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安倍晋三の「日銀叩き」に学ぶ責任転嫁の妙技2012/11/23 09:08



少子高齢化の進展、総人口の減少、グローバル競争の激化などによる需要不足。
これを長らく放置してきたのはどこのどちら様でしたっけ。

どちら様のトップに返り咲いた安倍晋三。
その安倍が日銀相手に繰り出す責任転嫁の妙技。

安倍の「日銀叩き」の背後には元財務官僚の高橋洋一がチョロチョロ。
高橋は安倍と橋下徹の接点にもなっている人物。

ならばこの構図は、「財務省 vs 日銀」なのか。「財務省OB vs 日銀」なのか。
ここに野田佳彦が噛み付けば、「財務省異端 vs 財務省」にも見えてくる。

「責任転嫁」合戦よりも前向きな議論を望みたい。


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デフレ脱却に何が必要か(大機小機)
2012/11/22 日本経済新聞 朝刊 17ページ

 日銀はデフレ脱却を目指して9月に続き10月も金融緩和を実施したが、これに対して、「小出しの緩和策の繰り返しでは効果がない」といった批判が少なくない。安倍自民党総裁らは「無制限緩和」といった極端な対応にまで言及している。

 しかし、日銀の金融緩和策は(1)超低金利継続についての強いコミットメント(2)上場投資信託(ETF)などリスク性資産の相当規模での購入(3)年換算で40兆円超と新規国債発行額に匹敵する大規模な長期国債買い入れ(4)銀行に対する青天井の貸出支援融資などを含む極めて強力なものであり、米連邦準備理事会(FRB)をはじめとする諸外国中央銀行の施策と比較して質、量の両面で劣らない緩和策と言える。

 それにもかかわらず、厳しい評価が絶えないのはなぜか。日銀のPR下手ということもあろうが、主たる理由は、言うまでもなく一向にデフレ脱却の展望が開けてこないことにある。だが、デフレ脱却を果たせないのは、専ら日銀の緩和不足が原因なのだろうか。

 興味深い調査結果がある。本紙報道によれば、全国の男女1000人に「政府と日銀のどちらがデフレの対策を主導すべきか」を問うたところ、政府とする回答が6割を超え、日銀としたのは2割にとどまったというのである。

 デフレが継続する下で日銀による強力な金融緩和は不可欠な対応だろう。しかし、それだけではデフレ脱却は果たせない。我が国では少子高齢化の進展、総人口の減少、グローバル競争の激化などによる需要不足こそデフレ継続の根因である。

 この状況を打破するためには(1)徹底した規制緩和により医療、介護や農業などの分野で新たな成長機会を創出すること(2)環太平洋経済連携協定(TPP)参加をはじめ強力な自由貿易協定(FTA)戦略の推進により、成長する世界の需要を取り込むとともに、対内直接投資の大幅拡大を促すこと(3)財政再建と社会保障制度改革を推進し、「持続可能な社会保障」への信頼を回復すること、などの対応が重要である。

 これらは、政府が達成の責を負うべき課題であることは言うまでもない。日銀の金融緩和強化ばかりを要求するのではなく、政府が果たすべき役割を十分に果たすことこそ、多くの国民の望んでいるデフレ脱却の正しい処方箋である。(誠児)