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「全量買取42円の亡国祭り」がいよいよ開幕! - 再生エネルギーに異業種参入続々、定款変更も相次ぐ2012/05/28 07:09

「全量買取42円の亡国祭り」がいよいよ開幕! - 再生エネルギーに異業種参入続々、定款変更も相次ぐ


<関連記事>

再生エネルギーに異業種参入 全量買い取りで採算
定款変更も相次ぐ
2012/5/28 2:02
http://s.nikkei.com/Kf6aWh

 発電事業への参入に向け、株主総会で定款を変更する上場企業が相次いでいる。ローソンや近畿日本鉄道など幅広い分野の約40社が定款の事業目的に発電関連の業務を追加する。太陽光など再生可能エネルギーでつくった電気を電力会社が固定価格ですべて買い取る制度が7月に始まるのをにらみ、発電と直接の関係が薄い全くの異業種にも参入の動きが広がっている。

 目立つのが、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設に向けて定款を変更する企業だ。京セラはIHIなどと組み、鹿児島市内に7万キロワット級の発電能力を持つメガソーラーを7月にも着工する。総投資額は約250億円で、大陽電池パネル約29万枚を設置する。

 近鉄もメガソーラー事業に参入する。三重県内の沿線の遊休地に2013年度にも出力2万キロワット級の施設を建設する。新規事業の有力候補として、事業化に向け研究を続けてきたという。

 三井化学は風力発電にも意欲を示す。愛知県田原市の所有地に、1基2000キロワットの風力発電施設を3基設置する。5万キロワット級のメガソーラーと合わせた総投資額は180億円を見込む。

 店舗や住宅を活用して発電事業に参入する動きもある。ローソンは13年2月までに国内のコンビニエンスストアの約1割に当たる1000店に太陽光発電システムを設置する方針。店舗照明や冷蔵ケース、空調に使う電力への利用のほか、各地の電力会社への売電を検討している。

 ミサワホームは施工した戸建て住宅やアパートの屋根を借りて太陽光パネルを設置。電力会社への売電を検討中だ。

 再生可能エネルギーを有望な投資対象とみて定款変更するのは、独立系資産運用会社のスパークス・グループだ。機関投資家からの要請を受け、再生可能エネルギーに絞って投資する発電ファンドをつくる考えだ。

 再生可能エネルギーの全量買い取り制度を巡っては、4月下旬に経済産業省の有識者委員会が電力の買い取り価格を決めた。太陽光は1キロワット時当たり42円、風力は同23.1~57.75円となる。現在、一般の意見を募っており、集約したうえで最終決定する。

 7月に全量買い取り制度が始まれば、太陽光や風力など5種類の再生可能エネルギーで発電した電力は、国が決めた固定価格で電力会社がすべて買い取ることになる。これまでは値段がわからないため採算が合うか検証できず、参入に二の足を踏む企業も多かった。制度開始を受け、今後は発電とは関係が薄い全くの異業種からの参入が一段と増えそうだ。


ニッケがメガソーラーに参入 30億円投資、保有ゴルフ場を閉鎖
2012/5/26 0:27
http://s.nikkei.com/KwxmON

 毛織物大手のニッケは25日、大規模太陽光発電所(メガソーラー)事業に参入すると発表した。兵庫県にある同社保有のゴルフ場を閉鎖し、跡地15万平方メートルを活用する。出力は9800キロワットで投資額は30億円。2013年3月の稼働を目指す。再生可能エネルギーの全量買い取り制度をにらみ、売電事業を新たな収益源に育てる。

 年間の発電量は9537メガ(メガは100万)ワット時で、一般家庭の2600世帯分の電力使用量を賄える。発電した電力はすべて関西電力に売電する予定。ニッケの売上高を年4億円押し上げるとみられる。

 電力会社に太陽光などの再生可能エネルギーの全量買い取りを義務付ける制度が7月に始まる予定で、経済産業省は1キロワット時当たり税込み42円とする方向で調整に入った。ニッケでは「その価格で決着すれば採算に合う」としている。

 跡地を利用するゴルフ場は「ニッケゴルフ倶楽部土山コース」(兵庫県稲美町・明石市)で、9月に閉鎖する。近年は赤字が続いており、メガソーラーとして活用した方が不動産の有効活用につながると判断した。


