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日経論説委員長も「落ちるところまで落ちるのも手かもしれない」2010/09/07 08:02



池田信夫氏に続いて、日経論説委員長の平田育夫氏も。


<関連記事引用>

大空位時代に入る政治――弱い“王”で改革は進まず(核心)
2010/09/06 日本経済新聞 朝刊

論説委員長 平田育夫

 来週の民主党代表選で誰が選ばれようとも、その先の日本の姿は見えてきたように思える。

 菅直人氏と小沢一郎氏の確執は続くし、民主党は参院で過半数に達しておらず、政権は二重の弱さを抱える。小沢氏側では野党の一部とも組み新しい政治勢力をつくる動きもあるようだが、改革への強い志と指導力がなければ日本をよくする政権はできない。

 あえてたとえるなら大空位時代の到来か。日本経済の力が衰えていくなかで、必要な決断をできない。そうなれば悲劇だが、それを避ける道はまことに狭い。

 13世紀半ば、今のドイツの神聖ローマ帝国では2人の皇帝候補がいたが、ともに即位できず、空位が20年近く続いた。国内は麻のごとく乱れ、諸侯や聖職者は好き勝手に領土の拡張や権力獲得に動く。元祖、大空位時代である。

 戦前の日本では第2次若槻礼次郎内閣の下、関東軍が主導し満州事変を起こした。若槻は前任の浜口雄幸ほど指導力がなく軍部の暴走を抑えきれなかった。これも大空位に似ている。

 独裁者の専横は論外だがリーダーの力が弱すぎるとさまざまな勢力が自己主張を強めて、国は道を誤る。歴史の教訓である。

 もう一つ例を挙げれば、サッチャー英元首相の前任者、労働党のキャラハン首相だ。苦労人で人気はあったが、充実した社会保障や基幹産業の国有化などに起因する英国病が高じてストが多発。医師や看護師も加わって病院も機能しないありさま。それに対し労働党内の抗争もあり有効な対策を取れなかった。

 わが民主党政権も同じ道に迷い込むかにみえる。

 すでに菅首相は弱いリーダーだ。参院選敗北後、小沢氏らの批判を受けて、消費税増税をめぐる発言のトーンを弱めたほか、何かと口を慎んでいる。

 もし菅氏が代表選に勝っても党内の対立を修復するのは容易でない。新勢力を結集する小沢氏の動きが加速するという見方もある。政権運営が難航するようなときに首相を脅かす存在となる可能性もあろう。

 一方、小沢氏が民主党の代表、首相に選ばれれば、「政治とカネ」の問題を野党に追及され国会は荒れる。党内対立も深まる。

 さらに小沢氏が首相になっても、政権基盤の弱さが劇的に変化しない限りは、ばらまき色の強いその政策も変わるまい。今の日本に必要な種々の改革実行へ強いリーダーシップを発揮できるか、大いに疑問だ。

 先週の公開討論会でも、経済成長に欠かせない規制緩和や、農業市場の開放と自由貿易協定などに具体的には触れなかった。

 小沢氏はテレビ朝日の番組で、法人税を減税するならば社員への配分を増やすべしという考えを述べた。企業が国際競争に生き残れるよう負担を軽くするという発想では必ずしもない。

 同氏のいう補助金の一括交付金化の方向はよいが、

補助金には教育など減らしにくい経費も多く、歳出の削減効果は限られる。

 菅首相も成長や財政再建の道筋とそのための改革を明確に述べていない。どちらがこの国を担うとしても行き詰まり感が強い現状を打破する強いリーダーにはならないとみる。

 過去2年で名目国内総生産は8%近く減り、パソコン、液晶パネル、粗鋼などで世界3位以内に日本企業はいない。財政状況は南欧諸国もびっくりの悪さ。

 坂本龍馬ではないが、日本の洗濯、それもゴシゴシと脂やアカをこすり取る大洗濯が今こそ要る。

 強い指導力を確立するにはどんな手があるのか。歴史に範をとってみよう。

 戦後、フランスの第4共和制は大統領の権限が弱いうえ、小党が乱立し政局が不安定だった。それを変えたのがドゴール元大統領。国民投票で憲法を改正して大統領の権限を強め、アルジェリア独立問題の解決などに手腕を発揮した。

 日本国憲法は簡単には変えられないので、同じ手法は難しい。

 あまり期待されていなかったサッチャーさんが強い首相になったきっかけは、フォークランド紛争だ。南米にある英領の島に近くのアルゼンチン軍が上陸すると同首相は1万2000キロ離れた本国から兵を送って徹底的にたたき、国内で絶大な信頼を得た。

 これもしかし、現代日本で使える手ではない。

 財政再建に成功したカナダの例はどうか。クレティエン元首相は野党党首だった1993年、果敢にも財政赤字の削減を公約に掲げて選挙に勝ち、政権に就いて赤字を大幅に減らした。

 最近では今春の総選挙で過半数に満たなかった英保守党のキャメロン首相が、自由民主党と連立を組み、増税や歳出削減、学校・警察制度などの見直しを大車輪で進めている。

 これらに共通するのは、国力が衰えることへの危機感と、改革をいとわない指導者の気概である。

 ともに日本の指導者に欠けているもの。多くの有権者にも欠けているとあればやむを得ない面もある。

 そうであれば、この際、すべてを放置して落ちるところまで落ちるのも手かもしれない。暴論と言うなかれ、お手本はある。

 アジア通貨危機で経済が大混乱に陥ったものの、危機感を強めた政府と企業の努力で、電機と自動車を中心に立ち直った韓国だ。

 弱いリーダーにあえて利点を見いだすとすれば、国民の危機感が高まること。リスクは大きいが……。

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