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民主308議席の衝撃(6) ブレアと鳩山、その先にある英日の没落2009/09/05 10:26

日経:政権交代海外の事例にみる(上)英国


新設の「国家戦略局」担当相と噂される菅直人は今年6月に英国視察。
そして今、1997年のブレア労働党政権誕生時と現在の日本を比較する記事がちらほら。
確かに状況はよく似ているものの、その中身は大きく異なる。

ブレアのニューレーバーは脱社会主義とグローバリズムへの適合を掲げた。
一方で鳩山民主党は社会主義的な友愛ユートピア賛歌とグローバリズム批判。

日本のそれはもはや引きこもり。英国と比べて現実認識が欠落。
貿易立国としてグローバル化の恩恵を受けてきたことを忘れている。
(この健忘症は日本の知識人に多く見られる傾向)

一足先に本ブログでは民主党の社会主義傾向の批判を開始。
次に「小沢一郎はスターリンのようだ」も準備中。

重要なことは「ニューレーバーはすでに死に体」だということ。
グローバリズムの負の連鎖に翻弄されて自慢の金融立国モデルも青息吐息。
「テムズ川のレイキャビク」と呼ばれる始末。
それでも英国は生き残る。

日本はこれから「雇用を守れ」の大合唱。
これが大企業の重荷になる。
生き残りをかけて日本を飛び出す企業が続出か。

鳩山掲げる「脱米入亜」も米国に睨まれ絵空事。
成長戦略描けぬままに黄昏れる。
生き残り戦略すら描けぬままに見事沈没、海の底。
それが嫌ならまずは社民党を切り離せ。

日英の没落を前に、オバマ政権は多くの違った国と“特別関係”を構築中。
G2を餌にして中国を取り込もうとしている。

「日本がだめなら中国があるさ」
米国のしたたかな成長戦略がすでに動き始めている。


<関連記事引用>

政権交代海外の事例にみる(上)英国、1997年、保守→労働党。(画像引用)
2009/09/03日本経済新聞朝刊

「官邸」主導 省庁権限削る

 民主党を中心とする新内閣の誕生で、日本は初めての本格的な政権交代に直面する。二大政党制でたびたび与野党が入れ替わる欧米などでは、政策決定の変更はどのように進むのか。政党と官僚機構のパワーバランスなど、海外での事例を探った。

 日本と同じ議院内閣制を採る英国。1997年に当時43歳だったブレア前首相率いるニューレーバー(新しい労働党)が変化を訴え、保守党から政権を奪った。

 二大政党政治の長い伝統を持つ英国では政権移行をスムーズに行う工夫がある。任期満了が近づくと、野党議員がマニフェスト(政権公約)をもとに官僚と政権移行後の手続きを協議することが認められる。民主党の菅直人代表代行は6月にロンドンを訪れ、英保守党の代表らと会談。その仕組みを研究した。

 英国の官僚は行政の専門家と位置付けられ、政治的な中立性を求められる。閣外の議員らとの接触も禁じられているほどだ。だが18年という長い期間、野党暮らしを続けた労働党の指導者として、ブレア氏には官僚組織に対する根深い不信感があった。

 政権を奪取したブレア氏が選んだのは首相府を司令塔とする「官邸主導」の政治手法。側近であるマンデルソン氏(現在は民間企業・規制改革担当相)やミリバンド氏(外相)らを引き込んで政策決定を主導。同時に官僚や省庁の権限を大幅にそいだ。

 官僚の力を抑えながら労働党の政策を実現できたのは経済・産業界を味方につけたからだ。党内守旧派の反対を押し切って市場メカニズム重視の政策路線を採った。官邸主導でスピード感のある経済政策を進め、長期の景気拡大を実現。これと並んで教育分野への政府支出の拡大、最低賃金の引き上げなどの労働党の公約も実行した。

