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三菱UFJ&モルガン・スタンレーと住友&ゴールドマン・サックス2008/09/23 11:00

モルガンの歴史


ゴールドマン・サックスと住友銀行といわれても
もう20年以上も前のことなのでピンと来ない人の方が多いですよねw

簡単に整理しておきましたので、以下参考にしてください。

1986年8月7日、住友銀行はゴールドマン・サックス(以下GS)に、約5億ドル(当時で約770億円)の出資を行うことで大筋合意したと発表します。

資本参加の方法は、銀行と証券業務を分離しているグラス・スティーガル法などの規制があったため、住友出資分には議決権はつけず、役員派遣もしないというもの。

すでに当時からGS内には「安上がりの資金調達にすぎない」という冷静な見方が多数。

日本の金融界でも「GSはユダヤ系の名門証券。カネを出したからといって秘中の秘というべき証券ノウハウを教えますかね」との疑問を投げかける声がありました。

住友側は「議決権は認めない」ことを明記するなど、責任範囲を限定したリミテッド・パートナーという低姿勢だったのですが、米連邦準備制度理事会(FRB)や米議会や米財務省から物言いがつきます。

そして1986年10月10日の第1回公聴会を経て、FRBは11月19日に住友とGSの資本提携を厳しい条件付きで認可すると発表します。

その条件とは.

(1)住友側の同社のパートナーシップ取得は25%未満にする
(2)住友側の同社の子会社の株式取得、役員派遣、子会社への住友の名称使用を禁止する
(3)原則として住友側社員・前社員の同社での訓練を禁止する
(4)両社間で現在行われている業務提携以上の業務展開を禁止する
(5)業務提携の相互独占、宣伝を禁止する
(6)同社への出資に見合う額の自己資本充実を義務付ける
(7)住友側の同社の人事を含む議決権行使はしない点を確認する

FRBは経営支配に発展しない「純然たる投資」に縛り付けたわけです。

この結果、GSと計画していたロンドンでの合弁会社設立は白紙撤回。GSに対するトレーニー(訓練要員)派遣も見送りになります。

この結果を受けて、1986年12月4日付けで住友はニューヨークに100%出資の子会社、スミトモバンク・キャピタル・マーケッツ(SBCM)を設立。翌5日に出資契約に調印、同日付でSBCMを通じて24.9%(この比率は謎だらけ)分にあたる4億2500万ドルの出資完了。

それから16年後の2002年1月、三井住友銀行は不良債権処理原資を確保するためにGS株すべてを売却すると発表します。それまでにも数回にわたって株式放出を進めていたので、この時点での保有比率は1.8%にまで低下していました。これによりGSとの資本提携は解消。

住友からすれば、GS株放出で手にした売却益は累計24億ドルを超え、これとは別に配当収入も得ていたことから、十分な利益を回収したことになります。

それでいいと言えばいいのですが、手にした金も不良債権処理にあてられるという結果になったわけです。

さらには立場が大きく逆転する事態が起こります。

2003年1月15日、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、不良債権処理を加速させる上で自己資本の拡充が必要と判断し、1503億円の増資を2月に実施すると発表。

増資は、議決権のない転換型優先株による発行で行い、GSがその全株を引き受けます。

転換型優先株の配当利回りが年4・5%と高率、しかもGSが引き受けた優先株は、最短で2年後には議決権のある普通株に転換できるという条件付き。GSにとって「おいしい案件」となりました。

GSはSMFGとの密接な関係を利用しながら、SMFGが持つ膨大な顧客に触手を伸ばしていきます。

経営再建中だった準大手ゼネコン・フジタ、花王のカネボウ化粧品買収、それに三洋電機と三洋クレジット。数え上げると切りが無いほど。

住友なり三井住友は米国で「おいしい案件」にありつけたのでしょうか。これを考えれば、得をしているのはやはりGSと思えてしまう。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)がモルガン・スタンレーに対する取締役派遣にこだわっているのは、GSの教訓があるものと見ています。

この背景には、大恐慌時代の1933年のグラス・スティーガル法で定められた銀行と証券の分離が、1999年のグラム・リーチ・ブライリー法で撤廃されたことがあります。

しかし、昨日も書いたように米国での取締役派遣の影響力は疑問。

日本人経営者が大手海外企業の取締役会に招かれることは何度もありました。しかし、長期間就任していたことは極めて稀です。米国で求められるのはあくまでも個人の能力、それに情報力。

米財務長官になれるほどの能力がなければ、モルガン・スタンレーの取締役会で浮いてしまいますよ。日本の取締役会とは質が違うのです。

今朝の日経さんは早速「モルガンと同様、今後大きな関心を集めそうなのが同じ米証券大手のゴールドマン・サックスだ。仮に資本増強の議論が高まれば、ゴールドマンと関係の深い三井住友フィナンシャルグループの出方が焦点になる。」と書いています。

三菱UFJのモルガン・スタンレー出資に続いて、野村ホールディングスはリーマン・ブラザーズのアジア部門を2億2500万ドル(約240億円)で買収することが決まりました。(野村さんはうまい!)

