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高坂正尭と若泉敬の現実政治2009/06/22 02:32

『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』若泉敬


<引用開始>

発信箱:幻の「悪人」論=伊藤智永(外信部)
http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20090620k0000m070158000c.html

 高坂正尭執筆「佐藤栄作論--政治の世界における悪人の効用」。日の目を見なかったこんな長期連載のプランが1970年代にあったと聞いて、思わずうなった。

 休刊した月刊誌「諸君!」の名編集者だった東真史氏が企画。佐藤の自民党総裁4選で、まんまと一杯食わされた前尾繁三郎元衆院議長に取材も始めていたが、立ち消えになったという。惜しい。

 今でこそ戦後の偉人とされる吉田茂も、60年安保のころまでは、世論に耳を傾けない対米追従のワンマンとしてすこぶる不人気だった。評価を一変させたのが、高坂氏の名著「宰相吉田茂」だ。

 佐藤は今も往年の吉田以上に人気がない。自由党幹事長の時、疑獄事件での逮捕を指揮権発動で免れ、沖縄返還は総裁選でライバルへの対抗上公約したのがきっかけだった。中国が核実験を行うと米国に日本の核武装の可能性をちらつかせつつ、国会では非核三原則を表明。しかも沖縄への「核持ち込み」密約を結び、猛烈な集票工作でノーベル平和賞まで勝ち取った。

 「保守政権にすり寄るタカ派御用学者」との陰口にもめげず、佐藤ブレーンであり続けた高坂氏なら、この「悪人」ぶりを現実政治に不可避な「効用」として、どう得心させてくれただろうか。

 高坂氏は、佐藤を「政治的悪人」と好感する半面、例えば田中角栄は全く評価しなかった。政治の「悪」は、庶民感覚や道徳倫理の「悪」とは別モノというわけだ。

 一体、政治指導者の大衆人気ほど当てにならない物差しもないだろう。最近は「嫌われ者」で名高い明治の元勲・山県有朋の再評価も始まっている。マニフェストに「悪」の数値は載っていない。

<引用終了>


高坂正尭から吉田茂、佐藤栄作という現実政治の系譜をたどるセンスはお見事。
しかし、山県有朋の名前を出すのはいかがなものかと。
山県再評価は重要だが、高坂が取り上げる対象とは思えない。

佐藤が65年の初訪米で日本核武装の可能性をちらつかせて米国の「核の傘」の保障を求めたのは事実。

64年10月に中国の原爆実験が成功。
64年12月29日のライシャワー駐日米大使との会談で「仏大使は、中共(中華人民共和国)が核武装を行っているのだから、日本も核武装すべきだと言ったので、日本はそのような問題でフランスの指図は受けないと言っておいた」と思わせぶりに語る。

また、訪米中の1月13日に行われたマクナマラ国防長官との会談でも、「日本は技術的にはもちろん核爆弾を作れないことはないが、ドゴールのような考え方は採らない」と語り、ここでもまたフランスを引き合いに出した。

さらに中国と戦争になった場合には「米国が直ちに核による報復を行うことを期待している」と踏み込み、先制使用も含めた核の即時報復まで要請。

沖縄返還交渉において佐藤の秘密個人特使として核持ち込み密約にかかわったのは若泉敬。
若泉の交渉相手はヘンリー・キッシンジャー(当時国家安全保障問題担当大統領補佐官)。

キッシンジャーこそが一貫して日本の核武装に懸念を抱いてきた人物。
この点でキッシンジャーは今でも使える存在。

高坂や若泉が生きていたら、「今こそ世界の中心で日本核武装を叫ぼう」と呼びかけていたかもしれない。

日本人の多くは「核の傘」も見て見ぬふり。
その上で、偽善者たちはわけのわからない観念的平和論を振りかざす。
そんな人たちに仏僧を伴って沖縄へ陳謝の旅に出た若泉のことを伝えておきたい。