 中道左派的な政策運営には財政悪化や競争力の低下を招くという懸念もあったが、景気拡大がこれを可能にした。官邸主導型の政権運営は外務省や世論の反発を生んだイラク戦争への参戦に象徴されるひずみもあったが、全体としてはうまく機能したといえる。

 トップダウン型の政策決定のきしみは、ブレア氏から政権を引き継いだブラウン首相時代になってから表面化した。官僚機構とのぎくしゃくした関係から税制改革などで政策が迷走。財務省幹部らはブラウン首相を「(独裁者である)スターリンのようだ」などと批判した。景気後退や長期政権への倦怠(けんたい)感も重なり、労働党政権の支持率は落ち込んでいる。(ロンドン=岐部秀光)

長年野党の座 官僚に不信感

 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのジョージ・ジョーンズ教授 長期間、野党の座にあった政党が官僚に不信感を抱くのは避けられない。1997年に労働党が政権を奪取した際、官僚は保守党員のように見えただろう。79年に政権に座った保守党のサッチャー氏の目には彼らが社会主義者として映った。

 チャーチル元首相(保守党)も当初は官僚を「社会主義かぶれ」とののしったが、晩年には彼らを見直した。英国の官僚機構は日本ほど強力ではないが、若くして首相になったブレア氏は政権運営の経験がなく、官僚に対する不信感を持っていた。


民主勝利、日本政治の転換点=ブレア政権誕生時と酷似-英専門家・衆院選
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200908/2009083000591

 英オックスフォード大日産日本問題研究所のイアン・ニーリー部長の話

 民主党の勝利は、英国で18年ぶりに保守党から政権を奪還した1997年のブレア労働党政権誕生時と状況が似ている。あるいは、それ以上の歴史的意義があると言えるかもしれない。自民党長期支配に終止符が打たれたことで、日本政治は大きな転換点を迎えた。

 有権者は今後1~2年の間に民主党がどのような変化をもたらすかを注視していくだろう。来年半ばごろまでに何の公約も実現できていなければ、国民の失望と不満が増幅し、政界に大きな混乱が生じるのは必至だ。民主党にとっては最初の9カ月間が勝負となる。

 民主党の政権担当能力を不安に思う人もいるが、予想以上にうまくやるとわたしは考える。第1次ブレア政権発足時も、新内閣に閣僚経験者がほとんどおらず、「国家運営を任せられるのか」と懸念されたが、その後は労働党が3期連続で政権を担った。民主党も与党として責任を果たしていく力を備えていると思うが、それを短期間で示すことができるかが課題だ。(ロンドン時事)
(2009/08/30-20:46)


凋落の日英を米ニューズウィーク誌が特集 民主党も批判「経済成長戦略が描けてない」 
2009.8.28 18:15
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090828/erp0908281818001-n1.htm

 【ロンドン=木村正人】英国ウォッチャーとして定評のある米誌ニューズウィークのマクガイア記者(62)=ロンドン在住=が、同誌8月17日号の「英国の没落」と題した記事で、金融危機をきっかけに英国は国際社会での影響力を失ったと指摘した。同誌日本版9月2日号も日本の総選挙に合わせ「沈みゆく日本」を特集するなど、激変する世界で日英両国が新たな国家戦略を描けず、漂流していると指摘した。

 マクガイヤ記者は、ブレア前政権が誕生した1990年代後半にロンドンが国際金融都市として輝きを取り戻したことを「格好良い英国」と称賛した。しかし、昨年の金融危機で大打撃を受けた英国は今後5年で政府債務残高が国内総生産(GDP)比で100%に倍増、99年に130万人だった失業保険申請者は300万人に膨らむ見通し。

 英国の財政は逼迫(ひっぱく)し、防衛予算は約4分の1削減する必要があるとの指摘もある。英陸軍トップがアフガニスタンを視察した際、英軍ヘリが用意できず米軍ヘリで移動するという醜態をさらした。約300あった在外公館のうち19が2004年に閉鎖、外務省職員も6000人から4000人に削減された。

