スマートグリッドにも忍び寄るガラパゴス ― 2010/07/05 09:18
7月3日に共同通信が配信した「次世代送電網で国際組織 米主導で標準規格づくり」との記事。中核となる国際組織は「国際スマートグリッド行動ネットワーク = International Smart Grid Action Network 」(ISGAN)。
今月19~20日にワシントンで開かれる初のクリーンエネルギー閣僚級会合での立ち上げ発表を目指しているとか。
海外サイトでもISGANに関する情報は共同記事に基づいたものばかり。そのため共同以上の情報は入手できない状態。
韓国やイタリアが米国とともにISGANの中核を形成。そうした中で日本は何やら出遅れている模様。
そのため共同は「海外への自国技術売り込みを目指す日本も参加を検討しているが、国際標準化の流れに乗り遅れれば、日本企業の商機を失うことにもなりかねない」との警告も発している。
日本政府の新成長戦略でもスマートグリッドは最重要事業。しかし、中国に歩み寄ったところで国際標準などありゃしない。
そういえばNTTグループは随分前から現在のスマートグリッドに通じる事業を熱心に手掛けていた。NTTとガラパゴスの相性が大いに気になるところ。スマートグリッドもガラパゴス化するのだろうか。
<関連記事引用>
次世代送電網で国際組織 米主導で標準規格づくり
2010.07.03 共同通信 (全719字)
【ワシントン共同】エネルギー分野への投資拡大を通じ、新たな需要と雇用創出を目指すオバマ米政権が主導し、次世代送電網「スマートグリッド」の規格づくりや技術開発を推進する国際組織の発足を目指していることが2日、分かった。米政府関係者が明らかにした。
国際組織づくりは規格の標準化を進めて市場規模を拡大、新エネルギー事業における主導権を握るのが狙い。スマートグリッド推進を重点事業の一つと位置付けるオバマ大統領のエネルギー戦略を後押しする効果もありそうだ。
日本政府は新成長戦略で海外展開を含む環境ビジネスの拡大を掲げており、次世代送電網を最重要事業と位置付けている。
米政府関係者によると、国際組織は「国際スマートグリッド行動ネットワーク」(ISGAN)。今月19~20日、ワシントンで開かれる初のクリーンエネルギー閣僚級会合での立ち上げ発表を目指しており、関係国が最終調整している。閣僚級会合に日本は環境省などからの出席を予定している。
原子力を柱にクリーンエネルギー事業の育成を官民一体で進める韓国や、次世代電力計「スマートメーター」の普及に成功したイタリアも米国とともにISGANの中核を形成。国際エネルギー機関(IEA)や国際標準化機構(ISO)とも連携し、具体的な行動計画を策定する方針。
設立当初の年間費用は約800万ドル(約7億円)で、参加国が拠出。/(1)/国際標準化の推進/(2)/財政支援枠組みや関連規則づくり/(3)/新技術の研究開発/(4)/人材育成-の各分野で作業部会を設置し、各国は関心のある分野を選んで参加する。
海外への自国技術売り込みを目指す日本も参加を検討しているが、国際標準化の流れに乗り遅れれば、日本企業の商機を失うことにもなりかねない。
太陽発電2社に20億ドル オバマ米大統領が発表
http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010070301000805.html
【ワシントン共同】オバマ米大統領は3日、週末恒例の国民向けビデオ演説で、太陽エネルギーによる発電事業を進める2社に対し、エネルギー省が約20億ドル(約1750億円)の資金供与を行うと発表した。
金融危機を受けて成立した景気対策法に基づく措置。2社のうち、1社は世界最大級の太陽発電プラントをアリゾナ州に建設する計画で、もう1社はコロラドとインディアナ州に計二つの関連プラントを建設中。
オバマ米政権はクリーンエネルギーや関連インフラへの投資を拡大し、新たな需要と雇用を創出しようとしている。米政府関係者によると、こうした計画の一環として、次世代送電網「スマートグリッド」の規格づくりや技術開発を推進する国際組織の発足を目指している。
<関連記事>
▼「国際スマートグリッド行動ネットワーク」(ISGAN)=International Smart Grid Action Network について
US Planning International Smart Grid Network
http://www.smartmeters.com/the-news/1067-us-planning-international-smart-grid-network.html
LEAD: U.S. eyes launching int'l entity for next-generation power grid
http://www.istockanalyst.com/article/viewiStockNews/articleid/4276132