風力・太陽光、全量買い取りで大量導入へ 先行スペインの悩みに学ぶ
2012/5/21 7:00
http://s.nikkei.com/K2KmPu

 2012年7月に再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度(以下、全量買取制度)が日本でも始まる。これにより近い将来、風力や太陽光など発電量が不安定な電力が商用電力の送電系統(以下、系統)に大量に入り込むことになる。

 実はこうした状況を日本よりも先んじて経験している国がある。スペインだ。2012年5月9日、東京都内のホテルでスペイン大使館主催の「再生可能エネルギーフォーラム」が開催され、再生可能エネルギーの導入が進むスペインの状況が明らかにされた(図1)。「スペインは既に電力の約32%を再生可能エネルギーで発電している。その中で最も多いのは風力、続いて水力、最後に太陽エネルギーである」(スペインKPMG社 パートナー Antonio Hernandez氏)。一方、日本の再生可能エネルギー比率は10%程度であり、そのほとんどが水力発電である。水力は比較的安定した電源であるため系統への影響は少ない。

■FIT制度で2兆円の赤字

 「スペインの風力発電システムの設置容量は2010年に20GW(ギガワット)に達した。これは欧州で2番目、世界でも4番目の規模である。2012年末には23GWに増える見通しである。太陽光発電システムの設置容量は2010年末に4GWになり、欧州で2位、世界で3位の規模を誇る。太陽熱発電は2010年に1GWに達して世界トップ」(同氏)。

 このように再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいるスペインだが、これまでの道のりが順風満帆であったわけではない。

 スペインは2007年に長期間にわたる高額な買い取り価格を設定したフィードインタリフ(FIT)制度を太陽光発電で導入した。その結果、2008年の太陽光発電システムの設置量は一気に2700MW(メガワット)に増えた(図2)。当初の目標だった371MWを1200MWに変更したが、結果的には変更後のさらに倍以上が設置されたことになる。

 スペイン政府は、あわてて買い取り価格を下げるなど、投資ブームの沈静化に追われた。この予想を上回る太陽光発電システムの設置によって、電力を高額で買い取らなければならない配電会社は大幅な赤字に陥った。その債務額は206億ユーロ(約2兆1000億円)。スペイン政府が一時的に肩代わりしているが、今でもスペインにとっては大きな痛手だ。

■2008年を境に温暖化ガスの排出量削減

 そもそも再生可能エネルギーの導入には二つの目的があった。一つは、温暖化ガスの排出量の削減である。2005年に1990年比で約1.7倍にまで膨らんだ温暖化ガスの排出量は、再生可能エネルギーの導入が進んだ2008年に減少に転じ、2010年には2000年レベルにまで下がった(図3)。下げ幅の目標には及んでいないものの、当面の目的は達成された。

 もう一つの目的は、エネルギーの国外依存度を下げることである。スペインは石油と天然ガスの99%以上を輸入に頼っており、大きなリスクを抱えている。これを少しでも軽減したいところだが、実際にはエネルギーの国外依存度は1990年の約64%から2005年には80%近くにまで上がってしまっていた(図4)。しかし、再生可能エネルギーの導入が進んだ2008年に減少に転じ、2010年には75%を下回る水準になった。まだ目的達成と言えるレベルではないものの、確実にリスク低減を進めつつある。

■問題は山積みだが…

 紆余(うよ)曲折はあったが、目的達成に向かって再生可能エネルギーの導入を進めるスペイン。しかし再生可能エネルギーの導入が増えたことで、解決しなければならない新たな問題が生じている。系統を安定させることである。

 再生可能エネルギーは不安定な電源だ。例えば「スペインでは(天候の変化などにより)1時間のうちに再生可能エネルギーによる発電量が最大1万3000MWから150MWまで振れることがある」(同氏)。電力では供給と需要の規模を合わせないと電圧変動や停電の恐れがあって危険だ。つまり1万3000MWが150MWに急降下したら、その差の1万2850MWを他の電源で補わなければならないのである。