 イラクやアフガンで米国に寄り添い国際社会で存在感を維持してきた英国だが、今やそれすらかなわなくなったと同記者は指摘する。これを受け、英紙インディペンデントは「欧州との関係強化」を新たな国家戦略として掲げたが、次の総選挙で政権を取りそうな最大野党・保守党には欧州懐疑論が根強く、英国の前途は多難といえそうだ。

 消費が強く「キリギリス型」にたとえられる英国に比べ、貯蓄率が高く「アリ型」の日本の状況はさらに深刻だ。国や地方の債務残高はGDPの200%近くに達しており、経済協力開発機構(OECD)の予測では09年度の経済成長率で日本はマイナス6・8%と、英国のマイナス4・3%を下回っている。

 世界第2の経済大国・日本の落日は、もはや時間の問題で、国家戦略の見直しが緊急の課題。ニューズウィーク日本版は、総選挙で政権奪取が確実視される日本の民主党について「経済成長戦略が描けていない」と批判した。日英両国にとって頼みの綱は米国だが、マクガイア記者は本紙に「オバマ米政権は多くの違った国と“特別関係”を構築中だ」と話した。


経済成長は悪なのか?
「お気楽な国」、日本を嗤う欧米メディア
石黒 千賀子(日経ビジネス副編集長(兼国際センター長))
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090903/203966/

 「民主党の勝利で日本、新たな時代へ」(英フィナンシャル・タイムズ=FT)、「日本の野党、自民党に対し歴史的勝利」(米ウォールストリート ジャーナル=WSJ)──。欧米各紙は8月31日、政権選択が争点となった衆議院議員選挙で野党民主党が圧勝し、日本で初めて本格的な政権交代が実現したことを、オンラインのトップページや本紙1面でこう報じた。

こぞって民主党に違和感

 では、今後政権を担うことになる民主党に対する期待が高いかと言えば、そうではないようだ。英エコノミスト誌は既に、8月22日号の記事の中で、「民主党はあまりに未熟で、準備不足に見える」と厳しい見方を示している。

 「日本経済が苦境に陥り、貧困層や格差が拡大したのは小泉純一郎元首相による改革のせいではない。格差の拡大傾向は、今年に入って深刻になったとはいえ、実は既に1990年代の『失われた10年』で始まっていた」と指摘し、格差問題のすべてを小泉改革に押しつけるかのような批判を展開する民主党や鳩山由紀夫代表の短絡的発想に疑問を呈している。

 米ニューズウィーク誌も8月31日号の記事で、2009年1~3月期の日本のGDP(国内総生産)が年率換算でマイナス11.7%と、先進国の中で最大の落ち込みを見せたことに触れながら、福祉強化を目指す民主党の状況認識の甘さを痛烈に批判した。

 「驚いたことに自民党に攻撃されるまで、民主党のマニフェスト(政権公約)には、『経済成長』の言葉さえなかった。これは、民主党が日本が直面する窮状を理解していないことを示している」

 さらに、気になるのは、欧米メディアの日本に対する見方に、一種の共通した「違和感」とも「呆れ」とも取れるトーンが垣間見えることだ。

 例えば前述のニューズウィーク誌の記事。「消えゆく日本:経済成長を口にしない次の(政治)リーダーたち」と題されたこの記事には、「日本のリーダーは一体、自らの将来をどう考えているのか理解に苦しむ」とでも言いたげな記者の苛立ちが行間にあふれている。

 「急ピッチで進む少子高齢化により、縮小の一途をたどる国内市場。思いもしなかったスピードで中国が政治、経済の両面で日本を凌駕しつつある中、経済力でしか存在感を示せなかった日本が、再び大国としての勢いを盛り返すには、新たな成長戦略により経済を軌道に乗せていくしかない」

 それにもかかわらず、「自民党の幹部も民主党の幹部も、この点についてあまり議論しようとしていない。彼らは中堅国としてやっていければそれで十分だ、と思っているのだ」と、皮肉たっぷりに記事を締めくくっている。

