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北朝鮮社説読み比べ2009/04/06 08:57



各紙とも怒っておりますなぁ。
しかも揃って国連安保理に言及。日本人の甘さを象徴しているのかも。

もう北朝鮮ごときを相手にするのはやめようなどという意見もあってもいいのに(笑)


▼【主張】北ミサイル発射 断固たる制裁を加えよ 抑止可能な防衛力の整備を
2009.4.6 03:12
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090406/kor0904060312002-n1.htm

 北朝鮮が「衛星打ち上げ」を名目に長距離弾道ミサイル発射を強行したのは、世界の平和と安全に対する重大な挑戦である。とりわけ日本列島の上空通過により日本国民に恐怖心を与えた。断じて許してはならない。

 日米韓など世界の主要国は、北の発射が「ミサイル関連のすべての活動停止」を定めた国連安保理決議違反だとして発射中止と自制を繰り返し求めてきた。オバマ米大統領も「国際社会の強力な対応が必要」と述べた。

 日米は新たな決議採択も視野に安保理の速やかな行動を促し、国際社会の総意として厳しい制裁措置を講じるよう、あらゆる外交努力を結集すべきである。

 また日米同盟を通じた日本の安全と防衛のあり方も問われる。日本政府は発射体の一部が領土・領海内に落下する事態に備えて、ミサイル防衛(MD)システムによる迎撃態勢をとった。

 北は今後も発射を続ける恐れがある。迎撃態勢の検証にとどまらず、自衛隊と米軍の連携に不可欠な集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈改定を急ぐべきだ。さらに、自衛権の発動として北のミサイル施設を先制破壊する能力を持つかどうかも含めて国政の場で積極的に論じる必要がある。

 ≪脅威を世界へ拡大≫

 北は1998年、2006年にも長距離ミサイルを発射し、今回は「テポドン2号」の改良型で射程8000キロ前後とされる。北が大陸間弾道ミサイル(ICBM)能力を持てば米本土の約半分と欧州、モスクワも射程に収まる。脅威は世界に広がり、核弾頭小型化に成功すれば米露にとっても戦略情勢が一変しかねない。

 北はミサイル技術を中東などに輸出して外貨収入源としてきた。国際社会はそうした行動を容認してはならない。中国やロシアは新たな安保理決議に消極的だが、両国は6カ国協議の参加国で安保理常任理事国でもある。世界の平和と安全を担う責任への自覚を持つべきだ。

 06年のミサイル発射と核実験に対し、安保理は全会一致で決議1718を採択し、厳しい経済制裁を科した。決議は主要軍事品やぜいたく品の供給、販売、移転を禁じ、核や大量破壊兵器に関与した組織・個人の資産凍結や渡航禁止も定めている。

 その大半が履行されていない背景には6カ国協議の進展が期待された事情もある。その意味で前米政権が米朝協議を迷走させた責任は重い。北は核の検証や核施設無能力化の約束を果たさず、米国はテロ支援国家指定解除などの外交カードをただ取りされた。

 北は今回の発射をオバマ米新政権に対する「カード」として誇示し、優位な立場で米朝協議に引き込む狙いとみられる。北は「安保理で取り上げただけでも6カ国協議は無効となる」としているが、脅しに屈してはならない。

 米政府は日韓などと緊密に連携して早急に対北政策を策定し、核全廃を含む6カ国協議共同声明(05年)の誠実な履行を北に求めるべきだ。ミサイル問題も協議で取り上げる必要がある。

 ≪総連の資産凍結も≫ 

 今回のMDによる迎撃態勢は、北の発射予告を前提に準備を整えたものだ。事前予告なしでも迎撃を可能にするには、与党の対策本部が求めるようにMDのさらなる整備が必要だ。ただ、北が約200基に上るノドン・ミサイルを発射する事態となればMDでは対処しきれない。

 脅威は確実に高まっている。日本の防衛力整備は「専守防衛」を基本にしてきたが、これは攻撃された後の対応でしかない。北が核弾頭を搭載したミサイルを発射しようとする場合、「日本は座視するだけでよいのか」という論議が過去にあった。

