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小沢一郎は強制起訴されるのか? 東京第五検察審査会(第五検審)に潜む闇(AERAより)2010/07/23 08:02

小沢一郎は強制起訴されるのか? 東京第五検察審査会(第五検審)に潜む闇  毎日=クローズアップ2010:陸山会事件 検察審、小沢氏を縛る 「3度目」議決、今秋か より


<関連記事引用>

検審開かせない「張本人」 スクープ・小沢氏政治資金規正法違反事件
2010/07/19 AERA

 小沢一郎前幹事長は市民に法廷に立たされるのか。

 注目を集める検察審査会の議論が進まない。本誌は理由をつかんだ。

 小沢一郎・民主党前幹事長が執念を燃やしていた参院選終盤の7月5日、一枚の上申書が東京第五検察審査会(第五検審)に提出された。出したのは、小沢氏の代理人弁護士だった。

 「収支報告書は秘書任せで、小沢氏に絶大な命令権限などない」

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件について、小沢氏の関与を否定する内容だった。

 小沢氏を強制起訴するか否か。

 その判断は今、抽選で選ばれた第五検審の11人の市民に委ねられている。

 第五検審は定期的に開催されている。だが、別件の議論が続いているとみられ、陸山会事件を審議している様子は見受けられないのだ。

 一体、どうなっているのか。

 ●検察は2度不起訴

 その理由を本誌はつかんだ。そのスクープは後述するとして、これまでの経緯を簡単に振り返っておく。

 東京地検特捜部は昨年3月、西松建設の政治資金規正法違反事件で「陸山会」を家宅捜索。押収した通帳記録の分析などから、2004年10月に当時秘書だった石川知裕衆院議員が都内の土地購入の原資として、2週間の間に4億円を陸山会に入金していたことを突き止めた。その4億円は、政治資金収支報告書には記載がなく、特捜部は胆沢ダム受注に絡むゼネコン各社からの裏金との疑いをもった。

 世間の関心を集める中、特捜部は今年1月、石川議員を逮捕。直後に市民団体が小沢氏本人を同法違反で告発した。特捜部はこの告発を理由に小沢氏本人を2度聴取した。小沢氏は関与を否定したが、当時秘書だった石川議員は自らの関与を認め、政治資金収支報告書は「小沢氏の了解を得て提出した」との調書に署名した。検察は石川議員を起訴し、小沢氏は不起訴処分とした。

 同じ市民団体は、小沢氏の処分を不服として、直後に東京の検察審査会に「起訴相当」の議決を求める申立書を提出。第五検審が担当することになった。検察官の意見を聞いたり、補助弁護人の意見を聞いたりした結果、4月27日に起訴相当との議決を出した。

 議決書には不起訴処分にした木村匡良主任検事の名前と、検察審査会の議決書の作成にかかわった審査補助員・米澤敏雄弁護士の名前が記載された。

 検察庁はこれを受けて、再捜査。石川議員、小沢氏本人にも再聴取したが、1カ月もたたない5月21日、

 「基本的な証拠関係に変動はなく、小沢議員が共謀したと認めるに足る確証は得られなかった」

 として、小沢氏をあらためて不起訴処分とした。

 ●強制起訴の「公算大」

 再び、議論の場は第五検審に移った。もう1回、起訴相当が議決されれば、小沢氏は強制起訴される。刑事被告人となれば、小沢氏の政治生命は絶たれる可能性が高い。

 2回目の不起訴処分にあたり、検察は新証拠を出していないから、新たに審議する内容はほとんどない。1回目の議決(4月27日)は、11人のメンバー全員一致と報じられた。起訴相当を決める議決には、11人中8人以上の賛成でいい。

 とすれば、第五検審のメンバーが変わらなければ、同じ議決が出る可能性が高い。つまり強制起訴というわけだ。

 では第五検審のメンバーはどうなっているのか。4月27日に議決したメンバー11人のうち、6人が5月に入れ替わり、7月いっぱいで残る5人も代わる=詳しくは79ページのチャート下。

