Google
WWW を検索 「園田義明めも。」を検索

日銀決死のETF購入株価PKO作戦、日の丸救世主に群がる米系年金2011/08/12 07:04

日銀決死のETF購入株価PKO作戦、日の丸救世主に群がる米系年金


<関連記事引用>

▼ 資産買い入れ、日銀、基金10兆円増額、円売り介入、4兆円規模。
2011/08/05 日本経済新聞 朝刊

 政府・日銀は4日、大幅な円高の是正に向けて為替介入と金融緩和を同時に実施した。断続的な円売り・ドル買いの介入とともに、日銀は追加緩和策として資産買い入れ基金の10兆円増額を決めた。円売り介入は海外市場でも継続しており、介入額は過去最大の4兆円規模に膨らんだとみられる。円相場は介入前から3円以上も円安に振れ、一時1ドル=80円台前半まで急落した。(日銀の資産買い入れ基金は3面「きょうのことば」参照)=関連記事3面、総裁会見の要旨5面に

 介入と金融緩和の同時実施は、円高で日本の経済成長が下振れするのを避けるため、政府と日銀が協調して市場に「強い姿勢を示す」(白川方明総裁)狙いがある。

 日銀は4日から2日間の日程で開く予定だった金融政策決定会合を1日に短縮し、追加緩和を前倒し決定した。国債や社債、上場投資信託(ETF)などの購入の原資になる資産買い入れ基金の規模を従来の40兆円から50兆円に引き上げた。

 基金のうち、資産の買い取り枠を従来の10兆円から15兆円に増額。年0・1%の低利で長めの資金を貸し出す固定金利オペ(公開市場操作)の供給枠も30兆円から35兆円に増やした。市場金利の低下を促し、企業マインドの低下を防ぐ。

 政策金利は従来の年0~0・1%に据え置き、ゼロ金利政策の維持を決めた。米景気の減速懸念など、海外経済の「不確実性は大きい」(白川総裁)と判断。円高に電力供給不安が加わり、企業の海外シフトが加速する恐れもあるとみている。

 日銀の追加金融緩和に先立ち、政府・日銀は4日午前、約4カ月半ぶりとなる円売り・ドル買い介入に踏み切った。介入は取引が海外市場に移ってからも断続的に続いており、円相場は一時80円25銭まで下落した。

 市場では介入規模は4兆円前後と、1日の介入額としては過去最大に膨らんでいるとの見方が出ている。野田佳彦財務相は4日午後、記者団に「引き続きマーケットを注視しながら対応していきたい」と話し、介入継続に含みを残した。

 政府・日銀が為替介入を実施したのは東日本大震災直後の3月18日以来、約4カ月半ぶり。円相場は1日の海外市場で震災後に付けた最高値(1ドル=76円25銭)に迫る76円29銭を付けていた。

<日銀の金融政策のポイント>

○決定会合の日程を1日に短縮・前倒し

○政策金利を据え置き、ゼロ金利を継続

○国債やリスク資産の買い入れを5兆円増額

○固定金利オペの供給枠を5兆円増額


▼日銀の資産買い入れ基金(きょうのことば)
2011/08/05 日本経済新聞 朝刊

▽…日銀は昨年10月、国債や社債などの資産買い取りを柱とする包括的な金融緩和策を決めた。基金はこれらの原資。当初は資産買い取り枠5兆円、固定金利オペ30兆円の総額35兆円でスタートした。買い取り対象には、国債や国庫短期証券、社債、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)が含まれる。

▽…金利低下を促すほか、資金調達コストを抑えて景気を下支えするのが狙いだ。日銀は東日本大震災直後に買い取り枠を5兆円拡大。今回は資産買い取り枠、固定金利オペの供給枠をそれぞれ5兆円増やした。


▼ 日経平均3日続落、先物は一時9000円台に戻す
2011年 08月 9日 16:08 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22620620110809

 後場に入ると下げ幅は縮小した。邦銀系の株式トレーダーによると、後場に入って500億円規模の買いが観測された。日銀は8月に入って2日、3日、5日、8日に241億円のETF買い入れを実施している。東京市場のほかにも、ソウル市場で韓国の年金筋による買い、台湾でも台湾の政府系ファンドの買いが観測されるなど各国のPKO的な動きで「急激な株安はいったん収束に向かうのではないか」と同トレーダーはみていた。日経平均先物は引け間際に9000円に戻した。