 現状では日本が北のミサイル発射を敵基地攻撃により未然に阻止する能力はない。それにはどれだけの防衛力が必要か、その意思と能力を持たないままで良いのか。議論を先送りしたままでは、国民の生命と安全は守れない。

 また、日本政府は独自の対応として13日で期限が切れる対北制裁措置の延長に合わせて、追加制裁を早急に定める必要がある。

 大量破壊兵器関連物資やぜいたく品に限っていた輸出の全面禁止や外為法による送金規制強化に加え、朝鮮総連の資産凍結も含めて検討すべきだ。総連側の反発も予想されるが、北のミサイルや核開発を阻止する国家意思を明確に示すにはきわめて有効だ。


▼安保理は北の冒険主義を封じ込めよ(4/6)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20090405AS1K0400505042009.html

 北朝鮮には言葉による説得は効かないのだろうか。日本、米国、韓国だけでなく、中国やロシアですら自制を求めたにもかかわらず「人工衛星」の打ち上げと称して長距離弾道ミサイル実験を強行した。日本国内への破片の落下はなく、自衛隊による迎撃もなかった。

 4日の誤探知騒動を除けば、政府による警戒活動は、おおむね適切だった。被害情報はないが、北朝鮮の行動は無害ではない。「関心獲得行動」と米メディアは表現するが、これは親の関心を引きたい子どものいたずらではない。周囲に脅威を振りまく冒険主義的行動である。

 2006年7月のミサイル連射、10月の核実験の後にそれぞれ採択された国連安全保障理事会決議1695号と1718号は「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の停止」を明記している。日米両政府が指摘するように、今回の発射はふたつの決議に違反する。

 人工衛星と弾道ミサイル打ち上げの技術はほぼ同じであり、発射実験による北朝鮮のミサイル技術の向上は地域の不安定要因になる。脅威を感じるのは、日本、米国、韓国だけではない。向きを変えれば、中国、ロシアののど元への短刀となる。

 国際社会が強い措置をとらなければ、似た行動が繰り返される。日米両政府が国連安保理の緊急会合を求めたのは当然である。

 中国、ロシアは安保理が強い措置をとるのに抵抗感があるとされる。両国とも自国の安全が北朝鮮のミサイルで脅かされる結果につながるとは考えないのだろうか。

 安保理が北朝鮮の行動に対する外交包囲網をつくるのに失敗すれば、冒険主義を助長する。安保理に求められるのは、それを封じ込め、あの国に政策転換を迫る行動である。

 このためには安保理のみならず、関係諸国の行動が重要になる。国際社会が繰り返してはならないのは06年以降の経緯である。

 決議1718の採択の2カ月後、米ブッシュ政権は北朝鮮との間で金融制裁解除の交渉に入る。安保理決議が示した封じ込め路線をわずか3カ月で事実上骨抜きにし、融和政策に転じたのが07年1月だった。

 核、ミサイル、日本人拉致問題で前進があれば、戦略的決定と評価されたはずだった。実際には逆に致命的な判断ミスとして歴史に残る。

 効果的なのは、例えば金正日氏など北朝鮮要人の海外口座に絞った金融制裁である。2年前、北朝鮮が解除にあれだけこだわった事実をみれば、必要性は自明である。


▼北ミサイル発射 安保理は制裁決議の再確認を(4月6日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090405-OYT1T00967.htm

 北朝鮮による弾道ミサイル発射は、国際社会の緊張を高め、平和と安定を損なう無謀で危険な挑発行為だ。

 日本が米国、韓国とともに、北朝鮮を厳しく非難し、直ちに国連安全保障理事会の緊急会合の招集を求めたのは、当然の措置である。

 北朝鮮が5日、「人工衛星運搬ロケット」と称する3段式の長距離弾道ミサイルを発射した。日本政府も、発射を確認した。

 ◆明白な決議違反だ◆

 日米韓の3か国は、衛星打ち上げであっても、「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動停止」を求めた安保理決議1718に違反する、と北朝鮮に再三警告し、中止を迫ってきた。

 それを無視してのミサイル発射強行である。

 ミサイルは「テポドン2」の改良型と見られる。3年前、テポドン2の発射は失敗に終わった。今回、北朝鮮は発射に「成功した」と発表し、ミサイル技術の向上を誇示した形だ。

