう。

 ロシアにとっては、北極海航路はシベリア開発の成否に直結する。そういう観点から北方四島問題を見直すとどうなるか。北極海航路のアジア側の入り口である宗谷海峡付近に、日露の領土紛争があるということだ。ロシア側に初めて日露の領土問題を解決したいという動機ができたはずだ。

 北極海航路に関心の薄い日本側も,早く気付いた方がいいのではないか。


北極航路進出“韓日中三国志”…韓国は今年試験運航(1)
2013/01/08 中央日報(中央SUNDAY)

昨年7月末。積載重量7万4000トンのフィンランド国籍のタンカー「ステナポセイドン」がジェット燃料7万トンを積んで全羅南道麗水港を出港した。ロシア・ムルマンスク港で石油・ガス会社「ノバテック」のガスコンデンセート(軽質原油の一種)を積み、北極航路で大山港に運んだ後だった。船は北極航路でフィンランドに到着した。中間寄着なく北極航路を航海した最初の船だった。9月にもノバテックのガスコンテナーを積んだマリカ号とパルバ号がそれぞれ仁川・大山(忠南)で荷下ろしした後、それぞれジェット燃料6万、7万トンを積んでフィンランドに向けて出発した。マリカ号は今年、北極航路を航海した最大の船だ。

この航海の意味は大きかった。国土海洋部のキム・ソンホ担当は「今は北極航路は貨物が少なく、船が荷下ろしした後、空の状態で戻らなければならないが、この航海で経済性を確保できるということが証明された」と述べた。

北極航路はスエズ運河を通過する南方航路に比べて運送距離を40%ほど減らせ、経済性があるが、往復ではなく片道運賃だけを受ける場合、経済性は大きく落ちる。ノバテックは昨年、韓国に7回、ガスコンデンセートを輸出し、うち3回はジェット燃料を積んで戻った。

モスクワの「北東航路利用・調整非営利組合」のウラジミール,・ミハイルロビッチ会長は「2011年にも北極航路を通じて韓ロ間を船が8回行き来したが、うち5回はロシアの輸出、3回は輸入だった」とし「中国も8回取引したが、韓国の例のような往復運送はなかった。韓国物流市場の潜在力が大きい」と述べた。

ロシアが主導した10回の航海のため、すでに北極航路は韓国に近い存在になっている。今年は韓国も初の試験運航で北極航路開拓に乗り出す。キム担当は「韓国政府は昨年、商業用試験運航をしようとしたが、景気が悪くて延期した。現在、製油会社を相手に国内船舶会社のアイスクラス級船舶を利用した試験運航について話し合っている。時期・品目はまだ未定」と説明した。しかし赤字に苦しむ海運会社はまだ北極航路に大きな関心を見せていない。

しかし造船業界は違う。世界ガス・石油埋蔵量の4分の1を占める北極圏の開発とともに、北極航路が特需をもたらすと期待している。砕氷船は1隻に1億ー2億ドルにのぼる。大宇造船海洋の高載浩(コ・ジェホ)社長は「海底油田の開発とともに北極が造船産業の新たな原動力になるだろう」とし「昨年下半期から深海底開発のためのドリルシップなど海洋構造物と砕氷船の受注に力を注いでいる」と述べた。

STX造船海洋子会社のSTX欧州は、極地運航用の船舶建造の筆頭企業だ。現代重工業も世界最大規模の19万トン級砕氷商船を開発した。サムスン重工業も世界で初めて極地運航用の両方向砕氷タンカーを建造し、極地用特殊船舶市場に進出した。

中国の北極航路進出は官主導で進行中だ。昨年7、8月、119人の研究者を乗せた砕氷船「雪龍」を投入して試験航海を終えた中国は、また13億元(約190億円)を投入し、大型砕氷船を追加で建造する。フィンランド企業と共同で中国で建造中のこの砕氷船は全長120メートル、幅22.3メートルで、来年就航する。

これに関し、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が昨年11月に発表した「中国の北極海野望」という総合報告書は、「北極航路が本格化すれば、中国は北朝鮮から賃貸した羅津港を北極航路のハブとする」と予想した。また「中国の学者は北極航路が豆満江流域に大きな利益をもたらすと期待している」と評価した。

中国は「長春ー吉林-図門」をつなぐ「長吉図」先導区発展事業と琿春辺境経済合作区プロジェクトを進行しているが、羅津はこの地域の対外出口だ。 (中央SUNDAY304号)


中国、商業利用前倒し、今夏にも、海運大手が準備、北朝鮮の港、活用構想も。
2013/01/05 日本経済新聞 朝刊 6ページ

 【北京=森安健】中国は今夏から北極海を航路として商業利用する方向で準備を始めた。商業利用は早くても数年先とみられていたが、予想以上に夏場の海氷が縮小していることを踏まえ前倒しする。日本海に面した北朝鮮の港を北極海への玄関口とする構想も浮上している。

 中国は昨年、指導部が北極圏諸国を訪問し関係を強化。国家海洋局の砕氷船「雪竜」は昨年7~9月にロシア沿岸の「北東航路」を初めて横断し、夏場の海氷の状況を調査。さらに外国の商船会社の貨物船を利用した試験運航もしてきた。

 こうした動きを受け、国有の海運最大手、中国遠洋運輸集団(コスコ・グループ)が昨年秋から本格的な北極海利用に関する調査に着手した。

 今春にはアイスランドのシグルザルドッティル首相が訪中を予定している。在北京の同国大使館幹部は「中国による北極海商業利用が主要議題になる」と語る。

 北極問題に詳しい欧州のシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の最新報告書によると、中国の識者らは北朝鮮北部の羅津港を将来的に北極方面への積み出し港とすることを提案し始めた。羅津は中国国境から近く、日本海に自前の港を持たない中国は以前から注目。既に中国と結ぶ道路の整備などに乗り出している。

【図・写真】中国の砕氷船「雪竜」は昨年、北極海を通ってアイスランドまで初往復した(アークティックポータル提供)


★ニュースフラッシュ★ ■「中国、北極に野心」
2012/11/28 岩手日報朝刊 5ページ

 【ロンドン共同】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は27日、北極圏のエネルギーや鉱物資源をめぐり、中国があえて控えめな姿勢を取って虎視眈々(たんたん)と権益の獲得を狙っていると分析した報告書を発表した。

 報告書は「中国の北極での野心」とのタイトルで、中国が北極圏に接するスウェーデンなどと外交関係を強めているほか、中国企業がアイスランドなどで開発事業に乗り出していることを指摘。

 氷の減少で本格的な活用が見込まれる北極圏航路へのアクセス確保も求めており、中国の海運会社がリース契約を結んでいる北朝鮮・羅先の港が北極圏航海の拠点になるとの観測も紹介した。


中国軍艦寄港を想定の可能性 金田秀昭氏
2011/01/16 05:35 日本経済新聞電子版ニュース

 金田秀昭・岡崎研究所理事(安全保障・元海将) 中国は自国艦船の利用をも念頭に、インド洋に面した各国で港湾建設など「真珠の首飾り」と呼ばれる海洋戦略を進めている。今回の羅先の拠点化もその延長線と見るべきだろう。マラッカ海峡に依存するリスクを少しでも分散するために、欧州から北極海を経てベーリング海を通り日本海へ抜けるルートを開拓しようとしている。

 北朝鮮で石油などの資源や物資を荷揚げし、中国へ運搬するためにも、羅先は将来、要所の一つになり得る。羅津港は伝えられる港湾の規模などからみて、単なる商業港のみならず、軍艦の寄港も想定されている可能性もある。

 日本海は今後、安全保障を含めた国際的な海上交通路の要衝としての意味あいが高まるだろう。日本政府は、中国の動きを注意深く観察するとともに、その意図が何であるかを絶えず確認していく必要がある。