▼ 株価底割れ回避の裏に日銀あり 8月、ETFの5%購入公開日時
2011/8/10 16:04
http://s.nikkei.com/qGCpK0

 上場投資信託(ETF)市場で、日銀の存在感が日増しに高まっている。「資産買い入れ基金」というツールを使って、株価指数連動型上場投資信託の購入を増やしているためだ。9日に購入した額はざっと256億円。8月に入ってからの累計は1220億円と、日経平均と東証株価指数(TOPIX)に連動するETFの時価総額の5%に達した。欧州の債務不安や米国債の格下げが市場を揺さぶり、世界的な株安の連鎖を引き起こした中で、孤軍奮闘したのが日銀だ。10日の日経平均株価が反発するなど、株価の底割れを食い止める“救世主”のような役割を果たしたとの評価が、市場で広がっている。

 「8月に入ってからの下げ局面で日本株の積極的な買い手は日銀ぐらいだった」。こう語るのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長だ。米連邦債務の上限問題や米国債の格下げによって世界の金融市場が大揺れし、市場ではリスク投資に極端に慎重になる「リスクオフ」ムードが広がった。特に外国人投資家が日本株に激しい売りを浴びせるなかで、「売りのスパイラルを食い止めた日銀の存在感は大きかった」と藤戸氏は振り返る。

 日銀が「包括的な金融緩和政策」の一環として資産買い入れ基金の創設を決めたのは昨年10月。ETFの買い入れに踏み切ったのはこの年の12月15日だった。これまでも日銀は東日本大震災直後の株安局面などでETFを購入してきたが、8月に入ってからの買い入れ規模は群を抜いている。総額は1220億円。買い入れ残高は一気に36%膨らんだ。

 日銀はETF購入のタイミングや基準などを明らかにしていない。だが、株式市場が意識するのは「1%ルール」と呼ばれる法則だ。「TOPIXの前場終値が前日比で1%以上、下がったときにはETFを購入する」という法則性のことを指す。過去の例を検証してみると、この法則が当てはまらないのは全25回の購入のうち、初回だけだった。

 巨額の買い入れを踏まえ、市場では「日銀のETF購入が株価の下落を抑制する効果は大きい」(東海東京証券の鈴木誠一マーケットアナリスト)との認識が急速に広がりつつある。その効果は侮れない。例えばTOPIXが午前に1%以上さがると、日銀によるETF購入への期待が高まっていく。日銀が買うのを見越した買いも入るようになり、午後に入って下げ幅が縮まっていく。日銀が果たしているのは、売りが売りを呼ぶ「負のエネルギー」を抑え込む役割だ。SMBC日興証券の今川倫太郎氏は、「中央銀行が市場安定のために株を買うこと自体のメッセージ性は大きい」と指摘する。

 9日に超低金利政策を2013年半ばまで続ける考えを示し、金融緩和の強化を市場にアピールした米連邦準備理事会(FRB)。ただ、冷静に考えると、それは超低金利政策が続く期間を明示しただけのことだ。日銀のように超低金利政策に加えて、ETFのようなリスク性資産を買い取る策までには踏み切っていない。

 対する日銀。FRBに先立つ4日に開いた金融政策決定会合では追加の緩和策を決めた。ETFの買い入れ上限を従来の9000億円から1兆4000億円に拡大。買い入れ期限も半年のばし、2012年末まで延長した。これまでの買い入れ分を差し引くと、まだ9000億円の買い入れ枠が残っている。日銀が動くという市場の「期待」と、買い入れという「実際の行動」を組み合わせながら、市場のピンチを救う余力は十分残っている。

 もっとも、市場にとって「救世主」と映る日銀の行動は、自身にとっては「自殺行為」ともなりかねない。SMBC日興証券の試算によると、日銀によるこれまでのETFの平均購入単価は日経平均ベースで9682円。10日の終値(9038円)を下回っており、含み損を抱えているものとみられる。