<新渡戸につながる二つの若泉敬関連記事引用>

沖縄返還で対米秘密交渉 若泉敬氏の遺書 日本の精神的退廃に警告 /佐伯浩明
1996/08/09産経新聞夕刊

 昭和四十四年の沖縄返還交渉で佐藤栄作首相の密使として対米秘密交渉にあたり、交渉の成功を側面から導いた若泉敬元京都産業大学教授が先月二十七日、すい臓がんのために福井県鯖江市の自宅で死去した。六十六歳だった。

 アトランタ五輪報道の陰に隠れて若泉氏の訃報(ふほう)記事はささやかなものだったが、私はここで、平成六年五月に若泉氏が出版した、秘密交渉の経過をつづった著書『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』(文芸春秋)の跋文(奥書き)と、このほど入手した英語版用の序文に書かれたメッセージについて書いてみたい。死を覚悟した氏が祖国の道義心の再興を願って書いた真剣なる提言が込められているからだ。

              ▽…▽…▽

 若泉氏は、昭和五年福井県今立町の生まれ。維新の志士、橋本左内を尊敬し、東大法学部を卒業すると防衛研修所の前身の保安庁保安研修所に入った。ロンドン大学大学院に留学、米ジョンズホプキンス大学高等国際問題研究所、米ウッドロー・ウィルソン国際学術研究所などで安全保障研究を重ねてきた。氏は敗戦前の福井師範の学生時代、米軍のB29の爆撃で福井市が焦土と化すのを見て「世界平和の建設を目指す」と誓った。

 ただ、歴史の複雑さを知る若泉氏は観念的平和論を排した。それは同氏が「常に考えられないことと考えたくないことをもあえて考え抜く知的勇気と思考の柔軟性を失ってはならない」と、自著に書いたことからもうかがえる。

 さてその提言だが、一つは日本の精神的退廃に対する鋭い警告である。若泉氏が自己の訃報記事に跋文のその一節を添えて内外報道陣に送るよう、生前、指示していたところに訴えの切なることが読み取れる。《敗戦後半世紀間の日本は「戦後復興」の名の下にひたすら物質金銭万能主義に走り、その結果、変わることなき鎖国心理の中でいわば“愚者の楽園”と化し、精神的、道義的、文化的に“根無し草”に堕してしまったのではないだろうか》

 オウム事件。ヘアヌードとセックス記事のはんらん。一国平和主義。エゴイズムの横行-若泉氏は「日本は腐っている」とまで述べ前途を憂慮し、国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造の著書『武士道』を行動指針として、この精神的荒廃を救うよう提唱している。

 『武士道』。《そこには、衣食足って礼節を知り、義、勇、仁、誠、忠、名誉、克己といった普遍的な徳目が時空を超えて静かな輝きを放ち続けている…その不滅の光りの中に、戦陣に散り戦火に倒れた尊い犠牲者たちが、同胞に希って止まない「再独立の完成」と「自由自尊の顕現」を観るのである》(跋文より)

              ▽…▽…▽

 二つ目のメッセージは、日米同盟関係の再検討と再定義だった。

 《敗戦と占領以来米国軍隊がそのまま居座る形で、今日までいわば惰性で維持されてきた日米安保条約を中核とする日米友好協力関係を、国際社会の現状と展望のなかで徹底的に再検討し、長期的かつ基本的な両国それぞれの利益と理念に基づいて再定義することは不可避であり、双方にとって望ましくかつ有意義なことであろう。…その作業の大前提として私はまず日本人が毅然とした自主独立の精神を以て日本の理念と国家利益を普遍的な言葉と気概をもって米国はもとより、アジアと全世界に提示することから始めなければならないと信じている》(英語版の序文より)

 歴史家のトインビー氏と対話したこともある若泉氏は三つ目に、飢餓のまん延、貧富の拡大、環境汚染、難民の激増、テロリズム、麻薬-と宇宙船地球号が抱えた問題に及び、「英語版の序文」では宇宙船地球号を構築する哲学と原理の構築と、戦争放棄に向けた世界の連帯行動を訴えた。