 WSJの8月20日付の記事「民主党の日本国内における挑戦」でも記者は、民主党に対する一種の戸惑いを覚えているようだ。

 官僚政治からの脱却を目指す民主党にとって最大の弱点は、「日本型資本主義の中期的戦略とも合致し、短期の景気刺激策にもつながるような信頼のおける財政、経済政策を持ち合わせていないことだ」と指摘。そのうえで、「子ども手当の支給や医療制度改革には財源の確保、つまり経済成長が必要になるが、(民主党)幹部は時々、“成長”という言葉自体が何か汚い言葉であるかのように扱う」と不思議がる。

 前述のエコノミスト誌に至っては、まるで「いいかげんにしろ」とでも受け取れるような、怒りを示している。ここでもやり玉に挙がっているのは、民主党の経済成長に対する姿勢だ。

 同誌によれば、民主党が官僚制度に切り込むことができれば、年金危機問題の解決を阻んできた官僚の事なかれ主義を打破し、高齢化問題にうまく取り組んでいくことが可能になる、と言う。だが、「それには経済成長が必要になる。ところが、あろうことか民主党は富の再分配の方が経済成長よりも大事だと考えている。民主党は自民党を(政権から)追い出したのなら、同時にこの(再分配さえ正しく行えば経済成長がなくてもよいという)バカげた考えも捨て去るべきだ」。

 共通するのは、世界的不況の真っただ中にありながら、日本がいかに危機を乗り越えようとしているのか、今後どこへ向かおうとしているのかが見えないことへの苛立ちである。先進国でも突出した債務を抱える国とは思えない、というわけだ。

「現状維持を選んだ日本人」

 そして、そうした危機感の欠落は実は政治家だけの話ではないと指摘するのが、長年、FT東京支局長を務めたデイビッド・ピリング氏だ。

 同氏は、「格差の拡大やグローバル競争の激化といった心配の種はあるが、今のところ日本人の多くはまだ生活に満足している」としたうえで、民主党の掲げた子ども手当や医療制度改革などの政策は、「そんな人々が最も受け入れやすい政策として、注意深く選んだものだった」と分析する。

 だが同氏によれば、「ただし(それらの政策は)かつての自民党が提供しているかと思わせる内容のもの。今回の選挙で有権者は変化を選んだのではなく、むしろ現状維持の手段として民主党を選んだに過ぎない」。

 そして結論はこうだ。「日本に自ら変革を起こす気質はない。変革と言えば明治維新や戦後の米国の占領軍など、上から降ってくるもの。(8月30日の)選挙は、戦後長年続いた政治体制への不満が頂点に達した結果だが、それをもたらしたのは有権者が変化を起こそうと確信を持って投票した結果でもなければ、社会に変化を起こす起爆剤にしようと意識した行動でもない。非常に日本的な“反乱”だったのである。だが、反乱ではあった」。

 莫大な債務を抱えるなど、将来に不安があるにもかかわらず、目先の暮らしに安住しがちな日本人。曖昧な「友愛」の精神を掲げて、改革を断行しようという民主党。およそ「お気楽」という印象しか与えなくなった日本は、着実に世界から存在感をなくしつつあるのかもしれない。



<関連記事>

民主300議席の衝撃
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/08/21/4529498
民主308議席の衝撃
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/09/01/4554391
民主308議席の衝撃(3)高まる米国の警戒感
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/09/02/4558803
民主308議席の衝撃(4) 戦略国際問題研究所(CSIS)映像
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/09/03/4560328
民主308議席の衝撃(5) カート・キャンベルの官僚擁護論
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/09/04/4561345