 この問題をさらに大きくしているのは、再生可能エネルギーの発電量の予測精度が低い点だ。いつ1万2850MWの電源が必要になるのかが分からない。今後は予測精度を上げて、不安定な電源でも需要に見合うように電力供給を調整することが求められる。

 その他にも、余剰電力を一時的にためる蓄電池や、隣国との太い連系線の必要性にも直面している。地方に分散する再生可能エネルギーの発電システムの多くが需要家から遠い場所にあることも問題として挙がっている。

 こうした問題の中には、国レベルの系統に実際に接続してみて初めて分かるものもある。再生可能エネルギーの普及と活用が世界トップレベルで進んでいるからこそ、課題に直面し、対策が求められているのである。

■系統への影響を本格的に議論へ

表1 調達価格・調達期間についての調達価格等算定委員会案
(出所:調達価格等算定委員会)
電源 調達区分 税込価格 調達期間
太陽光 10kW以上 42円 20年
10kW未満 42円 10年
風力 20kW以上 23.1円 20年
20kW未満 57.75円 20年
地熱 1.5万kW以上 27.3円 15年
1.5万kW未満 42円 15年

 冒頭で述べた通り、日本でも2012年7月から全量買取制度が始まる。4月末に調達価格等算定委員会から買い取り価格の案が提出された(表1)。その額は、発電事業者の提出していた希望価格にほぼ沿ったものだった。すなわちこの価格であれば投資して元が取れる水準なわけだ。同制度の開始によって再生可能エネルギーによる発電システムへの投資が大幅に増えることは間違いない。2008年のスペインのように、当初予想の7倍もの量が設置される可能性も否定できない。

 再生可能エネルギーの導入が増えれば、スペインが直面している問題を日本も抱えることになる。いずれは、余剰電力を蓄えるための蓄電池、電力会社間での太い連系線の設置が必要になろう。不安定な電源への対応や発電量の予測精度向上といった課題を早急に解決すべく、本格的な議論を始める時が迫っている。(日経BPクリーンテック研究所 菊池珠夫)


7月開始の「固定価格買取制度」、電気料金への上乗せ額の試算公表
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00222202.html

7月から始まる再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」で、経済産業省の第3者委員会は、電気料金への上乗せ額は、標準的な家庭で、月70~100円程度になるとの試算を公表した。

経済産業省の第3者委員会は27日、再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」について、太陽光発電の買い取り価格を1kWhあたり42円などとする報告書を枝野経済産業相に提出した。

委員会では、電気料金への上乗せ額について、月額7,000円の標準的な家庭で、1カ月あたり70~100円程度になるとの試算が示された。

枝野経産相は、報告書を基に、5月中に買い取り価格などについて最終決定する方針。 04/28 07:45

コメント

_ とおりすがりでYAS ― 2012/05/28 09:26

スペインと同じようになるとしたら、日本は国債発行して電力会社を支えるわけでしょうかね。

そして、やがては国債を民間銀行が支えなくなって・・・。
メガバンクは国債の保有期間を2,3年の程度に決めてるようですしね。

_ 奔放な旅人 ― 2012/05/28 09:37

企業が参入してくるのは、既存電力会社による地域独占を崩す第一歩と成り得る可能性を持ちますが、現実はそう甘くは無い。
一番のネックは経済産業省とその関連機関でしょう。
それらを動かす事の出来る国会も立法府としての機能は10%も動いていないでしょう。
今や省庁の下に国会が存在すると言うのが現状ですからね。
太陽光発電には隠れたリスクが存在しますし、日本においては不安定エネルギーでしょう。
何でもかんでも太陽光発電。
これって虫メガで光を集めて熱しているのと同じ(↑)?