 国内的には、金正日総書記の健康不安や経済破綻(はたん)で動揺する体制の立て直しに、これを利用する狙いがあるのだろう。

 ロケットもミサイルも原理は同じだ。衛星の代わりに核弾頭を搭載すれば核ミサイルになる。

 日本の場合、すでに北朝鮮が実戦配備しているノドン・ミサイルの射程にある。北朝鮮が核兵器の小型化に成功して核弾頭を手にすれば、たちまち核ミサイルの脅威にさらされる。北朝鮮に核放棄を迫ることは喫緊の課題だ。

 北朝鮮は「どの国にも平和的な宇宙利用の権利がある」と主張している。しかし、核とミサイルの開発を並行して続けている姿は、核ミサイルの完成に向けた動きそのものではないか。

 安保理での対応は割れている。拒否権を持つ常任理事国は、英国とフランスが「決議違反」で日米と歩調を合わせたが、中国とロシアは同調していない。

 北朝鮮は今回、発射の予告、宇宙条約への加盟、国際民間航空機関(ICAO)への通報など、衛星打ち上げに必要な国際的な義務を一応果たした。

 決議1718には、「衛星打ち上げ」を明確に禁ずる表現がない。中露はそれを根拠に、「決議違反」の主張に与(くみ)していない。

 だが、解釈などをめぐる議論に終始して、安保理の足並みの乱れを露呈すれば、北朝鮮を利するだけである。

 ◆核放棄を強く迫れ◆

 日米、日韓外相の電話会談では、今回の発射は決議違反で容認できないとして、安保理で北朝鮮に強いメッセージを出す必要があるとの認識で一致した。

 安保理は、核放棄やミサイル開発の中止を求め北朝鮮に制裁を科した決議1718の厳格な履行を再確認すべきである。

 一方、日本政府は、半年ごとだった独自制裁の期間を1年間に延長して更新する方針だ。輸出の全面禁止など追加措置も検討している。ミサイルの最大の脅威を受けるのは日本であり、制裁を強化するのは当然だ。

 今回の発射で、北朝鮮に核廃棄を迫る6か国協議の行方も不透明になった。6か国協議は、提出した核計画の検証手続きで北朝鮮が合意せず、停滞している。

 北朝鮮は、ミサイル発射を「安保理が取り上げるなら、6か国協議はなくなる」などと牽制(けんせい)してきた。協議から離脱するというのであれば、安保理は新たな決議で北朝鮮に圧力をかけ、復帰させなければならない。

 ◆誤報を今後の教訓に◆

 北朝鮮は今後も「衛星打ち上げ」を続けるとしている。

 北朝鮮のミサイルの脅威に備えるには、ミサイル防衛(MD)システムの一層の充実が欠かせない。さまざまな訓練を重ねて迎撃の精度を高め、システムの実効性を向上させることが重要だ。

 今回、万一に備えて展開した海上自衛隊のイージス艦や航空自衛隊の地対空誘導弾部隊が、迎撃する局面はなくて済んだ。

 政府は、迅速な発射情報の広報のため、内閣官房と自治体を専用回線で結ぶ通報システム「エムネット」を初めて運用した。

 残念だったのは、4日に2回も「発射」を誤報したことだ。

 空自のレーダーの誤探知や、防衛省内の情報伝達の人為ミスなどが原因だ。政府の危機管理能力に疑問符がつきかねない。

 北朝鮮のミサイルは10分以内に日本に到達する。国民の安全を最大限確保し、不安を軽減するためには、情報提供において「迅速さ」と「正確さ」の両方を追求することが求められる。

 政府は、4日の失敗を教訓として、情報内容の二重チェックや国民への伝達方法の改善について、たゆまぬ努力をすべきだ。


▼北朝鮮ミサイル―国際結束で脅威を抑えよ 
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

北朝鮮が発射した「飛翔体(ひしょうたい)」は日本のはるか上空を越え、太平洋上に飛び去った。

 政府によると、1段目の推進装置と見られる部分が日本海の公海上に落下し、残りの部分はさらに飛行を続けたという。政府は万一の場合に備えて迎撃ミサイルやイージス艦を配備したが、幸い被害はなかったようだ。