北朝鮮特区に軍駐留か、中国、日本海に拠点、北東アジア安保に影響も。
2011/01/16 日本経済新聞 朝刊 5ページ

港湾、商業利用始める

 【北京=佐藤賢】中国が北朝鮮を介して日本海に進出する動きを本格化し始めた。韓国紙、朝鮮日報によると、中国軍は北朝鮮の経済特区で日本海に面する羅先(ラソン)市に進駐した。中国が同市にある港湾の商業利用を開始したことも明らかになった。日本海に出口を得た中国の存在感が高まるのは確実で、北東アジアの安全保障面にも影響を与えそうだ。

 中国軍の駐留は中国が投資した港湾施設の警備や在留中国人の保護が目的。ただ、朝鮮半島の有事の際には、在留中国人の保護を目的に機動的に介入する先遣隊の役割を果たす可能性がある。

 部隊の規模は不明。これに関連して消息筋の話として、昨年12月15日ごろ、約50台の中国製の装甲車と戦車が中国側から羅先に近い北朝鮮の咸鏡北道会寧に入ったのが目撃されたと伝えた。

 中国軍の北朝鮮への駐留は1994年12月に板門店の軍事停戦委員会から撤退して以来17年ぶりという。青瓦台(韓国大統領府)関係者などの話として伝えたものだが、韓国政府は公式にはコメントしていない。

 北朝鮮は昨年1月に羅先市を「特別市」に指定。進出を決めた中国は物流拠点と位置付け、同市にある羅津港を10年間使用する権利を獲得した。将来的に同港を海軍基地として利用したいとの思惑もちらつく。

 一方、中国・吉林省琿春市の当局者は日本経済新聞に対し、羅津港から中国産の石炭を出荷したことを明らかにした。昨年12月に約2万トンが陸路で北朝鮮入りし、羅津港で荷積みされた貨物船が今月14日に上海に到着したという。

 羅津港の利用は初めてで、日本海を経由した輸送ルートが始動する。今回は試運転と位置付けており、輸送体制を点検した後、本格運用する。

 中国東北部の吉林省や黒竜江省は海に面しておらず、食料などの積み出し港は遼寧省の大連を利用してきた。琿春市と羅先市は昨年、中朝国境を流れる豆満江(中国名・図們江)にかかる橋を改修し、羅津港へ通じる道路整備も進めている。当面は中国国内向け輸送を中心とする見通しだが、日本や韓国向けへの輸送も視野に入れ、出荷能力の拡大を狙う。

識者コメント

中国軍艦寄港
想定の可能性

 金田秀昭・岡崎研究所理事(安全保障・元海将) 中国は自国艦船の利用をも念頭に、インド洋に面した各国で港湾建設など「真珠の首飾り」と呼ばれる海洋戦略を進めている。今回の羅先の拠点化もその延長線と見るべきだろう。マラッカ海峡に依存するリスクを少しでも分散するために、欧州から北極海を経てベーリング海を通り日本海へ抜けるルートを開拓しようとしている。

 北朝鮮で石油などの資源や物資を荷揚げし、中国へ運搬するためにも、羅先は将来、要所の一つになり得る。羅津港は伝えられる港湾の規模などからみて、単なる商業港のみならず、軍艦の寄港も想定されている可能性もある。

 日本海は今後、安全保障を含めた国際的な海上交通路の要衝としての意味あいが高まるだろう。日本政府は、中国の動きを注意深く観察するとともに、その意図が何であるかを絶えず確認していく必要がある。

 ▼羅津港 日本海に面した北朝鮮羅先市の港。3つの埠頭がある。第1埠頭は中国の民間企業、大連創力集団が昨年、10年間の使用権を獲得し、2600万元(約3億4000万円)を投じてインフラ整備を進めてきた。中国吉林省琿春市までの距離は約50キロ。鉄道でロシアとの国境を越え、シベリア鉄道を利用して欧州に物資を輸送するルートもある。戦前、大陸への輸送拠点として注目され関東軍参謀の石原莞爾が開発を唱えた。

【図・写真】北朝鮮も羅先市を物流拠点として重要視(09年に訪問した金総書記、朝鮮通信提供)=ロイター


CHINA’S ARCTIC ASPIRATIONS
linda jakobson and jingchao peng

Chinese scholars presumably view Rajin as a potential Arctic hub.

http://books.sipri.org/files/PP/SIPRIPP34.pdf



「北極海航路」睨んだ中露の羅津港争奪戦激化
「新たなチョークポント=北方領土周辺」確保に動くロシア太平洋艦隊
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/09/10/6096979

「北極海航路」発展へプーチン首相が大号令
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/09/24/6111454

「オフショア・コントロール」 リンク集2013/03/26 07:07

「オフショア・コントロール」 リンク集


<「オフショア・コントロール」 リンク集>

Offshore Control: A Proposed Strategy
T.X. Hammes
https://www.infinityjournal.com/article/53/Offshore_Control_A_Proposed_Strategy/

T.X. Hammes on "Asia and the Future of American Strategy" at the Center for National Policy
Jun 15, 2012
http://www.ndu.edu/inss/news.cfm?action=view&id=158
http://cnponline.org/ht/display/ContentDetails/i/38065
http://cnponline.org/ht/a/GetDocumentAction/i/38194

Offshore Control: A Proposed Strategy for an Unlikely Conflict - a New Strategic Forum
by T.X. Hammes
Jun 28, 2012
http://www.ndu.edu/inss/news.cfm?action=view&id=162

Offshore Control: A Proposed Strategy for an Unlikely Conflict
by T.X. Hammes
http://www.ndu.edu/inss/docuploaded/SF%20278%20Hammes.pdf

Strategy for an Unthinkable Conflict
By T.X. Hammes
July 27, 2012
http://thediplomat.com/flashpoints-blog/2012/07/27/military-strategy-for-an-unthinkable-conflict/

Offshore Control is the Answer
By Colonel T.X. Hammes, U.S. Marine Corps (Retired)
http://www.usni.org/magazines/proceedings/2012-12/offshore-control-answer


「オフショア・コントロール」という新しい戦略
http://geopoli.exblog.jp/18278524/

「オフショア・コントロール」という新しい戦略:その2
http://geopoli.exblog.jp/18284798/


オフショア・コントロールその1
http://alfred-geopolitik.blogspot.jp/2012/04/blog-post_13.html

オフショア・コントロールその2
http://alfred-geopolitik.blogspot.jp/2012/04/blog-post_15.html


アメリカの「オフショア・コントロール」戦略
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50688844.html


オフショア・コントロールを学ぶ
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13


日経テレコン21 新聞記事検索結果(全期間・すべての媒体を選択)
「オフショアコントロール」・・・0件です
「オフショア・コントロール」・・・0件です

日経:尖閣、日米で防衛計画策定 武力行使を視野に 衝突回避へ対中抑止力強化2013/03/20 07:25

日経:尖閣、日米で防衛計画策定 武力行使を視野に 衝突回避へ対中抑止力強化


<関連記事>

尖閣、日米で防衛計画策定 衝突回避へ対中抑止 (画像引用)
2013/3/20 2:00
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFF19003_Z10C13A3MM8000/?dg=1

 【ワシントン=吉野直也】日米両政府が沖縄県・尖閣諸島を巡る有事を念頭に置いた自衛隊と米軍の共同作戦計画を夏までに策定することが明らかになった。中国海軍の艦船が日本の領海で武力行使をした場合など日米の具体的な行動を定める。日本の領土の特定地域への武力攻撃を想定した計画づくりは初めて。日米安全保障条約に基づく共同対処の姿勢を鮮明にし、中国に挑発行為をエスカレートさせないための抑止力を狙う。

 今年1月に中国海軍艦船が海上自衛隊護衛艦へ火器管制レーダーを照射したことが発覚したのを機に、日米双方で日中の偶発的衝突への懸念が増幅。岩崎茂統合幕僚長とロックリア米太平洋軍司令官が21、22両日にハワイで協議を始める。太平洋軍は中国と周辺国の緊張が続く南シナ海や台湾海峡も含むアジア・太平洋地域を管轄し「尖閣有事」の際は対応する主力部隊となる。