 中央銀行のバランスシートが痛むことを、市場は通常その国の信用が傷つくことと同一視する。場合によっては、円や日本国債の価値にも影響が及びかねない。株式市場の底割れを防ぐために必死に動く日銀。バランスシートの痛み具合をにらみながらの厳しいやり繰りを迫られている。〔日経QUICKニュース 三輪恭久〕


▼ 株価下がるとETF購入…日銀が連日実行
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20110811-OYT8T00443.htm

「相場浮揚に」期待の声

 日本銀行が、株価指数などに連動する上場投資信託(ETF)の買い入れを加速させている。

 8月に入っての株価下落局面では連日のように実行しており、購入総額は4624億円にのぼる。1日あたりの買い入れ額も、株価が急落した9日には過去最大の256億円に達した。9日の東京証券取引所1部の売買代金は約2兆円で、株価全体の買い支えになる規模ではないが、市場では相場浮揚の「呼び水効果」への期待が高まっている。

 日銀は、市中に資金を放出する金融緩和の一環としてETF買い入れを昨年12月から始めた。当初4500億円だった買い入れ枠を、8月4日の金融政策決定会合で1兆4000億円に増やした。

 これまでに行った25回の買い入れのうち、24回は、日経平均株価(225種)が一時100円以上値下がりした日にあたる。日銀は、買い入れのタイミングや購入額を事前公表していないが、日経平均や東証株価指数(TOPIX)が1%下がると買い入れるという「1%ルール」が市場参加者の共通認識になっているという。下落幅が大きい日には「日銀のETF購入」に期待感が広がるようになった。

 市場では「日本株が売られすぎているという日銀のメッセージが、市場の不安感をぬぐう効果がある」(SMBC日興証券の今川倫太郎氏)と歓迎する声が出ている。(2011年8月11日 読売新聞)


▼ 〔兜町ウォッチャー〕欧米市場の動揺で米系年金がアジアに関心、逃避マネーも日本の内需株買いか
2011年 08月 11日 18:59 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK048548120110811

 米系マネーが日本をはじめアジア株に流入している可能性が指摘される。欧州財政懸念や米国債格下げなどを背景に欧米市場の動揺が続くなか、米株価が回復するには時間がかかるとの見方から米系年金などリアルマネーが日本株を下支えしているという。日銀の指数連動型上場投資信託受益権(ETF)購入などアジア各国でみられる株価対策「PKO」によって買い安心感があるようだ。

 10日の米国市場でダウ工業株30種.DJIが4.62%安となるなど主要3指数が揃って4%超下落するなど大幅安となったが、11日の東京市場で日経平均株価.N225が序盤の売りが一巡すると一時200円超だった下げ幅を縮小、戻りを試す展開となって56円80銭安(0.63%安)で取引を終えた。邦銀系の株式トレーダーによると、朝方から海外勢のバスケット買いのほかヘッジの買い戻し、それに前日みられなかった米系年金の買いが観測された。日本株のこの1カ月間で約12%下落したが、ドル換算だと円高を受け7%程度と下げは緩やかなことも、海外の逃避マネーを引きつける要因の1つになっているようだ。

 東京市場では輸出株から内需株へのシフトが顕著となっているが、逃避マネーが流入した可能性が指摘される。内閣府が11日発表した6月の機械受注統計が予想を大幅に上回ったことがその手掛かりとみられている。発表によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)の受注額は前月比7.7%増の7897億円と、ロイターの事前予測1.8%増を大幅に上回った。2カ月連続で増加。外需の弱さが顕著になったことも内需株買い要因とみられている。日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート)やキヤノン(7751.T: 株価, ニュース, レポート)など輸出株が下落する一方で内需株、特に北越紀州製紙(3865.T: 株価, ニュース, レポート)や日本製紙グループなど前日それほど大きな買いを集めなかった紙・パルプセクターが買われた。

 株価対策も奏功している。一時8600円台の安値圏に下落した9日の取引では、後場に入って500億円規模の日銀と政府系金融機関による買いが観測された。同日夜、日銀は256億円のETF購入を発表。8月に入り2日、3日、5日、8日にいずれも241億円のETF買い入れを実施した。大手証券の株式トレーダーは「株価が前日比1%下げれば日銀が動く」と話している。