 北朝鮮は、人工衛星を搭載したロケットの打ち上げであり、成功したと主張している。だが、米国は軌道には何も乗らなかったと見ている。


■国連安保理を動かせ

 いずれにせよ、この発射はとうてい容認できない。強く自制を求めた日本をはじめとする国際社会の声を逆なでした暴挙に、深い憤りを覚える。

 衛星を打ち上げる技術は、核弾頭などを積める長距離弾道ミサイルと変わらない。いくら宇宙開発、国威発揚と言ったところで、真の狙いが「テポドン2」の改良型とされるミサイルの実験にあったのは間違いあるまい。

 「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動」の停止を北朝鮮に求めた06年の国連安全保障理事会決議に背くことは明白だ。日米韓などの政府が抗議したのは当然だ。

 安保理がさっそく対応を協議する。日本政府は米国などと協力し、国際社会としての明確なメッセージを北朝鮮に送るべく外交努力を強めるべきだ。

 最低限、まず06年の核実験を受けて安保理が出した北朝鮮への制裁決議の再確認をしなければならない。

 この決議には中ロも賛成し、全会一致で採択された。北朝鮮に対して核やミサイル開発の停止を要求し、加盟国には、関連技術・資金の移転や、ぜいたく品の輸出などを禁じている。

 問題は、まともに決議を実行している加盟国が少なく、実効があがっていないことだ。安保理は決議の着実な実行を加盟国に促す必要がある。


■加速する世界の危険

 それにしても今回の発射で、核兵器やそれを運ぶミサイルの拡散によって世界がますます危険になってきたことを思わざるを得ない。

 北朝鮮はすでに短距離弾道ミサイル「スカッド」と、中距離の「ノドン」を実戦配備している。韓国や日本はとうに射程内に入っている。3年前には核実験を強行した。今回、さらに長距離ミサイルの技術を見せつけた。

 イランは2カ月前に衛星打ち上げに成功した。こちらも安保理決議を無視し、核開発につながるウラン濃縮を続けている。そのミサイル開発には北朝鮮が協力しているとも言われる。

 一昨年、シリアの砂漠にある建物をイスラエル軍がいきなり空爆した。北朝鮮が支援していた原子炉関連施設だった、と米国が発表した。

 インドとパキスタンが核武装してにらみ合い、北朝鮮はパキスタンの「核の闇ルート」とつながりがあった。

 核やミサイルに絡む技術、資材が世界を行き来する。そんな現実の一極に北朝鮮がいる。

 この事態に一日も早く終止符を打たねばならない。だが、どう対応すればいいのか。ふたつのことを冷静に粘り強く追求していくことだ。第一に、北朝鮮に国際ルールを守らせるための硬軟両様のダイナミックな外交であり、第二に「核のない世界」をつくるための軍縮、不拡散の努力だ。

 金正日総書記が何より目指しているのは、自らの体制の継続に違いない。そのための最大の交渉相手は米国、と思い定めている。

 むろん、大量破壊兵器に手を染め、日本人拉致や数々のテロを起こした体制は容認できない。しかし、無法な行動を抑え込む現実的な手段は外交しかない。そのための舞台は米朝交渉であり、6者協議である。

 核施設を使えなくする無能力化の段階で、6者協議は膠着(こうちゃく)している。非核化プロセスを再起動し、日朝や米朝の関係正常化の交渉も広げていきたい。制裁の「ムチ」を絡めながら、さまざまな分野で北朝鮮を交渉のテーブルにつけることだ。


■オバマ政権と連携密に

 米国の役割と責任は重い。早く対北交渉の陣立てを固めて動き出してもらいたい。クリントン国務長官が、今回の発射と6者協議を切り離し、6者合意の実行を追求すると語っているのは正しい。

 ミサイル問題も、まず米朝間で打開策を探るのが現実的ではないか。いずれは6者協議で取り上げるべきだ。核に限らず地域の平和と安定にかかわる課題を扱う枠組みでもあるからだ。

 おととい、政府が誤って飛翔体発射を発表し、5分後に取り消す失態があった。危機管理上、ゆるがせにできない問題だ。原因を追及し、十全の対策を講じなければならない。

 もっとも、国民がいたずらに不安を抱かないよう、政府が積極的に情報開示したのはよかった。あたかも日本が攻撃されるかのような浮足だった議論もあったが、国民は冷静だった。