 福井師範学校の同期生で同氏の最期を看取った斉藤孝斉藤病院院長と、若泉氏の遺言執行者代表者の田宮甫弁護士は「若泉先生はすい臓がんで余命が少ないことを知り、この跋文を書き、さらに今年三月、日本最西端の沖縄・与邦国島で残る命を燃やして英語版の序文を遺書として書きあげられた」という。若泉氏の絶命はその英語版出版の確認書を田宮氏らと交わしたまさにその当日だった。

 沖縄返還の秘密交渉を通し「緊急事の核兵器の再持ち込みについての合意議事録」の作成に携わった若泉氏はその仕事の禁忌性ゆえに、沖縄復帰後、鯖江市での逼塞の生活を貫いた。若泉氏の思索は最期には宗教的高みにまで達した感を受けるが、この命をかけた提言に答えることは後に続く者の責務だと考える。


沖縄返還交渉時の秘話。
トインビー博士の歴史観に学ぶ。
國弘正雄
http://www.nagano-cci.or.jp/tayori/642/ts_642.html

― 國弘さんは大歴史家トインビー博士と親交がございましたね。トインビーさんはキリスト教国でありながら東洋思想を尊重し、造詣も大変深かったですね。

國弘 名著『歴史の研究』の翻訳刊行をとりまとめた電力の鬼・松永安左ヱ門さんとトインビーさんの対話を通訳したことがあります。その時のテーマは何か。鎌倉仏教なんです。トインビー氏はハイヤー・レリジョン(高等宗教)に熱心でした。とりわけ鎌倉仏教に。私も関心がありましたから、浄土教、禅についてかなりしゃべったんですよ。そうしたらね、忘れないんですが、トインビーさんは「イエース」「イエース」とじっと聞いてくださった。英語圏では人の話を聞くとき、「イエス」なんて言いません。トインビーさんだけは例外でした。それから、それで、どうして……と話し相手を誘う。

― トインビーさんはどんなメッセージを? 膨大でしょうが、例えばエピソードは何かございますか?

國弘 沖縄返還時、佐藤栄作政権の「密使」役を務めた若泉敬さん(故人、元京都産業大学教授)を思い出します。右翼、政治ゴロ、ナショナリスト……そんなレッテルを貼られる面もあった人物です。彼は佐藤栄作、僕は三木武夫。言ってみればタカ派とハト派。もうそこで対立しているんですが、同じ昭和五年生まれ。価値観が全然逆のようなんですが、気が合うところがあってね。最後に彼は沖縄へ行くんです。沖縄県民への陳謝の旅でした。有事の際の核導入という密約を押しつけてしまったという贖罪、それが最後の旅でした。仏僧を伴って。できないことです。帰ってきて、パッと死んじゃった。あの人の中にあるひたむきなもの、真摯なものには心惹かれました。その精神性は、トインビーさんのおかげだと僕は思っているの。

― それは、どんなことですか?

國弘 若泉さんとトインビーさんが毎日新聞で対談をするわけです。その中で、例えば「日本は憲法九条を絶対捨ててはいけません」とトインビーさんが言う。「おそらく捨てたくなるでしょう、誰もついてはこないということで、孤立した思いを抱くでしょう。しかしこの九条だけは絶対将来を見据えている」ということを切々と若泉さんに説くのです。僕の勝手な推測ですが、あのとき若泉敬は衝撃を受けたのだと思う。平和主義、憲法九条……今では時代遅れと思われることが、じつは長い歴史の物差しから見たら、一番先頭を行っている、と若泉さんがきっとわかったのでしょう。

― トインビーさんは東洋思想をとても重んじていましたね。

國弘 キリスト教圏に生まれたことはハンディだったとまで記述されています。伊勢神宮に伴ったとき、古神道への深い畏敬の念を示しました。和歌山の海岸で魚介類の養殖場を見たとき、こういう面で日本は世界に貢献して欲しい、と書いてますよ。まさに冒頭の小林翁の「赤十字国家」論と通じるじゃないですか。