 アジア市場でも下げは米国市場よりも小幅にとどまっている。11日のソウル株式市場で総合株価指数(KOSPI).KS11は朝方は4%急落して始まったものの、機関投資家や年金基金の買いが入り、11.20ポイント(0.62%)高に切り返した。中国株式市場も続伸。公的年金基金の全国社会保障基金(NSSF)が国内株式を大量に買い増しているとの国内紙報道もあり、大型株への買いが膨らんだ。上海総合指数.SSEC終値は1.27%高となった。市場では「PKOが直接の要因ではないが逃避マネーを引きつける要因の1つにはなりうる」(みずほ総研シニアエコノミストの武内浩二氏)とみられている。(東京 11日 ロイター)


▼ 日銀 株安でETF連日購入
8月12日 5時16分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110812/t10014862551000.html

世界的に株式市場が混乱していることを受け、日銀は、今月に入って株価などに連動して値段が動くETF=上場投資信託という金融商品を連日のように買い上げる異例の対応に出ており、株価急落に対する日銀の強い懸念が表れているという受け止めが市場で広がっています。

日銀は、市場に大量に資金を供給する金融緩和策の一環として、去年12月から、日経平均株価などに連動して日々値段が動くETF=上場投資信託の買い入れを始めており、その残高は先月までの8か月間でおよそ3400億円に達しています。

こうしたなか、日銀は今月に入って世界的な株安に拍車がかかって以降、買い入れるペースを急に上げており、11日までの9日間の営業日のうち、日経平均株価が値下がりした6日間、連日ETFの購入に踏み切りました。

6日間に買った金額は、1476億円に上りましたが、これはこれまでに購入した総額の30%に当たる規模で、異例の対応と言えます。

日銀は「具体的な買い入れの基準は明らかにしていない」と話していますが、市場では、株価急落に対する日銀の強い懸念が表れているという受け止めが広がっています。


<日銀関連サイト>

資産買入等の基金運営基本要領
決定 2010年10月28日
改正 2011年 3月14日 2011年 8月 4日
http://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo52.htm/

2011年3月14日「資産買入等の基金運営基本要領」の一部改正等について
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel110314i.pdf

2011年8月4日「資産買入等の基金運営基本要領」の一部改正等について(画像引用)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel110804a.pdf

「空洞化を恐れるな、今こそ攻めろ」 コマツ会長・坂根正弘氏が語るタンポポ・ジャパンとタナバタ・ジャパン2011/08/12 08:02

「空洞化を恐れるな、今こそ攻めろ」 コマツ会長・坂根正弘氏が語るタンポポ・ジャパンとタナバタ・ジャパン


▼空洞化を恐れるな、産業空洞化を戦略的に推進する「タンポポ・ジャパン」と本社機能だけは日本に残して欲しいの「タナバタ・ジャパン」

「一見すれば空洞化のようでも、アジアの成長を取り込めれば果実は必ず日本に帰ってくる」

「今ほど製造業に攻めが求められている時はなく、攻めるなら海外だ。これだけの円高なのだから、借金をしてでも海外の会社を買うぐらいの戦略に打って出るべきだ」


▼ついでにケネス・ロゴフなインフレ論

「成長しないデフレ国家であることだ。超低金利なのに物価下落で実質金利が高まり円高になる最悪の展開。多少インフレになれば円高も解消される可能性がある。一刻も早くデフレを生む構造問題を解決すべきだ」


<関連記事引用(画像も)>

過当競争脱却し海外へ コマツ会長・坂根正弘氏
新しい日本へ 復興の道筋を聞く(1)
2011/8/12付
http://s.nikkei.com/nOPraP

 東日本大震災から5カ月。被災地には目がくらむような厳しい現実が横たわり、日本と世界を取り巻く環境は激しく変化している。識者に聞いた。日本はどう動き出したらいいのだろう――。