 政府は、3年前から北朝鮮に科している独自制裁を1年延長する方針だが、さらに中身を強化すべきだという声も聞かれる。だが、日本単独のカードの効果は限定的だ。

 むしろ国際社会の結束を優先し、安保理の非常任理事国として率先して動く。オバマ米政権との連携を強める。まず、そちらを真剣に追求すべきだ。


▼社説:北朝鮮ミサイル発射 「ルール破り」は明白だ
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090406k0000m070110000c.html

 北朝鮮が「人工衛星」の打ち上げに成功したと発表した。一方、米国の北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は「ミサイルの2段目以降は先端部分も含めて太平洋に着水した」とし、いかなる物体も軌道上に乗っていないと指摘した。

 成否はどうあれ、この「発射」を容認することはできない。名目は人工衛星でも実際には長距離弾道ミサイルの技術が大陸間弾道弾(ICBM)の水準に到達したことを確認し、世界に誇示する狙いだったことは明白だ。「宇宙の平和利用」を隠れみのにした脅迫とも言えよう。

 ◇脅威をばらまく行為
 まず、私たちは日米韓3国政府の一致した見解を改めて支持する。北朝鮮の核実験を受けた国連安全保障理事会の決議1718は「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動」の停止を求めている。人工衛星用のロケットも弾道ミサイルと同じ技術を使う以上、北朝鮮の行為はこの決議に違反するとの見解である。

 次に「宇宙ロケット計画が弾道ミサイル計画を隠ぺいするために利用されるべきでない」という合意の存在を指摘したい。02年に採択され04年の国連総会で161カ国の支持を得た「弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範」の一節である。法的拘束力はないが、北朝鮮の「発射」が国際的に非難されるべき理由を示している。

 北朝鮮は「宇宙空間を平和的に利用することは、だれにも干渉できない主権国家の合法的権利」だと主張してきた。

 国際宇宙条約は第1条で、差別のない自由な平和利用を「すべての国」に認めている。北朝鮮の主張に原則的な根拠がないわけではない。だが条約前文には「全人類の共同の利益」や「相互理解」「友好関係」への貢献がうたわれ、北朝鮮のこれまでの振る舞いは、こうした理念に全くそぐわない。

 北朝鮮は「平和に対する脅威」をばらまいてきた。ミサイルに限ってみてもそうである。東西冷戦のさなか、弾道ミサイルの保有国は米国と当時のソ連だけだった。冷戦終結後に急増して約50カ国に達したが、このミサイル拡散の「元凶」と目されているのが北朝鮮である。

 この過程で北朝鮮は、ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)への参加を拒み続けた。これは射程300キロ以上、搭載重量500キロ以上の弾道ミサイルの輸出などを規制する措置である。北東アジアで弾道ミサイルを保有しながらMTCRに参加していない国は中国と北朝鮮だが、中国はこの規制を順守する方針を表明した。北朝鮮のルール無視が突出している。

 今回、事実上の弾道ミサイル発射について、北朝鮮が日米韓をはじめ関係国の再三にわたる中止呼びかけを無視したことは、国際社会に対する挑発と受け止めるべきだ。核問題をめぐる6カ国協議でも、北朝鮮は核放棄へのプロセスを逆戻りさせるなど誠実な対応をしてこなかった。河村建夫官房長官が声明を発表し「極めて遺憾であり厳重に抗議する」と非難したのは当然である。

 ◇核計画の放棄が重要
 オバマ米大統領はプラハでの演説で「北朝鮮は再びルール破りをした」と指摘し、ルール違反は「罰せられねばならない」と明言した。韓国大統領府も非難声明を発表した。一方、中国は「冷静、抑制した対応を求める」としている。

 日本政府の要請を受けて国連安保理は緊急会合の招集を決めた。当面の焦点は安保理の対応に移る。

 日本は米国と連携し決議1718の確実な履行を求める新たな決議などを目指す方針だが、拒否権を持つ中国やロシアが、北朝鮮への厳しい対応に消極的な姿勢を示しており、難航も予想される。