<画像書籍>

『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』若泉敬
http://www.amazon.co.jp/%E4%BB%96%E7%AD%96%E3%83%8A%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%B2%E4%BF%A1%E3%82%BC%E3%83%A0%E3%83%88%E6%AC%B2%E3%82%B9-%E8%8B%A5%E6%B3%89-%E6%95%AC/dp/416348650X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1245598366&sr=1-1

<関連記事>

今こそ世界の中心で日本核武装を叫ぼう
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/06/01/4335426

コメント

_ 和平治 ― 2009/06/22 06:17

今回の園田さんの記事に鳥肌が立ちました。若泉敬氏の事、勉強してみます。

平和主義、憲法九条……今では時代遅れと思われることが、じつは長い歴史の物差しから見たら、一番先頭を行っている‥‥
トインビーもさすがに凄いですね。

憲法九条は、今の日本人には、まさに「猫に小判」なのでしょう(猫が聞いたら気を悪くするかもしれません)。

_ 非生産者 ― 2009/06/22 06:41

東洋思想。有名なロックスターも仏教にハマっていたり。ジミヘン、ビートルズ、ニルバーナ、etc.吉田茂が今生きて居たら腐敗した日本を見てがっかりするでしょうね。彼こそ東と西の全てを最初に最大限努力して融合した日本人初のロックスターでしょうか?

_ ななし ― 2009/06/22 17:13

中共が核実験やった時に日本も核武装していたら今現在こんな体たらくにならずに済んだんじゃ無いでしょうかね。
核の傘と言いますが、ロシアや中国相手には機能する訳はないですし。
ロシアや中国が日本に核を撃ち込んでも米国は知らんぷりでしょう。
事を構える気なんぞ更々無いでしょうね。
自分の国は自分で守る。
この気構えが無いから食い物にされてもしおれてるしか無いんでしょうね。
戦後60年余り惰眠を貪り続けて腑抜になっちまいましたね。
もちろんそれが米国の対日戦略だったんでしょうけど。

_ ぽん夫人 ― 2009/06/22 19:07

それでも、やっぱり
仏僧連れて謝罪して、そりゃあ、あんたは気分がいいでしょうなあ・・・。という事から始めるのが今生きる者の役目に思います。

60年後の結果がこういう状態だということを前提にさかのぼってみると、はてはて、最初に打った手が正解だったのか・・・。と。考えないといけないことが山のようにあるのに、こっそり入管法さらなる在日特定外国人様万歳法案がしれっと国籍法のときのように通ったりしています。

しれっと、なんでも決まっていきます。

庶民は損か得かでシンプルに発言するときにしとかないと、こいつらがああいっていますんで、と言い訳にも使われなくなります。正面あっての裏ですから。私は庶民も庶民なんで、いい加減この国むかつきますわ、と言います。

_ ピー岩山 ― 2009/06/23 01:46

昔、本で読んだのですがアメリカとソ連の密約に、もし相手の都市に何らかのミス(こんなこと起きるのか?)で核を打ち込んでしまったら、同等の被害を与えるべく同盟国の都市を代わりに差し出し、核を打ち込んで良いことにしましょう。という、その都市に日本のいくつかの都市が記載されていた・・・・という密約。(なんかの戯れ本だったか?) 
これって「おちょこ傘」。それも真ん中に穴の開いた。

ところで、今日の東京新聞の一面に日本の領海についてのスクープが出ていましたが、重要な海峡のところを12海里とせずに3海里にして海底トンネルのような抜け道を作ってあげていたそうな。
(自分でもこのコメント書いていて、今回のテーマに沿っているのか?いないのか?よくわかりませんが・・)
私としては孫崎さんの本の終わりの方に書いておられた「非軍事的方法」が良いとは思いますが・・・。でも、仏陀も「相手を見て法を説け」と。相手によって「戦略」かえないと駄目ですかね。
もちろん右頬うたれたら、左頬なんて差し出したくないです。

