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戴秉国の友をえらばば篠原令、危うさはらむ仙谷主導の全共闘外交、外務省は蚊帳の外2010/10/12 08:55

戴秉国の友をえらばば篠原令、危うさはらむ仙谷主導の全共闘外交、外務省は蚊帳の外


戴秉国から見えてくる尖閣諸島沖衝突事件の真相。

読売が菅首相のものと報じた「民主党には(中国で副首相級の)戴秉国(国務委員)と話せるやつもいない。だからこういうことになるんだ」発言。

読売の報道に対して、「これはおそらく誤報。実際の発言の主は仙谷由人官房長官だったとの情報が届いている」と書いたのは10月2日のこと。どうやら私の情報の方が正しかったもよう。

今回の事件は完全に仙谷主導。細野豪志前幹事長代理を訪中させたのも仙谷なら、10月1日に戴秉国と電話協議を行い、日中首脳会談の事前調整をしていたのも仙谷。

戴秉国と腹を割って話すことができる数少ない日本人である谷内正太郎・元外務省顧問に相談すればいいものを仙谷が頼ったのは全共闘人脈。

新聞各紙は名前を伏せてコンサルタントと書いているが、これは篠原令のこと。細野訪中にも同行していた篠原もまた全共闘の夢を追い、流れついた地は中国とソウルという人物。

仙谷主導の全共闘外交で外務省は蚊帳の外。その結果、廊下で行なわれた日中首脳会議では中国語通訳不在という前代未聞の事態を招くことに。

中国政府関係者でさえ「外交経験のない民主党政権を外交官がプロとして支えるべきだ。民主党政権を担う政治家には、こちらの声がちっとも届いていない」と語るほど危うい仙谷主導。

仙谷と外務省の間で何が起こっているのか。似たもの同士のチャイナ・スクールとの間でまたまた内ゲバ発生か。それとも当時の岡田外相が谷内含む外務省顧問5人全員を退任させたことが影響しているのか。

全共闘外交が導くのは「友をえらばば中国人」。極端に偏れば「中国人しか友がいない」という事態も待っている。

いつの間にやら中国包囲網から日中包囲網へと劇的な進化を遂げているかもしれない。



<「戴秉国」関連記事引用>

▼ 日中首脳会談 仙谷氏主導で調整か 外務官僚、蚊帳の外
2010/10/06 東京読売新聞 朝刊

 菅首相と中国の温家宝首相の会談が4日(日本時間5日)、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議が開かれたブリュッセルで実現したことで、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で悪化した日中関係は改善に向けた一歩を踏み出した形だ。だが、拘束されたままの「フジタ」社員の解放や、レアアース(希土類)の輸出規制の正常化などは依然メドが立っていない。〈関連記事7面〉

 当初、予定になかった首脳会談は、仙谷官房長官らの主導で設定されたとの見方が出ている。

 前原外相は5日の記者会見で「首脳レベルで話をして、目に見える形で糸口を作ったことはよかった」と評価した。その上で、会談が行われた経緯について「外交関係は様々なチャンネルで行っている。今回どのような形で行ったか、コメントは差し控えたい」と、何らかの事前調整があったことをにじませた。

 複数の関係者によると、今回の会談実現は先月下旬の民主党の細野豪志前幹事長代理の中国訪問が端緒を開いたという。細野氏は仙谷氏の知人のコンサルタントが仲介する形で、副首相級の戴秉国(たいへいこく)国務委員と会談し、ブリュッセルでの首脳会談開催につながったとの見方が出ている。仙谷氏は5日の記者会見で、細野氏の訪中に関連して「民主党の若い世代を含め、本音で忌憚(きたん)のない議論のできる関係を作らないといけない」と語った。

 これに対し、外務省の事務方は蚊帳の外に置かれていた。「日中首脳会談は行われない」と判断し、「事業仕分け」絡みで海外出張が制限されていることもあり、通常は日中首脳会談に必ず同席する中国・モンゴル課長と中国語通訳を菅首相に同行させなかった。

