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英国が操る世界の行方ー必見画像付2008/10/13 11:50

国際マネーフロー(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部)


米国発の金融危機が世界同時多発株安を誘発。
今後、その影響は実体経済をも深く侵食し、世界同時不況になっていく。

こうした中で米国一極体制崩壊をめぐる議論も活発になってきました。

昨日の毎日新聞。
浜矩子・同志社大教授がこんなことを書いています。
「米国発の危機拡大で、ドルを基軸とする通貨体制が終わりに近づいていることが証明された」

私の持論は米国一極体制というより、米英二極体制との見方。
そもそも英米というのは親子みたいな関係ですからねw
随分前に世界のお金の流れを見て、
米国を支えているのが英国だと気付いたからです。

この関係で最新の「週刊ダイヤモンド」で優れたコラムを発見。
それは早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授・野口悠紀雄の「超」整理日記。
タイトルは「世界を激動させる巨額の資金移動」となっています。

このコラムの内容を紹介します。

▼「世界を激動させる巨額の資金移動」要約開始

オイルマネーがEUを経由してアメリカに還流。
その中心に位置しているのは、イギリス。

2007年のEUからアメリカへの投資約1兆ドルのうち、
約6000億ドルがイギリスからのもの。
(日本からは約680億、よってその10倍近い規模の資金がイギリスから流入)

イギリスは自国に蓄積した富を投資しているのではない。
(実際、イギリスの経常収支は赤字である)
海外から投資を受け、それを投資している。つまり、金融仲介を行なっている。

イギリスの世界的金融仲介活動が顕著になったのは、1995年頃から。
これは、「ビッグバン」(86年に行なわれた金融自由化)の影響。

イギリスが行なっている金融活動は、
日本の金融機関が行なっていることとはだいぶ違う。

日本の銀行が行なう主要業務は、少額預金を集めて企業に融資することであり、
証券会社が行なう主要業務は、投資家の株式投資を仲介すること。
それを行なっているのはサラリーマンで、運用成績が悪くても責任は問われない。
また、高い収益率を実現したところで格別給与が上がるわけではない。
こうした構造がもたらす結果は、80年代には不動産の投資へ。
バブル崩壊で巨額の損失が発生したため、
今度は極端にリスク回避的な投資に凝り固まっている。(→その結果サブプライムの影響小)

これに対して、イギリスの金融活動は、投資銀行業務そのもの。
オイルマネーの所有者は、資産運用の細かいノウハウは持たないが、
運用成績が悪ければ、運用担当者をすげ替える。
だから、高い運用成績を追求せざるをえない。
したがって、運用の対象は、株式・債券投資だけでなく、企業買収、証券化、キャリー取引、コモディティ取引、不動産取引、そして各種のデリバティブなどであると推測される。
サブプライムローンは、高い利回り要求から生まれたもの。
実際、サブプライムローン証券化商品の半分程度はヨーロッパで保有。

イギリスの投資戦略は、純粋に経済的なもの。
正確に言えば、プライステーカー(市場で形成される価格を所与として行動する人びと)。

つまり、世界をある特定の方向に導こうというような戦略的なものではない。
少なくとも、「ユダヤやアングロサクソンによる世界支配の陰謀」とは無関係。
彼らの行動は経済合理的なものだから、予測もできる。

以上で述べた経済活動は、アメリカを中心としたもの。
少なくとも、アメリカがあって初めて成立するもの。
アメリカが成長を続けて経常赤字を記録し、それをファイナンスする必要があって成立する。

07年、このような世界的資本取引に大きな異変が起きた。
EUからアメリカへの資金流入が07年第2四半期に従来の半分程度に減少。
第3四半期には10分の1程度の水準に低下。

このような変化の中心は、イギリス。
イギリスの対米投資は、07年第2四半期に急収縮し、第3四半期にはマイナスに。
つまり、アメリカにおけるサブプライムローンの悪化を契機に、投資戦略が大転換。
投資はドル建て資産から、金、原油、その他の商品に向かい、
これが、ドルの減価と金・原油価格の上昇をもたらした。