コメント

_ K ― 2009/09/05 12:36

オバマ政権は、対日に限らずFTA締結に否定的だし、日本民主党より保護主義的だと思うのですが。
このままだと、
オバマ オワタ\(^o^)/
の方が先かな。

_ とおる ― 2009/09/05 17:50

園田さま
今回は、暖かく、手厳しい声援ですね。
バブル崩壊後の「失われた10年」どころでは無く、「失われた日本」にならないように。

_ Blondy ― 2009/09/06 01:48

先進国の中でもっとも政府が破綻している日本丸は誰が舵取りしても、もっとも沈没に近いことはなかなか免れないでしょうw
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5103.html


かつて元首相の故宮沢喜一氏はこうのたまわられました。

「終戦のとき、政府は軍が持っていた債務を棒引きし、新勘定、旧勘定をつくった。今回も国も関与して、引きずってきた古いものを切り捨てなきゃいけないんだろうなあ。我々には千何百兆円という国民資産があるから、できると思うんですよ」

私には、民主党のバラマキ政策はこの為のフォアプレイに見えるし、そう考えると「小沢スターリン説」にも納得がいくような気がしますw 

ドイツは社会民主主義を掲げたワイマール共和国時代にハイパーインフレに陥ったが、歴史は繰り返すのかどうか、我々がこの目でその結果を見届けることだけは間違いななさそうですね。

これから企業疎開や資産疎開が加速するかも。。

_ Y-SONODA ― 2009/09/06 12:48

★Kさんへ

日本に限らず世界的な社会主義ブーム。
損得勘定から保護主義に走る国も出てきますよね。
このブームから抜け出すことができる国が勝者になりそうな予感。
おそらく日本はドップリ浸かって抜け出せないような気がします。

★とおるさんへ

「二流か三流あたりでちょっぴり渋い国もいいのでは」と考えていたりする(ホンネ)

★Blondyさんへ

ぎゃっ。小沢スターリンで古いものを切り捨てですか。
しかも、再軍備を訴えて日本版ナチスですか。
怖い、怖すぎる。
これから疎開先見学ツアーが流行るかもしれませんねw

_ とおる ― 2009/09/06 20:05

園田様
> 「二流か三流あたりでちょっぴり渋い国もいいのでは」と考えていたりする(ホンネ)
そうですよね。
無理に、超大国になったり、大国になったり、一流風をふかした国になるよりも、身の丈にあった国で、普段は目だたなくても、いないと困る・寂しくなるような国で十分でしょう。

_ Y-SONODA ― 2009/09/07 06:54

とおるさんへ

>無理に、超大国になったり、大国になったり、一流風をふかした国になるよりも、身の丈にあった国で、普段は目だたなくても、いないと困る・寂しくなるような国で十分でしょう。

敗戦の反動から今まで頑張りすぎたのかも。少し無理しすぎましたね。
米国にうまく踊らされた面も否めない。
まだまだこの先も踊ろうとすれば、米国の助けが必要になる。
結局米国依存症から抜け出せない。
そろそろ「やーめた!」の選択肢も考える時期かもしれませんね。

_ YS ― 2009/09/07 08:49

<追加記事引用>

鳩山政権のお手本…英国「政治主導」のゆがみ
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090830-592896/news/20090906-OYT1T00832.htm

 「官僚依存脱却」を掲げて政権に就く民主党は、議院内閣制の本家・英国の「政治主導」を参考にする姿勢を示している。

 だが、英国では、閣外相や大臣政務官など各省庁に配置している約120人の与党議員は「数が多過ぎ、行政の支障だ」と見直しを求める声があがっている。また、労働党政権下で進行した、首相への度を越した権力集中にも批判が集まっている。

 英国は19世紀以降に成熟した2大政党制で政権交代が当たり前になり、官僚に対する政治主導が定着した。

 ロンドン大学のジョージ・ジョーンズ名誉教授は「官僚はカメレオン。主人が替われば、新たな主人の色に身を染める」と話す。閣僚の打ち出そうとする政策が法律・規則に反していれば忠告するが、適法であれば政策転換を受け入れ、「主人に忠誠を尽くす」。だが、英国で今問われているのは、その政治主導そのものだ。