 このため、首脳会談では、日本側に中国語を理解する同席者がおらず、温首相の発言は中国側の通訳が日本語に訳して菅首相に伝えるという事態になった。5日に開かれた自民党外交部会では、「温首相が何を言ったかが中国側の通訳を通してしかわからないというのは問題だ」などの批判が噴出した。これを聞いた、ある外務省幹部は「私たちは一切関与していない」と無念そうに語った。

 首脳会談ではハイレベル協議の適宜開催などで合意したものの、中国側が漁船衝突事件後に次々と打ち出した対抗措置を今後どうしていくかは不透明なままだ。菅首相が会談で、「フジタ」社員の解放について取り上げたかどうかも、明らかにされていない。

 両首脳は10月末にベトナムで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席する予定で、それまでに日中関係改善に向けた動きが出るかどうかが、今回の会談の成果をはかる試金石になりそうだ。


▼ 日中会談へ極秘交渉 仙谷ルート、構築
2010/10/06 朝日新聞 朝刊

 4日夜(現地時間)、ブリュッセルの王宮で開かれたアジア欧州会議(ASEM)首脳会合のワーキングディナーの後。菅直人首相と中国の温家宝(ウェンチアパオ)首相の電撃的な日中首脳会談は、たまたま廊下にあったいすに座って偶発的に行われたように演出された。しかし、実際は1日に極秘に行われた菅内閣の要である仙谷由人官房長官と、中国外交を統括する戴秉国(タイピンクオ)国務委員との電話会談が、首脳会談へのレールを敷いていた。

 尖閣諸島沖の漁船衝突事件でもつれた日中関係を修復するため、首相官邸は外務省ルートに頼らず、新たな政治家ルートの構築を探った。仙谷氏は中国側に歩み寄りの意思があることを独自ルートで察知し、9月の民主党代表選で小沢一郎氏を支持したものの、中国人脈をもつ細野豪志前幹事長代理を密使として9月29日に北京に派遣した。

 細野氏は戴氏との会談に成功し、ASEMでの首脳会談の可能性を協議。帰国後、首相官邸に報告し、仙谷氏と戴氏との電話会談につなげた。

 両氏の電話会談では(1)戦略的互恵関係の重要性(2)日中交流の推進――という大枠が確認され、首脳会談への環境整備は整った。その後、細野氏が東京で、仙谷氏の腹心・福山哲郎官房副長官が首相外遊に同行して現地で水面下の交渉を続けた。

 廊下での首脳会談は約25分間に及んだ。急な出来事と装うためか、菅首相の通訳は通常の「日本語―中国語」ではなく、英語だった。両首脳はその場で戦略的互恵関係の原点に立ち返ることにあっさり合意したのだった。

 (2面に続く)

 (時時刻刻)日中、水面下で糸口 両首脳会談

 (1面から続く)

 ●密使・細野氏、協議7時間

 ASEM首脳会合を利用した日中首脳会談は、両国関係の早期改善を望む菅直人首相の強い意向を受けたものだった。実現に向けて、官邸側は周到に準備を進めた。

 動きはじめたのは先月24日、日本側が中国人船長の釈放を決めた頃だ。臨時国会に向けた人事を進める中で鉢呂吉雄国会対策委員長が、衆院厚生労働委員会の筆頭理事に名前が挙がっていた細野豪志前幹事長代理について、国対幹部に指示を出した。「細野氏の役を外しておいてくれ」。この国対幹部は「細野氏は10月1日の衆院本会議に出席できないかもしれない。何か密命を帯びているんだな」と受け止めた。

 細野氏は前原誠司外相グループに所属し、同グループの後見役を任じる仙谷由人官房長官も目をかける。前原氏が代表時代の2005年に訪中した際に同行した経験を持つ。民主党の小沢一郎元代表からの受けもよく、昨年12月に小沢氏が民主党議員約140人を引き連れた訪中では中国側との折衝役を任された。民主党内では数少ない中国人脈の持ち主であることで「密使」として白羽の矢が立った。

 そして27日、菅首相はいったん見送りを決めていたASEM首脳会合に一転、出席を決断。2日後の29日、細野氏が北京入りした。北京国際空港には中国外務省の車が出迎え、そのまま市内の釣魚台迎賓館へ。細野氏のそばには中国外務省の日本担当者が寄り添った。