_ えの ― 2009/06/23 02:36

沖縄返還で対米密約が必要となった原因は、そもそも対米負け戦を始めてしまったことです。
http://www.d4.dion.ne.jp/~ponskp/yamato/imperialfleet/w-soshiki.htm
甘粕正彦 辞世の句「大ばくち 身ぐるみ脱いで すってんてん」
http://www004.upp.so-net.ne.jp/kuhiwo/dazai/amakasu.html
http://homepage2.nifty.com/hokusai/rekishi/amakasu.htm

_ Y-SONODA ― 2009/06/23 07:21

★和平治さんへ

実際のところ、憲法9条の奥行きを理解している日本人はごく僅か。
特に左寄りの人はまったく理解できていないと思いますよ。

★非生産者さんへ

天国の吉田が孫をどんな風に眺めているのか、知りたいところですねw

★ななしさんへ

核を唯一実戦使用された日本が核を唯一実戦使用した米国に頼っているというなんとも皮肉な構図。
自分の国は自分で守りたいという気概だけは持ち続けたいですね。

★ぽん夫人さんへ

>仏僧連れて謝罪して、そりゃあ、あんたは気分がいいでしょうなあ・・・。

きっつぅー(笑)。
まーでも、実際には若泉は自殺だったみたいですよ。

しれっと体制にむかついているようですが、切れたらあきまへんでw

★ピー岩山さんへ

何らかのミスで核がボコボコ発射されたら怖いですな~(汗)
ロシアなんてかなり不安。
ハッカー対策も気になりますね。

そういう時はあきらめるしかないですね。
生き残っても楽しくなさそう。

★えのさんへ

>そもそも対米負け戦を始めてしまったこと
そりゃ、そうですね(汗)

>「大ばくち 身ぐるみ脱いで すってんてん」
ひゃー、そのまんま。

_ Y-SONODA ― 2009/06/23 08:19

韓国で「核武装論」が再浮上 北朝鮮の2度の核実験に反発
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090620/kor0906202212008-n1.htm

_ 古井戸 ― 2010/05/09 13:32

核抑止による防衛は若泉の昔からの信条です。密約が永久にばれなければ(米国で公開されなければ)、謝罪もせず、自死もしなかったのだろうか?そうでなければ、核抑止を沖縄だけでなく全国民に説いて回るべきでしょう。(あるいは、基地返還運動を起こす)。いずれにしても、論理が破綻していますね。

_ Y-SONODA ― 2010/05/10 08:57

古井戸さんへ

表に出ない方が効果的なこともありますからね。
このあたりはなんとも言えません。

_ ks ― 2010/06/20 01:58

2006/10/15
谷内外務次官かく語りき
http://www.kanshin.com/diary/1025618

谷内正太郎・政府代表が語る「核再持ち込みの密約はあった」(週刊朝日 2009年05月22日号掲載) 2009年5月13日(水)配信
http://www.asyura2.com/09/senkyo64/msg/566.html

谷内正太郎は若泉敬の愛弟子にして、「自由と繁栄の弧」の立案者。麻生太郎の外交ブレーン。

リアリズムのお手本みたいな勢力均衡(バランス・オブ・パワー)の戦略だったんだけどなあ・・・

_ Y-SONODA ― 2010/06/20 12:04

ksさんへ

>谷内正太郎は若泉敬の愛弟子にして、「自由と繁栄の弧」の立案者。麻生太郎の外交ブレーン。

昨日NHKで若宮氏の特集があったとか。
全然知らずにテレビはサッカー。完全に見逃してしまいました。
なにやら軽いのりで若宮論じるツイッター。まさに“愚者の楽園”と化しておりますなぁ。

_ ks ― 2010/06/20 14:38

私も見損ねてるんです(泣


手島龍一と佐藤優の谷内及び「自由と繁栄の弧」評は、勢力均衡(バランス・オブ・パワー)。
価値観外交の衣の下に、資源とアクセスルート、その安全保障、国益に関する冷徹な計算が込められている。
勢力均衡はリアリズムのキー概念。
佐藤によれば、ロシアはじめ各国外交筋は、ついに日本がやる気になったかと身構えたとか。

