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「いざとなったら逃げようなんて思うなよ」 - 上品な「利米・活米という作法」に下品な「脅米という作法」を程よくブレンドする試み2012/09/26 07:00

「いざとなったら逃げようなんて思うなよ」 - 上品な「利米・活米という作法」に下品な「脅米という作法」を程よくブレンドする試み


マイケル・オースリンはこう書いている。

「中国との軍事衝突で日本を支援しなかった場合、米国の世界各国との同盟関係は崩壊し、中国にアジア地域の国境線を引き直させることで米国の影響力の低下が加速する」

裏を返せば、このあたりの米国事情を日本は利用・活用できるということ。

「日本を支援しなかったら、米国の世界各国との同盟関係まで崩壊するぞ」
「米国の影響力低下をアジア太平洋諸国、さらには世界に見せつけるようなものだぞ」

この際ついでに「それでもいいのかい?」とクールに追い打ち。
「いざとなったら逃げようなんて思うなよ」などというと脅し文句も使ってみる。

これまでの上品な「利米・活米という作法」。
ここに下品な「脅米という作法」を程よくブレンド。

中国の台頭により、そんな技も求められる時代へと突入している。


<関連記事>

【オピニオン】東シナ海で繰り広げられる度胸試し
マイケル・オースリン
2012年 9月 25日 18:13 JST
http://jp.wsj.com/Japan/node_518453?mod=WSJFeatures

 この2週間、近年では最大規模の海上でのにらみ合いが続いている。尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐる対立で、中国は20隻もの海洋監視船を、日本は50隻もの海上保安庁の巡視船を近隣海域に派遣した。一時は中国から1000隻もの漁船団が押し寄せるという報道もあった。実際にはやって来なかったものの、一連のこうしたにらみ合いは軍事衝突に発展する可能性を高めており、それが意図的に始まるのか、偶発的に起きるのかは五分五分である。

 尖閣諸島は日本が領有権を主張する最果ての島であり、九州から南西に伸びる南西諸島の一部である。日本政府の戦略立案者たちはこうした島々を「南西の壁」と呼び始めた。中国海軍による西太平洋への侵入を阻止する日本の前哨地になるというわけだ。日本政府と中国政府はこれまでも尖閣諸島をめぐって論争を繰り返してきた。直近では2010年に中国の漁船が日本の巡視船に衝突し、中国の船長が逮捕されるという事件もあった。今月、日本政府が民間人の地権者からの尖閣諸島購入を決めたことで、大きな騒動に発展した。

この問題は軍事的なにらみ合いだけにとどまらない。少なくとも中国の85都市でデモ参加者が日系商店や企業を襲撃した。中国にあるホンダやトヨタ自動車といった日本の大手製造業者は工場の操業を停止、日本航空は日本と中国を結ぶ路線を減便、イオンなど大手小売店の中国の店舗は臨時休業に追い込まれた。

 中国商務省のある専門家は、中国政府が保有する2300億ドル相当の日本国債の売却を要求して火に油を注いだ。その一方で日本の輸出業者は、中国が各地の港で日本製品の通関手続きを遅らせていると報告した。中国政府が日本の工業生産に欠かせないレアアースの供給を再び削減するという噂も出始めている。

 中国人は日本のナショナリズムが今回の危機を引き起こしたと考えている。東京都の石原慎太郎知事による尖閣諸島購入計画に対処する形で同島の国有化を決めた野田佳彦首相が、相互不可侵の状況を覆したというのが中国側の主張である。野田首相は経済面での切り札も切った。外国の投資家が恐れをなして逃げ出したら、すでに鈍化している中国の成長がさらに弱まることになるという警告を発している。

 こうした状況において、両国は軍事衝突をうまく回避するだろうと考えるのは認識が甘すぎる。現在、東シナ海で度胸試しをしている両国に交戦開始の意図は全くないかもしれないが、両国、特に中国で国家主義的感情に火が付いた経緯を考慮すると、事故や見込み違いの出来事が起きる可能性は高まっている。東シナ海の緊張状態は、米国のパネッタ国防長官と習近平中央軍事委員会副主席が紛争勃発の可能性を警告するほど悪化している。米国政府は日中両政府がこの領有権争いを平和的に解決することを要請してきた。