 中国外務省高官との協議は7時間近くに及び、途中で中国外交を統括する戴秉国(タイピンクオ)国務委員も姿を現した。無役の中堅議員に過ぎない細野氏相手に戴氏まで登場したのは、菅内閣の番頭役である仙谷氏の要請を受けての訪中だったためだ。

 仙谷氏は水面下で中国側に歩み寄りの気配を感じ、日本外務省を通さず、政治家の訪中による解決を探っていた。この協議では「ASEM首脳会合を利用した日中首脳の対話」が話し合われた。

 同じ日、菅首相は、細野氏の訪中をいぶかる周辺に電話で漏らしていた。「あれは仙谷がやっていることだから大丈夫なんだ」

 ●「演説で尖閣触れぬ」約束

 細野氏は1泊だけして30日に帰国。中国側から伝えられた内容をすぐさま仙谷氏らに報告した。だが、官邸のお墨付きを得た細野氏の動きを知り、日本外務省は慌てた。日中外交の主導権が政治家側に奪われてしまうためだ。外務省は外交ルートを通じて中国側に日本政府高官と戴氏の電話会談を要請した。

 この動きを伝えられた仙谷氏は周辺に「そんな話は知らん」と不快感を示していたが、細野氏の訪中でも首脳会談までは定め切れない。そこで、日中双方が歩み寄る形で仙谷氏と戴氏が10月1日、極秘に電話で会談した。関係者によると、両氏が確認したのは(1)戦略的互恵関係の重要性(2)日中交流の推進――の2点。日中首脳会談の実現に向けて大枠は固まった。

 菅首相は3日夜、温首相は4日昼ごろにブリュッセル入りした。最後まで調整が続いたのは、ASEM全体会合で行う両首脳の演説内容だった。「尖閣諸島問題はお互いに直接言及しない」。それが首脳会談の実現に向けた水面下の確認事項だった。仙谷氏や細野氏と親しく、今回首相に同行した福山哲郎官房副長官が現地で極秘で中国側と接触し、演説案に筆を入れ続けた。

 温首相は日本語に堪能な複数の中国外務省幹部を現地に連れてきていた。だが、会議参加者としての登録が間に合わなかったのか、本来の名前とは違う名札をぶら下げている同行者もいた。中国側は「日本側から会談の申し入れはない。首脳会談の予定はない」(政府高官)と繰り返したが、急ごしらえでも対応は取っていた。

 4日夕、菅首相、温首相ともに尖閣諸島問題には触れずにスピーチを終えた。双方はぎりぎりまで互いの姿勢を確かめ合い、その後2時間にわたったワーキングディナーを終えて両首脳が会談した。

 終了後、菅首相は記者団に対して会談を振り返った。「割と自然に、普通に話ができました」

 ●官邸外交に外務省絡めず

 「こっちでは何もしていない」。外務省幹部は5日、首脳会談実現に向けて政治家ルートを稼働させた首相サイドの動きに、あまり絡めなかったことを当惑気味に認めた。

 ASEM首脳会合には中国の担当課長が同行せず、首相には中国語の通訳もつかなかった。首相側には「こちらから日中首脳会談を望むような姿勢は見せない」(周辺)との思いもあったが、自民党の外交部会幹部は「英語を介した通訳で、温首相の発言のニュアンスまでつかめたのか」と批判する。

 そんな足元を中国側も見透かしている。衝突事件があった9月上旬から中旬、中国政府は連日のように日本側へ抗議し、出てきた中国政府高官のレベルも徐々に上げた。最後に登場したのが戴氏だった。中国政府関係者が語る。

 「外交経験のない民主党政権を外交官がプロとして支えるべきだ。民主党政権を担う政治家には、こちらの声がちっとも届いていない」

 官邸と外務省に信頼関係がなく、中国側が外務省ルートの情報が官邸に伝わらないと感じたことが、細野氏ら政治ルートの活用につながった可能性もある。日中交流にかかわる民主党議員は「官邸には外務省が本音の情報を取れていないことへの不満がある。政治家を使い官邸が独自に動くことも良い」と指摘した。