 共同作戦計画は尖閣有事で陸海空の各自衛隊と米軍がとる作戦行動を具体的に示す実施要領。現状を放置すると日本への武力攻撃の恐れがあるという場合に備えた「日米相互協力計画」も同時にまとめる。

 共同作戦計画は日米安全保障条約に基づき、日本の自衛隊法や有事法制、周辺事態法などを根拠につくる。これまでにも朝鮮半島や台湾海峡の有事を想定したものがつくられたが、いずれも日本「周辺有事」に対応するものだった。

 今回の計画は日本領土への攻撃に対抗するものでこれまでと明確に異なる。周辺有事での自衛隊は米軍の後方地域支援などが中心だが、今回は武力行使を視野に入れる。

 米政府は尖閣を日米安保条約第5条の「米国の防衛義務」の対象と位置付けており、米軍と自衛隊は攻撃に共同で対処することになる。米国防関係者は「尖閣を中国に占拠された際、どう奪還するかのシナリオも話し合う」とも指摘する。尖閣有事の共同作戦計画は日米の行動に新たな段階を提起するものになる。

 計画には(1)自衛隊による米軍への補給・輸送活動の細目(2)米軍が緊急使用する空港や港湾、道路の選定(3)負傷者を搬送し、治療する病院の指定――なども盛り込む。

 背景には「対応を誤れば武力衝突につながる恐れがある」(ロックリア司令官)との現状認識がある。1月、クリントン国務長官(当時)は「日本の施政権を害そうとするいかなる一方的行為にも反対する」と中国に警告した直後にレーダー照射問題が発覚。その後も不測の事態への懸念は拭えておらず、安倍晋三首相は今月17日の防衛大卒業式で「わが国の領土、領海、領空に挑発が続いている」と訴えた。


挑発続ける中国けん制 外交努力も継続
2013/3/20 1:23
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDE19001_Z10C13A3PP8000/

 日米両政府は「尖閣有事」での共同作戦計画をつくることで中国の挑発を抑えることをねらう。抑止を強めてけん制する一方で、関係改善を探る外交努力が東アジアの安全保障環境を安定させるカギになる。

 米政府は「尖閣は日米安全保障条約に基づく米国による防衛義務の適用対象だ」と繰り返してきたが、日本が尖閣諸島を国有化して以降、中国の挑発行為はエスカレートするばかり。日中双方に自制を促す米側の「建前」が中国に誤解を与え、かえって挑発行為を助長したとの反省もある。

 日米は挑発に断固たる態度を示すことが結果的に衝突回避に結びつくと読む。共同作戦計画への反発も織り込み済み。中国が反発しつつも挑発行為が徐々に収まれば、共同作戦計画づくりはひとまず「効果はあった」と評価できる。

 日本政府は5月にも開く日中韓首脳会談などの機会を利用する形で、中国との首脳外交の糸口を探る。日中関係を解きほぐすには硬軟両面の対応が欠かせない。(ワシントン=吉野直也)


日米共同作戦計画とは
2013/3/20 1:22
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM19066_Z10C13A3MM8000/

 ▼日米共同作戦計画 日米両政府が有事を想定し、米軍と自衛隊の兵力の運用や緊急利用する民間施設を細かく規定した計画。作戦任務や補給・輸送、指揮統制を巡る協力方法を網羅する。内容は最高度の防衛機密に属する。計画はいったんつくった後も情勢変化に合わせ見直すことが多い。2006年に北朝鮮が初の核実験を強行した後、朝鮮半島有事の共同作戦計画は全面刷新した。

中国睨んだ地政学ゲームとして眺めるTPP2013/03/16 08:34

中国睨んだ地政学ゲームとして眺めるTPP


それぞれの国益が入り乱れ、実現不可能と予測しているTPP。
しかも、主導はリストラ候補のUSTR。これではまとまるものもまとまらない。

それでも中国に睨んだ地政学ゲームと割り切れば、プレーヤーであることが大事。
従って、交渉参加の価値はある。

安倍首相は露骨に中国を意識させる作戦を披露。
それは「自由、民主主義、基本的人権、法の支配」と「安全保障」言及に表れている。

「TPP交渉参加を表明できたのは、中国のおかげ」とも言えるだろう。
ならば、中国への感謝の気持ちを忘れずに♪


<関連記事>

平成25年3月15日
安倍内閣総理大臣記者会見 (画像引用)
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0315kaiken.html

【安倍総理冒頭発言】

 本日、TPP/環太平洋パートナーシップ協定に向けた交渉に参加する決断をいたしました。その旨、交渉参加国に通知をいたします。

 国論を二分するこの問題について、私自身、数多くの様々な御意見を承ってまいりました。そうした御意見を十分に吟味した上で、本日の決断に至りました。なぜ私が参加するという判断をしたのか、そのことを国民の皆様に御説明をいたします。

 今、地球表面の3分の1を占め、世界最大の海である太平洋がTPPにより、一つの巨大な経済圏の内海になろうとしています。TPP交渉には、太平洋を取り囲む11か国が参加をしています。TPPが目指すものは、太平洋を自由に、モノやサービス、投資などが行き交う海とすることです。世界経済の約3分の1を占める大きな経済圏が生まれつつあります。

 いまだ占領下にあった昭和24年。焼け野原を前に、戦後最初の通商白書はこう訴えました。「通商の振興なくしては、経済の自立は望み得べくもない」。その決意の下に、我が国は自由貿易体制の下で、繁栄をつかむ道を選択したのであります。1955年、アジアの中でいち早く、世界の自由貿易を推進するGATTに加入しました。輸出を拡大し、日本経済は20年間で20倍もの驚くべき成長を遂げました。1968年には、アメリカに次ぐ、世界第2位の経済大国となりました。

 そして今、日本は大きな壁にぶつかっています。少子高齢化。長引くデフレ。我が国もいつしか内向き志向が強まってしまったのではないでしょうか。その間に、世界の国々は、海外の成長を取り込むべく、開放経済へとダイナミックに舵を切っています。アメリカと欧州は、お互いの経済連携協定の交渉に向けて動き出しました。韓国もアメリカやEUと自由貿易協定を結ぶなど、アジアの新興国も次々と開放経済へと転換をしています。日本だけが内向きになってしまったら、成長の可能性もありません。企業もそんな日本に投資することはないでしょう。優秀な人材も集まりません。

 TPPはアジア・太平洋の「未来の繁栄」を約束する枠組みです。

 関税撤廃した場合の経済効果については、今後、省庁ばらばらではなく、政府一体で取り組んでいくための一つの土台として試算を行いました。全ての関税をゼロとした前提を置いた場合でも、我が国経済には、全体としてプラスの効果が見込まれています。

 この試算では、農林水産物の生産は減少することを見込んでいます。しかしこれは、関税は全て即時撤廃し、国内対策は前提としないという極めて単純化された仮定での計算によるものです。実際には、今後の交渉によって我が国のセンシティブ品目への特別な配慮など、あらゆる努力により、悪影響を最小限にとどめることは当然のことです。

 今回の試算に含まれなかったプラスの効果も想定されます。世界経済の3分の1を占める経済圏と連結することによる投資の活性化などの効果も、更に吟味をしていく必要があります。

 詳細については、TPPに関する総合調整を担当させることにした甘利大臣から後ほど説明させます。

 TPPの意義は、我が国への経済効果だけにとどまりません。日本が同盟国である米国とともに、新しい経済圏をつくります。そして、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々が加わります。こうした国々と共に、アジア太平洋地域における新たなルールをつくり上げていくことは、日本の国益となるだけではなくて、必ずや世界に繁栄をもたらすものと確信をしております。