_ Y-SONODA ― 2012/05/29 06:12

とおりすがりでYASさん&奔放な旅人さんへ

スペインに続いてドイツの教訓がWSJから。
「太陽光発電補助政策は日本の環境政策の歴史で『最も高く付く誤り』になる」のはほぼ確実ではないでしょうか。

<関連記事追加>

【日本版コラム】大失敗だった太陽光発電推進 ドイツの教訓に学ぶ
尾崎教授のビジネスインサイト
2012年 5月 28日 14:28 JST
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_450096

 前回コラムで、今年7月の「再生可能エネルギー全量買取制度」導入に伴い、経済産業省の「調達価格等算定委員会」(算定委員会)が提出した太陽光発電の買取価格「1キロワット(kw)時あたり42円」という案が高過ぎるということを書いた。このコラムには、多くの方からコメントをいただいた。原発が必要と考えている人は、一般的に再生可能エネルギーに対して冷ややかだが、意外だったのは、再生可能エネルギー推進派にも、買取価格案は高過ぎると考えている人が多いことである。6月1日まで、算定委員会の案に対するパブリックコメントが募集されている。

 前回は、太陽電池の世界的な値崩れを十分に反映していない買い取り価格は高すぎる、という観点で書いたが、本コラムでは、太陽光以外の再生可能エネルギーとの比較、および再生可能エネルギー大国ドイツにおける太陽光発電の評価を見ながら、さらなる問題点の指摘を行う。

太陽光ばかりに資金が集中すると思われる理由

 全量買取制度の対象は太陽光以外に風力、地熱、中小水力、バイオマスがある。今回これら5種類のエネルギーについて買取価格案が出されたが、発電事業は太陽光に集中する可能性が高い。なぜなら、太陽光の初期投資負担が最も低いからである。算定委員会の資料によると、太陽光の施設建設費は発電量1kwあたり 32.5万円である。これに対して、地熱は79万円、中小水力は80万円、ガス化バイオマスは392万円と太陽光よりはるかに高い。これに対して、風力は 30万円、固形燃料燃焼バイオマスは31~41万円であり、太陽光とあまり変わらない。(注)

 太陽光以外のエネルギーには、費用以外に、設置手続きが複雑で時間も追加コストもかかるという問題がある。まず、地熱と風力は、地下深くボーリング作業を行ったり、巨大な設備を作ったりするので、環境アセスメントを行わなければならない。また、風車が作る低周波や温泉の有毒ガスの問題があるので、地元の住民との交渉に時間がかかる。国立公園内で開発するのであれば、許可申請手続きがさらに長引く。中小水力の場合、一級河川から水を引くのであれば、法的手続きに3年はかかるといわれている。たとえ、一級河川でなくとも、発電設備を作るのに水利権者との調整が欠かせない。固形燃料を使ったバイオマスは、燃料として下水汚泥、木材チップ、廃棄物などを調達しなければならない。とても素人にはできない作業である。

 要するに、太陽光以外のエネルギーは、その道で経験を積んだ人でないと、買取価格の高い低いにかかわらず、容易に参入できないということである。参考までに、算定委員会は、計画から稼働までの期間として、太陽光は1年、風力は4~5年、地熱は9~13年と見積もっている。

 これに対して、太陽光は設置が容易である。土地を見つけて使用料金で折り合いがつけば、すぐ始められる。環境アセスメントは基本的に不要だし、電気事業法をクリアすれば良い。したがって、今まで電力事業とは縁がなかった企業でも参入できるし、太陽電池の在庫を抱えていたメーカーにとってもチャンスである。

 以上の理由で、全量買取制度がスタートすれば、太陽光ばかりに資金が集中する可能性が高いのである。効率が悪い太陽光発電 初期建設費用だけでなく、太陽光は運転維持費用も安く、算定委員会によると1kwあたり1年間で1万円である。風力が6000円、地熱が3万3000円、中小水力は9500円、固形燃料燃焼バイオマスは2万7000円、ガス化バイオマスは18万4000円となっている。安い初期費用と維持費用を考えると、太陽光は安い電力になるはずだか、実態はその逆である。算定委員会の買取価格案は、太陽光がkw時あたり42円で、他のエネルギーは皆、20円台半ばであり(ガス化バイオマスを除く)、太陽光が最も高い。

 なぜ、このようなことが起きるのか。それは、太陽光の設備利用率が他のエネルギーと比べて際立って低いためである。算定委員会が計算根拠として使用している設備利用率は、小水力の60%、地熱、バイオマスの50~80%、風力の20%と比較して、太陽光はわずか12%に過ぎない。要するに、太陽光は夜間や曇りでは発電しないため、一見、発電能力(kw)が高くても、実際の発電量(kw時)は大したことないということである。しかし、太陽光発電事業者にもそれなりの投資利回りを確保することが法の趣旨なので、太陽光だけ特に高い買取価格を設定しているというカラクリである。前回指摘したとおり、現場の実情に照らした利回りはさらに高くなっている。