 (政治グループ、ブリュッセル=古谷浩一)

 ●信頼回復、遠い道のり

 温首相 「釣魚島(尖閣諸島)は中国固有の領土だ」

 菅首相 「尖閣諸島はわが国固有の領土であり、領土問題は存在しない」

 首脳会談が実現したとはいえ、冒頭のやり取りは両首脳の応酬だった。

 多民族国家の中国にとって「領土問題」は敏感なテーマであり、取り上げ方によっては世論を刺激しかねない。5日、中国メディアが日中首脳会談を伝えると、ネット上には「また軟弱化。いつも竜頭蛇尾じゃないか」との批判が相次いで書き込まれた。

 日中双方とも、首脳会談の直前まで「腹のさぐり合い」を続けたのは、どちらかが突出して譲歩したと受け止められたくなかったためだ。首相に同行した日本政府関係者は、首脳会談の直前まで「温首相との会談なんてないと思ってもらって結構」と言い続けた。

 温首相は9月下旬、国連総会の演説で「主権と領土の問題で妥協はしない」と言い切った。海洋権益の確保を求める姿勢に軟化の兆しはなく、中国側の対抗措置は完全に解除されたわけでもない。東シナ海のガス田問題も日中交渉の行方は不透明。準大手ゼネコン「フジタ」の社員1人は依然、中国側に拘束されたままだ。

 両首脳は今回、ハイレベル協議を進めることで合意したが、信頼回復を図れるかどうかはこれからだ。10月下旬にベトナムで東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス日中韓首脳会談などが予定され、再び温首相が出席する。11月に横浜市で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議には胡錦濤(フーチンタオ)国家主席の訪日が見込まれ、この機会に正式な首脳会談を設定し、互いにどこまで歩み寄れるかが問われる。

 温首相の欧州訪問に同行した中国政府関係者は5日、今後の日中関係について強い調子で語った。「これからだよ。これから」


▼ 官房長官、中国国務委員と1日に電話協議。
2010/10/06 日本経済新聞 夕刊

 4日にブリュッセルで開かれた日中首相会談に先立ち、仙谷由人官房長官が中国の戴秉国国務委員と電話で協議していたことが明らかになった。関係者によると、電話協議があったのは1日で、両者は「このままではよくない。互いに歩み寄ろう」との認識で一致した。

 仙谷長官は6日午前の記者会見で、戴氏との電話協議について「外交交渉は10年後、20年後に明らかになるかならないかは分からないが、現時点ではノーコメント」と述べ、詳細を明らかにしなかった。


▼ 日中首脳会談:4日の首脳会談、仙谷長官・戴委員が事前調整
2010/10/07 毎日新聞 朝刊

 4日にブリュッセルで行われた日中首脳会談を控え、仙谷由人官房長官と中国外交を取り仕切る戴秉国(たいへいこく)・国務委員が1日、電話協議し、首脳会談に向け事前調整をしていたことが6日、明らかになった。

 沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を巡り、悪化した日中関係の改善を図ろうと、民主党の細野豪志前幹事長代理も9月29日に訪中し、戴氏と会談。仙谷氏との電話協議では日中間で重視されてきた「戦略的互恵関係」の重要性などを改めて確認したとみられ、4日の首脳会談につながった。


▼ 日中首相会談実現の舞台裏、官房長官が主導、二元外交懸念も。
2010/10/07 日本経済新聞 朝刊

 9月下旬から尖閣諸島周辺の日本領海に隣接する接続水域で活動していた中国の漁業監視船が6日、近海から姿を消した。中国に拘束されたフジタの日本人社員はなお解放のメドが立たないが日中改善の兆しも見えてきた。仙谷由人官房長官が公式な外交ルートを通さず、独自のチャンネルで事態を打開したとの見方もできるが、二元外交には危うさがつきまとう。

