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ヒューマン・エソロジーから見た「攻撃と戦争」2009/06/17 00:00

『ヒューマン・エソロジー―人間行動の生物学』イレネウス アイブル=アイベスフェルト


破壊的な集団攻撃と定義される戦争は文化的進化の産物である。それゆえに文化的に乗り越えることができる。

戦争は人間のいくつかの普遍的な性向を利用する。たとえば攻撃的感情、集団を防衛する傾向、優位性への欲求、なわばりを作る傾向、見知らぬ人間の対敵的信号に反応する傾向、等々である。

しかしこれを全部合わせても戦争には決してならない。戦争はむしろ計画、指揮、破壊的武器、敵の非人間化による同情の超克を前提とする。人間はこの点において簡単に教化されることが明らかである。

殺人に対する抑制と所有の規範などのいくつかの基礎規範がこれに逆に働く。これらは文化的規範のフィルターで覆われるが排除はされない。規範間の葛藤は良心の葛藤として体験される。これはまちがいなく、協定による紛争解決の人道化や、さらに平和的関係の確立、維持のための原動力の1つである。これらは人間の動機づけ構造に対応するのだろう。

つまり人間にはその性向からして平和への能力がある。しかし平和は戦争の果たしている課題を認知し、戦争を病変として簡単に片づけてしまわないことを前提としている。

平和を望むのならば、これまで戦争が果たした、なわばり設定や民族のアイデンティティーと資源の確保という機能を他の無血の方法で解決していかねばならない。


『ヒューマン・エソロジー―人間行動の生物学』イレネウス アイブル=アイベスフェルト
「種内の敵対行動―攻撃と戦争」より引用
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%BD%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC%E2%80%95%E4%BA%BA%E9%96%93%E8%A1%8C%E5%8B%95%E3%81%AE%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6-%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%8D%E3%82%A6%E3%82%B9-%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AB-%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%88/dp/4623035441/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1245161348&sr=1-1

コメント

_ 非生産者 ― 2009/06/17 00:16

最終的には個人の意識のレベルなんですかね?非人間化するのも人間ですし。日本も今や大家族から核社会化現象。ドイツで銃乱射事件が有りましたが、あの生徒は戦争ゲーム大好きだったとか。事件後ドイツ政府はゲームソフトの規制も考えて居ましたが、どうなったのか?そういったサポートも日本でも必要な気がします。

_ えの ― 2009/06/17 01:21

松本健一『日本の失敗』
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1092.html
『松本は東京裁判が「勝者の裁き」であることは否定しないが、大東亜戦争はそもそも近代日本が選択した「武装された攘夷戦争」であって、それゆえその戦争が「侵略」とうけとられるのは、当時にしてすでに当然であったのに、日本人がそれを認識できなかったのが「日本の失敗」なのだと見た。日本は精神的鎖国状態に縛られたままだったのだと見るのだ。』
あの戦争の原因
http://www7b.biglobe.ne.jp/~bokujin/
石原莞爾『最終戦争論・戦争史大観』
http://www.aozora.gr.jp/cards/000230/card1154.html
田中智学先生に影響を受けた人々 石原莞爾
http://www.kokuchukai.or.jp/about/people/12.htm

_ Y-SONODA ― 2009/06/17 08:54

★非生産者さんへ

カラスの立場になって人間を見ていると、日本に限らず相変わらずおバカさんが多いなと。
客観視する姿勢が重要かも。

★えのさんへ

今の日本を見渡すと、あの戦争を必死で忘れようとしているように見えますね。
忘れるばかりか一番良く知る世代が付和雷同の左旋回。
しかも、戦争を病変として簡単に片づけちゃって、「戦争ハンターイ」を叫べばよいと思っている。

風土に支えられた精神的鎖国状態は今なお健在です。

_ ぽん夫人 ― 2009/06/18 03:12

以前、SAPIOで小林よしのりが、
田原総一郎、筑紫哲也に大江健三郎などの
いわゆるる左向け左世代、の共通項として
少国民世代と括って解説していました。

美濃部の天皇機関説事件が昭和10年。それ以降の
国家総動員にシナ事変に・・・。
昭和16年以降の国民学校の教育を真に受けてるもんだから反発がきついのでは?という指摘。
天皇=神として、仰ぎ奉る記述が小学校教科書に現れたのは昭和14年から終戦までこのわずか六年。

3つ子の魂百まで、といいますが、教育って大事ですね。恐怖がしこりのように残ってしまうのは・・・。
その逆もあるのでしょうが・・・。

総括といっても、謝罪が金になる状態に甘んじているのはこちらもあちらもなので、総括なんてさらさらする気はないのでしょう。

_ Y-SONODA ― 2009/06/18 09:22

ぽん夫人さんへ

日本も米国も韓国も振り子ですね。
右に左に極端に振れる。
タイミングがぴったり合うと見事にガチンコ。

また、極端に振れるということは教化されやすいということ。
いとも簡単にガチンコさせることもできる。

人間なんていつまでたってもその程度のもの。
そういう認識を常々持っておくことが必要ですね。

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