 ◆目立ちたがり閣外相・政務官が巻き起こす混乱◆

 「閣外相や政務官は不必要に多い。彼らは出世のために党幹部の目を引こうとし、ニュースの話題作りに躍起だ。官僚が巻き込まれ、行政が混乱している」

 下院行政特別委員会は今年6月、こうした証言を盛り込んだ報告書をまとめ、閣外相と政務官の削減が必要と指摘した。

 閣外相や政務官は、若き政治家の登竜門とされ、官僚を掌握しているか否かで出世が決まる。しかし、最近では、メディアで目立つために自分勝手な政策を口にする傾向が増した。とりわけ、18年も野党に甘んじた労働党が1997年に政権奪還してからは、論功行賞で起用された閣僚が実務に長じておらず、閣外相・政務官のスタンドプレーを抑えられなくなった。

(2009年9月7日07時07分 読売新聞)


過度の官邸権力集中、こじれた英の「政治主導」
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090830-592896/news/20090906-OYT1T00842.htm

2006年の労働党・年次党大会で、ブレア首相(左)と並んで席に着くブラウン財務相(後に首相)。ブレア、ブラウン両政権下で、首相への過度な権限集中が進んでいると批判されている 深刻なのは、首相官邸への過度の権力集中だ。

 ブレア前首相とブラウン現首相は、議員でも官僚でもない首相特別顧問を閣僚数に匹敵するほど抱えて、それぞれに外務、内務などの任務を与え、「代替内閣」を作り上げた。

 官邸主導下で、本来の内閣は次第に形骸化し、「意思決定は内閣で行う」との憲法の大原則から逸脱していると指摘されるようになった。

 ◆閣議ないがしろ、イラク開戦準備暴走◆

 ブレア、ブラウン両氏は米国の大統領制に近い「首相制」へと踏み出し、特別顧問を使い、閣僚の頭越しに官僚に指図するようになった――。6月下旬に行われた上院憲法委員会の公聴会での証言で、内閣府長官経験者が鋭く批判した。

 ロンドン大学のピーター・ヘネシー教授も憲法委での証言で、「首相は、特別顧問が官僚を無視して起草した文面で政策を打ち出すようになった」と述べ、イラク戦争に向けた重要書類が閣内で回覧されず、閣議をないがしろにしたまま開戦準備が進められたなどと問題点を列挙した。

 ◆メディア受け政策…朝令暮改も相次ぐ◆

 憲法委に寄せられた証言によると、首相が特別顧問を使って作成し、閣僚や官僚がじゅうぶんに関与しなかった政策は、メディア受けしても、地方政府などの執行機関が有効性を疑って実施を尻込みするようになった。

 その結果、大学改革やIT(情報技術)戦略などの分野で政策の朝令暮改が相次いだという。

 憲法委が今、調査に乗り出したのは、首相(官邸)への権力集中は、憲法上の問題に加え、首相と内閣、政治家と官僚の関係をこじらせ、実りある政策を生み出していないとの反省があるからだ。

 政治主導は、閣僚が官僚を御して政策を決め、内閣が連帯責任を担って支えることで成り立つ。そういう英国政治の伝統への回帰を良しとする共通認識が憲法委では形成されつつある。

(2009年9月7日07時07分 読売新聞)

_ 日比野 ― 2009/09/09 00:51

ご無沙汰してます。
私も選挙前から、民主党の社会主義の傾向を危惧していましたが、政権を取ってもそのままのようですね。
温室ガス25%削減はちょっと。。。かなりの反発がくるでしょうね。

_ Y-SONODA ― 2009/09/09 08:18

日比野さんへ

どうもお久しぶりです。
>温室ガス25%削減はちょっと
あはは、もうすでに産業界から大反発の嵐が吹き荒れていますね。
とはいえ鳩山氏も米国や中国、インドも含めた国際合意が欠かせないと強調。
実際のところ一番無理そうなのは米国。
結局温暖化問題そのものが溶けてなくなるかもと見ていますw

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