 これが国際政治の現実ならば、日米韓も今後の対応について冷徹な判断が必要になる。北朝鮮の暴挙は容認できないという認識を堅持しつつ、6カ国協議や米朝交渉を通じた事態打開といった選択肢も冷静に考慮すべきであろう。

 例えば日本と韓国は、「ノドン」など既に大量に実戦配備された北朝鮮ミサイルの射程に入っている。最大の脅威となるのは核兵器を搭載したミサイルだから、まず何よりも小型核弾頭の開発阻止、つまり北朝鮮に核計画を放棄させることを最優先するという選択肢がありうる。

 いずれにせよ安保理は、北東アジアの平和と安定をかき乱し、挑発的行為を続ける北朝鮮への対処について、一定の道筋を示すべきである。非常任理事国として安保理に参加している日本は米国と連携し、中国やロシアとの溝を埋める努力をすべきだ。中露も安保理としての合意づくりに柔軟に対応してほしい。

 対立構図を際立たせては北朝鮮を利するだけである。

コメント

_ 紫竹庵人 ― 2009/04/06 10:34

 たかが北朝鮮の動きに一喜一憂する日本政府の対応にメディアもなびく。これって大本営発表の時代となんら変わらない。最新鋭の武器を備えた自衛隊が北朝鮮に翻弄されるのであれば、軍事費などはそもそも無駄なのだ。
 桐生悠々が関東大演習を嗤うと書いたのは70年以上も前のことです。桐生はこの記事のおかげで信濃毎日新聞主筆の座を追われる。もちろん陸軍の圧力に新聞社が屈した結果だった。

_ 和平治 ― 2009/04/06 11:13

自民党と日本政府、そしてマスコミの此の過剰な反応は、いったいぜんたいどうしたことでしょうか。景気が悪くなると、武器商人、兵器産業が台頭すると云います。杞憂であれば良いのですが、この構造は、何時か来た道とまったく同じのように思えてなりません。
救いはオバマ民主党政権の冷静な対応と、新しく始まったNHKの《Jプロジェクト》です。《Jプロジェクト》は見応えがありました。

_ K ― 2009/04/06 12:24

こんな売り込む為のネタ外さないでしょう。
日本マスコミのいつもの大騒ぎと、マスコミに対応が遅いと叩かれるのを避ける為にがんばった政府という、いつもの構図。
マスコミや野党が、遅いだの間違いだのと騒がなければ、もっと落ち着いた政府の対応が出来るのにね。

_ Y-SONODA ― 2009/04/07 02:30

★紫竹庵人さんへ

桐生悠々に山路愛山と言えば信濃毎日新聞で小坂一族。
小坂一族も結構クリスチャンに近いですね。

当時と今と比較して決定的に違うのは米国の存在でしょうか。
愛国なのか愛米なのかわからないような連中が保守を名乗る。
もはや女々しさすら感じます。

★和平治さんへ

人間とは愚かなもので同じ過ちを何度も繰り返してしまうのでしょう。
とはいえ、根性のある日本人が少なくなったという点で救いがあるかもしれませんね。
(この私もいざ戦争となるとさっさと家族で逃げ出すかもしれません)

あまりテレビは見ないのですが、
教えていただいたNHKのプロジェクトJAPANを再放送から見てみます。
どうも情報ありがとうございました。

★Kさんへ

今回も見事なネタでしたねぇ。
このネタも相当裏があるようですよ。
まぁ、見方によってはこの国も横綱ということで穏やかにいきましょう(笑)

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_ 米流時評 - 2009/04/07 10:13


  ||| 第2報 激甚被害で非常事態宣言 |||
 イタリア中部地震、アブルッツォ州都ラクイラ中心に激甚被害、死者130名以上
 ベルルスコーニ首相、急遽モスクワ行きをとり止め、全土に非常事態宣言を発令

【イタリア中部地震レポート・第2報】  イタリー・ラクイラ発 |現地時間で6日月曜未明、中部イタリアの山間部で発生したマグニチュード6.3の激震に続いて、被災地では犠牲者の遺体発掘作業が懸命に続けられている。夜が明けてから災害対策センターが発表した死者の数は、当初の数十人から130名へと激増した。また激震で家屋が倒壊したため、住む家を失った住民の数は数万人にのぼるものと...

_ 米流時評 - 2009/04/07 16:26


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