私見では、むしろ、当時の米国が唱えていた「価値観外交」をダシにして、一面アメリカの戦略に助け船を出してるようで、アメリカを利用しつつ、アメリカ戦略の別の面を日本が侵すのを見逃してもらうバーターをやっていた。

敗戦国として出発した冷戦下では、リアリズムは単なる対米追従に見えがちだが、決してそうではないということを、弟子の谷内が証明したと思ってます。

谷内「若泉さんが願ったのは、対米依存、対米追随の外交から脱するためにも、日本でも正面から安全保障をめぐる議論を始めることだった。それは現在の日本にもなお、当てはまるのではないでしょうか」

_ Y-SONODA ― 2010/06/21 09:11

ksさんへ

>私も見損ねてるんです(泣

再放送に期待しましょう!
(今のところまだ日程は決まっていないようですが・・・)

>敗戦国として出発した冷戦下では、リアリズムは単なる対米追従に見えがちだが、決してそうではないということを、弟子の谷内が証明したと思ってます。

吉田の番犬論のどこが対米追従やねんと言いたいところ。
属国論の方が余程自虐的ではないかと。
日本のリアリストたちの苦労がまともに評価されていないのが残念ですね。

_ トンチンカン ― 2010/06/21 18:56

今なら、NHKオンデマンドの見逃し番組で315円で見れますよ。

http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2010017318SC000/

_ Y-SONODA ― 2010/06/22 08:43

トンチンカンさんへ

>今なら、NHKオンデマンドの見逃し番組で315円で見れますよ。

どうも情報ありがとうございます。
でもなんか再放送があるような気がするんですよね。
せこいからもう少し待ってみます(笑)

_ トンチンカン ― 2010/06/22 12:03

>せこいからもう少し待ってみます(笑)

実は、私も、このクチです(笑)

_ ks ― 2010/06/22 15:00

私は早速NETCASH買ってきました(笑

_ Y-SONODA ― 2010/06/23 08:34

★トンチンカンさんへ

>実は、私も、このクチです(笑)

あはは、仲間だ。

★ksさんへ

>私は早速NETCASH買ってきました(笑

裏切り者だー(爆)私はまだ再放送を信じる!

_ ks ― 2010/06/28 23:31

英語版の序文
>国際社会の現状と展望のなかで徹底的に再検討し、長期的かつ基本的な両国それぞれの利益と理念に基づいて再定義
>…その作業の大前提として私はまず日本人が毅然とした自主独立の精神を以て日本の理念と国家利益を普遍的な言葉と気概をもって米国はもとより、アジアと全世界に提示することから始めなければならないと信じている

こういった部分がNHKでは、スッポリ抜け落ちてましたねェ。
これができない現状を「愚者の楽園」と呼んだわけですが。

だから、
>なにやら軽いのりで若宮論じるツイッター。まさに“愚者の楽園”と化しておりますなぁ。
と、なるわけで。


それどころか、終わり際の映像に、手をつないで米軍基地を取り囲む「市民団体」が(苦笑

『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』には、福田恆存の「外交を内政に利用するな」から長々と社会党批判の部分が引用されていて、

福田曰く、
>社会党にとっては沖縄の本土復帰などどうでもよいことなのではないか。あなた方が沖縄に関心を抱くのは、そこに本土復帰を願望し、しかもそれができぬ沖縄人がいるからではなく、そこに巨大な米軍基地があるからでしょう。
(中略)
ここ数年、沖縄返還問題は始終新聞紙上を賑わし、ジャーナリズムの最も派手な話題に
なっておりますが、その論者のほとんどすべては沖縄及び沖縄人のことを真剣に考えたいないと思います。
(中略)
彼らにとって存在するのは、沖縄及び沖縄人ではなく、沖縄問題なのです。
(中略)
もしそうでなかったら、「無条件即時全面返還」というような社会党の空論が出てくる筈がない。