「あうん」の人選

 仙谷長官が最近口癖とする「あうんの呼吸」と「大人の関係」の独自外交に着手したのは「首相密使」こと細野豪志民主党前幹事長代理の訪中より1週間以上前だった。

 「首相からのお願いだ。内々に中国へ行ってほしい」。菅改造内閣の組閣直後、閣僚の一人は仙谷長官から直々に嘆願されたと打ち明ける。同閣僚は、すぐに中国側との接触を模索する。だが、先方の回答は「中国人船長が釈放されていなければ会えない」だった。

 「外務省は全然ルートを作っていない」といらだつ仙谷長官が次に訪中を依頼したのが、細野氏だった。民主党の小沢一郎元幹事長との関係を心配する中国側の胸中を察した「あうんの呼吸」の人選。懇意の民間コンサルタントを通じ、細野氏と胡錦濤国家主席の側近である戴秉国(たい・へいこく)国務委員との面会を設定。仙谷長官も「細野は小沢じゃない。あいつは本当は違うよ」と細野氏を信頼していた。

外務省はずす

 一方の中国。中国外務省は日本の外務省の意向を気にした。そこで仙谷長官が持ち出したのが「大人の関係」。中国側に「自分が関与したことは口外しない」と固く約束したという。

 「このままではいけない。互いに歩み寄りましょう」。1日夜、仙谷長官は細野氏の帰国を受けて戴氏と電話で協議。この電話がブリュッセルでの日中首相の「会談」に導いた。外務省はこの会談について「関知していない」と話す。

 ただ“政治主導”の外交は危うさもはらむ。4日の首相「会談」では領有権を巡る首相間の応酬に持ち込まれ、日中間で領土問題が存在すると受け止められかねない既成事実が積み上げられた。


▼ 民主・細野氏、先月の訪中、「日本の立場きちんと説明」。
2010/10/08 日本経済新聞 朝刊

 民主党の細野豪志前幹事長代理は7日、BS朝日番組の収録で、9月下旬の訪中について「交渉ではこれ以上、絶対引かない線を設定しないと御用聞きになる。押し込まれないように注意した」と語った。尖閣諸島の領土問題は存在しないとの日本政府の基本姿勢を前提に交渉にあたったことを示唆した発言だ。

 細野氏は尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件発生を受け、9月29日に北京を訪問し、戴秉国(たい・へいこく)国務委員ら中国政府高官と会談した。

 細野氏は北京訪問について「誰と会ったかも言えない」と詳細な説明を避けた。ただ「私は当事者ではないが、日本の政治家なので、日本の立場をきちんと説明する必要はあった」と強調した。


▼ 官邸、独自の中国ルート 高橋さん解放へ 「尖閣」言及回避
2010/10/10 東京読売新聞 朝刊

 政府は9日、中国国内で拘束されていた中堅ゼネコン「フジタ」の社員全員が解放されたことで、日中関係の改善の兆しがより確実になったとみて歓迎している。複数の政府関係者によると、解放に至る過程では、菅首相や仙谷官房長官らが、独自の「中国ルート」を駆使して戴秉国(たいへいこく)国務委員を中心とする中国側に働きかけを行ったという。〈本文記事1面〉

 「いろんなことが元通りに戻っていくと思う」

 菅首相は9日夜、首相公邸前で記者団に対し、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で悪化した日中関係がようやく正常化に向かうとの見通しを示した。

 日本政府関係者によると、4日に実現した日中首脳会談で、中国の温家宝首相は「フジタ」の高橋定さんの解放については直接言及しなかったが、会談の調整段階での中国側の対応から、日本政府は「解放は近い」との感触を得ていた。

 中国側は「尖閣とフジタの問題はリンクさせない」との立場のため、日本政府は「解放は首脳会談の直後ではなく、数日間かかるだろう」とみていた。ただ、具体的にいつ解放されるかは、9日午後に堀之内秀久中国公使が中国外務省に呼び出されるまで、把握できなかった。

 菅政権の「中国パイプ」はひそかに築かれた。間に入ったのは、副首相級の戴秉国国務委員に通じる人脈を持つ仙谷氏らの知人だった。こうした仲介を受け9月下旬に訪中した民主党の細野豪志前幹事長代理らを通じて、菅首相の下には、中国側の「本音」の一端が伝えられた。中国は、首相が中国の「謝罪と賠償」要求には「全く応じるつもりはない」などと発言したことについて、「あんなことは言わせないでほしい」と不満をぶつけてきたという。