さらに三井住友フィナンシャルグループがゴールドマン・サックスに出資あるいは合併ということになった場合はどうなるのか。

また日本への警戒心が生まれるのは避けられない。

今度は日本に対して「ハゲタカ」と非難する米国人だっているかもしれません(笑)

こういう時はあまり調子に乗らない方がいいと思いますけどね。

米大統領選の結果次第では「ジャパン・バッシング」が再び吹き荒れる可能性もあります。

それに20年前と大きく違う点は米国がすでに衰退期に入っているということ。皮肉にも今回の米金融危機がそれを証明しました。

そうなると日米共倒れといった事態も想定する必要があります。

日本の運の良し悪しは、米国によって左右されてきたという現実もありますからね(ニヤリ)

コメント

_ どい・としき ― 2008/09/23 13:58

野村証券はうまいですね。資金余裕があれば、野村の株を買いたい、
と瞬間的に思いました。
三菱も、住友も、大きな仕組みの中に「配置」されようとしているので
はないかと感じますが、早とちりかもしれませんが、ここの辺が分か
ればご指導ください。

>日本人経営者が大手海外企業の取締役会に招かれること
>は何度もありました。しかし、長期間就任していたことは極め
>て稀です。米国で求められるのはあくまでも個人の能力、そ
>れに情報力。

>また日本への警戒心が生まれるのは避けられない。
>今度は日本に対して「ハゲタカ」と非難する米国人だってい
>るかもしれません(笑)

同感します。ジョージ・ソロスの「この荒涼たる世界秩序において、
日本はキープレーヤーとなってはならない」と言っている忠告に耳を
傾けるべきでしょうね。

ところで、「国際戦略コラムNO.3054」で、Fさんが、
次のように指摘されているのは、どのように理解すれば
いいのでしょうか?

>日本が苦境のときに、米国ファンドが日本を助けたように、
>日本が今度は米国を助ける番である。

また、「NO.3059」で、
>欧米型金融主義が早期に潰れたことで、日本の構造改革
>の方向を見直すことになると期待する。欧米追従路線をとる
>竹中さん的な政策はありえない。

ということの意見が、結びつかないのですが・・・。
たしか以前の「郵政[私]営化」推進の意見でした。国民の預金が
GSに向かうことで理解していたのですが?

最近の「郵貯」から、毎月多額な貯金が引き出されているとのことで
すが、老人も何かを感じている、と理解すればいいのでしょうか。

_ Y-SONODA ― 2008/09/24 09:08

どいさんへ

野村ホールディングスはうまいですね。
アジア・太平洋事業に続いて、
欧州・中東の投資銀部門まで買収しましたね。

三菱UFJは三井住友の動きに対して牽制していたのかも。
つまり、三井住友よりも先に仕掛けたかったのかもしれませんね。
そして、バフェットの出資で三井住友の出番はなしかな。

Fさんの見解については一応ノーコメントということでw
いろんな見方があっていいと思いますよ。
むしろ私の見方のほうが日本ではマイナーかもしれない(汗)

_ どい・としき ― 2008/09/24 16:15

園田さんへ

答えにくい質問に、潔いコメントをいただき、ありがとうございま
した。

バフェトがGSに出資、三井住友には、かえって幸運かもしれませ
んね。

しかし、巨大ファンドの破綻の噂も出てきています。
また、日米政策金利の同時下げなら、米国債の格下げになる
のが懸念材料です。どうなりますかね?

_ Y-SONODA ― 2008/09/25 08:55

どいさんへ

今日の記事にも書きましたが、
怪しそうな記事が飛び交っています。
憶測が憶測を呼んでいるといった感じですね。

こういう時はドンと腰を落ち着けて、
冷静に眺めている方がいいと思いますよ。

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_ ぼちぼち、いんぐりっしゅ - 2008/09/24 01:08

http://www.reuters.com/article/ousiv/idUSTRE48M6JN20080923?sp=true
 ↑ロイター通信のHPから
 Back from the dead, Tokyo banks buy into Wall Street 死から蘇り、東京の銀行がウォールストリートを買う
 Tue Sep 23, 2008 8:03am EDT←投稿時間
 By David Dolan and Nathan Layne - Analysis 記者の名前
 ...

_ ハズレ社会人 - 2008/09/24 15:03

オツカレです。





























































わずか3日間での短期決断は本気度満点だ。