しかし、08年第1四半期には、イギリスからの対米投資は再び増加。
つまり、投資の対象は、再びドル建て資産に戻ったようだ。
これが7月以降のドル高を引起こしている。

イギリスの動向が世界を動かしていることは間違いない。

イギリスの投資戦略の激変に世界は翻弄されているが、特に日本は、確たる対処方針もなく、それどころか何が起きているかさえ把握できず、ただただ振り回されているだけのように見える。

▲要約終了

野口さんは『世界をある特定の方向に導こうというような戦略的なものではない。少なくとも、「ユダヤやアングロサクソンによる世界支配の陰謀」というようなこととは無関係だ。彼らの行動は経済合理的なものだから、予測もできる。』と書きながらも、「イギリスの動向が世界を動かしていることは間違いない」と指摘しています。

陰謀は確かにありません。しかし、戦略は存在します。
日本人は陰謀と戦略を混同するからややこしくなる。
そもそも日本人には海の向こうに対する戦略的思考がないから、
すべてが陰謀に見えてしまうのでしょうか。

なんといっても「世界をある特定の方向に導こうというような戦略的なものではない」は、
「イギリスの動向が世界を動かしていることは間違いない」と明らかに矛盾しておりますがな(爆)

すべてが経済合理性で割り切れるものなら、
世界の政財界人が集う定期会合、それに政治家だって不要になるはず。

オイルマネーが英国を経由しているのは、紛れもない事実です。
そのことを知って、OPECに接近するロシア。

英国経由を可能にしているのは、英国の戦略的な留学生受け入れもあります。
英米が競い合うかのように中東産油国の政府幹部や王族、その子弟の留学を受け入れてきました。
これがオイルマネー人脈の基礎になっています。

それに、いかに経済合理性重視とはいえ、それは現場のコマレベルの話。
中東産油国も敵対する国や企業への投資は控えるように指示を出していると思いますよ。
こうした空気を読み取れない者はコマのままで終わるのです。
コマを動かす立場にはなれません。

野口さんは英国の世界的金融仲介活動が顕著になったのは1995年頃からと書いておりますが、
これについても疑問があります。
70年代80年代には積極的に活動していましたし、
これを「ビッグバン」で再構築したとの見方のほうが正しいと思います。

また各数値についても「おやっ?」と思うものがあったので、
補足のために画像を貼り付けておきます。
この素晴らしい資料はあの三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部が作成したものです。
(はたしてモルガン・スタンレーへの出資について、優秀な調査部の見解は取り入れられたのでしょうか?)

中東で日本人や日本企業の存在感が薄いのは、人脈にも原因がありました。
しかも、最悪なことにオイルマネーを呼び込む戦略すらなかった。
国際的な二重課税に関する議論も今年になってようやくという情けないもの。
日本はオイルマネーの受け皿になっている可能性もあったのに・・・

日本の保守に親米派と反米派はいても、親英派は行方不明で親中東派は皆無。
このあたりに保守の軽さが象徴されているのかも。

この点で親英派の大将だった吉田茂の孫に期待していたのですが、どうなることやら。
麻生太郎も英国留学組ですからね。

一部は金(ゴールド)に流れているようですが、オイルマネーの今が気になります。

<関連記事>

▼二重課税

平成21年度税制改正に関する提言
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/061/honbun.html

コメント

_ うーん ― 2008/10/21 03:45

いまいち納得できませんでした。そもそも、イギリスに世界の資金の流れを変えるだけの力があるのか。シティーの投資銀行・投資ファンドの大部分が非イギリス系だと聞いた事があるので。どっちにしろ、今回の金融危機で最も国際的影響力が落ちるのはイギリスだと私は見ています。つまり、80年代以降成功モデルとされてきたサッチャリズムが今回の件でまっさきに槍玉にあげられると。

_ Y-SONODA ― 2008/10/21 12:55

うーんさんへ

実は私もいまいち納得できていないのですw
「具体的に英国のどこが?」と思って調べたのですが、
なかなか出てこない。

それでも、政治&経済分野で英国は軽視できないと思いますよ。

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