Google
WWW を検索 「園田義明めも。」を検索

日経「米国対中政策を聞く」:アーロン・フリードバーグ「米中関係はもっと悪くなりかねないから、協調を取り繕うものの実際にはほとんど変わらないだろう」2011/01/15 19:13

日経「米国対中政策を聞く」:アーロン・フリードバーグ「米中関係はもっと悪くなりかねないから、協調を取り繕うものの実際にはほとんど変わらないだろう」


<関連記事引用>

米国対中政策を聞く(上)外交評議会アジア部長エリザベス・エコノミー氏。
2011/01/14 日本経済新聞 朝刊

同盟国と関係を再強化

 中国の胡錦濤国家主席が18日、4年ぶりに米国を公式訪問する。米中関係は改善するのか。米シンクタンク外交評議会のエコノミー・アジア部長ら中国専門家に聞いた。

自信深めた中国

 ――米中関係がぎくしゃくしたのはなぜか。

 「鄧小平時代の中国は『韜光養晦(能力をひけらかさない)』だったが、2008年の金融危機を乗り切り、急速に自信を深めた。米国はイラクやアフガニスタンで忙しく、アジアの変化に目を向けるのが遅れた。複合的な要因だ」

 「オバマ政権は米中関係をレベルアップできると楽観的だったが、1年ほど前に政策を反転させた。中国抜きに世界は動かないのだから対話は続ける。だが、同時に日韓など同盟国との関係を再強化する方針を明確にした」

 ――09年のオバマ大統領の訪中時の共同声明では「戦略的信頼」の構築を掲げた。

 「言葉遣いに大した意味はない。中国が関係改善を望むならば、まず行動だ。首脳会談までに人民元の相場改革をすべきだ」

 ――中国が外に強硬なのは習近平体制への移行に向け、足元を固めるためとの見方がある。

 「北京政府は国民の信任を保てるか不安を抱いている。ノーベル平和賞を巡る騒動は、危機にどう対応してよいのか分からないことの表れだ」

 「習国家副主席は日米韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国が結束した状況のもとで国を率いることになれば大変だと思っている。日米には強硬だが、昨年歴訪した東南アジアやオーストラリアなどには優しく接している」

 ――ノーベル平和賞授賞式に17カ国が欠席したのは中国外交の勝利か。

 「ロシア、キューバ、ベネズエラなどの欠席は大した問題ではない。インドやブラジルが中国にくみしたのならば要注意だったが」

日米韓で「安保」

 ――中国は北朝鮮を支え続けるのか。

 「北京で最も議論になるのが北朝鮮政策だ。変化を求める声もあるが、長年の中朝の絆をすぐには断ち切れない。一番よいのは日米韓が安保条約を結ぶことだ。中国も今までと同じではいけないと気付く」

 ――米中のはざまで日本はどうすべきか。

 「米国だけでなく、他の国とも手を結ぶ必要がある。幸いなことに東南アジアで日本の評価は高い。インドも重要だ。日本が地域の安定に貢献できることはたくさんある。政府開発援助(ODA)も増やした方がよい」

(ワシントン=大石格)

 ミシガン大で博士号を取得。米中連携をうたうG2論をいち早く批判したことで知られる。昨年秋、中国の膨張志向を描いた論文「ゲーム・チェンジャー」を外交誌フォーリン・アフェアーズに発表した。


米国対中政策を聞く(下)米プリンストン大教授アーロン・フリードバーグ氏。
2011/01/15 日本経済新聞 朝刊

 ――中国の海洋進出が顕著だ。

 「周辺国への影響力を強め、世界における中国の役割を拡大する。海洋進出はその一環だ。旧ソ連の崩壊後、国境警備の心配がなくなり、海に力を注げるようになった。海軍力の増強について最初は『領海防衛』と言っていたが、『大陸棚』『排他的経済水域』を理由にするようになった」

 「もう一つの狙いはアジアから米国を徐々に排除することにある。台湾の背後に米国がいるのは中国には脅威だ。日本や韓国を引き寄せ、米国との同盟を冷戦の遺物としていずれ破棄させる。これが中国の長期的な戦略目標だ」

軍強化には時間

 ――かたくなな外交姿勢は今後も続くのか。

 「胡錦濤国家主席の後継は習近平副主席に決まったが、それ以下の役職に誰が就くかは不透明だ。ポスト争いもある。『弱腰』『売国奴』と言われたい人はいない」

 ――中国の軍事力をどう評価すればよいのか。

 「現時点ではまだ強大というほどではない。近代中国は海洋国家でなかったので、空母や戦艦を建造しても人を育て運用能力を持つまでにはかなりの時間がかかる」

 「中国の当面の目標は米軍事力を相対的に弱めることだ。対空・対艦ミサイルを備えれば、米軍に匹敵する規模の艦隊なしでも米軍の抑止力をそぐことはできる。潜水艦も増やし、中国本土への接近阻止以上のことをしている」

 ――新たな冷戦時代を迎えるのか。

 「冷戦との決定的な違いは、米中が経済的に相互依存していることだ。中国は巧みに世界経済への扉を開き、その一員となった」

協調取り繕う

 ――昨年9月の尖閣での衝突の際、米国は日本に平和的解決を求めた。

 「日中や中韓に緊張が生じるのは米国にとって得策ではない。対立を過熱させるな、というのは自然だ。米国の戦略に関わる人々は日本を心情的に支持していたが、『中国の強硬姿勢は国内向けであり、日本はもう少し上手に対応できた』という気持ちもあった」

 ――中国は北朝鮮の核開発阻止に非協力的だ。

 「北朝鮮を窒息できるのにしない。北朝鮮の行動が中国に役立っている面もあるからだ。『少しやり過ぎ』とは思っているだろう」

 ――19日の米中首脳会談はどうなるか。

 「中国が投資拡大を表明し、米国は歓迎する。政治問題が解決するわけではない。米中関係はもっと悪くなりかねないから、協調を取り繕うものの実際にはほとんど変わらないだろう」(ワシントン=大石格)


<関連記事>

ついにCFRから「ゲーム・チェンジャー」のレッテルを貼られたパンダちゃん
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2010/11/01/5460165

米中G2構想と地球温暖化問題
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/05/11/4298592

「中国救世主論」を信じるな!
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/01/02/

アジアは米国率いる海洋派と中国率いる大陸派に分裂へ、その時新たな冷戦が始まる
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2010/02/22/4898214

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
「カ○スの勝手でしょ」にようこそ♪ 質問:○に入るカタカナ一文字は?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/01/15/5637858/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。