 米国は2010年にも同じような要請をしているが、それが日中両政府に聞き入れられなかったことは明らかだ。両国とも、この問題を外交的に解決する方法を見出せていない。両国が領有権を放棄することはなく、その政策はますます国内世論におもねるようになってきている。

 中国政府は長年にわたり、かつての軍国主義的な日本を利用してナショナリズムを煽ってきた。とはいえ、日本にとっても尖閣諸島の安全保障上の重要性はきわめて高い。尖閣諸島の施政権を守れなかった場合、日本は東シナ海のみならず、日本海や北太平洋で領有権を主張している島々をも失うリスクを負うことになる。さらに言えば、日本による領有権の放棄は、中国が日本を超えてこの地域の大国になったことを際立たせ、中国による日本の領海への圧力がさらに増すことになる。

 日本政府が、中国の巡視船に対してはこれまでよりも強気な応策が必要だと判断した場合、どうなるのだろうか。今回の危機ではまだ派遣されていない両国の海軍が投入される可能性がある。そうなると日本は数で太刀打ちできなくなる。日本の自衛隊は約50隻のフリゲート艦や駆逐艦で、人民解放軍の200隻近くの駆逐艦、フリゲート艦、ミサイル艇、さらには65隻の潜水艦や数百もの戦闘機、攻撃機と対峙することになるからだ。自衛隊の兵器がいかに高性能であっても、中国軍の艦船、潜水艦、戦闘機などで海域を埋め尽くす能力には及ばない。日本政府は相互安全保障条約に基づく米国の支援をあてにせざるを得なくなる。

 そうなれば、第2次世界大戦以来の大国を巻き込んだ危機となり、軍事行動が拡大し続ける可能性はもとより、計り知れないほどの経済的な影響が出るだろう。米国政府は条約を結んでいる同盟国にどう対応すべきかの決断を迫られることになる。中国との軍事衝突で日本を支援しなかった場合、米国の世界各国との同盟関係は崩壊し、中国にアジア地域の国境線を引き直させることで米国の影響力の低下が加速する。

 中国の勢力の拡大によって生じるこうしたジレンマは、緊張がさらに高まっていくことを予感させる。一方的に国境や領海を広げようとする試みに対しては、米国主導で同盟国がアジアの水域に確かな軍事プレゼンスを維持することが長期的な解決策になろう。それは尖閣諸島の近隣海域に平和を維持するためのいくつかの不可侵線を引くことから始まる。

(筆者のマイケル・オースリン氏はアメリカン・エンタープライズ研究所の日本部長で、wsj.comのコラムニスト)


安保適用中国に伝達 尖閣問題で米国防長官
中国側に直接伝えたことが判明したのは初めて
2012年9月25日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012092502000245.html

 【ワシントン=久留信一】パネッタ米国防長官が十八日に中国の梁光烈国防相と会談した際、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)が日米安保条約の適用範囲であるとの見解を伝えていたことが二十四日、分かった。米国防総省のリトル報道官が一部報道を認めた。

 米政府は尖閣が安保条約の適用範囲との見解を重ねて表明してきたが、中国側に直接伝えたことが判明したのは初めて。米国が東アジアでの安全保障で米国がはたす役割に変化はないとする姿勢を示したことは、過激化する中国へのけん制となりそうだ。

 ただ、米政府は会談後の説明では、尖閣が日米安保条約の適用範囲であるとする見解を表明したことに触れていなかった。国防総省関係者によると条約に関する見解は非公式部分で示されたという。


【尖閣国有化】米国防長官が習氏に安保条約適用伝達 (画像引用)
2012.9.25 15:33
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120925/crm12092515350024-n1.htm

 パネッタ米国防長官が、中国の次期国家主席就任が確実視されている習近平副主席と19日に北京で会談した際、沖縄県・尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲内との立場を伝達していたことが分かった。米政府高官が25日までに明らかにした。

 日中対立がエスカレートすれば米国も巻き込まれ、中国との関係が緊張する可能性も否定できなくなる。危機感を抱いたパネッタ氏が中国に挑発的行動に出ないようくぎを刺した形だ。

 会談の際、パネッタ氏は「米政府は一方の国に肩入れする立場を取らない」との従来の方針も併せて表明したとみられる。習氏はこれに対し、日本政府による尖閣国有化で「争いが激化」したと批判、介入しないよう米国をけん制した。パネッタ氏は、18日の梁光烈国防相との会談でも同様の考えを伝えたとみられる。(共同)