 ――円高に電力不足と、製造業に強い逆風が吹きつけている。

 「コマツは建設機械を国内外で半分ずつ生産している。昨年度の営業利益は2200億円だったが、うち1300億円は海外生産・販売で稼いだ。輸出のもうけは800億円。国内で造り国内で売って得た利益は100億円にすぎない。なぜ日本でもうからないのか。いろいろ課題はあるものの、震災後に新たに出てきたのは原発事故による電力不足くらいだ。多くはずっと引きずってきた課題であり、民間にできることは民間の手で解決するしかない」

■国内は消耗戦

 ――根っこにある日本固有の問題は。

 「成長しないデフレ国家であることだ。超低金利なのに物価下落で実質金利が高まり円高になる最悪の展開。多少インフレになれば円高も解消される可能性がある。一刻も早くデフレを生む構造問題を解決すべきだ」

 「縮む国内市場にプレーヤーがいっぱいいて消耗戦をやっている。世界の製造業に欠かせない部品・素材企業が国内に多いことが震災で分かった。ただ過当競争だから、顧客に言われれば何でも引き受ける。私が社長なら断らせる。こうした体質がいろんな業界で低収益を生んでいる」

 ――コマツは円高下でも輸出で稼いでいる。

 「1980年代後半以降、当社は米2位メーカーと提携し、ドイツやイタリアなどでは同業を買収した。業界再編を自ら主導したために日本を除けば過当競争がなくなり、それぞれの市場で稼げるようになった」

 「技術を磨き輸出競争力を高めるのは当然。加えて円高で苦しくても値下げ競争に加わらず、率先して値上げしてきた。当社は中国を含むアジアの建機トップ。業界で強い立場だからこそ過当競争と無縁でいられる。そうでなければ日本で生産していられない」

 ――日本でも大型再編の機運が高まってきた。成功させるには。

 「『雇用を守るために一度始めた事業をやめるわけにはいかない』という経営者がいるが、本当に雇用を大事にしているのか。そんな企業同士が一緒になっても成果が出ず、結局は雇用を失う。当社は事業をかなり整理し、子会社も減らした。犠牲にすべきところを犠牲にしない限り国際競争力は身につかない。これまでの日本人の特性も変わらざるを得ない」

■産業集積は強み

 ――日本企業が生かすべき強みは何か。

 「あらゆる部品・素材を国内で調達できる産業集積だ。こんな国は世界にない。日本には大手と中小で賃金の二重構造がある。格差を縮める努力をしないと中小の力を引き出せず、日本の強みを生かせない。協力企業とは一心同体。(開発や資金調達などの)コストの一部を負担するなど、協力企業の賃上げを間接支援する工夫が要る」

 ――協力企業の海外進出を後押ししている。

 「思い切って海外に出た企業は当社以外との取引が拡大している。国内工場で注文が増え、日本に残った企業と比べて競争力を高めた事例がある。一見すれば空洞化のようでも、アジアの成長を取り込めれば果実は必ず日本に帰ってくる」

 ――株安・円高を受け、産業界には政府の支援を求める声もある。

 「環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る農業保護の議論もそうだが、守りに投じたカネは絶対に生きたものにならない。じり貧になるだけだ」

 「私が入社した年に米キャタピラーが日本に本格進出し、コマツはもうダメだと言われた。当時の社長は『攻撃は最大の防御』と説き、我々は必死になって仕事した。今ほど製造業に攻めが求められている時はなく、攻めるなら海外だ。これだけの円高なのだから、借金をしてでも海外の会社を買うぐらいの戦略に打って出るべきだ」

(聞き手は中西豊紀)


 さかね・まさひろ 2001年の社長就任時から「構造改革」を掲げコマツを世界的メーカーに。07年から現職。70歳。


<タンポポ・ジャパンとタナバタ・ジャパン関連記事>

引き裂かれる民力、迫り来る「タンポポ・ジャパン」と「タナバタ・ジャパン」で「空洞化・ジャパン」の最悪シナリオ
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/04/19/5813645


311後の「分散」大規模シフト、日米連携の「タンポポ・ジャパン」戦略本格始動へ
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/04/23/5821363


提言:日本から出て行く企業に“外国人社員向け「ジャポンDEシュギョー」制度義務付導入”のススメ
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/06/30/5935405