等々。

そして、それが実は独立心の無さから来ていると論じて、「軍事的、政治的独立よりも、精神的独立の方が急務である所以です。」で締められている。


手をつないで米軍基地を取り囲む「市民団体」の背後にあるものを思うと、NHKなにやってるの?と思ってしまいます。


自殺当日、若泉宅に招かれた5人の内一人が谷内正太郎。
自主独立の精神を以て日本の理念と国家利益を普遍的な言葉と気概をもって米国はもとより、アジアと全世界に提示したのが「自由と繁栄の孤」
こっちが若泉の真意に近いでしょうに。

_ Y-SONODA ― 2010/06/29 08:25

ksさんへ

早速の感想、どうもありがとうございます。

>終わり際の映像に、手をつないで米軍基地を取り囲む「市民団体」が(苦笑

ぎゃはは。ツイッターの反応からしてそんな感じではないかと予測していました。
NHKバイアスが炸裂していたようですなぁ。

>米国はもとより、アジアと全世界に提示したのが「自由と繁栄の孤」 こっちが若泉の真意に近いでしょうに。

結局日本人というのは「自由と繁栄の孤」をまともに理解できないんでしょうね。
そのあたりから始めないといけないような気がします。

_ トンチンカン ― 2010/08/14 10:00

こんな対談がありました。

沖縄核密約は米国の罠だったのか
若泉敬が自裁してまで〝愚者の楽園〟に伝えたかったこと

対談
谷内正太郎/前外務事務次官
手嶋龍一/外交ジャーナリスト・作家

http://www.ryuichiteshima.com/review/review_okinawa.htm

_ Y-SONODA ― 2010/08/14 10:21

トンチンカンさんへ

対談野中にあった

>将来の外交ビジョンもなく ただ「密約」を暴いた罪

まさにこの一言に尽きますね。
私が民主な人たちを「墓穴掘りの名人さんたち」と呼ぶのもわかるでしょ。
核密約なんてあるのかないのかわからないところに効力がある。
このあたりの感覚がわからない生真面目な連中なんでしょうね。

_ トンチンカン ― 2010/08/14 20:22

>このあたりの感覚がわからない生真面目な連中

責任が個人もしくは党に掛かりそうになると、灰色戦術を使うんだから、わかってそうなんですけどねw
どうも国の事になると現実感を喪失してしまいがちな傾向がw

>安全保障と言うものは、究極の国家のレゾンデートル(存在意義)です。

民主な人たちは、ここを甘く考えてらっしゃる気がします。
相手は、こちらが望まない選択肢を選ぶ可能性がある。「相手も決定権を持っている」ですね。
その相手の選択肢を、出来るだけ自分が望んでいる範囲に制限出来るように努力するのが"外交"だと思うんですが…。


追記、同じ中央公論誌上で、ロバートケーガンが「さよなら オバマの勘違い外交」なんてのを書いてました。
http://www.chuokoron.jp/newest_issue/index.html

中国、イラン、(ロシアも?)を放っておくなよ。同盟国(イスラエル含む)が不安定になるぞ。という内容でしたw

同時に中央公論さんが

国家の正統性が揺らぐイスラエルの新たなる可能性
Y・M・ラブキン

という記事を載せているのは何か意味があるんでしょうかw

_ Y-SONODA ― 2010/08/16 07:48

トンチンカンさんへ

>民主な人たちは、ここを甘く考えてらっしゃる気がします。

実際のところ外交安全保障は票にならない。
つまり国民の大半が外交安全保障にあまり関心を持っていないということ。
その結果、こんなことになっちゃったということでしょうね。
とはいえ麻生さんなどはセンスがあった。
ツイッターで紹介しましたが、小池百合子さんの最新論文は素晴らしい内容でしたよ。
(ヒラリーに対するライバル心のようなものも感じましたが 笑)

Hillary’s Kissinger Moment
http://www.project-syndicate.org/commentary/koike8/English

>ロバートケーガンが「さよなら オバマの勘違い外交」

今春のケーガン来日時にはオバマの評価は決めかねているとご本人が語っておりましたが、どうやらそれも勘違いだったのかもしれませんね(笑)。

ツイッターで最新情報は入れていますが、ネオコン系人脈がイラン問題で騒ぎ始めています。
彼らは当然イスラエル寄り。
おそらく米中間選挙後にはますますうるさくなるでしょう。