 これを踏まえ、首相はまず、1日の臨時国会での首相の所信表明演説で、尖閣諸島問題について直接言及するのをやめた。さらに、4日のブリュッセルでのアジア欧州会議(ASEM)首脳会議での演説では、草案にあった「(尖閣諸島問題では)国際的な世論は日本を支持している」といった記述を丸ごと削除し、中国側に間接的なメッセージを送った。

 効果はてきめんだった。ブリュッセルでの演説から数時間後、衝突事件後初の日中首脳会談が実現し、その後、フジタ社員が解放された。

 だが、日中対立の火種はなお残っている。前原外相は9日、岡山県玉野市内で記者団に対し「これほど長い間、監視に置かれていた理由が全く判明していない。中国側に詳しい理由の説明を求めていきたい」と強調した。


▼ フジタ社員釈放、手探り外交に危うさ、官邸・外務省に溝―日中修復、なお懸案多く。
2010/10/10 日本経済新聞 朝刊

 中国当局が9日、最後まで1人残ったフジタの日本人社員の拘束を解き、日中関係はひとまず修復に向けた一歩を踏み出した。4日の両国首相による「会談」で合意した閣僚級や民間交流の再開にも弾みがつく見通しだ。一連の対中交渉の過程で仙谷由人官房長官は独自ルートに頼った外交を展開。蚊帳の外に置かれた外務省と確執を深めた。(1面参照)

 「本当にほっとしている。いろんなことが元通りになるのではないか」。菅直人首相は9日夕、日中関係の修復に期待を示した。首相公邸前で記者団に答えた。

■ハイレベル交流再開

 釈放などを受け、まず11日の日中防衛相会談でハイレベル交渉が再開する方向だ。11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議をにらみ、菅首相も胡錦濤国家主席の訪日までに関係を修復させる思惑がある。

 日中関係はひとまず難所を乗り越えた形だが、懸案はなお多い。尖閣諸島を巡る両国の主張は対立し、東シナ海ガス田の共同開発も先行き不透明だ。レアアース(希土類)輸入での過度な中国依存、遺棄化学兵器処理、歴史認識の違いに根ざす反日感情などの課題も事件は浮き彫りにした。

 首相官邸と外務省にも深い溝が生まれた。

 「外務省は中国とのパイプがまったく機能していない」。9月中旬、中国の対日姿勢がエスカレートする中、仙谷長官は周囲にいら立ちをぶつけた。実際、このころ中国政府は駐中国日本大使館や日本の外務省との交渉を断絶していた。

 日中外交筋によると伏線は9月12日未明に戴秉国(たい・へいこく)国務委員が丹羽宇一郎大使を呼び出した事件。日本では「未明の呼び出しは無礼」と受け止められた。中国側は当初、11日午後6時の会談を申し入れたが調整がつかず、12日未明の会談になったという。その経緯を伏せた日本側に戴氏は激怒し、日本大使館との交渉を打ち切ったという説明だ。

■急造チーム奔走

 仙谷長官が旧知の仲である中国通の民間コンサルタントを通じて独自に戴氏との交渉を模索し始めたのはその後。新たな外交ルートを探っていた中国側と思惑が一致し、細野豪志前幹事長代理の極秘訪中につながった。

 「日中首相会談に向けた交渉は外務省には極秘で進められた」。外交関係者はこう語る。福山哲郎官房副長官やコンサルタントなど急ごしらえの“仙谷外交チーム”が奔走した。1日、外務省は官邸独自の対中交渉の内容を把握するため、戴氏と長官の電話協議を準備したが、仙谷長官は外務官僚らの前での電話協議では一切、日中首相会談の準備などは口にしなかったという。

 首相官邸が外務省に不信感を抱き、官房長官の人脈に依存した外交を展開していることが知れ渡れば、外務省による他国との交渉に与える影響は甚大だ。政府内が一枚岩でないと見透かされれば「相手国につけいるスキを与えかねない」と、外務省関係者は菅政権の外交の危うさを指摘する。