 前回、全員一致であれば、5人は起訴相当と考える可能性が高い。新たに入ったメンバーも最初から議論していたメンバーに同調するのではないか--。専門家の間では、小沢氏が再び起訴議決を受け、強制起訴される公算が大きいという見方が広がった。

 ●弁護人不在二つの理由

 ところが、本誌の取材で、議決に必要な「審査補助員」が、第五検審では空席となっていることがわかった。

 実は検察審査会法では、2回目の審議では、弁護士である審査補助員の助言を得なくてはならないと定められている。審査補助員がいないと、議決できないのだ。

 しかし、関係者によると、1回目に務めた米澤弁護士が審査補助員を降りてしまった。

 米澤弁護士が所属する事務所に尋ねると、「検察審査会の件については、一切お答えできません」との答えが返ってきた。

 米澤弁護士は、検事を5年務めたあと、30余年にわたり、裁判官を務め、退職後、弁護士となった。弁護士会を介し、第五検審の審査補助員をつとめることになったようだ。

 しかし、起訴議決の議決書で名前が公開された後、激しい攻撃が起きた。

 所属事務所が「麻生総合法律事務所」という名前で、事務所のパーティーに自民党幹部が出席していたことなどを理由に、インターネット上で、「ヤメ検弁護士が小沢氏を起訴するよう市民を誘導した」などと、激しい批判にさらされた。

 もう一つ理由があった。

 法曹関係者によると、4月27日の議決直後に評決が11対0の全員一致だったとする報道をめぐり、「市民団体」が東京地検に、米澤弁護士ら多数の関係者を検察審査会法の守秘義務違反で告発状を出したのだ。検察はこの告発状を受理しなかったとみられる。

 評議の内容は法で守秘義務が課されている。

 だが、こうした告発の動きがあれば、審査補助員を受けようとする弁護士にかかるプレッシャーは絶大だ。大きな負担があるのにもかかわらず、審査補助員の報酬は一回3万5千円しかない。ある弁護士は言う。

 ●告発状で議論白紙に

 「そういう状況では、米澤さんが2回目の審査補助員をする気にはなれないでしょう。政治的な色がついた弁護士はふさわしくないし、政治に巻き込まれたくない弁護士もやりたくない。このままではいつまでたっても審査補助員は決まらず、第五検審は宙ぶらりんのままです」

 審査補助員の不在で、7月中の議決は絶望的な情勢になった。8月になれば、また半数のメンバーが入れ替わる。

 7月中のメンバーなら、起訴相当と考えるとみられる人数は、4月の議決の際の5人は確実。さらに新しく加わった6人のうち半数が起訴相当と考えれば、強制起訴となる計算だった。

 一通の告発状が出された結果、小沢氏の最初の起訴議決にかかわった人間はすべていなくなり、再びまったく新しいメンバーが起訴すべきか検討することになった。議論は白紙に戻ったとも言える。

 関係者の間では、「小沢氏強制起訴」の可能性は以前より低くなった、とする見方が強い。

 法曹関係者はこう指摘する。

 「最初に陸山会事件で、小沢氏を告発した人は、反小沢的な考えの持ち主。今回、米澤氏らを告発しようと動いたのは、親小沢的な考えの持ち主でしょう。

 どちらの結論が出るにしても、告発した『市民団体』の政治的意図を知りえないまま、検察審査会が政治利用されている。現行の検察審査会制度に何らかの問題があることが、今浮き彫りになってきたのではないでしょうか」

 (編集部 三橋麻子)

 <検察審査会>

 くじで選ばれた11人の市民が、検察官の不起訴処分が妥当か審査する仕組み。任期は半年で、3カ月ごとに半数が変わる。議決は3種類。11人中6人以上が不起訴が適切とすれば不起訴相当▽6人以上が起訴すべきとすれば不起訴不当▽8人以上が起訴すべきとすれば起訴相当となる。起訴相当の場合、検察官が再捜査。不起訴とした場合、検察審査会が再び審査する。改めて起訴相当と議決すれば、その容疑者は必ず起訴される。小沢氏は2回目の審査中


