オバマのインナー・サークル(5)30人委員会の結集 ― 2008/11/22 11:16
どうやらヒラリー・クリントンの国務長官就任もほぼ確実となってきました。
なんといっても注目は財務長官人事。
こちらの方もほぼ固まったようです。
財務長官に起用されるのは、ティモシー・F・ガイトナー(Timothy F. Geithner)。
現在、ニューヨーク連邦準備銀行総裁として金融危機対策に奔走している人物。
即戦力という点とウォール街出身ではないという点が評価されたのでしょう。
さて、ここで財務長官人事を振り返って見ましょう。
名前があがっていたのは、ガイトナー氏のほか、
ボルカー元連邦準備制度理事会(FRB)議長とサマーズ元財務長官でした。
実はこの3人には大きな共通点があった。
3人ともグループ・オブ・サーティー=30人委員会(The Group of Thirty)のメンバーなのです。
そして、このブログで再三ケネス・ロゴフを取り上げてきたのも、
ロゴフも同じくグループ・オブ・サーティーのメンバーだったからですね。
拙著『最新・アメリカの政治地図』でも取り上げたグループ・オブ・サーティー。
選び抜かれた国際政治・国際金融の専門家や金融政策当局者などが集う場所。
これを知らずして国際金融を語ることはできない。
陰謀論者は300人委員会じゃないと安心できないようですが、
私は今まで300人委員会など見たことも聞いたこともありません(キッパリ)
一方でグループ・オブ・サーティーは公式ホームページまであります。
混同しないでね。
ガイトナーは1961年生まれですから、まだ若手。
重鎮が集うグループ・オブ・サーティーの意向に従うことになるでしょう。
そうなると、国際協調路線に回帰するはず。
さらにはグループ・オブ・サーティーには日本人も3名います。
現在のメンバーには山口泰(前日銀副総裁)が。
名誉職として、行天豊雄(元財務官、国際通貨研究所理事長)と
緒方四十郎(元日本銀行理事、元日本開発銀行副総裁)がいる。
この3名の注目すべき点は次の通り。
山口泰は野村証券グループ・アドバイザーに就いている(05年9月就任)。
行天豊雄は野上義二(元外務事務次官)と共に、ワシントンで開かれた金融サミットを前に内閣官房参与に任命されていた(08年11月4日付)。
緒方四十郎は緒方貞子(国際協力機構理事長)の夫。
麻生太郎も緒方貞子もカトリック信徒でいずれも皇室に近い。
10月27日と11月19日に官邸で二人は会談している。
このあたりの動きから、麻生政権はグループ・オブ・サーティー対策を構築済みと考えてよい。
またガイトナーは日本にとっても極めて組みやすい相手。
ガイトナーの専門は日本と中国。
在日米大使館勤務時代には日本の不良債権問題を間近に見ており、金融危機をめぐる日本の教訓も熟知。一応日本語も話せるそうです。
やはりオバマ政権の方からも日本に接近してきましたね。
<関連記事>
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Group of Thirty
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