 さらに、共通の経済秩序の下に、こうした国々と経済的な相互依存関係を深めていくことは、我が国の安全保障にとっても、また、アジア・太平洋地域の安定にも大きく寄与することは間違いありません。

 日本と米国という二つの経済大国が参画してつくられる新たな経済秩序は、単にTPPの中だけのルールにはとどまらないでしょう。その先にある東アジア地域包括的経済連携/RCEPや、もっと大きな構想であるアジア太平洋自由貿易圏/FTAAPにおいて、ルールづくりのたたき台となるはずです。

 今がラストチャンスです。この機会を逃すということは、すなわち、日本が世界のルールづくりから取り残されることにほかなりません。「TPPがアジア・太平洋の世紀の幕開けとなった」。後世の歴史家はそう評価するに違いありません。アジア太平洋の世紀。その中心に日本は存在しなければなりません。TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます。

 残念ながら、TPP交渉は既に開始から2年が経過しています。既に合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは、厳然たる事実です。残されている時間は決して長くありません。だからこそ、1日も早く交渉に参加しなければならないと私は考えました。

 日本は世界第3位の経済大国です。一旦交渉に参加すれば必ず重要なプレイヤーとして、新たなルールづくりをリードしていくことができると私は確信をしております。

 一方で、TPPに様々な懸念を抱く方々がいらっしゃるのは当然です。だからこそ先の衆議院選挙で、私たち自由民主党は、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉参加に反対する」と明確にしました。そのほかにも国民皆保険制度を守るなど五つの判断基準を掲げています。私たちは国民との約束は必ず守ります。そのため、先般オバマ大統領と直接会談し、TPPは聖域なき関税撤廃を前提としないことを確認いたしました。そのほかの五つの判断基準についても交渉の中でしっかり守っていく決意です。

 交渉力を駆使し、我が国として守るべきものは守り、攻めるものは攻めていきます。国益にかなう最善の道を追求してまいります。

 最も大切な国益とは何か。日本には世界に誇るべき国柄があります。息を飲むほど美しい田園風景。日本には、朝早く起きて、汗を流して田畑を耕し、水を分かち合いながら五穀豊穣を祈る伝統があります。自助自立を基本としながら、不幸にして誰かが病に倒れれば村の人たちがみんなで助け合う農村文化。その中から生まれた世界に誇る国民皆保険制度を基礎とした社会保障制度。これらの国柄を私は断固として守ります。

 基幹的農業従事者の平均年齢は現在66歳です。20年間で10歳ほど上がりました。今の農業の姿は若い人たちの心を残念ながら惹き付けているとは言えません。耕作放棄地はこの20年間で約2倍に増えました。今や埼玉県全体とほぼ同じ規模です。このまま放置すれば、農村を守り、美しいふるさとを守ることはできません。これらはTPPに参加していない今でも既に目の前で起きている現実です。若者たちが将来に夢を持てるような強くて豊かな農業、農村を取り戻さなければなりません。

 日本には四季の移ろいの中できめ細やかに育てられた農産物があります。豊かになりつつある世界において、おいしくて安全な日本の農産物の人気が高まることは間違いありません。

 大分県特産の甘い日田梨は、台湾に向けて現地産の5倍という高い値段にもかかわらず、輸出されています。北海道では雪国の特徴を活かしたお米で、輸出を5年間で8倍に増やした例もあります。攻めの農業政策により農林水産業の競争力を高め、輸出拡大を進めることで成長産業にしてまいります。そのためにもTPPはピンチではなく、むしろ大きなチャンスであります。

 その一方で、中山間地などの条件不利地域に対する施策を、更に充実させることも当然のことです。東日本大震災からの復興への配慮も欠かせません。

 農家の皆さん、TPPに参加すると日本の農業は崩壊してしまうのではないか、そういう切実な不安の声を、これまで数多く伺ってきました。私は、皆さんの不安や懸念をしっかり心に刻んで交渉に臨んでまいります。あらゆる努力によって、日本の「農」を守り、「食」を守ることをここにお約束をします。

 関税自主権を失ってしまうのではないかという指摘もあります。しかし、TPPは全ての参加国が交渉結果に基づいて関税を削減するものであって、日本だけが一方的に関税を削減するものではありません。そのほかにも様々な懸念の声を耳にします。交渉を通じ、こうした御意見にもしっかり対応していきます。そのことを御理解いただくためにも、国民の皆様には、今後状況の進展に応じて、丁寧に情報提供していくことをお約束させていただきます。

 その上で、私たちが本当に恐れるべきは、過度の恐れをもって何もしないことではないでしょうか。前進することをためらう気持ち、それ自身です。私たちの次の世代、そのまた次の世代に、将来に希望を持てる「強い日本」を残していくために、共に前に進もうではありませんか。

 本日、私が決断したのは交渉への参加に過ぎません。まさに入口に立ったに過ぎないのであります。国益をかけた交渉はこれからです。私はお約束をします。日本の主権は断固として守り、交渉を通じて国益を踏まえて、最善の道を実現します。

 私からは、以上であります。



2013年2月27日(水)
きょうのプラス
国内問題に追われるアメリカ 日本にも影響が
http://www.nhk.or.jp/bizplus/history/2013/02/detail20130227.html

リスク分析専門家 イアン・ブレマー氏「中国の脅威がなければ日本はTPPの交渉参加に向けて、ここまで素早く動かなかっただろう。中国の安全保障上の脅威を踏まえれば、アメリカが主導するTPP交渉への参加こそが日本にとってリスクヘッジになるはずだ。一定の産業が打撃を受けるという意味で経済の観点からは難しい面もあるだろうが、日本が日米同盟を重視してTPP交渉への参加を決めれば、それは安全保障の観点からは理にかなっている。」 
 

金言:中国あってのTPP=西川恵
毎日新聞 2013年03月01日 東京朝刊
http://mainichi.jp/opinion/news/20130301ddm003070185000c.html
 
<kin−gon>
 
 安倍政権が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加に事実上こぎつけた。これについて「『Gゼロ』後の世界」(日本経済新聞出版社)の著者で米国の戦略研究家イアン・ブレマー氏が「中国がいたからこそ日本はTPPに参加できた」と先日、NHKテレビのインタビューで語っていた。私もそう思う。
 
 TPPが純粋に経済問題や国内問題としてしか認識されていなかったら交渉参加はもっと難しかっただろう。TPPは力の威圧を隠さなくなった中国に対するけん制とともに、アジアだけでなく太平洋地域にも日本の選択肢を広げておくという戦略的な安全保障の観点で認識されていたからこそ、事前の世論調査でも加盟賛成が反対を大きく上回っていたのではないか。この点で中国は交渉参加を後押しした陰の立役者である。
 
 いま日本人の安全保障観は急速に変わりつつある。もう少し正確に言うと皮膚感覚で安全保障とは何かを学びつつある。その教材となっているのが尖閣諸島だ。
 
 これまで日本人の多くは(私もその一人だが)、国土というものは「ここは日本の領土だ」と言っておれば保全されると考えていた。日本国憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」との文言に通じるこの理想主義的な考え方は、戦後長らく日本人の対外観を支配してきた。
 
 しかし近年の尖閣諸島をめぐる中国との確執は、一片の宣言で領土が保全されるほど甘くはないことを見せつけた。海上保安庁の巡視船は緊張のない平和時においてもローテーションを組んで離島海域を巡視し、不審船や異常をチェックしてきた。尖閣諸島問題で中国の漁業監視船の領海侵犯が常態化すれば、島への上陸や実効占拠を防ぐため、時に身をていした監視活動で領土を守っている。
 
 戦争の惨禍を経験した反動として日本社会は平和主義への志向が強いが、物理的な力を行使して領土を守ってきた現実が厳然としてある。平和時の巡視船の活動はニュースにもならなかったが、尖閣諸島問題は領土を守ることがどういうことかを具体的に世論に知らしめた。
 