_ トンチンカン ― 2010/08/16 18:27

>ネオコン系人脈がイラン問題で
こっちはチェックさせて頂いていたのですが

>Hillary’s Kissinger Moment
こっちは、気づいてませんでした。ありがとうございます。

>ヒラリーに対するライバル心
ライバル心を燃やして、鋭くなられるなら、それは、それで(笑)

_ Y-SONODA ― 2010/08/17 08:32

トンチンカンさんへ

女性といえば昨夜ツイッターで「きっこ」がぶち切れていましたよ。
リベラリズム(アイディアリズム)系の人ってやっぱりネオコン化しますね(笑)

_ トンチンカン ― 2010/08/17 09:15

>昨夜ツイッターで「きっこ」が
>やっぱりネオコン化しますね(笑)

うわぁ。
これが、あるからツイッターには手が出ないんですよね(笑)

_ Y-SONODA ― 2010/08/18 08:30

トンチンカンさんへ

>これが、あるからツイッターには手が出ないんですよね(笑)

あはは、人間観察の場として割り切って見ると面白いですよ。
すでに私もツイッターはめものめも状態。もうかなり飽きてきたし(笑)

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_ 米流時評 - 2009/06/23 00:53


   ||| 6.20 テヘラン血の土曜日 |||
 イランの主要都市でデモ隊と武装警察が激突、死者19名以上、負傷者数百名
 6.20テヘラン血の土曜日 ハメネイ・アフマディ体制抗議デモで流血の惨事

ただ今ハワイ時間で20日土曜の午前11時45分、東部時間で夕方5時45分。
イランの命運を決める「Day of Destiny」の夜が明けてから
これまでの長い一日の抗争の結果、CNNがテヘランの病院で
確認しただけで、少なくとも19人の死者が出たそうです。

注:今回のエントリには、弾圧で殺害された非常に残酷なシーンの写真が出てきますので、前もって警告しておきま...

_ 試稿錯誤 - 2010/07/15 07:22

                                    (表紙写真は戦没者慰霊碑前にぬかづく若泉敬@沖縄)昨年ある偶然から、若泉敬著『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』の存在を知り図書館で借りて拾い読みした。原著は1994年5月文藝春秋社から刊行、昨年、軽装版が同社から再刊された(先週、これを購入、1800円+税)。600頁を超える大冊である。 『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』〈新装版〉出版社案内 http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163721903若泉敬とはいかなる人物か? Wikiが簡略にまとめている。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%A5%E6%B3%89%E6%95%AC 若泉 敬(わかいずみ けい、1930年3月29日 – 1996年7月27日)は、日本の国際政治学者。沖縄返還交渉において、佐藤栄作首相の密使として重要な役割を果たしたとされる人物。 (以下略) 若泉敬の評伝が最近刊行された。後藤乾一著『「沖縄核密約」を背負って- 若泉敬の生涯』(岩波書店、2010年、1月)。図書館で借りて読み終えたところである。 『「沖縄核密約」を背負って- 若泉敬の生涯』  出版社案内http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/4/0224030.html 編集者からのメッセージhttp://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0224030/top.html評伝の著者、後藤乾一(1943年生まれ)は若泉の知人であり、若泉より一世代若い。この伝記を読んで若泉のなんたるかがほぼ分かった。Wikiに書いていないことを中心に要約しよう。 1 国際政治学者であった若泉はある偶然から佐藤(首相)に見出され首相特使として米国との沖縄返還交渉を委ねられる。主たる交渉相手はニクソン大統領の補佐官キッシンジャーである。 2 沖縄は終戦時から米軍が上陸したまま沖縄全島を実質支配し、日本本土と異なり、施政権を70年に至るも返還していなかった。佐藤は「沖縄復帰無くして戦後はない」と演説し、自政権による沖縄の返還実現にこだわった。 3 ニクソン政権は核の持ち込みなどは当然のことであり、議論をする耳を持たなかった。非核三原則と本土並返還にこだわった佐藤と真っ...