<「篠原令」関連情報引用>

▼ <フロントラインFOCUS>
安全保障スペシャリストに聞く・尖閣で激震!どうする日中外交
2010/10/03 エムデータTVウォッチ

民主党・長島昭久氏、自民党・石破茂政調会長がスタジオ生出演。日中問題を生激論。民主党・細野豪志前幹事長代理が29日中国北京入り。同行した篠原令氏を紹介。渋澤栄一氏の孫・渋澤正一氏の秘書を経験、小渕恵三元首相が提唱した日中緑化交流基金の設立に尽力。細野氏が訪中した翌日フジタ社員3人が解放された。未だ1人は拘束されている。尖閣諸島沖中国漁船衝突事件を巡って国会論戦が激しさを増した。民主党・三宅雪子氏、自民党・徳田毅氏を紹介。中国の対応、尖閣問題の実態と対策について討論。日中関係の最近の動き、尖閣諸島周辺でのトラブルについて解説。朝日新聞によると、日中防衛当局間の危機回避ホットラインなどの海上連絡メカニズム構築の動きがあるが進まない。【コメント】段躍中氏(日本橋報社・編集長)、伊藤惇夫氏(政治アナリスト)、宮坂聰氏(ジャーナリスト)、民主党・原口一博氏【議会・演説】自民党・小野寺五典氏、仙谷由人官房長官、民主党・枝野幹事長代理【ゲスト】民主党・長島昭久氏、自民党・石破茂政調会長【解説・コメンテーター】星浩氏(朝日新聞・編集委員)

[放送データ]
放送日: 2010/10/03
TV局: テレビ朝日
番組名: サンデー・フロントライン


▼ 篠原令著書『新編・中国を知るために』刊行特集 本日配信
http://duan.exblog.jp/11881885/

【著者紹介】篠原令、1950年生まれ。早稲田大学中国文学科卒業。シンガポール南洋大学、韓国ソウル大学留学。澁澤栄一翁の孫、澁澤正一氏の秘書を経て米国の生命保険会社のアジア担当。その後、米国シリコンバレーでハイテクベンチャー企業の設立に複数参加。八十年代末に拠点を中国に移し、アスキー、セコムなどの中国進出を手がけ、大手企業の中国進出のコンサルタントを続けて今日に至る。その間、中国緑化のための100億円小渕基金の設立、日中緑化議員連盟の設立などにも関与。著書に「妻をめとらば韓国人」(1999年、文藝春秋)、「友をえらばば中国人」(2002年、阿部出版)などがある。


▼ 『妻をめとらば韓国人!?』(篠原 令・著) 単行本
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163548906

全共闘の夢を追い、流れついた地はソウル。韓国の女性と結婚して初めて判った秘密の数々。抱腹絶倒ペーソス漂う日本人亭主の手記


Enjoy Difference 人と人との関係
http://jobstreetjapan.blogspot.com/2006/10/blog-post.html


<画像引用>

Amazon.co.jp: 友をえらばば中国人 篠原 令 本
http://t.co/hLIFvNR


<関連記事>

<尖閣諸島沖衝突事件と戴秉国> ミスを重ねた岡田克也の責任問題大浮上!?
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2010/10/02/5380524

コメント

_ とら猫イーチ ― 2010/10/12 14:09

>今回の事件は完全に仙谷主導。

す、鋭い。 でも、言外に認めているような発言がありましたね。 中国は、思っているでしょうね。 「法治主義なんて、何を偉そうに言うんだよ。 我が国と同じじゃねーか。」って。
 例の、「シュクシュクと。 シュクシュクと。」の折にも感じましたが、日本は「法治主義」ならぬ「法痴主義」の国になりました。 
外交の責にある行政機関なんか蚊帳の外で、何んとかの筋、とか「菅」とかの筋、とかで外交をするんでしょうか。