 戦略的な安全保障観に立った考え方に少なからず日本人はアレルギーがあった。冷徹な現実政治(リアルポリティーク)を想起させるからだろうが、日本をとり巻く環境の変化はよりシビアな視点で地域や世界を見つめ直す必要性を我々に迫っている。この点においてTPP交渉参加は大きな流れに沿った選択だと私は思う。(専門編集委員)

TPPという名の地政学ゲームに嵐を呼ぶプレーヤーが参加意向2013/03/11 07:56

TPPという名の地政学ゲームに嵐を呼ぶプレーヤーが参加意向


<関連記事>

台湾 米にTPP参加の意向伝える (画像引用)
3月11日 0時19分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130311/k10013099771000.html

アメリカと台湾の次官級の通商協議が、5年8か月ぶりに再開し、台湾側は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に将来的に参加したいとの意向を伝え、中国への経済的な依存が高まるなか、アメリカとの関係強化を図りたいという姿勢を示しました。

アメリカと台湾の次官級の通商協議は、台湾へのアメリカ産牛肉の輸入規制を巡る対立から、中断されていましたが、去年7月に、台湾が規制を緩和したことを受けて、10日、5年8か月ぶりに再開されました。

台北で開かれた協議には、アメリカからは、通商代表部のマランティス次席代表が、台湾からは、経済部の卓士昭常務次長が出席しました。

協議のあとの記者会見で、台湾側は、アメリカが主導するTPP=環太平洋パートナーシップ協定に、できるだけ早い時期に参加したいとの意向を伝えたことを明らかにしました。

台湾の馬英九政権は、2020年までのTPPへの参加を目指していて、今後、参加の条件を満たせるよう準備を急ぎたいとしています。

馬英九政権は、これまで、中国との経済的な結びつきを強めてきましたが、台湾経済の中国への依存が過度に高まることへの懸念もでています。

このため、TPPへの参加やアメリカとのFTA=自由貿易協定の締結を目指すことで、アメリカとの経済的な関係強化を図りたい考えです。


米台が貿易・投資会議を再開=台湾側はTPP参加支持を要請
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013031000212

 【台北時事】台湾と米国は10日、経済関係強化を目指した貿易・投資会議を2007年以来、5年8カ月ぶりに台北で再開した。台湾側はこの中で、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加への支持を要請したほか、自由貿易協定(FTA)の締結を提案した。これに対し米側は、台湾にはなお貿易障壁が多いなどとして、時期尚早との見方を示した。

 同日の会議には、米通商代表部(USTR)のマランティス次席代表が米側代表として出席。台湾側は経済部(経済省)や外交部(外務省)、農業委員会(農業省)などの関係者が会議に臨み、情報通信技術(ICT)に関連するサービス分野の貿易促進に向けた通商原則などを取りまとめた。(2013/03/10-21:20)

中国人民解放軍総参謀部第三部第二局(「61398部隊」)2013/02/21 07:20

中国人民解放軍総参謀部第三部第二局(「61398部隊」)


<関連記事>

「大規模サイバー攻撃は中国人民解放軍61398部隊が関与」、米セキュリティ会社が報告書公開
2013/02/20 (画像引用)
鈴木 英子=ニューズフロント
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130220/457341/?ST=security

セキュリティ会社の米Mandiantは現地時間2013年2月19日、米国企業および組織を中心に狙った数年間にわたるサイバー攻撃に中国人民解放軍が関与しているとする詳細な報告書「APT1:Exposing One of China's Cyber Espionage Units」を発表した(写真1)。

 報告書では、高度で執拗な攻撃(APT攻撃)を仕掛けてサイバースパイ活動を展開している犯行グループを「APT1」と呼び、調査で得た証拠から、APT1は中国人民解放軍総参謀部第3部第2局(第61398部隊)と関連性があると結論づけている。

 MandiantはAPT1の攻撃を追跡して、中国・上海の4つのネットワークを辿り、そのうち2つのネットワークが展開されているPudong New Area(浦東新区)を特定した。同地区は第61398部隊が一部拠点を置いている。

 Mandiantによると、APT1は2006年以降、世界のさまざまな業界にわたる141以上の企業や組織から数百テラバイトにおよぶ機密データを盗んでいた。そのうち115件は米国で、日本も1件含まれている。サイバー攻撃では40種類以上のマルウエアファミリーが使用された。

 報告書全文(PDF文書)はMandiantのWebサイトから入手可能。APT1の実際の攻撃セッションを解説したYouTubeビデオも公開している(写真2)。Mandiantは対策強化に役立ててもらいたいとして、APT1に関する多数のドメイン名、MD5値、X.509証明書なども公開した。

 米国では先月、米New York Timesが過去4カ月にわたって中国のハッカーから執拗な攻撃を受けているとする記事を発表し、続いて米Wall Street Journalも同様の攻撃を受けたと報じている(関連記事:NYTに続きWSJも、「中国ハッカーからサイバー攻撃を受けた」と報道)。


米国企業へのサイバー攻撃、「背後に中国軍の影」- 米セキュリティ企業が報告
2013.02.20
http://wirelesswire.jp/Watching_World/201302201231.html

マンディアント(Mandiant)という米国のセキュリティ関連企業が現地時間18日、中国軍との関係が取り沙汰されるハッカーグループについてまとめた調査レポートや、ハッキングの手口を再現した動画などを公開した。

[APT1: Exposing One of China's Cyber Espionage Units]
http://www.youtube.com/watch?v=6p7FqSav6Ho&feature=youtu.be
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=6p7FqSav6Ho

「APT1:Exposing One of China's Cyber Espionage Units」というこのレポート(PDF)は、マンディアントが2006年から調査を進めてきたAdvanced Persistent Threat 1(APT1)と呼ぶハッカーグループに関するもの。このグループは、2006年から7年間にわたってあわせて141社からデータを盗みだしており、このうち115社が米国企業だったという。そのほか同レポート中(22ページ図)には、日本国内の企業も1社が被害にあったとある。被害にあった企業名は明かされていないが、攻撃を受けた企業はITから携帯通信、宇宙、エネルギーまで多岐にわたるという。

マンディアントは、New York Times(NYT)が先に公表していた同社コンピュータ・ネットワークへの攻撃に関する調査を請け負った企業。ただしNYT記事によると、マンディアントはNYTへの攻撃については、今回のレポートで中国軍との関係が取り沙汰されているAPT1(または「Comment Crew」「Shanghai Group」)とは別のグループの仕業と結論づけているという。

このマンディアントは、このAPT1と中国人民解放軍総参謀部第三部の第二局(別名「61398部隊」)との関係を示唆する手がかりをつかんだとNYTは記している。具体的には、攻撃の発信源となったIPアドレスなどから、APT1の所在地が上海の浦東地区にある「61398部隊」の拠点となるビルのごく近くにあることがわかったなどとし、同社代表者は「われわれが追跡した攻撃の90%以上がこのエリアから発信されている」とコメントしている。

これに対し、米国時間19日には中国政府外交部の広報担当者が疑惑を全面的に否定。「匿名で国境を超えたサイバー攻撃は攻撃元を追跡するのは容易ではなく、マンディアントのレポートの信頼性には疑問符がつく」として、同レポートを「根拠のない非難」としている。


サイバー攻撃 米会社「中国軍関与の疑い」
2月20日 19時32分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130220/k10015658591000.html

アメリカの企業などを狙ったサイバー攻撃が相次いでいることについて、アメリカのコンピューター・セキュリティの会社は、中国の軍が関与している疑いが強いとする報告書を公表し、全世界で141の機関や企業を標的に組織的にデータを盗み出したとしています。

アメリカのコンピューターセキュリティー会社、マンディアントの報告書によりますと、サイバー攻撃を行ったのは、「APT1」と呼ばれるグループです。

2006年以降、全世界で少なくとも141の機関や企業を標的に数百テラバイトのデータを組織的に盗み出したということです。

攻撃対象は、ITから航空・宇宙、通信、エネルギー分野、さらにはメディアなど広範囲にわたっています。

「APT1」は、標的となった機関や企業のコンピューターネットワークに数か月から数年にわたって不正にアクセスを続け情報を盗んでいたということで、長い場合には5年近くにわたるケースもあったということです。