▼以下抜粋引用

■小沢氏いつ強制起訴?政界が見守る検察審査会
2010/07/19 プレジデント

政局 小沢氏いつ強制起訴?政界が見守る検察審査会

 小沢一郎・民主党前幹事長に対する東京第五検察審査会の議決に、政界の注目が集まっている。

 小沢氏は、自らの政治資金管理団体の政治資金規正法違反(虚偽記載)事件の共犯容疑で告発されたが今年二月、検察庁は小沢氏を不起訴にした。ところが、市民で構成される審査会は検察処分を覆し「起訴相当」を議決。検察庁が五月下旬に再び小沢氏を不起訴にしたのを受け、審査会の再審査が行われる。もし、審査会が二度続けて起訴相当を議決すると、小沢氏は強制起訴され刑事被告人になる。

 小沢氏周辺は、「強制起訴されて被告人になったら脱小沢路線の菅直人首相が勝負に出て、小沢氏に議員辞職を促すのでは」と警戒するが「菅首相の“辞職勧告”がなくても、刑事被告人になった段階で小沢氏の政治生命は事実上絶たれる」(民主党幹部)との見方もある。

「政界は非情。小沢氏の政治の師、田中角栄元首相はロッキード事件で刑事被告人になり、やがて側近らの造反によって政治生命を失った。刑事被告人になった途端、小沢チルドレンたちの小沢離れが進むのは避けられまい。いずれ政界の“小沢神話”は崩壊し、師匠の角栄氏と同じ道を歩むのでは」と先の幹部は言う。

 審査会の議決の時期について、政界では「参院選(七月一一日投開票)の前に議決が出たら、議決の内容いかんにかかわらず国民の投票行動に大きな影響が出る。仮に七月中に出るとしても、参院選後の七月末だろう」(民主党国会議員)との見方が強いが、複数の法曹関係者によると「七月中の議決の可能性は極めて低く、早くても八月以降」になる模様だ。

 審査会に詳しい法曹関係者が言う。

「検察審査会の審査員は市民から選ばれるため、法律の専門家である弁護士の補助が必要。ところが、四月の起訴議決時の弁護士が退任した後に新たな弁護士が選任されていないらしく、実質的審査はこれからという。これでは七月末までの議決はとても無理。早くて八月か九月。一一月までずれ込む可能性もある」

 審査会の議決の時期は、九月の民主党代表選にも大きな影響を与える。議決を待つ身の小沢氏が代表選に立候補することはほぼありえないが、九月までに議決が出ない場合、小沢氏は影響力を保持し、田中真紀子元外相らを擁立して菅氏に対抗するとみられる。審査会の動向を政界は固唾を呑んで見守っている。


■検察審議決、04・05年なお焦点、小沢氏、身動きとれず。
2010/07/16 日本経済新聞 朝刊

では強制起訴がありうるもう一つの検察審の判断はいつか。04、05年分を扱う第5検察審の2度目の議決は8月以降となる公算が大きい。検察審は国民からくじで選ばれた11人の審査員で構成する。第5検察審は4月末で6人が交代し、残る5人も7月末で任期切れになる。1回目に小沢氏を全員一致で「起訴相当」とした11人全員が7月末までにかわる。1回目のメンバーが残っている段階で結論を出せば、強制起訴の可能性は高いとみられていた。メンバー一新なら白紙からの再始動となり「結論は不透明」(法曹関係者)だ。


■クローズアップ2010:陸山会事件 検察審、小沢氏を縛る 「3度目」議決、今秋か(画像引用)
2010/07/22 毎日新聞 朝刊
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20100722ddm003010115000c.html

小沢氏が強制起訴されるかどうかは第5審査会の第2段階の審査にかかる。「起訴相当」と議決した11人中6人は4月末で任期を終え、残る5人も7月末で任期が切れる。小沢氏側の弁護士は「審査開始は8月以降。2度目の議決は次に審査員の半数が任期切れを迎える10月ではないか」とみる。