▼最新中国スマートグリッド事情
日経:中国のスマートグリッド、骨格が見えてきた
http://goo.gl/P1QW
日立、中国研究員200人に倍増-電力・IT分野で人材積極採用
http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201007050020.html
▼最新日本スマートグリッド事情
新成長戦略 ~「元気な日本」復活のシナリオ~(平成22年6月18日)
http://www.kantei.go.jp/jp/sinseichousenryaku/sinseichou01.pdf
日経:国際協力銀、先進国融資の対象拡大 スマートグリッドも新たに追加
http://goo.gl/G5T9
サル学から見た「草食系男子」 ― 2010/07/05 22:25
友愛掲げた鳩山前政権は「草食系男子」の増殖を象徴していたかのよう。
現実を無視した薄気味悪い平和共存と東アジア共同体。
「施し目線」と「施されたい願望」というなんとも異常な共存関係。
男ならどんな時でも勝ちにこだわって欲しい。
何度負けてもいつかは勝ってやると思うような男じゃないと困る。
どんなことがあっても嫁はんと子供だけは食わしていくぞという気概こそが大事。
負け犬根性が染み付いたような男ほど情けないものはない。
単に逃げているだけなのに妙な理屈で正当化しないでもらいたい。
<関連記事引用>
7月5日付日経:インタビュー領空侵犯
「草食系男子」を美化するな 競争回避と平和共存は別物
京大霊長類研究所教授 古市剛史氏
http://goo.gl/E7YR
――恋愛にガツガツしない若い男性を指す「草食系男子」という言葉が定着し、彼らを擁護する論もあります。サル学者としてどうみますか。
「約700万年前に初期のヒトが誕生して以来、食物としての肉は男中心のパワーゲームの象徴でした。めったに得られない肉を集団内でどう分配し、誰が食べるかは、権力や社会の構造を規定してきた。草食系に対し『肉食系女子』とも言いますが、肉という言葉で男女の力関係や競争の変化を語っているのだとしたら、うまい言い方です」
――オス同士が争わないサルの社会があるようですね。
「アフリカ中部の熱帯雨林にすむボノボの社会です。同じ類人猿のチンパンジーは、集団が出会うとオス同士が闘ってときに殺しに発展し、群れの中では子殺しがある。しかしボノボではオスがほとんど争わず、子殺しもない。極めて平和な社会です」
「なぜかというとメスの地位が高いからです。リーダーのオスはいますが、力の強いメスの息子がなることが多い。オス同士が小競り合いになると母親が乗り出してきて、息子の代わりに大げんかすることもあります」
「これはメスの繁殖戦略として説明できます。メスは一生に産める子の数が限られています。自分の遺伝子をより多くの子孫に受け継がせるには、息子を高い地位につけ、多くの孫をつくるしかありません。またボノボのメスは発情期が非常に長い。チンパンジーは発情期が短いため、交尾をめぐりオスが激しく競争します。ボノボではその必要がなく、オスが争わなくなったと考えられます」
――ヒトの社会がボノボに近づいたとはいえませんか。
「それはどうでしょうか。確かに先進国では少子化が進み、子づくりをめぐり男たちが競い合う傾向は弱まっています。しかし、ヒトの社会の中心にあるのはチンパンジーと同様、まだまだオス同士の競争原理です。女性の地位が相対的に高くなったとはいえ、ボノボのようにメス主導の平和共存の原理が浸透したといえるのでしょうか」
――とすると、草食系男子に生きる道はありますか。
「この言葉は価値観や行動を類型化し、そこに逃げ込もうとする風潮を映しているように思います。京大の学生にも見かけますが、競争を回避しているだけなのに『ボクは草食系だから』と自己正当化し、美化している。そうだとしたら困ったことです」
「究極の草食系男子といえばインド建国の父ガンジーでしょう。徹底した非暴力主義を唱え、打たれても打たれてもひたすら耐えて抵抗した。そうした芯があっての草食系ならよいのですが……」
ふるいち・たけし 57年滋賀県生まれ。86年京都大大学院博士課程修了。下北半島や屋久島でニホンザルを調査。その後、アフリカでボノボやチンパンジーの性や家族の進化について研究してきた。明治学院大教授を経て08年から現職。
▼聞き手から
少子化で競争相手が減り、モノがあふれる現代社会。草食系男子の増加は「ヒトや社会の進化の必然」と肯定的な見方がある。だがサル学の視点からそう解釈するのは無理があるようだ。「ボノボはチンパンジーに比べ競争がない分、道具の発明や使用がまるで少ない」という古市教授の言葉が警鐘に聞こえた。
(編集委員 久保田啓介)
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