攻撃の標的は、国別に見ますと、アメリカが115件と全体の8割を超えています。

このほか、イギリスが5件、イスラエルとインドが3件などとなっていて、日本でも1件報告されています。

被害に遭った情報は、製品開発や製造工程、事業計画、設計図のほか、重要な会議の議事録、さらには機密度の高い電子メールなどの情報も盗み出されているということです。

手口は電子メールを使ったもので、添付ファイルやリンクが付けられた電子メールを同僚や上司を名乗って送りつけ、受け取った人がファイルを開いたり、リンクをクリックしたりすると、特定のプログラムが動き出し、外部からのアクセスを可能にしてしまいます。

このサイバー攻撃を行った「APT1」というグループを情報セキュリティー会社が追跡したところ、上海にある4つの大型コンピューターネットワークにつながっていることを突き止めたということです。

このうち2つのネットワークは、上海の浦東新区に割り当てられたものでした。

この地区には「61398部隊」と呼ばれる中国人民解放軍の部隊があり、分析では、「APT1」の使っていたIPアドレスは「61398部隊」に通信回線を提供している中国電信のものだったということです。

こうしたことなどから、セキュリティー会社では、「APT1」は「61398部隊」の可能性が高いと結論づけています。

61398部隊とは

「61398部隊」は、中国人民解放軍の総参謀部の傘下にある電子情報などを担当する部局に所属し、中国の大学からコンピューター技能にたけ、英語が堪能な学生をリクルートしているといいます。この部隊には数百人から数千人の隊員が所属し、上海の浦東新区の12階建てのビルなどを拠点にしていて、報告書には、その衛星写真やビルの外観の写真も掲載されています。

このセキュリティー会社は「『APT1』に対しては、中国政府から直接支援があるため、長期間にわたる大規模なサイバー攻撃が可能になっている」と指摘しています。


米 中国からのサイバー攻撃に警戒強める
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130221/k10015669891000.html

2月21日 5時3分オバマ政権は、アメリカの企業やインフラを狙ったサイバー攻撃が増加しているとして特に、中国を発信源とした攻撃に警戒を強めています。

今月12日、オバマ大統領は一般教書演説で「外国の政府や企業がアメリカの企業の秘密を盗んでいる。われわれの敵はさらに送電網や金融機関、航空管制システムを破壊する能力を獲得しようとしている」と述べ、サイバー攻撃に対して強い危機感をあらわにしました。

そのうえで、オバマ大統領は、インフラのサイバーセキュリティーに関する大統領令を出し、対策を強化する姿勢を打ち出しました。

また、パネッタ国防長官も去年10月「重要なインフラ施設に対して、サイバー攻撃と同時に、爆弾などを使った物理的な攻撃も行われることが、われわれにとって最悪のシナリオだ」としてサイバー攻撃への強い懸念を示しました。

アメリカ政府がサイバー攻撃、なかでも中国を発信源とした攻撃に警戒を強めている背景には、外国からのサイバー攻撃がここ数年急増し、安全保障上の脅威になりうると考えていることや、企業秘密が盗まれることで外国企業に先端技術や経営戦略が漏れ、アメリカ経済に悪影響を及ぼすと懸念を深めていることがあります。

国土安全保障省が去年6月に発表したサイバー攻撃の被害についての報告書によりますと、アメリカ国内のインフラを標的にしたサイバー攻撃の報告件数は、2009年の9件から、2011年には198件と20倍以上に急増しています。

また、アメリカ議会は、中国の大手通信機器メーカー2社がスパイ活動に関わっている疑いを指摘したうえで、「攻撃の一部は中国政府の支援を受けたものだ」と断定するなど中国への批判を強めています。

しかし、こうしたサイバー攻撃に対応する立法措置はオバマ政権と議会との対立で進んでおらず、アメリカでは今回の報告書を受けて、中国からのサイバー攻撃に対して早急に何らかの対策が必要だという危機感がさらに高まっています。


コラム:中国が仕掛けるサイバー戦争、米企業の「沈黙は金」か
2013年 02月 20日 16:08 JST
By Ian Bremmer
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE91J03R20130220?sp=true

米企業は戦争状態にあるが、それがどういうことかと彼らに聞いても答えは返ってこないだろう。企業同士が戦火を交えている訳ではなく、彼らの知的財産や機密情報を狙うハッカーによる攻撃を受けているのだ。

ハッカーによる攻撃がどれほど深く進攻しているかは、実際に被害に遭った企業にしかほとんど分からない。なぜなら、彼らはサイバー攻撃を仕掛けてきた国をことさら刺激しないよう沈黙を守っているからだ。中国はサイバー攻撃が最も多い国であると同時に、多くの場合、企業にとってはチャンスが最も多い国でもある。米企業は、中国での稼ぎを優先し、甘んじて屈辱を受け入れているのだ。

企業が口を閉ざしているとき、そうしたサイバー攻撃の実態をわれわれはどうして知ることができるか。それは、米国政府が気付いているからだ。ニューヨーク・タイムズ紙は19日、米国を狙ったサイバー攻撃と中国人民解放軍の結びつきを強調する記事を掲載した。またワシントン・ポスト紙の先週の報道によれば、米機密文書の「国家情報評価」は、中国が最も攻撃的に米企業・機関へのハッカー攻撃を仕掛けていると結論付けた。

これが、米国が負けつつあるサイバー戦争の最前線だ。国家間のサイバー戦争では、米国が健闘しているのは分かっている。高度なマルウェア「Stuxnet」を使い、イラン核施設の遠心分離機をダウンさせたサイバー攻撃はいい例だろう。

しかし、企業がらみの妨害工作やスパイ行為について言えば、米国は中国に比べ、かなり後れを取っている。われわれは自由市場資本主義だからだ。米国政府は、経済に有益な情報を民間セクターに代わって取得しようと介入するようなことはしない。ひるがえって、国家資本主義の中国は、そうしたサイバー攻撃にははるかに長けている。

オバマ大統領は確かに、一般教書演説では、国内の産業・インフラをサイバー攻撃から守る体制の強化を目指す大統領令を発表した。ただ、企業を狙ったサイバー攻撃への広範な対策は、企業が自ら答えを出さなくてはならない。こうした取り組みが聞こえてこないのはなぜか。「国家情報評価」が示唆したように、かなり多くの企業がハッカーの攻撃を受けているにもかかわらず、彼らは世界第2位の経済大国であり、最大の取引先である中国でビジネスを失うことを恐れているのだ。

中国政府の抑圧的な政策に唯一抵抗を見せたのはグーグルぐらいだ。グーグルが中国当局の検閲を回避するため、中国の検索サービスを香港に転送したのは有名だ。しかし、マイクロソフトは、グーグルの中国本土撤退をビジネスチャンスととらえた。同社の幹部はグーグルの決断を直接引き合いに出した上で「われわれは撤退しない」と明言した。

グーグルは確かに代償を払った。同社の中国検索市場でのシェアは約30%から5%にまで低下し、現地企業の百度に大きく水を開けられている。百度は言うまでもなく、中国政府と密接なつながりを持つ。

ニューヨーク・タイムズもグーグル同様、立場を明確にした。昨年10月に温家宝首相の一族に不正蓄財があったと報道して以降、同社はサイバー攻撃にさらされた。しかし口を閉ざす代わりに、ハッカーによる攻撃を受けた事実を記事にして応酬して見せた。ワシントン・ポストとウォールストリート・ジャーナルも同じように声を上げた。