ドイツ環境政策史上最大の失敗

 太陽光の期待外れ度合いは太陽光発電大国のドイツですでに指摘されている。ドイツでは、巨額の財政負担や電気料金値上げによる補助が行われてきたにもかかわらず、電力全体に対する太陽光発電の比率は低く、有効でないという批判が起きている。クリーンエネルギー助成の約60%が太陽光発電向けに使われているのに、全発電における比率はわずか3%に過ぎない。助成金がはるかに少ないバイオマスや風力発電の方が太陽光よりずっと利用比率が高いのである。

 独シュピーゲル誌は「太陽光発電補助政策の落とし穴」という今年1月18日の記事で、太陽光発電のコスト(累計)が2000年から2011年までの11年間で 1000億ユーロ(約10兆円)に達したのに、それに見合う効果は出ていないと指摘している。記事は「太陽光発電補助政策はドイツ環境政策の歴史で『最も高く付く誤り』になり得る」とまで酷評している。

 ドイツが太陽光発電を推進した2000年代は、補助政策にもそれなりの意味があったのであろう。なぜなら、2020年までに再生可能エネルギーを20%まで引き上げるというEUの統一目標と、太陽光産業による雇用増加の期待があったからである。ところが、エネルギー比率改善も雇用創出も期待外れであった。ドイツ政府は2010年までに37万人の再生可能エネルギー関連の雇用が生まれたと指摘している。しかし、買取制度による電気代値上げのマイナス効果を考慮すれば、雇用数は大幅に相殺される。連邦環境・自然保護・原子力安全省による 2007年の報告書では、2006年における雇用創出は24万人弱だが、マイナス効果を考慮すると7万人前後に過ぎない。

安定供給がない太陽光になぜ期待する?

 ドイツは、太陽光発電推進は誤りだったと言っているのである。二酸化炭素(CO2)削減よりもエネルギー安全保障が重要な日本で、太陽光推進に固執する必要があるだろうか。太陽電池の在庫減らしに国民の税金を使われたのではたまらない。また、全量買取制度という「公費」で儲ける電気事業者には電力安定供給義務を課すべきだが、経営不安定なベンチャー企業にそのような責任を負うことはできるだろうか。

 私は全量買取制度を全否定しているわけではない。下記のポイントを考慮しながら運用を改善するべきである。

1)太陽光ではなく効率が良い風力や地熱を推進する。

 これは再生可能エネルギー増加という本来の目的に適う。

2)太陽光は分散型、非常用電源としての役割を再認識する。

 ドイツの例でも分かるとおり、太陽光は全量買取で発電ボリュームを増やすことに向いていないが、風力、地熱、水力と違って、街中に設置できるメリットがある。街中の分散型、非常用電源として使いやすいのである。では、全量買取ではなく余剰買取があれば十分かというと、そうでもない。余剰買取は同じ建物内で完結するもので、コミュニティ内の違う建物に電力を融通する、近隣コミュニティに余った電力を融通することは想定されていない。電気事業法の電力供給者にならないと、このような行為ができないからである。

 また、系統連結(発電所と電力会社の送電網との連結)のコストが高く、時間がかかるという問題も解決されなければならない。これには、電力会社の積極的な関与が不可欠である。再生可能エネルギー推進には、ベンチャーや他業種の企業が頑張れば何とかなるものではない。電力会社も同じ目標を持ち、推進に協力することが担保されて初めて達成できる。そのための制度的裏付けが必要であるが、原発再稼働と電力不足対策ばかりで、再生可能エネルギーの議論まで手が回っていない。

(注:建設費、運転維持費は発電能力によって異なり、大設備ほど割安となる。文中で示している各費用は、太陽光の場合10kw以上であり、風力は20kw以上、地熱は 1.5万kw以上、中小水力は1000kw以上3万kw未満である。バイオマスの場合は、発電能力によって費用に差がない)

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