_ ロッキーホラーショー ― 2010/10/12 15:26

外交の責にある行政機関

外交の責を第一義的に担うのは、外務官僚ではなく、首相であり、その官房である内閣官房長官であり、外相でしょう。官僚の仕事は大臣なり長官を助けることであって、自らが最終的な意思決定するべきものではない。
今回の騒ぎ、内閣の閣僚が預かりしらぬところで現場の職員なり外務官僚なりが勝手に動いていたのではないかと疑っていたのですが、どうやら閣僚による統治は何とか働いていたようでほっとしています。

_ とら猫イーチ ― 2010/10/12 19:05

 私が「外交の責にある行政機関」で皮肉ったのは、外務大臣を無視した外交ルートで、中国と政治決着を謀りつつある菅・仙石ラインを揶揄したのです。 
 民主党の中でも親中派と親米派が暗闘をしていますし、外務官僚の心中が何処にあるかは、これからの右派大臣の力量と合せて観物になるでしょう。 
 そもそも、一連の出来事は、前原のクーデターにも似た思惑からでしょうが、海保も良い迷惑です。 どちらにしても、民主党には、統治能力なんかありません。 逆説的ですが、官僚機構が、何時まで持つかで日本の命運も決まるのではないでしょうか。

_ ロッキーホラーショー ― 2010/10/13 18:50

本音では、今の日本の政治家のレベルからして、官僚機構の担ぐ御輿から勝手に飛び出さないでね、という派なんですが、何しろ関東軍を制御できずに国際社会から爪弾きにされた前科のある国ですので、総理や大臣が統治している格好だけはつけてほしい、という趣旨なんでご容赦を。
あと、官の役目は大臣を助けるだけ、というのも検察庁の起訴権独占と旧大蔵省の予算編成権だけは例外扱いだったようですが、そうもいかなくなってきてますね。

_ とら猫イーチ ― 2010/10/13 21:08

ロッキーホラーショー様。 あー。 やはりね。
 私も、日本の官僚機構は、使う立場から観れば、こんな便利なものは無い、と思うのです。 例えば、その昔、欧州から来られた地方自治の研究者が、地方へ出向かなくても、東京だけで、日本各地のデータを集められる事情に驚嘆したことがありました。
 要は、政治が官僚(機構)を制御出来るかどうか、だと思います。 日本経済と金融の専門家である野口教授が、官僚は政治家が使いこなすものである、と喝破されておられるとおりであると信じています。 
 菅首相は、少しはその経験があるので、鳩ポッポよりはマシかなと思ったのですが、身内の武闘派を統制出来ないようではこの先は危ないのでは? 外務省は、親米派で固めているようで、前原には絶好の地盤ですので、手ごわいでしょうし。

_ Y-SONODA ― 2010/10/14 09:13

とら猫イーチさん&ロッキーホラーショーさんへ

今やなんとなく官僚叩けば人気者。
民主党などは人気取りで官僚批判をしているようにも見えるのです。
確かに外務省にも変なのがいると聞く。よって改革は必要とは思う。
よって、改革をしながらもうまく使いこなせよと。
うまく使いこなす・・・ここが肝心。
特に外交や安全保障などはいくら政治家が頑張っても限界があるのではないかと。
このあたりの風潮が民主党にしてもメディアにしても極端過ぎるのではないかと心配しています。

_ ロッキーホラーショーさんへ ― 2010/10/14 14:17

スパム削除の際にロッキーホラーショーさんのコメントを間違って消したかも。誠に申し訳ありません。なお、ここ数日スパム攻撃が続いているので、当面コメントも内容確認後の公開にします。 園田

_ 読書 ― 2010/12/11 04:59

篠原氏の本を見ましたが、「友を選ばば中国人」の意図は、
『朝鮮人は友達だと思ってもすぐ裏切るが、中国人は任侠の徒なので友達になれば裏切らない』という話なんですよ。

_ Y-SONODA ― 2010/12/13 08:23

読書さんへ

>篠原氏の本を見ましたが、「友を選ばば中国人」の意図は、 『朝鮮人は友達だと思ってもすぐ裏切るが、中国人は任侠の徒なので友達になれば裏切らない』という話なんですよ。

私も篠原本を多数取り寄せて読みましたが、そのようなことを書いていますよね。
ただし外交は別。国と国との話し合いでは「任侠の徒」など通じないと思いますよ。

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