グーグルやこうした新聞各紙のビジネスモデルは、情報の自由が柱となっている。しかし他のビジネスでは、マイナス面がプラス面に大きく勝ることが往々にしてある。コカ・コーラが2009年にハッキングされた後、沈黙を守ったのもそれで説明がつくだろう。コカ・コーラが中国のジュース企業に対する24億ドルでの買収を試みた後、ハッカーは同買収に関する内部文書を盗み出した。ブルームバーグによれば、この買収が実現していれば、外資による中国企業の買収としては当時史上最大規模になったはずだった。

コカ・コーラはそれからかなり後、2012年後半に事実が明るみに出てからサイバー攻撃があったことを認めた。後からでも事実を公表するのは、何も語らない他の多くの企業に比べればはるかにましだ。中国政府に食ってかかり、変化をもたらすことができる企業があるとすれば、それは業界トップしかないだろうが、コカ・コーラにしてみれば、自分たちが抜けた穴を競合相手に埋められることも心配だろう。

サイバー攻撃に対する最善の方策は、力の強い多国籍企業が競合相手と協力して問題への関心を高め、圧力をかけることだろう。もしコカ・コーラがライバルのペプシコと共同戦線を張っていれば、もっと大きな進展があっただろう。ボーイングとエアバスなど、各業界の盟主たちにも同じことが言える。企業が単独で危険を冒せないというのなら、業界団体に立ち上がってもらうのも手だ。

中国に首尾よく圧力をかけるためには、ハッキングを受けた全企業による協調した取り組みが必要だ。

パネッタ国防長官は昨年10月、米国の重要インフラに対するハッカー攻撃は将来「サイバー真珠湾攻撃」にもなりかねないと警告した。米企業はすでに、日々刻々とサイバー戦争を仕掛けられているのだ。今こそ、サイバー攻撃を受けた企業同士が協力し、知恵を出しあう時ではないだろうか。

(19日 ロイター)

*筆者は国際政治リスク分析を専門とするコンサルティング会社、ユーラシア・グループの社長。スタンフォード大学で博士号(政治学)取得後、フーバー研究所の研究員に最年少で就任。その後、コロンビア大学、東西研究所、ローレンス・リバモア国立研究所などを経て、現在に至る。全米でベストセラーとなった「The End of the Free Market」(邦訳は『自由市場の終焉 国家資本主義とどう闘うか』など著書多数。


<関連サイト>

Mandiant Intelligence Center Report
http://intelreport.mandiant.com/
http://intelreport.mandiant.com/Mandiant_APT1_Report.pdf

インド洋のニュー・グレート・ゲーム - グワダル陥落、中国「真珠の首飾り」戦略に警戒強めるインド2013/02/18 08:13

インド洋のニュー・グレート・ゲーム - グワダル陥落、中国「真珠の首飾り」戦略に警戒強めるインド


<関連記事>

パキスタン グワダル港の管轄権を中国企業に移譲
2013-01-31 20:55:26
http://japanese.cri.cn/881/2013/01/31/201s204111.htm

 パキスタン政府はこのほど、グワダル港の管轄権を中国企業に移譲することを決定しました。これに対し中国外務省の洪磊報道官は31日の定例記者会見で、「中国の企業は、長年にわたりパキスタンの各分野における協力プロジェクトに積極的に参加している」と述べ、「中国とパキスタンは友好的な隣国である。両国の友好関係とパキスタンの発展に有利になる事項を中国は積極的に支持する」と述べました。

 パキスタンとイランの境界に位置するグワダル港は、石油の重要な搬出路として知られるホルムズ海峡から約400キロ離れた場所にあり、戦略的に重要な価値があるとされています。(劉叡、丹羽)


要衝の港湾管理権、中国企業へ=周辺国危惧-パキスタン南西部
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201302/2013020200199

 【ニューデリー時事】パキスタン政府は1月30日、アラビア海に面する南西部の戦略的要衝グワダルの港湾管理権をシンガポール企業から中国企業に移転することを閣議決定した。建設当時から多額の投資を行った中国は管理権獲得により、友好国パキスタンへの影響力拡大を狙う。一方、インドなど周辺国は中国による将来の軍港化を危惧、安全保障上の新たな脅威と捉えている。

 同港はペルシャ湾岸諸国からの原油輸出の要であるホルムズ海峡に近い。港は2007年、2億4800万ドル(約230億円)とされる初期建設費のうち中国が4分の3を支援して開港、シンガポールの港湾管理企業PSAが40年間の運営契約を結んだ。

 しかし、PSAは最近、パキスタンが当初約束した施設拡大のための土地提供を拒否したことで撤退を決めたもようだ。ガウリ港湾・海運相は2012年8月、PSAと中国企業との間で管理権移転交渉が始まったと議会で語っていた。(2013/02/02-15:54)


パキスタン要衝港の運営権が中国企業に移転 インド政府が「懸念」表明
2013.2.7 20:52
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130207/asi13020720520003-n1.htm

 【ニューデリー=岩田智雄】パキスタン南西部のグワダル港の運営権を中国国有企業が握ることになり、インドのアントニー国防相は6日、「わが国にとって懸念事項だ」と反発した。中国はインド洋周辺国で港湾建設を支援しており、インドは国防上の観点から警戒を強めてきた。中国側がグワダル港の運営権を手に入れたことは、東シナ海、南シナ海だけでなく、インド洋でも中国のプレゼンスを強化しようとする動きとして関心を集めそうだ。

 グワダル港は建設費の大半を中国が支援し、2007年に開港。シンガポールの港湾会社が運営権を取得したが、不安定な治安や資金不足でその後の開発が進まなかったとされる。同港湾会社は運営権移転について中国企業と交渉。パキスタン側は交渉妥結を受けて1月下旬、中国企業への運営権移転を閣議決定した。

 グワダル港は、世界の石油タンカーが出入りするホルムズ海峡に近い戦略的要衝でもある。中国にとってグワダル港が重要なのは、まず、エネルギー安全保障上の理由による。米国の影響力が強く、有事の際、封鎖されかねないマラッカ海峡を通過しなくても、中東などの原油をグワダル港から中国新疆ウイグル自治区までパイプラインを通じて輸送できるようになる。

 中国は近年、スリランカやミャンマーなどインド洋周辺国の港湾建設・整備を積極支援してきた。米欧はこれを「真珠の首飾り」戦略と呼び、軍事上の観点からも注視している。一部港湾は軍艦艇の燃料補給や修理も可能とされ、空母を備えた外洋型海軍を目指す中国の軍事拠点になるのでは-との懸念もあるためだ。

 インドも、自国を囲むように拠点作りを進める中国への警戒を強めてきただけに、“裏庭”の要衝に中国が進出する衝撃は大きい。

 インドは国防上、中国とパキスタンへの二正面作戦に備えており、「グワダル港は情勢が敵対的になった場合に役立つ。インドの懸念は当然だ」(パキスタンの軍事評論家、タラト・マスード氏)。インドの中国専門家、ルクマニ・グプタ氏も「中国はインドへの対抗上、グワダル港を使う可能性はある。パキスタンも港を対印のテコに使うかもしれない」と分析する。

 一方、中国外務省の華春瑩報道官は7日の会見で、「中国政府はパキスタンの発展と繁栄のためになる事業を進めることを支持する」と述べるにとどめた。


中国、インド洋で存在感 パキスタンで港運営権
2013年2月10日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013021002000101.html

 【バンコク=杉谷剛】パキスタン南西部の要衝グワダル港の運営権が、シンガポール企業から中国の港湾企業に移る。パキスタン政府がこのほど、承認した。アラビア海に面するグワダル港は交通・軍事上の重要拠点で、インド洋から中東方面の海域で中国の存在感が高まる可能性が高い。中国の海洋覇権強化の動きに、インドや米国などはいっそう警戒を強めそうだ。

 AFP通信によると、中国はグワダル港の建設に当初から積極的に関与。建設費二億五千万ドル(二百三十二億円)の75%を拠出し、二〇〇七年に開港にこぎつけた。ペルシャ湾岸からアジア向けの原油タンカーが行き交うホルムズ海峡に近いため、石油戦略上の重要な港となっている。

 シンガポールの世界的な港湾会社PSAが二〇〇七年から四十年間の契約を結んで運営してきたが、追加の開発計画をパキスタン側が拒否したため撤退を決定。中国企業が引き継ぐことになった。

 移転時期は明らかになっていないが、中国は将来、中東からの原油を同港からパイプラインで輸送する可能性も生じ、メリットは大きい。

 同港をめぐっては、二〇一一年五月、パキスタンの当時の国防相が英紙フィナンシャル・タイムズに対し、「ギラニ首相(当時)が中国に海軍基地の建設を依頼した」と発言し、海外の大きな関心を集めた。中国外務省は確認を避けたが、両国の関係強化を示す出来事として注目された。

 中国は東シナ海や南シナ海と同様、インド洋での覇権を強めようと、ミャンマーやバングラデシュ、スリランカでも港湾整備を支援している。

 各国の港湾拠点が弧を描くようにインドを囲むため「真珠の首飾り」戦略と呼ばれ、インドは警戒を強めている。同国のアントニー国防相は六日、「わが国の懸念事項」と述べ、注視する姿勢を示した。


Gwadar: Can India Checkmate China? – Analysis
http://www.eurasiareview.com/13022013-gwadar-can-india-checkmate-china-analysis/

Gwadar: A New 'Pearl' or a Step in China's 'March West'?
http://www.worldpoliticsreview.com/articles/12707/gwadar-a-new-pearl-or-a-step-in-chinas-march-west


China's string of fake pearls
http://drezner.foreignpolicy.com/posts/2013/02/01/a_string_of_fake_pearls

China's 'String of Pearls' - Real or Fake?
http://www.forbes.com/sites/mahaatal/2013/02/02/chinas-string-of-pearls-real-or-fake/


<画像引用>

China Adds Pakistan's Gwadar To 'String Of Pearls'
http://article.businessmonitor.com/article/475258/

オーストラリアに「そうりゅう」型AIP潜水艦技術供与検討 中国にらみ日豪連携強化?2013/02/17 08:38

オーストラリアに「そうりゅう」型AIP潜水艦技術供与検討本格化 中国にらみ日豪連携強化?


<関連記事>

豪に潜水艦技術供与 防衛省検討、中国にらみ連携
2013/2/17 1:30
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1504V_W3A210C1MM8000/?dg=1

 防衛省はオーストラリア海軍の新型潜水艦開発に関して、海上自衛隊の潜水艦の技術を供与する検討に入った。オーストラリア海軍は保有する6隻の潜水艦の老朽化に伴い、新たに12隻配備する方針で、動力機関などの技術が対象に浮上している。日本としては海洋活動が活発な中国海軍の動きを踏まえアジア太平洋でオーストラリアとの連携を強める狙いがある。

 潜水艦は隠密性が最大の特徴で、技術の秘匿性が高い。日本政府は2011年に武器輸出三原則を緩和し、日本の安全保障に資する国際共同開発・生産を可能にした。今回の技術供与の検討はその一環だ。

 日本とオーストラリアは12年9月の防衛相会談で、装備技術協力を中心とした防衛協力を進める方針を確認。オーストラリア側は日本の最新鋭潜水艦「そうりゅう」型への関心が高いという。

 従来の潜水艦はある程度潜航したら、浮上して大気を取り込んで推進力を得ていた。だが「そうりゅう」型は、大気に頼らず動力を得る「AIP(非大気依存推進)機関」を採用。浮上せずに長時間の潜航が可能となる。原子力潜水艦よりも動力音が静かだという特徴もある。

 AIP機関は日本やドイツ、スウェーデンなどが保有している。技術開発に参画した企業との契約上、情報開示には制約があるといい、防衛省はオーストラリアへの供与の可否も含め情報・技術の範囲を精査している。


海自の潜水艦技術、豪へ提供検討 連携強化狙い防衛省
http://www.asahi.com/politics/update/0127/TKY201301260337.html

 【其山史晃】防衛省が海上自衛隊の潜水艦の技術を、オーストラリア海軍の新型潜水艦開発に提供することを検討していることが分かった。潜水艦の技術は極めて秘密性が高く、中国海軍の動向を念頭にアジア太平洋の友好国との連携を強めるねらいがあるとみられる。

 軍事技術の提供は2011年の「武器輸出3原則」の緩和で可能になった。これまでに米国以外の国に技術提供をしたことはない。

 防衛省幹部らによると、オーストラリアから潜水艦の推進機関などに関して打診があり、防衛省が開示できる情報を精査している。特に最新鋭の「そうりゅう」型潜水艦への関心が高く、昨年5月にはオーストラリア海軍本部長が呉基地(広島県)で同型艦を視察した。


Defense Ministry mulls request to provide submarine technology for Australian Navy
January 28, 2013 (画像引用)
By FUMIAKI SONOYAMA/ Staff Writer
http://ajw.asahi.com/article/behind_news/politics/AJ201301280004

Japan's Defense Ministry is weighing whether to share submarine technology developed by a contractor for the Maritime Self-Defense Force with the Royal Australian Navy, sources said.

Given that submarine technology is highly classified, doing so would signal strengthened cooperation among friendly nations in the Asia-Pacific region where the Chinese Navy has demonstrated a growing presence.

The sharing of military technology was made possible with the relaxation in 2011 of the three principles Japan had adhered to with regard to weapons exports. However, Japan has until now not shared such technology with any nation other than the United States.

According to high-ranking Defense Ministry officials, Australia sounded out Japan about getting submarine propulsion technology. Officials in Tokyo are now trying to determine what level of information to provide.

The request came on the heels of a visit in May 2012 to the MSDF Kure Base in Hiroshima Prefecture by a senior Australian official who inspected an advanced Soryu-class submarine.

Soryu-class submarines incorporate air-independent propulsion (AIP) technology. This allows a submarine to remain submerged for longer periods than those that have to surface to refresh their oxygen intake.

Japan, Germany and Sweden are among a small number of nations that operate submarines with AIP technology.

However, the contracts with foreign companies involved in the development of the technology carried restrictions on information disclosure. This means Defense Ministry officials must determine what level of technology can be shared with Australia without any comebacks.

The relaxation of the weapons export principles included a provision allowing joint development and production in instances where weapons exports had been approved.

While this seems clear-cut, an issue that still has to be addressed is the nature of technology being provided only one-way instead of mutual sharing.

According to Australia's 2009 defense white paper, Canberra intends to acquire 12 submarines to replace six outdated craft.

In response to queries by The Asahi Shimbun, an Australian Defense Department official said various alternatives were being considered.

Last April, Japan reached an agreement with Britain to begin joint development and production of military equipment.

By FUMIAKI SONOYAMA/ Staff Writer


Japan considers sharing its submarine technology with Australia
http://japandailypress.com/japan-considers-sharing-its-submarine-technology-with-australia-0822963


Australians Look At Japanese Air Independent Propulsion System for Submarines
http://blogs.ottawacitizen.com/2013/02/02/australians-look-at-japanese-air-independent-propulsion-system-for-submarines/


Japan pivots south, with eye on China
By Richard Javad Heydarian
Japan has already broken with tradition by increasing its defense budget for the first time in 11 years, [1] providing military aid to Cambodia and East Timor, and considering the sale of military equipment such as seaplanes and advanced Soryu submarines to strategic partners such as Vietnam and Australia.
http://www.atimes.com/atimes/Japan/OA26Dh01.html



★「潜水艦用燃料電池発電システムの研究」に関する外部評価委員会の概要
http://www.mod.go.jp/trdi/research/gaibuhyouka/pdf/AIP_20.pdf

研究の目的
次世代潜水艦に装備し、潜水艦戦等の任務を遂行するために使用する、新型AIP(Air Independent Propulsion:大気非依存型推進)システム(燃料電池発電システム)のための技術資料を得る。